オーバーエッグ 念願のエッグマンX 作:黒酢ドリンク生卵を添えて
「ホーッホッホッホ! 相変わらず面倒なヤツじゃわい!」
「エッグマン! 来るぞ!!」
クレーターの底でシャルティアと対峙するエッグマンとアインズ。しかし、シャルティアは自身の分身を作り出し、数の面では2対2。
さらに。
「【眷属召喚】」
シャルティア本体からは大量のコウモリ、ネズミ、オオカミ。闇の体を持つそれらが溢れるように召喚される。
「なんちゅう数じゃ」
「この数は不味いな。範囲魔法でケリを付けるか」
「ならさっさとコレを飲め」
エッグマンはアインズにマジカ回復ポーションを投げ渡す。
しかし、それを黙って見ているシャルティアではない。
すぐに分身であるエインヘリヤルが肉薄し、アインズに槍で攻撃をしかける。
エッグマンはすぐさまエインヘリヤルの攻撃をアインズの変わりに受け、エネルギー砲で牽制する。
そこで問題が発生した。
先程、エッグマンはアインズに対して『飲め』とポーションを渡した。
しかし、今一度思い出して頂きたいのだが、アインズはアンデッドである、さらに言うならオーバーロード、早い話がただの骨である。
もちろん、頬肉も無ければ、食道も胃も、なんなら舌も無い。
そんな状態で液体であるポーションを飲めば。
「わかった、とりあえず回復だ!!」
受け取った瓶の中身を口を開けて飲み込むアインズ。
しかし、口から投下された液体を受け止める物はアインズの中に浮かぶ球体、通称『モモンガ玉』しか無いのである。
当然、重力にそって落下した液体はモモンガ玉にダバダバとかかり、アインズの下半身を濡らしながら、バシャバシャと地面へとこぼれ落ちる。
某カリブ海の海賊映画の一等航海士かと言うほどの盛大な飲みっぷり、もしかしたらアステカの呪いでもかかってるんじゃないかという疑惑すら湧いてくる。
「……回復しないんだけどぉっ!?」
この絶叫である。
TESシリーズのポーションは飲んで回復するアイテムである。対してユグドラシルのポーションは飲んでよし、掛けてよし、投げてよしの使用方法万能アイテム。
つまり、アインズは高級アイテムを口から入れて地面へ捨てただけである。
「な、なにぃっ!? なんで飲めんのじゃ!」
「身体が全部骨なんだから飲める訳ないでしょう!?」
「ど、どどど、どうすんだよ!? アイツ回復しとるぞ!?」
エッグマンの言葉の通り、シャルティアは召喚した自身の眷属を攻撃し、スポイトランスの効果によって回復を始めていた。
対してアインズは、エインヘリヤルの攻撃自体はエッグマンが受け止めているものの、MPの回復が出来ないのであればもともとの作戦に戻す必要があり、MPさえ回復出来るならわざわざ苦戦しなくともとっとと殲滅すればいい話。
しかし、本来の作戦はアインズ1人でシャルティアと戦うためのもの、今はイレギュラー(主たるはエッグマン)が多すぎる。しかも、作戦自体が一か八かの勝負になる可能性すらある。既にシャルティアは確実にこちらに勝利するために回復を行っているのだから。
「うわっ!? 汚ねぇ! いくらフレンドリーファイアが有効だからって、自分で召喚した眷属で回復するとか」
「言ってないでコイツを何とかせんか! ぬわあぁっ!」
「だったら、なにか、こう、都合よく飲食ができるアイテムとか無いんですか!?」
「そんなもん持ち歩いとるわけ無かろう! 倉庫を探せばあるかも知れんがな!」
「取ってくるのを待ってくれるような相手じゃないでしょうが!! エッグマン、マシンの耐久値は!?」
「あと四分の一ほどじゃわい!」
それを聞いたアインズはすぐにスキルを発動した。
「なら、そのマシン壊れても惜しくはないな! スキル【The goal of all life is death】、【
「んなっ!? ま、マズイいぞぉ! 【ジェットパック】【緊急離脱】!」
「っ!!」
瞬間、アインズの背後には時計の針が現れ、周囲には甲高い絶叫が響く。
エッグマンはアインズのスキルの最初を聞いた時点でエッグウォーカーを破棄、服に搭載されていたジェットパックで空高くに逃走を図る。
しかし、エインヘリヤルは盾であるエッグマンが居なくなった事でアインズに攻撃を集中し始めた。
(エッグマンのおかげで、スキル効果発動までなら、耐えられる!)
アインズはエインヘリヤルの攻撃をなんとかしのぎ、やがて背後の時計は0時を指し示す。
「ここまでだ!」
鳴り響く鐘の音と共に世界は光で覆われた。
光が収まったその場にはただただ砂場が広がる。
「さすがはアインズ様、眷属が全て殺されてしまうとは。私はペロロンチーノ様の与えてくださった蘇生アイテムのおかげで助かりました」
その場にはシャルティアとアインズだけが立っていた。
「お互い、随分と消耗した様だが?」
「なにをおっしゃいます。私は完全とは行かない迄も体力を回復しています。それに引き換え、アインズ様は回復アイテムも使えずMPはほぼ空なのではありませんか?」
シャルティアは余裕の表情で対峙する。
「それに、あのタマゴの姿も見えない。巻き添えになって死んでしまった様ですね。名残惜しいですが終わりにしましょう」
「【
言うやシャルティアはアインズに向かって突進する。
しかし、突き出したスポイトランスは受け止められてしまった。
「そうだな、では終わりにしようか。もともと決着は接近戦で付けるつもりだったからな!」
そこには輝く鎧を纏ったアインズがいた。
「なっ!? それは『たっち・みー』様の!!」
「それだけでは無い!」
アインズは次々と装備を取り替えながらシャルティアを攻撃する。
武人建御雷、弐式炎雷、やまいこ、ギルメン達の武器がシャルティアの片腕を裂き、鎧を砕く。
「な、なぜ!?」
「教えてやろう、課金アイテムさ!」
どこに持っていたかも定かではない装備が次々と現れる異常事態に距離をとるシャルティア。
しかし、すぐにアインズの攻撃がシャルティアに着弾する。
アインズの構える赤く燃えるような弓、それこそ。
「あれは!?
「お前は今、アインズ・ウール・ゴウン41人、その全ての力の前にいると知れ! そのまとめ役である私に勝つ事など最初から不可能だったとな! しかも」
「うわああああァァァっ!」
アインズの言葉も聞かずに、シャルティアはスポイトランスをアインズに向かって突き出した。
しかし、その腕も何者かの手によって掴まれる。
「ホーッホッホッホ! そんな物を振り回して、はしたないでしょう?」
「っ!? エッグマン!!」
「そこに最後のライバルまで居るんだからな」
シャルティアはエッグマンに掴まれた腕を振りほどこうとするも、その腕はピクリとも動かない。
「こ、この!?」
「なにを驚いとるんじゃ? ワシとてカンストプレイヤーなのでな」
「決着だ、超位魔法!」
「バカな!? 今のアインズ様のMPでは超位魔法など発動できないはず!」
「シャルティア、PvPとは欺瞞情報をどれだけ扱えるかも重要なのだよ。エッグマンのアイテムは機能していた!(本来の回復量よりかなり少なかったけどな)」
アインズの周辺にはまたしても多重の魔法陣が展開する。
「エッグマン、すまない」
「フンっ、貸しひとつじゃ。目標指定、モモンガ【魔法耐性アップ】【攻撃ステータス増大(極)】」
「必ず返す。【
またしても、周りが光で覆われた。
しかし、今度はその光のなかでエッグマンとアインズだけが耐えている。
シャルティアは徐々にその肉体を失い、やがて。
(やはり、アインズ・ウール・ゴウンは、アインズ様は至高の…)
ナザリック最強の吸血鬼は光の中へと消えていった。
※※※※※※
エッグフォート、艦橋。
そこで、この戦いの全てを眺めていたアウラは不機嫌さを隠しもしない。
自身の妹分に対してどこか悲しさを滲ませながら。
「バカ…精神支配なんてされて…」
「お、お姉ちゃん? どこ行くの?」
「決まってんでしょ? 帰るの」
「でも勝負の決着は…」
「…アインズ様の勝ち…それだけよ」
それだけ言うとアウラは早々に立ち去ろうとする。
するとそこにエッグマンロボの声がかかった。
「ちょーっと待つでよ!」
「オイたちもナザリックには用があるばい! ついでばい、送ってくたいね!」
「…いらない」
「せーっかく気ぃ使ってやっとるがね!」
「気難しい年頃ばい…」
「お姉ちゃん、一応ほら、監視と、拘束してるって事で…」
「…もう、勝手にすれば!? 私外に居るから!」
アウラは自動ドアを抜けて通路へと消えていった。
それを心配そうに見つめるマーレ。
「今はそっとしておくたい」
「なんかよくわからにゃーけど、一人になりたい事もあるがね」
「…………」
「おーい、クレマンティーヌ? 起きるじょー! おーいってばー!」
「……これは夢、そうよ夢なのよ。だってほら、頬をつねったら……痛い、痛いんだよねぇ……痛いのかぁ、は、ハハハッ……」
「どーしたクレマンティーヌ? お前大丈夫か?」
「……いや、私の人生って何なのかなって……」
「哲学的だがやー」
「人ってのは悩み成長するものたい。また一つ大人になるってぇ事たいねー」
あの激闘の後でもエッグマンロボはエッグマンロボだった。
しかし、クレマンティーヌの精神というか常識が受けたダメージは計り知れなかった。
スキルの使用回数とかは、なんか描写の無いとこでうまい具合にいい感じに消費されてたって事でひとつ。
戦闘描写難しすぎ、というか凝りすぎると間延びしまくった挙句投稿間隔がえぐい事になりそうだったので端折った面も多々。