オーバーエッグ 念願のエッグマンX   作:黒酢ドリンク生卵を添えて

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 クレマンティーヌカワイイ。
 プライドとか諸々叩き壊したらもっと可愛くなると思う(ゲス顔)


Ep09「闇夜に蠢く」

 リ・エスティーゼ王国沖、無人島改めエッグマン基地、ヘリポート。

 

 エッグマン基地に到着してからというもの、クレマンティーヌは内心冷や汗が止まらなかった。

 

「なんでこんな女助けたんですか!?」

「こいつは我々を殺した張本人なのである」

「ぴぃっ!?」

「「ぴいっ?」」

「まぁまぁ、成り行きとはいえ助けちゃったわけじゃし、のぉ?」

 

 それはもう、自分の事を言及されそうになると奇声を発しちゃうくらいにはテンパっていた。

 基地に着くまでは『このヒゲのジジィをサクッと殺して逃げてやろう』とか割とマジめに考えていたのだが。問題は基地に到着してからである。

 無人島にそびえ立つ見た事の無い塔、そしてあちこちに灯る不思議な明かり。

 さらに基地の周辺を警護しているゴーレムを見た瞬間にクレマンティーヌの常識というか、自信というか、そんな全てが瓦礫に変わった。

 もともと、あの『リッチーだか何だか分かんないやっべーヤツ』に殺されかけた時から色んな物にヒビが入っていたクレマンティーヌの視界に飛び込んで来たのは、一体や二体ならなんとかなりそうなゴーレムが数えるのもアホらしいくらいの数。さらに追い討ちをかけるように、恐らく鉄でできているっぽい塔の中には手も足も出ないようなゴーレムがちらほら見える。

 そして、あのアンデッド相手に負った傷や怪我がキレイさっぱり無くなっている現状。

 クレマンティーヌが行き着いた答えは。

 

(このヒゲジジイ。もしかしてプレイヤーなんじゃないか?)

 

 であった。

 クレマンティーヌは裏切ったとはいえ元スレイン法国漆黒聖典第九席次である。

 そしてスレイン法国といえば600年ほど前に降臨した六大神、つまりプレイヤーによって作られた国と解釈して良い。

 さらに言うのであれば、プレイヤーとは神界に住まう神々の事を表す。

 

 つまり、言いたくは無いが、クレマンティーヌ的にはこのヒゲのジジイは神なのである。

 しかも、クレマンティーヌが以前にボロボロにして殺害した雑魚冒険者達が何故か生き返っていて、ヒゲジジィと会話をしているのである。

 もう、ターゲットを間違えた感半端じゃない。

 

 しかもクレマンティーヌの見立てでは、この基地で見たゴーレム、それなりの数があればスレイン法国などすぐにひねり潰せるし、奥に居るであろう全ゴーレムが出陣するのなら少し時間があれば大陸を手中に収めるなど造作もない事に思えた。

 事実、クレマンティーヌはエッグマンはおろかメッセンジャーロボにすらステータス、それもクレマンティーヌの得意とするスピード面で惨敗している。

 

「で、コイツは一体どこの誰なんじゃ? お前ら知っとるのか?」

「いえ、ンフィーレアさんを攫って行った犯人としか」

 

「おみゃーさん、なみゃーなんて言うがね?」

「えっと…く、クレマン…ティーヌ、です、はい…」

「とりあえず装備がボロボロたい、えらい格好だけん着るもん探してくるばい」

 

「お前らボックンの方が先輩なんだからな!」

「ボックン、であるか?」

「名前あったのかよ」

「ちょっとカワイイかも」

「うっさいじょ!!」

 

 ますます混沌を極めるエッグマン基地である。

 

「まぁ、いいわい。確か『ククレマン・ティーヌ』とか言ったか?」

「あ、いえ、クレマンティーヌです」

「どっちでもいいわい!」

「えぇー……」

「とにかく、助けた以上は働いてもらうぞ! どちらにせよジョーカーのヤツに狙われる立場なんじゃからな」

「うぐっ」

 

 クレマンティーヌを襲った不幸はそれだけでは無い。エッグマンが言ったように『秘密結社ズーラーノーン』には知らない間に裏切り者としてマークされているし、さらには国宝を奪って逃げた経緯からスレイン法国にも追われている。

 実際、エッグマン基地にしか居場所が無いのである。

 

「あー、漆黒の剣の面々は情報提供の仕事じゃ。オーボット! キューボット!」

 

 エッグマンが声を上げるとヘリポートからタワー内部に繋がる巨大な扉が自動で轟音とともに開く。

 それだけでもクレマンティーヌを初め漆黒の剣の面々は唖然とした物だったが、その扉から出てきた物を見てさらに視線が釘付けになる。

 巨体な扉から丸い玉と四角い箱が転がって来たと思うと、彼等の前でパカッと割れた。

 どちらも彼等の見たことの無いゴーレムだった、見た目は貧弱そうだったが。

 

「お帰りなさいませボス」

「んもぅー、パパったら帰りが遅いからアタシ心配しちゃったじゃない!」

「お前は一体誰の事を言っとるんじゃ!!」

「んー……おじ様のことじゃないの?」

「フザケおって…ワシの事をパパだのおじ様だの…声の設定がまだ直っとらんでは無いか! だいたいこれはどういう声の設定じゃ? 『オネエ声』か!?」

「なによ! パパがイケないのよ!? いつもナザリックで遊んでばっかりで、アタシに構ってくれないんだもん! こうなったらモモンガさんにお願いしようかしら? パパの計画を台無しにしてくれって!」

「やめんか! ワシが好きでアイツらに構っとると思っとるのか!?」

「違うの?」

「んぐぅ……ってそんな事はどーでもいいわい!!」

「お前もいい加減にしろって」

「あ、痛!」

 

 暴走を続けるキューボットにそろそろエッグマンの怒りが限界なのを察知したオーボットはキューボットの頭を叩いて止める。

 

「とにかく! お前らはこの漆黒の剣4人を資料室に連れて行って資料作成じゃ!」

「ニンジャのオキテでござる! 彼等の情報、残らず引き出して見せようぞ!」

「『ニンジャ』の設定になった様ですね」

「ふざけおって、ならさっさと連れて行かんか!」

「…ハラが減ったでござる」

 

 キューボットの物言いにエッグマンは手近な物を投げ付けた。

 

「あ痛ぇっ! お腹すいたなぁ…もぅ…」

「さぁ、皆さんコチラです。アイツの事はあんまり気にしないでください」

「は、はぁ……」

 

 オーボットの案内に困惑しながらも漆黒の剣の面々はぞろぞろとエッグタワーの中に消えて行った。

 

 それを見送ったクレマンティーヌは恐る恐るエッグマンに声をかける。

 

「……えっと、その、エッグマン、さま?」

「まったくあのポンコツロボめ! 今に分解して……」

「エッグマンさまー?」

「エッグマン様! クレマンティーヌが呼んどるでよ!」

「なんじゃ!? 驚かせるんじゃないわい!」

 

「もしかして、とうとうエッグマン様も耳が悪くなったんじゃないのか?」

「ロボット以外に様付けで呼ばれた事ないから反応が出来てないんとちゃうのー?」

「やかましいわい! 聞こえとるぞ!」

 

 メッセンジャーロボとデコーの会話にキレながらもクレマンティーヌに向き直るエッグマン。

 

「で、なんじゃ? この大天才に敬意を払う殊勝なお前の質問には答えてやらんことも無いぞ? ホーッホッホッホ!」

 

 他人から敬称付きで呼ばれる事に慣れていないエッグマン、これだけの事でだいぶ機嫌が良くなっていた。チョロい爺さんである。

 

「えっと、エッグマンさまは『ぷれいやー』なんですか?」

「………」

 

 クレマンティーヌの質問にエッグマンの眉が僅かに上がる。

 

「なぜ、とは言えんか…ジョーカーを知っとるんじゃからな。プレイヤーの事ぐらい知っとるじゃろ」

 

 エッグマンは顎に手を当て考える。

 

「改めて自己紹介じゃ。ワシの名はドクター・エッグマン。世紀の天才科学者にしてギルド『悪役連合(ユニオン・オブ・ヴィランズ)』の最終ギルド長じゃ!」

「クレマンティーヌ、です。元スレイン法国漆黒聖典第九席次で、秘密結社ズーラーノーンに居ました」

「なにか聞き慣れん単語が多いが…まぁ、後で聞くとしよう。おぬし、『ジョーカー』それに『ガーレン』についてどれだけ知っとるんじゃ?」

「ジョーカーちゃんの事はあんまり…ズーラーノーンの連絡係としか」

「アイツがただの連絡係のぅ…」

 

 クレマンティーヌの返答にさらに唸るエッグマン。

 

「えっと、ガーレンってのは聞いた事ないです」

「ヤツは来とらんのか」

「えっとエッグマンさまはジョーカーちゃんの事知ってるんですか?」

 

 エッグマンは遠くを眺め、語りだした。

 

「ヤツ、ガーレンはワシの後輩じゃ。リアルでもユグドラシルでもな。まぁ、そこは理解出来んでもいいわい。そして、ジョーカーはガーレンの作ったNPC、幻獣種の使い魔だと思ってかまわん」

「…じゃあ、ジョーカーちゃんは『従属神』?」

「従属神が何かはわからんが、おぬしらの言うところのそれじゃろう。そしてヤツが居ると言うことはヤツの住処ごと、この世界に現れたと思っていいじゃろう」

「エッグマン様! ガーレンさんの基地って」

「まぁ、『あそこ』じゃろうのぉ」

 

 クレマンティーヌは遠くを見つめるエッグマンとデコーの視線を追う。

 そして、その目線の先には夜空でその存在感を示す『月』が浮かんでいた。

 

「え? いやいやいやいや! ありえない! いくらズーラーノーンだってあんな所に秘密基地なんて、無理無理無理無理!!」

「エッグマン様ー? サクーッと乗り込んでボッコボコにしてやりましょーよう!」

「そーだじょ! あのピエロちょームカつくじゃん!」

「え!? 行く気満々? 行けるの? あそこそんな気軽に行けるの!?」

「まあまあ、待たんか。先ずはヤツらが何を企んでいるか調べてからでも遅くは無かろう。上手く行けばヤツらを利用出来るかも知れんしのぉ。いざとなれば月ごと粉々にしてくれるわい! デコー、『例のアレ』からのシグナルは出ておるな?」

「依然として衛星軌道上で稼働中だがや」

「ホーッホッホッホ! ガーレンが居ないのなら遠慮は要らん。もしヤツが居るのなら少々話をせねばならんしな。とにかくは地盤作りが必要じゃ」

「え? 粉々? 月を? え?」

「まぁ、本当に月に秘密基地があるのかはまだ分からんがな」

 

 ユグドラシルではガーレン達の基地は月にある、という設定だった。

 あくまで設定だけでギルド拠点の一角にあるロケット発射基地の『ボルク製ロケット型の転移陣』に入ると月面基地を模したエリアに移動する、というちょっと凝った仕掛けがあっただけだ。

 エッグマン基地以外のギルド施設が行方不明の今、この世界の何処かにロケット発射基地が転移していてもおかしくは無いし、もともとジョーカーもその発射基地のボスキャラクターとして作られた存在だ。ヤツがこの世界にいる以上、拠点も何処かにあるはずだ。

 

「見ておれ、必ずヤツらのくだらん野望を阻止して、我が念願のエッグマン帝国を! ホーッホッホッホ!!」

 

 くだらん野望の下りが目くそ鼻くそ、お前が言うな、特大ブーメランなのだが、当然エッグマンは気が付かない。

 夜空と夜の海にエッグマンの笑い声が飲み込まれて行った。

 

 

 

※※※※※※

 

 

 

 真っ暗な室内に話し声が響く。

 声の主は件のピエロ、ジョーカーであった。

 

「えぇ、えぇ……エ・ランテルでの作戦は残念ですが。しかし、代わりに良いものを見つけましたので、えぇ…。のほほほほ、あのアインズ・ウール・ゴウン、こちらに来ている様で。上手く行けば一足飛びに目標達成も可能ですよ」

 

 ジョーカーの口調は相変わらず人を馬鹿にしたような物だが。

 

「放っておいても我々にメリットある行動を取ってくれるとは思うんですがね。ここはひとつ利益を最大限にと思いまして。のほほ、例の御骨様、煽っておきました。のほほほほ! …えぇ、ご心配無く、元々の計画も大きくは変わりませんので。それに用が済んだら存在して頂いては困りますので、しっかり片付けはしますよ」

 

 ジョーカーの表示はいつにも増して楽しそうである。

 

「あの『死の超越者(オーバーロード)』が怒りと悲しみで満たされた時、間違いなく世界は『負のエネルギー』で満たされるでしょうから、彼には期待しているのですよ。まずは彼のお仲間の子供達に接触をと、えぇ、それとなーく。のほほほほ、さて、どうなるのでしょうね? 自らの真実を知った彼らは。まぁ、全てのNPCが創造主に対して好意的とは限りませんから、我々の様に、ね。…私? 私は何も? 積み木は積み上げるまでが楽しいのですよ。私は積み上げている最中でして。貴方は積み上げた積み木に振り回されぬ様、祈っておりますよ。祈る対象なんて居ないんですけどね、のほほほほほほほ!」

 

 ひとしきり笑った後で、ジョーカーは思い出した様に付け加える。

 

「あぁ、それと。連合の最後のギルド長。エッグマンさんもこっちに来ているようで。えぇ、貴方の言う『ふれーばー』が生きているなら相当厄介かと。そこも安全とは言いきれませんから。えぇ、片手間に例のエメラルドも集めておこうかと。最後の一手までは気を抜かれぬように、お願いしますよ? 全ての事が終われば『プレイヤー』なんて怖くないのですから。えぇ。…え? カジッちゃん? あぁ、アレなら私の力を見てから少々うるさくなってしまいまして、種族を変えろと騒ぐもので。えぇ、ちょちょいといじったら壊れちゃいまして。その辺に捨ててきました。まぁ、足しにはなるでしょう。それでは、ジャンガちゃんにも連絡はしておきますので、では。のほほほほほほほ」

 

 暗い部屋にはジョーカーの笑い声が響くのであった。




とりあえず休日に書ける分は書いた感。
もっとお休み欲しいです、ヘロヘロさんには同情しかないわー。
何とかして彼を救いたい、二次創作ぐらい。
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