オーバーエッグ 念願のエッグマンX   作:黒酢ドリンク生卵を添えて

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悪ノリマシマシ、好き嫌いの別れる話し。


Ep04「ネタが多すぎてタグに困る話」

 エッグマン達がロ・レンテ城を襲撃している頃。

 

 ナザリック地下大墳墓:第六階層:円形闘技場

 

 そこには第四、第八階層守護者を除く、6名の守護者が跪き"死の超越者"に忠誠を誓っていた。

 モモンガに跪く守護者達、その姿はとても美しいものだ。

 

「各員の考えは十分に理解した」

(ええぇぇっ!? 何この高評価? 重い、重いぞぉっ!?)

 

 その跪かれている超越者の心中は汗でベトベトである、骨だから汗をかかないので見た目では分からないだけで。

 さっさと切り上げて一人になろうと考えたモモンガだったが、ふと気になった事があった。

 守護者達が自我を持ったのはユグドラシルが終了した瞬間だったと思う、なら彼らはいつまでの記憶があるのか。

 

「ところで、んー、そうだな。シャルティアよ、ナザリック侵攻の事は覚えているか?」

 

 モモンガが言ったのは過去にプレイヤーが大挙してナザリックに攻め込んで来た時の事である。

 その言葉に一部の守護者の空気が張り詰めた様な気がした。

 その言葉にシャルティアが答える。

 

「もちろん覚えておりんす。愚か者達が無謀にもこのナザリックに攻め込んで来た戦いでありんす」

 

 するとシャルティア他、コキュートス、アウラ、マーレ、デミウルゴス、当時突破された第七階層までの守護者が深く頭を垂れる。

 

「不覚にも愚か者達の侵入を許してしまった事、深く、深くお詫び申し上げます」

 

 シャルティアが言葉遣いさえ忘れて苦悶の表情で謝罪した。

 これにはモモンガが内心ビックリだったが、すぐにフォローする。

 

「……否。むしろ良くやったと褒めねばならん。諸君らの尽力によって侵入者は撃退できたのだからな。なにせ"3000人"の大軍だ」

 

 そう言ってモモンガは思い出す。

 本来であれば開戦前に参加表明していたナザリック討伐軍の総戦力は1500人であった。それがなぜ倍の数に膨れ上がったのか。

 

「特にシャルティア、お前は地表にて第一陣を迎え撃ち、『連合』と共に半数を撃退した。これは特別、褒めるべき事だ」

「……感謝の極みでありんす」

 

 そう、ヤツらがナザリック側で参戦した事が原因である。

 『悪役連合(ユニオン・オブ・ヴィランズ)』、彼らが何故か急に参戦したのだ、連合幹部の一人曰く、

 

『いいかモモンガ。我等は決してお前らに加担するのでも無ければ馴れ合う訳でもない。だがな、これだけはわかっているぞ! ユグドラシルの運命はあんな有象無象の好きにさせるものでは無い、全ては我々『悪役連合』と貴様ら『アインズ・ウール・ゴウン』で決着を付けるものだ! 違うか! 違うかっ! 違うかぁーっ!!』

 

 この一言を発端とし、協調性も方向性もバラバラであった連合が奇跡的に纏まり、当時のギルド長であった『ジュラルのまおう』の一言『行ってみよー!!』で参戦が決定した。

 なお、連合参戦を発表した瞬間、討伐軍の戦力が3000人に膨れ上がった事については、『気にするな! ヤツらとて必死だ、それくらいはするだろう』と全く気にしていなかった。

 

 「そう言えば、連合と共に戦った時どんな様子だった? 私は防衛の準備で忙しかったのでな」

 

 当時、シャルティアは演出の一環として一時的にではあるが表層部に配置されていた。これはノーマル装備のシャルティアと一戦行い、撤退後シャルティアのホームにてフル装備の二回戦を行うという予定だった。

 そこに連合参戦が決定、本来の防衛計画に予想外の戦力を組み込むのも問題があり、連合は表層部にシャルティアと共に配置された。

 なのでシャルティアは唯一悪役連合のプレイヤーと共に戦った事がある守護者なのだ。

 

「はい、侵攻の折、賢明にも我らの側に着いた者達でありんす。彼らの実力は恐るべきものだったと記憶はしておりんすが、それ以外が少々」

「ほう、実力的にはどの程度だと認識している?」

「そ、それは、その、かなりと、言いんすか、その……」

「シャルティア、御身の前よ。不確かな発言は慎みなさい」

「構わん。シャルティアよ、中立に公平に、包み隠さず述べよ」

 

 モモンガの言葉にシャルティアはゆっくりと喋った。

 

「至高の御方に迫るほどだったかと」

「シャルティア! 不敬な!」

「構わんと言ったはずだ! アルベド、落ち着かんか!」

「も、申し訳ございません」

「それにシャルティア、お前もだ。私は中立公平に隠さずと言ったはずだ」

「申し訳ございんせん!」

「分かればいい。我々に肩を並べ、特定の分野に至っては彼らの方が優れているほどの実力者だったはずだ。一部を除いてだが」

 

 モモンガはそう言って思い出す。

 悪役連合は弱い訳では無かった、メリットを覆い隠すほどデメリットが大き過ぎただけで。

 協調性の無さと、個人の主義主張思想が異端すぎただけで。

 

「それでどのような感じだったのだ?」

「そ、それはとても言葉には出来んせん。あまりにも理不尽と言いんすか、逸脱していると言いんすか。何もかもが異常でありんした」

「ふむ、いまいち要領を得ないな」

 

「あ、あの、そ、それでしたらコレを」

「ちょっとマーレ!?」

 

 モモンガがどうしたものかと顎に手を当てて考えていると。ダークエルフの弟マーレがオドオドと声を上げた。いきなりの弟の行動に姉であるアウラが驚きの声を上げる。

 

「ふむ? これは?」

「えっと、本棚にコレがありました。ぶくぶく茶釜様から頂いたものです」

 

 マーレの手にはDVDディスクがあった。

 

(DVDとか随分と古いなぁ)

 

 モモンガが呆れていると、マーレがパッケージに書かれている文字を読む。

 

「えーっと、『劇場版ナザリック戦記~ユグドラシルが静止する日~』ナザリック攻防の全てがこの一本に、ドルビーデジタル5.1chサラウンドハイスペックバージョン。映像特典『衝撃のアルベルト、南の島で衝撃の大胆水着』?」

「……最後のは見なくてもいい」

 

 モモンガはマーレからDVDを受け取る。

 

「映画館に移動するのもあれか。ここで観るとしよう」

 

 守護者達にあの事を伝える為には一応彼らの実力を見せておいた方がいいだろう。

 モモンガはそう考えていそいそとアイテムを取り出し準備を開始した。

 

 魔法で作られたスクリーンに映像が映し出される。

 モモンガと守護者達はスクリーンの前に椅子を置いてそこで眺めていた。

 すると疾走感溢れる歌と共にオープニングが始まった。

 

(そこからかよっ!?)

「じっくり見ている訳にも行くまい。OPは飛ばすぞ」

(後でじっくり見よう)

 

 

 

※※※※※※

 

 

 

 ユグドラシル世紀0079、12月31日。

 ナザリックの眼前には3000人にも及ぶプレイヤーが並び、ユグドラシル最大の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

 

 ナザリック表層部に並ぶ者達、人種も居れば異形種も居る彼らはナザリックの所有者アインズ・ウール・ゴウンのメンバーではない。

 頭に兜を被り、槍と盾を構えた人物が第一声を発した。

 

「フハハハハ! 来たな愚かな冒険者共よ、貴様らの冒険は今日ここで終わるのだァ」

「ヴァンプ様、ヴァンプ様?」

「…なにぃ1号? 今いい所だったじゃない?」

「ヘンゲル将軍と音速丸さんから連絡があって、セクハラのペナルティで今日は参加出来ないみたいです」

「えぇー? またぁ? もう今月に入って何回目ー? アカBANされちゃうよぉ? ていうかウチのアーマータイガーくんもまだだよね?」

「アーマータイガーさん、今起きたとこらしいです」

「えーっ!? ちょっとシッカリしてよータイガー殺法!」

 

 すると今度は大柄なすきっ歯の大男が豪快に笑い飛ばす。

 

「いいじゃねぇか、これもまためぐり合わせだ。そうだろぅ、総帥! ゼハハハハハ!!」

「フッ、冒険者諸君の健闘に乾杯!」

「なんて言うとる場合か! わしはこんなの聞いとらんぞ! お慈悲をー! お慈悲をくださいー! 優しく殺して〜! キリングミーソフトリー! わしらは歌とお菓子が大好きな世界征服組織なだけなんですー!!」

「小泉チルドレン風紳士用カツラあげるからさ」

「我が忍者隊にかかればちょちょいのちょいよ、ハーっハッハッハ! あがぁっ!? ひ、ひっくり返った! だ、誰か起こせぇーーっ!」

 

 別の場所ではカエル型異形種が騒いでいる。

 

「ゲロぉー!? 我輩たちもこの人数差は聞いてないであります! ちょっと赤ダルマ、あんた何とかしなさいよ!! 我輩は用事思い出したから帰るであります」

「貴様それでも軍人かーっ!?」

「赤い人がもっと赤くなってるですぅ」

「多勢に無勢だぜぇ、ク〜ックックック〜」

 

 ほかの場所ではデカいペンギンと亀が騒いでいたり。

 

「そう言えば、お前のそれは殻かゾイ!?」

「ワガハイのこれは甲羅だ!!」

「どっちでも変わらんゾイ! ちょっと貸すゾイ!! 1回着けてみたいゾイ!!」

「手伝ってやろうか? ただし真っ二つだぞ?」

 

 一部墓地に不釣り合いなロボットまで確認できる。

 

「全国の女子高生の皆さーん! ボクちゃんの活躍しっかり見ててちょうだいよー!」

「ボヤやん、女子高生なんて高学歴そうそういないでまんねん」

「なにをやってんだい、このスカポンタン! とっとと出撃の準備だよー!」

「「アラホラサッサー!」」

 

「へへッ、俺達も負けちゃいられねぇぜ!」

「グラタンの力見せてやる!」

「カトリーヌとお言い! サンソン! ハンソン! やるよ!!」

「「合点!」」

 

「姫様ーー? デビロット姫様ー? なんか向こうの方で姫様の声がしましたぞー?」

「なんじゃ地獄大師、そちの声もあっちの方から聞こえておったわ」

「ん? Dr.シュタイン? なになに? 『それ以上は、いけない』? なんの事だかわからんぞー?」

 

「すごい数の敵だニャ」

「これ全部相手にするの?」

「なんだかとっても」

『やなかんじー!』

 

「さぁ、出番だぞニャンニャンアーミー!! それにビッグ・サム! スモール・サム! スモールは別に出撃しなくていいか……」

 

「この超課金兵器『ブラストマティック砲』があればあんなヤツら物の数ではないわ!」

「流石はクルール様! このクランプ感服致しました!」

 

「ホーッホッホッホ! なーんか色んなやつが集まってるねぇ。こりゃあ、まとまらんわけじゃわい。ワイリーとヴィニエイラの姿が見えんが、まあ、いいか」

 

 他にもワイのワイのと騒ぐユニオン・オブ・ヴィランズのメンバー達。

 このとってもくだらない空気の中、ナザリックに冒険者がなだれ込んで来た事により戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 

※※※※※※

 

 

 

「こ、これは」

「ナント言ウカ」

「す、すごいんだけど」

 

 守護者達の眺めるスクリーンには、魔法や剣戟はもちろん、ビームに大砲、巨大ロボット、爆発する樽、ミサイルまで飛び交う混沌が映し出されていた。

 ド迫力の場面が映ったかと思えば、気の抜けるようなやり取りが行われる。

 あっちでドクロ型の爆煙が挙がり、こっちで十字架の様な光の柱が立つ。

 

「シャルティアが言葉に出来ないって言ってたの、わかった気がする」

「現場に居たわたしも、至高の御方のご命令が無ければおかしくなりそうでありんした」

 

 守護者達が呆然とする中。

 

(うわぁ……うちのギルドも他人の事言えないけど、あの人たちもめちゃくちゃだなぁ)

 

 映像を観ているモモンガも骸骨の口をパックリと開けて呆然としていた。

 『ファンタジー系RPGじゃないじゃんSFじゃん』とか『なんで中堅ギルドに甘んじてたんだろう』とかいろいろと考えてしまっている。

 

 モモンガが呆然としながらも見続けていると、映像が終わりエンディングを迎えていた。

 するとそこに素敵ヘアーのモノクル紳士が映し出される。

 

『私はアルベルト、今は南の島に来ておる』

「そこは観なくていい!!」

 

 モモンガは映像を停止する。

 

「貴重な映像を見る機会を与えて頂き、感謝致します」

 

 アルベドが伏して感謝を述べる。

 

「あ、うむ。マーレよこれは返しておく。提供に感謝するぞ」

「め、滅相もありません!」

 

 モモンガがマーレにDVDを返す。

 そして、ユグドラシル終了直前に考えていた事を話す。

 

「諸君、映像に出ていた丸くてヒゲを生やした、ドクターエッグマンの事はおぼえているか?」

 

 モモンガの問いに、守護者達は各々変わった反応を見せた。

 

「申し訳ございません。私はその名も姿も先程初めて知りました」

「我が創造主、ウルベルト様からお名前は少々」

「私は第六階層で一度だけ戦った事があります」

「す、スゴく怖くて、スゴく強いおじいさんでした」

「過去ニ我ガ階層ニ侵入、突破スルホドニハ強者カト」

「幾度と無く上層部に侵入しては騒ぎを起こしてたっち・みー様に撃退されていた迷惑な人間でありんす。たっち・みー様とは敵対していたでありんすが稀に肩を並べて会話をされるのも目撃したでありんす。共に戦った事もあり、人間等という下等種族でなければ評価に値したかと思いんす」

「我が創造主、たっち・みー様の不動の敵であり不変のご友人であったかと」

 

「ふむ」

 

 モモンガは納得する。

 悪役連合のメンバーの中には例の戦闘以降友人として招かれた者も数人いる、多方が異形種であったが中には人種も何人か居たのだ。

 しかし、彼らはナザリックの内部を知ってしまうのを嫌った為(あくまでライバルとして各々が戦いたいと言っていた)限られた階層の限られた部屋にしか来なかった。

 

 特にエッグマンは例のたっち・みー引退事件以外では滅多にナザリック地下大墳墓下層部に侵入することも無く、主に地上にゴーレムを連れて来ては暴れていただけだ。

 直接面識の無いアルベドが知らないのは道理だし、デミウルゴスもエッグマンと会ったことは無いはずだ、ウルベルトとの会話では何回か名前が出ていたのでそれだろうと考える。

 そして直接会った事のあるアウラ、マーレ、コキュートスもエッグマンが突入して来た1回だけだったので名前は知らない、しかも引退事件で激怒していたのでマーレには怖がられている。

 大きな接点があるのは、ペロロンチーノが面白がって観戦に連れて行っていたシャルティアと、たっち・みーと共にエッグマン撃退を何度か行っているセバスぐらいのものだ。セバスに至ってはたっち・みーとエッグマンが会話をしていた時も傍で控えていた事もある。

 

「ああ、そのエッグマンだが。我がアインズ・ウール・ゴウンに名を連ねる予定だ。既に円卓の数も増やしてある」

「人間を、でございますか?」

 

 アルベドが不安そうな顔をするが、そこにシャルティアが声をかける。

 

「アレを人間と侮ってはいけないでありんす。あのたっち・みー様に勝てずとも何度も追い込み逃げ仰せている存在。本当に人間かも疑問でありんす」

「そうだ。それに私との勝負の決着もついていない」

 

 シャルティアの言葉を肯定し頷くモモンガ。

 しかし、最後の戦い、ヘロヘロが居なければ負けていた。そのヘロヘロが居ない今、例え次があったとしても勝てるかどうかは分からない。もしヘロヘロがあと三十秒長く睡魔に耐えていたらと思うと悲しい気持ちになった。

 

「よって決着をつけ次第、彼をナザリックに迎え入れる! これは決定事項だ。もちろん決着は私自らがつける、彼には一切手出し無用だ」

 

(もし、この世界に来ているとしたら。もしかしたら決着がつけれるかも知れない。もしかしたら、アインズ・ウール・ゴウンのほかのメンバーもこの世界に来ているかも知れない。その時の為に行動しないと)

 

「では各階層守護者は先程の命令に従い行動を開始しろ、今後とも忠義に励め」

 

 そしてモモンガはソロモンの小さな鍵(レメゲトン)へと転移したのだった。

 




ちなみに当時のタンクトップトランクスタイガー、もといアーマータイガー
「あっ! 忘れてたっス!」
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