「わたしは神様が嫌い」   作:アビ田

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クローリー回。
この回はガチに好きです。詳しく読みたい方は是非原作を!
(そうは言っても良さを伝えられない自分の文才…)


「Say love」

 黒煙を出しながら海沿いを走る汽車。

 職業柄見慣れた光景も、クロス元帥探しという名目が付くと、正直げんなりする。

 

 

 神父様___クロス元帥の捜索になぜ現在相成っているかというと、伯爵がハート探しに本格的に乗り出して来たためだ。

 

 つまり、ノアも動き出している。

 

 それなのに相変わらずロードちゃんはわたしの夢に現れる。伯爵に怒られたりしないんだろうか。

 

 

 神父様は別として、元帥クラスの人間は基本自分のものを除き、イノセンスを複数所持している。

 

 それは適合者を探すためでもあり、普通のエクソシストよりも遥かに強い彼らが、AKUMAから守っている節もある。

 

 伯爵はより多くのイノセンスを壊すため、元帥を狙っているのだ。

 また元帥を殺害出来れば、教団側の戦力を大幅に削れる。

 

 実際既に一人、一番歳上だった元帥が殺害されている。

 

 

 故に元帥の護衛となっているのだが、神父様には要らない気がする。

 あの人強いもん、マジで。

 

 だが一応ということで、神父様センサーを持つティムキャンピーを引き連れ、弟子二人が送られたのだ。

 ブックマンとラビ、それにコムイ室長。あとわたしの知らない一部を除いて、わたしの秘密を知る者はいない。

 

 立場としては同行するファインダーだ。

 

 

「マリアさんも大変ね、クロス元帥の知り合いってだけで連れて来られて…」

 

「いいのいいの、アレンくんよりはダメージ少ないから」

 

 

 隣にいるのはリナリーちゃん。

 彼女の前には正座しながら苦悶しているラビがいる。何かやらかしたせいで、ブックマンに強制されてるらしい。

 

 アレンくんもラビの隣で正座しながら魘されている。

 

 借金云々…のワードからするに、師匠の悪夢らしい。

 彼は本当にどんな修行時代を送ったのか。わたしも男だったら借金地獄を見る羽目になってたのかな…。

 

 

「…リナリーちゃん、アレンくんと何かあった?ちょっと機嫌悪そうだけど」

 

「なっ、何もないわよ!」

 

「そう?なら、いいんだけど…」

 

 

 怪しい。巻き戻しの街から二人に距離感があるのは分かってるんだぞ。

 

 恐らくロードちゃんがAKUMAを自爆させた時に、二人が言い争ってたのが原因だとは思う。

 

 

 色々考えていれば、いつの間にか駅に着いていた。暫しの休憩タイムだ。

 車内特有の息苦しさに若干気分を悪くしつつ、一番に外に出た。

 

 横でティムがうろちょろしているので、気を付けるよう言っておく。

 

 

「猫かカラスに食われちゃうよ」

 

「ガウ!ガウガウ!」

 

 

 だいじょうぶだもん!って、お前ねぇ……。ほら、後ろに猫ちゃんいるじゃない────、

 

 

「ニャア──ー!!」

 

「ティ、ティム!!!」

 

 

 そのまま我が相棒を咥え去って行くドラ猫。野を駆けて〜♩……って、言ってる場合じゃない!!

 

 慌てて追いかけ、どうにか捕まえた。

 

 こんのっドラ猫………けど可愛かったので、持っていたおやつの煮干しを上げて、そのままリリースした。

 

 

「本当っにお前ってば…もう何回も言ってるでしょ!特に猫には気を付けなさい、って」

 

「ガウー……」

 

 

 羽をしなしなにさせ、落ち込んだ様子のティム。

 もう、仕方ないな。次はないんだからね。

 

 森に入ってしまった道を戻りながら歩けば、漸く戻れた。しかし汽車がいない。置いて行かれた……だと……!?

 一先ずティムを使ってリナリーたちが持っているゴーレムに連絡を入れようと考えていたら、聞いたことのある声が聞こえる。

 

 これはアレンくんの……。

 

 

「もが────っ!!」

 

 

 謎の集団にアレンくんが引きずられていく光景。

 明らかな事案である。エクソシストの同行者(ファインダー)として彼をそのまま攫われるわけにも行かないから、その後を追う。尾行スキルはそれなりに高い。

 

 

「ティム、お前も気を付け……」

 

 

 ……え、いない?周囲を見渡したら、アレンくんの方にいた。

 わたしよりもアレンくんの方が好きだというの?

 

 

 若干感傷に浸りつつ、わたしは謎の集団を追跡した。

 

 

 

 

 

 

 

 ⚪︎⚪︎⚪︎

 

 

「ハァ……ハァ」

 

 

 ついさっきまで、確かにアレンくんを追っていたはずなんだけど…。

 

 

「ここどこ……」

 

 

 見事にわたしは森の中を彷徨っていた。

 

 

 

 

 

 元々ティムがカラスに食われて行ってしまったのを、追い駆けたのが不味かった。

 ひたすら夜の森を歩いているが、飢えた獣の気配しか感じられない。

 

 

「ティムのバカ!本当にもう……」

 

 

 歩いていれば不意に、血の匂いがした。

 今いる場所よりも大分遠くの場所からだ。

 

 探るように歩くと、切り開かれた森の上に浮かぶ城を見つけた。古城だ。

 それが崖の上に聳え立っている。

 

 

「デッカ…」

 

 

 各地を放浪していた時にいくつも城を見たけれども、今迄見て来たものに劣らぬ荘厳さがある。

 

 取り敢えず血の匂いはそちらからするので、城目掛けて歩き出した。

 ティムもその内戻って来るでしょう。

 いつの間にか気付いたら、服の中にいるケースが多いし。

 

 

「んー…やっぱここからか」

 

 

 城の直ぐ周辺には墓地があった。

 濃い血臭の元はここからだ。

 

 変に掘り起こして襲われるのも嫌なので放置するが、恐らく既に死体となっている。

 正確にはAKUMAの骨組みと、被っていた人間の皮。それがここに埋まっている。

 

 

 あと気になるのは城からする気配だ。イノセンスと…こちらもAKUMAの、血の匂い。

 まさか二つが同じ場所にあるなんて不思議でならない。

 

 交わらぬ存在同士。

 

 つい、シスターのことを思い出してしまう。

 

 

 行きたい気持ちは山々だけれど元々アレンくんを追っていたのだし、そちらを先に優先しよう。

 

 

 

 それから幾ばくか壁伝いに歩く。途中で人の気配がしたので、木の影にとっさに隠れた。

 建物の入口に向かい、痩身の男が走って行く。

 

 続いて聞こえたのは嘔吐音。

 

 直後、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 

「おーい!ラビィ、アレンくーん」

 

「えっ、何でマリアさんがここに…!?」

 

 

 どうやらアレンくんは無事だったらしい。

 二人の後方には木の後ろに隠れている謎の集団がいた。彼らは各々武装している。

 

 

 どうやら古城に住む吸血鬼…さっきの吐いてた男性を退治して欲しいと、ここの近くの村人である彼らにお願いされてアレンくんとラビは来たようだ。

 お願いの仕方が誘拐って、どうなの?

 

 ラビは居なくなった弟子ズを探しに来たらしい。

 

 

「パンダが怒ってたさァ、マリア。あんま勝手に出歩いてもらっちゃ困る、ってな」

 

「だ、だってティムがどっかに行っちゃったんだもん…」

 

 

 ラビに文句を言われるわたしを他所に、アレンくんは先程から吸血鬼男に噛まれた部位を見つめている。

 

 

「マ…マリアさんは、僕が吸血鬼になっても軽蔑しませんよね…?」

 

「大丈夫だとは思うよ。あ、でもあんまり近付かないでね。一応もしかしてがあるから」

 

 

 そう言ったらアレンくんは、ショックを受けた顔で地面に座り込んでしまった。

 

 

 

 その後、二人は吸血鬼退治に向かった。

 ラビやアレンくんには町の人たちと待っているよう言われた。だから一旦二人の姿を見送ってから、わたしも城の中へ向かう。

 

 こんな面白そうな事を放っておけって?いやぁ、無理でしょ。

 

 

「貴方は修道士様ではないのでは…?ただの人間にクロウリーの相手は無理です!」

 

「大丈夫だよ。その男の人は、きっと悪い人じゃないから」

 

 

 一応、と言われ、渡された杭と十字架を持って歩き出した。

 クロウリー、それが吸血鬼男の名前らしい。

 

 彼からは確かに、イノセンスの気配がした。

 

 

 城から感じるAKUMAの気配と、イノセンスの存在。

 何かある気がしてならない。己の勘が告げている。

 

 それにアレンくんは現在、AKUMAを認識出来る目を負傷している。万が一の時危ない。

 今迄見えていたものが見えない。それは隙を突かれる一手になりうる。

 

 かといってわたしがどうこう出来る訳じゃないし、ラビとアレンくん自身の強さに任せるしかない。

 

 

 でもわたしはファインダー、エクソシストの同行者。それを忘れないで欲しい。

 

 

 

「…よし、行こう」

 

 

 

 わたしは城の中へ、一歩踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 ⚪︎⚪︎⚪︎

 

 城内を歩いていたはいいものの、先程から派手な衝突音が聞こえる。

 落ちてくる瓦礫に命辛々逃げている内に、また道に迷ってしまった。

 

 

「もうやだ…」

 

 

 大広間に出た瞬間に力尽きた。お腹空いたよう。エネルギーが足りない。

 

 ティムは居ないし、AKUMAの気配とイノセンスの気配はさっきから移動しているようで、居場所が掴めないし。

 

 腹いせに小石でも蹴ってやろうかと思った所で、歪な気配を感じた。

 

 

 ────イノセンスの気配。

 

 

 しかし、悍しいほどの愛情を感じる。気持ち悪い。

 思わず鳥肌が全身に立った。

 

 

「………まさか、アレンくん?」

 

 

 彼のイノセンスは普通のエクソシストとは違い、どこか禍々しいものがある。

 正直言ってあのイノセンスは嫌いだ。多分自分と近しい物を感じるせいだ。

 

 

 神からの祝福。

 

 愛情だけれど、それは逆に言えば執着心だ。

 

 エクソシストである事を強制し、その人間の人生を歪めるもの。

 神は所詮エクソシストの事など、代替の利く道具の一つとしか思っていまい。

 

 その中で、アレンくんは一線を画して愛されているのだろう。

 お気に入りとでも言うのかな。わたしは神に愛されてるだなんて思いたくないけど。

 

 

 思考に走っていれば、両サイドの壁が凄まじい轟音と共に破壊された。

 

 

「えっ、え、えぇぇ!?!」

 

 

 ラビはクロウリーと、アレンくんはAKUMAと戦っていたようだ。

 

 

「あ、何でいるさマリア!!」

 

「マリアさん、何で勝手に来てるんですか!」

 

 

 滅茶苦茶怒られた。ごめん。

 でもわたしって、じっとしてられない人間なのよ。

 そう言って笑えば、二人は呆れた顔をしながらも、わたしが無事だったことに安堵の息を吐く。

 

 キミたち本当に優しいね…。

 

 

「……愛か」

 

「どうしたんですか?」

 

「…いや、何でもない」

 

 

 視線の先には、ラビの技で負傷したクロウリーの肢体を抱き上げているAKUMAがいる。

 人間の姿の容姿はとても美しい。

 

 二人の様子を見る度に、シスターと彼女の愛した人間のことを思い出す。

 

 

 二人が見つめ合う姿は、まるで恋人のようだ。

 様子から見ても愛し合っているのは一目でわかる。

 

 わたしはきっとこの光景を見るために、ここまで来たんだ。まるで、そう。導かれるように。

 

 

 共存し合えないはずの二つの存在が、今こうして愛を抱き寄り添っている。

 

 だがそんなもの不可能だ。神は許さない。

 

 

 

 _____クスクス

 

 

 

 ほら、笑っている。わたしの耳元で囁く声。

 

 愚かな神に選ばれし人間とAKUMA。

 感情が読めない笑い声は、二人に対し笑い続ける。

 

 それは怒りから来るのか、それとも喜ばしく思っているのか、わたしには分からない。

 

 

 

「………哀れだ」

 

 

 

 アレンくんの治った左目が、AKUMAの魂を映した。

 わたしにも見えているし、クロウリーやラビにも見えているようだ。ラビは気分を悪くしたのか顔が青ざめている。

 

 二人だけの悠久が終わりに近いことを悟ったAKUMAは、転換(コンパース)しAKUMAの姿となって、クロウリーを襲った。

 

 その様子に魅入っていれば、不意に視界がぐらついた。

 

 

「え?」

 

 

 いつの間にか自分の肢体が空中に浮いている。

 

 何々?!植物っぽい奴が床からうようよ生えてるんだけど!!

 剰えわたしを咥えおったぞ、こいつ!!

 

 

「ラビ、この食人花には叫ぶんです!心の底から「アイラブユー」!!!」

 

「はぁ!?」

 

「昔、面倒見させられたんです!この植物を師匠から!!言わないとこのまま食われて死にますよ!」

 

「ま、マジかよ………あ、アイラブユ──!!」

 

「愛してるぜベイべ──!!」」

 

 

 アレンくんとラビも食われているようだ。

 妙に煩いと思ったら、どうやらこの食人花たちに愛を囁けば解放されるらしい。

 

 それって暗黙の内に貶したら食われるって事を意味してない?怖。

 

 

 

 というか、愛って何だろう。

 先程から禁断の愛を育む二人を見ていて思い出したこと。

 

 シスターや人間が共有していた愛。

 

 

 

 愛?…分からない。愛って何だ?

 

 

 

「マリアさん!!マリアさんも「愛してる」って叫ばないと……うおわぁぁぁ」

 

 

 二人はそのまま食人花に咥えられたまま、地下へと引きずられていった。

 対してわたしの目の前では、クロウリーとAKUMAが戦っている。

 

 

 何故、愛し合っているのに戦うのだろう。

 

 シスターのように何故、二人は共に寄り添い合わないのだろう。

 

 

 理解出来ない。どうしてなんだ?

 

 

 

 

 

 そもそも『愛』って、何?

 

 

 

 

 

 

 

 ⚪︎⚪︎⚪︎

 

 

 雨が降る中、クロウリーは一人佇んでいた。

 

 傷付いた身体よりも、己が愛した女_____AKUMAを殺したことに、大きな喪失感が襲う。

 

 

 

「エリアーデ…エリアーデッ…!」

 

 

 エリアーデ。

 それが彼が殺した、AKUMA()の名。

 

 

「あなたは何故寄り添うことを選択せず、戦ったんですか」

 

 

 クロウリーの視線は下を向いたまま動くことはない。

 それに気にする事なく、側に来たマリアは続ける。

 

 

「わたしが嘗て見た神への冒涜者は、二人で寄り添い合い、死にました。その光景は酷く美しかった。そしてその二人はAKUMAと人間だった」

 

「………」

 

「クロウリーさん、今抱く喪失感は、愛があったが故にですか?」

 

「私、は……」

 

 

 漸く顔を上げたクロウリー瞳は、酷く淀んでいた。

 

 

「…二人で生きる未来など、無理だったのだ。もう私は…生きていたく……ないで、ある」

 

 

 その言葉聞いた瞬間、マリアの内でまるでパーツが埋め込まれたように、思考が進んでいく。

 

 

 

 寄り添う事が出来ないからこそ、殺したのだ。

 

 そのまま共にいれば、神は二人に悍ましい未来を与えていただろう。

 許されない愛___きっとそれこそが、神がクロウリーに与え給うた試練。

 

 その試練を乗り越え、エクソシストになれというのが神の思し召しなのだ。

 

 マリアは顔を歪め吐き捨てるような顔をし、クソ野郎、と神を侮蔑する言葉を頭の中で浮かべる。

 

 

「わたしは愛など分からぬ人間ですが、クロウリーさん。死のうとしているあなたに言いたい」

 

「……何で、あるか」

 

 

 マリアは笑み、その愛を讃える。

 

 

 

「あなたの愛は、血に染まった結末になりましたが、これもまたわたしは美しいと思うのです。人は誰しも禁忌を犯したがる。その心は無粋で、汚らわしい。

 

 あなたも禁忌を犯したのでしょう。でも、神を冒涜するほどの愛を、どうして汚らわしいと言えましょうか。

 

 愛のために貴方はAKUMA_____エリアーデさんを殺した。いや、壊した」

 

 

 

「…そうである。私は、エリアーデを……」

 

「貴方は、エリアーデさんを救ったんだ。伯爵に囚われていた魂を解放した。所詮囚われた上での愛など、脆い。でも彼女は最期に本当に…心からあなたを愛せたんですよ」

 

「そんなわけないである!きっとエリアーデは……私を恨んでいるである…!」

 

「恨んでいても、憎んでいても、たとえ──殺したいと思っていても、愛は消えないものです。愛は不変なのだから」

 

 

 

 床に膝をつき、子供のように泣くクロウリーに近づきながら、マリアは続ける。

 

 

「あなたは、彼女のために殺した。彼女を愛していたからこそ殺した。死のうと思うなんて間違っている。だからそんな顔、しないでください」

 

「う、うぅ………」

 

 

 クロウリーの背中をマリアが摩っている時、漸く食人花から脱出した二人が着いた。

 

 アレンはその様子を見、尚も死にたい、と呟く男の正面に片膝をついて座る。

 

 

 

「だったら、エリアーデさんを……エリアーデというA()K()U()M()A()を壊した事を、理由にすればいい」

 

 

 

 そしてアレンは彼に、エクソシストになる道を示した。壊した事を理由にする。

 そこから始まり、アレイスター・クロウリーはエクソシストとなってAKUMAを破壊し続ける。

 

 そうすれば、エリアーデを壊した理由になるのだと、そう言って。

 

 

「う、う゛ぅ……エリ、アーデッ…」

 

 

 その言葉に、クロウリーは更に大粒の涙を零した。

 

 

 

 

 

 

 

 ⚪︎⚪︎⚪︎

 

 

「なぁーんで、あんたはエクソシストになれ、って言わなかったんさァ。そう言うのが、一番クロちゃんの最善だって分かってたんだろ」

 

「…いやぁー流石ブックマン、全部お見通しってわけねぇ。ところでクロちゃんて、クロウリーのこと?」

 

「あだ名さ。中々イケてるだろ?」

 

「うん。まぁ、いいと思うよ」

 

 

 今マリアたちが居るのは駅の停留場。

 この後来る汽車に乗り、別れてしまったリナリーたちと合流する予定だ。

 

 マリアとラビから離れている残りの二人…エクソシストとなる事を決意したクロウリーは、現在アレンが慰めている。

 

 彼は街を出る際に人々に吸血鬼と罵られ、落ち込んでいるのだ。

 

 クロウリーはこれまで村人を何人も襲い、殺している。その遺体は彼の敷地内にある墓地に埋められていた。

 

 しかしマリアが感じた墓地のAKUMAの気配から分かる通り、クロウリーが殺していたのはAKUMA。無意識にイノセンスがAKUMAに反応し、殺していたのだ。その上殺している最中は、彼の理性のブレーキが効かない状態だった。

 

 だがそんな理由など、村人が知る由もないのである。

 

 

「だってエクソシストじゃないファインダーが言うのと、本職が言うのじゃ重みが違うでしょ。それに…」

 

「何さ?」

 

「わたしみたいな奴が言う言葉じゃないのよ。神様が嫌いな、人間がさ」

 

「そういうもんか?」

 

「そういうもんだよ」

 

 

 風が吹き、マリアのフードを攫った。包帯に巻かれた顔が露わになる。

 遠くからは汽車の汽笛が聞こえた。

 

 

「…さ、行こうか。リナリーちゃんたち待たせちゃってるし、急がなきゃ」

 

「また勝手に行動すんなよ。ジジイに怒られるのは俺なんさぁ…」

 

「ふふふ、それは無理かもしれない相談かなぁ」

 

 

 二人で笑っていればマリアの肩にちょこんと、ティムキャンピーが乗った。尾の色は紫色だ。

 

 

「…あ、お前どこに行ってたの!!」

 

「ガウ!」

 

「ガウじゃない!!お前ほんと…もう!心配したんだからね!」

 

 

 一人と一匹の様子を見、ラビは苦笑いを浮かべつつ空を見た。

 

 

 

 一夜過ぎた頭上には、清々しいほどの晴天が覗いていた。

 

 


 

【食人花】

 

 

花を凝視するマリア。それにどうしたのか首を傾けるアレンとラビ。

 

 

『あの白い髪の方は不味そう』

 

『あのうさぎっぽいの美味しそうよねー』

 

 

 

「………」

 

「どうしたんですか、マリアさん?」

 

 

アレンの言葉に笑ってマリアは、何でもない、と微笑んだ。

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