川内の時は運命の悪戯でなで回したが。…悪戯で撫で回したって表現がヤバい。でも撫で回したね。しょうがねいね。
運命の導きの侭に動いたが、今度は導きようがなかろう。
白露は策略に嵌めた。…いや、これも響きが悪い。いやいや。響は何も悪くない。
響なあ。元気でやっていると良いんだがね。姉妹仲良いのは知ってるけど、どうだろうな。ぐへへ。俺も混ざりにいきたいぜ。
などと悪ふざけな考えは止めとくとして、どうしようか。
「提督、僕は何をすれば良いのかな」
透き通る声。耳を通過して脳に響く透明な声色。静かな言葉はしみ渡る。堪らない。
いかんいかん。トリップしていた。調子が良すぎて心が暴走している。落ち着け。
「仕事は既に終わらせてある。君の話を聞かせてくれ。大切な姉妹達の話でも良い」
「お話?」
怪訝な表情だ。それはそうだろう。仕事をしにきて、いきなりおしゃべりとなったのだ。
ふっふっふ。白露から皆の話は聞いたが、時雨からも聞きたい。素直な欲望である。
俺は白露とのやり取りで気付いたのだ。もう少し緩くいくべきである。
「そうだ。これまで何も関わってこなかったろう。だから、君達を知りたい」
「そうなんだ。うん。それなら微力だけど、お話させてもらおうかな」
彼女がソファーに座る。そのまま話を聞いても良いけど。せっかくだ。
「まあ待て。今お茶と茶菓子を用意しよう」
「良いの?」
「俺が食べてほしいんだ」
白露の喜んだ姿は嬉しかった。時雨も味わってくれれば、尚嬉しい。
それにな。美少女の食べる姿は眼福である。実に幸せな光景だ。
「そっか。ありがとう」
嬉しそうに微笑む彼女の心を受けながら、用意したお菓子を取りに行く。
今度はねりきりを用意した。意外と作ってみれば簡単である。
花びらをもした和菓子。白あんを形良く整えて、適当に色をつけるだけ。本職の和菓子職人ではない。これで十分だ。
「ふふ、可愛らしいね」
桜の花を模した物を見て、愛おしそうに笑っている。
そんな風に笑う時雨の方が可愛らしい。とか言ったら、確実に引かれるので止めた。
「だろう。中々気に入っている」
今回は緑茶にした。抹茶は苦手である。手早く用意を済ませれば、嬉しそうに時雨が笑っている。
ふふふ。お菓子は万人に通じる力だ。他の白露型の皆にも試そう。一番艦に似て、おいしいのが好物なのだろう。ふふふ。
「手作りなんだって?」
「ああ。白露は好んで食べてくれたが、時雨はどうだろうな?」
「さっそくいただこうかな。…んっ。美味しいよ」
幸せそうに頬を緩ませてくれた。儚げな雰囲気から一転、無邪気な幼子みたい。
良いね。胸がほっこりとする。作った甲斐があろうよ。
「ならば良かった」
「これだけ素敵なお菓子をいただいたんだ。がんばって話すからね」
仄かに気合いの入った表情。空回りしそうで心配だ。
「気負わなくて良い。君の自然体を知りたい」
「そう? それならいつも通り」