胸に秘めた大切な想いを、彼女はゆっくりと語り始める。
「白露はね。スキンシップが大好きな人なんだ」
よく知っている。本当にお世話してもらった。彼女のおかげで活力が戻った。
調子が良すぎて、罪悪感すら覚える位だ。
そう思いたくなくなる程の、なにかとても大きな許しを貰った気がする。
「ぎゅ~って抱きしめてくれて、とても眩しい笑顔で生きてる」
良いなあ! でもでも、俺だって抱きしめてもらったし!!
――はっ!? お、落ち着け。何を張り合っているんだ。落ち着けよ。
「この間なんてアイスを奢ってくれて、僕が食べるのを見守ってくれてた」
お、俺も食事を取ってきてもらったから。羨ましくない。
それに俺に至っては、お菓子も食べてくれたからな。笑ってくれたんだぞ。
だから張り合うな。落ち着くんだ。
「気恥ずかしかったんだけど、嬉しいのが強くてさ」
分かる。すっごい分かる…。
「大好きな、大好きなお姉ちゃん」
ねえ。本当にねえ。良いお姉ちゃんだよ。ばぶばぶ力も蓄えてる。良い母親になれるだろうさ。うんうん。良いだろう。認めよう。
時雨の方が愛されているさ! どうせ俺は怖い提督だとも。
「村雨はいっしょにいるのが好きな子」
楽しそうに時雨が笑っている。…俺は何を嫉妬していたんだ。バカじゃないか。
目の前の彼女の愛情を感じている。愛おしい姉妹仲。嫉妬する理由はなかろうよ。
「この前遠征をしたんだ。そうしたら、ニコニコと笑って話してくれた」
会話好きな姿が目に浮かぶ。それを彼女は、愛おしそうに聞いているのだ。
「時雨姉さんといっしょなら、怖い海でもいい感じね。なあんて。言ってくれた」
なにそれ可愛い。やばいやばい。ちょっと萌えすぎちゃうんですけども。
「思わず抱きしめちゃって、驚かれたな。愛らしい大切な妹」
静かに微笑む彼女を抱きしめたい。ぎゅっとしたい。
しょうがないね。俺でも抱きしめちゃうね。幸せにするって宣言するレベル。
軍神だからね。可愛い子に良い所見せたくてなったのもある。いや、別に自分から神だと宣言したわけじゃないが。幾らなんでも自称は痛すぎるだろう。
「夕立は無邪気な甘えん坊さん。でも人一倍頑張り屋」
イメージがつくんだけどな。何だったら俺も常にぽいぽい言っているのだがな。
俺からすれば、涙目逃走の彼女である。甘えてもらった事もなし。
「いっしょに食事をとってたらさ。急に僕のから揚げを食べちゃって」
俺も食べさせてあげたい。むしろ時雨に食べてもらいたい。
だって、夕立は泣くからな。白露からも止められている。……泣きそう。
「いたずらな笑みで笑ってるんだ」
見たい~!! すっごい見たい!! 絶対に見るからな!!
ふう、ふう~落ち着くのだ。がんばるぞ。うんうん。
「それがあんまりにも可愛くて、怒ったふりをしたら」
怒った時雨も見たい。拗ねた様に目を背けたり、冷たい感じなのだろう。
『…提督には失望したよ』
良いね!
「しょんぼりとして、ごめんなさい~って」
あ、その夕立は知っている。知りすぎている位に知っている。知りたくなかった。
「可愛くて、ついつい許しちゃう。でもね。勘違いしないでほしいんだけど、人を傷つける甘え方は絶対にしないんだよ」
慌ててフォローしていた。僅かでも、妹が悪く見られるのは嫌なのだろう。
「僕が落ち込んでる時、そっと寄り添ってくれたり」
なにそれ尊い。俺も寄り添いたい。…駄目だ。想像上で泣かれた。夕立相手も時雨相手も、恐怖に覚えた姿を想像してしまう。泣きそう。
「甘え上手な愛おしい子」
うむ。白露の時に知ったのだが、このまま放っておくと延々と続くぞ。
それは良い。皆を語る姿は愛おしい。それはそれとして、時雨を聞きたい。…などと、白露相手にした時と同じく。振る舞えれば良いのだがな。