アーチャー不憫回ばっかりなので、そろそろ別の展開をと思って書きました。
燃え尽きたよ……。
っという台詞がバックにありそうなほど、アーチャーは、白くなっていた。
「どうしたのよ?」
「実は…、どうやら士郎の魔力を受けてステータスがかなりアップしていたようなのです。」
アーチャーの様子がおかしいことについて、アーチャーがそうなった原因を見ていたライダーが答えた。
「あら? それならいいじゃない。」
「どうやら、スキルまで追加されていたらしく……。」
「ますますいいじゃない。何が気に入らないの?」
「…………………筋肉魔法…初級というのが…。」
「あらま……。影響あったのね。」
座からのコピーでしかないサーヴァントゆえに、マスターからの影響力も大。
逆に魔力の塊でしかない仮初めの肉体だったことが、悪かったらしい。
「先輩! 聞きましたか! アーチャーが、先輩の魔法を使えるようなったんですよ!」
「おお! そいつはめでたい!」
「今日は、お赤飯ですね!」
「やぁぁめぇぇてえぇぇぇぇ…。」
真っ白になってたアーチャーが顔を両手で覆って、泣きながら叫んだ。
「おにーーちゃーーーん!」
そこへイリヤが来た。
「イリヤか。」
「えへへ。」
イリヤが士郎に抱きついた。
「ねえねえ、バーサーカーと戦う?」
「お? いいのか?」
「うん! バーサーカーも、戦いたいって!」
「よしゃあああ! 桜、ちょっと庭でバーサーカーと戦ってくるから!」
「頑張ってください、先輩!」
士郎は、嬉しそうに走って行った。
***
バーサーカーは、斧剣を手放し、素手で士郎と対峙した。士郎相手には、武器がほとんど意味を成さないと分かったらしい。
士郎も士郎でリミッター解除をして筋肉を膨張させ、臨戦態勢だ。
「では…、試合開始!」
殺し合いではなく、あくまで試合なのだ。
「おおおおおおおおお!」
両者が同時に動いた。
ゴガンッ!とお互いが振りかぶった拳がぶつかった。
それだけで空気が震える。
その後は、拳と拳の打ち合いだ。
時に殴り、殴られ、そして…。
「ピストル拳!」
至近距離から放たれた拳の圧が、バーサーカーの腹の横を大きく抉った。
しかし、瞬く間に再生する。
「おにいちゃーーん! バーサーカーはね。12回殺さないと死なない身体なの!」
「なにそれ!?」
「だからあと10回までなら生き返るよ! でもね…。」
イリヤが、自らの身体にある令呪を輝かせた。
「狂いなさい、バーサーカー!」
途端、バーサーカーが狂化された。
「おお! すごい力を感じるぜ…! それがおまえの全力か!?」
「そうよ! 死なないようあがきなさいシロウ!」
途端バーサーカーが巨体からは想像もできない速度で突撃してきた。
士郎は、その突進を、自身も突進することで止めた。だがあまりの馬力に数メートル後ろに下がらされた。
「ぐおおおお! す、すげぇぇ!」
「これがバーサーカークラスの特性、狂化! 理性と引き換えに大幅にステータスをアップさせるのよ!」
「本当だ…、確かにすげぇ!」
「降参する?」
「いいや!」
むしろ生き生きと返事をする士郎。
振りかぶられたバーサーカーの拳を両手で受け止めた。
掴んだその大きな手を両手で握りしめ、潰す。
バーサーカーが苦悶の声を上げた瞬間、懐に入った士郎が下からアッパーカットを決めた。そのあまりの拳の威力によって、バーサーカーの頭部が粉砕された。
しかし、バーサーカーの失われた頭部が再生し、再び士郎に襲いかかる。
「すごいすごい! 今ので2回目…。」
イリヤが興奮しまくっていた。
「ピストル拳!」
再び放たれた拳の圧。だが…。
「ごめんね、お兄ちゃん。バーサーカーにはね。一度受けた攻撃に対して耐性ができる性質があるの。」
「なんて反則な宝具よ!?」
「私が戦っても、勝てる見込みは低い…!」
凛とセイバーが戦慄した。
「そいつは…すげぇ! ちょうどいい!」
「つまりお兄ちゃんの今までの攻撃は…。」
「ピストル拳!」
「ねえ、聞いてないの~?」
「ピストル拳!」
「ねえってば~。」
「ピストル…拳!!」
三度目に放たれたピストル拳が、バーサーカーの胴体を半分以上を粉砕した。
「えっ! うそ…。」
「ちょうどいいぜ…。これなら限界を超えられる……。これこそ、俺が求めていた境地に至られるための究極の壁だ!」
これまでの限界を超えて放ったピストル拳を放った握りこぶしから血が垂れていた。
「ったく……、とんでもねぇ坊主だな…。生き返る上に、耐性ができる相手を、サンドバックにするなんてよぉ…。」
「あんたまだいたの?」
「見物ぐらいいいだろ?」
そんな会話をランサーと凛がしていた。
その間に、限界を超える一撃を放ち続ける士郎は、身体のあちこちから血管が切れて血を流しながらバーサーカーの命の残りストックを削っていった。
「ば、バーサーカー!!」
このままでは、バーサーカーの命が完全に尽きると感じたイリヤが悲鳴じみた声を漏らした。
そして、とうとう、残る命がひとつだけとなった……。
そこで士郎は、攻撃を止めた。
「シロウお兄ちゃん…?」
「今回は、俺の勝ちだ。異論は無いな?」
「う、うん!」
「バーサーカー、おまえの力には驚かされた。また戦ってくれるか!?」
すると倒れていたバーサーカーが、起き上がり、頷いた。
「殺さないの?」
「なあ、イリヤ。バーサーカーの命の残りって回復しないのか?」
「ううん。時間が経てば回復するよ。」
「そっか。じゃあ、次に会うときは、全部回復させてからだな。」
「ちょ、士郎!?」
「先輩、さすがです!」
驚愕する凛とは裏腹に、尊敬のまなざしを向ける桜。
「ほ、本当に…いいの? 今度戦ったら、シロウ、死んじゃうかも…。」
「俺は死なん。桜を残して死ねるか。そして、俺はまだ至っていないんだ。」
「?」
「ユーリ兄ちゃんの境地に! このままじゃダメだ! だからバーサーカーとこれから戦い続けて限界を超え続けて、今(現在)の自分を超える!! イリヤ!」
「は、ひぃ!?」
「協力してくれないか? バーサーカーに。」
「…い、いいけど……。でも、私もアインツベルンのマスターとして聖杯を取らないといけないの…。」
「そっか…。」
つまり、士郎の願いを叶えるには、バーサーカーを殺すしかないのだ。
「あああああ! 俺はどうしたらいい? バーサーカーを失うのは惜しい! けどユーリ兄ちゃんに会うためには、聖杯が必要…。俺は…俺は!」
「先輩…。」
「桜…、俺は、どうしたらいいんだ?」
「それは…。」
「ごめんね。シロウ…。協力できなくて…。」
「いや、いいんだ。無理を言ったのはこっちなんだからな。」
「で、でも、聖杯戦争の間だけなら、協力はできるかも!」
「そっか…。ありがとな。」
「ねえ、シロウお兄ちゃん。」
「なんだ?」
「アインツベルンに来る気ない?」
「どうしてだ?」
「あのね…。」
するとイリヤは、自分と士郎を育ててくれた衛宮切嗣が親子関係であることを語った。
つまりイリヤは義理の姉であるのだと。
「はー、そうだったのか。だからイリヤは俺を知ってたのか。」
「そうだよ。だからね、最後の家族だから…一緒にいたいの…。」
「でもな…。」
「もちろん、そっちの可愛い恋人さんも一緒でいいよ。お姉ちゃんとして弟の恋人は大事にするよ!」
「そうか…。」
「先輩…。」
「桜…。」
「ダメよ。」
「どうしてだ、遠坂。」
「桜を連れていくなら、私はあんた達の仲を認めないわよ。」
「う…。」
「別にリンの公認なんていらないわ。」
「そうはいかないの。」
「あら? やる気?」
「こっちにはセイバーがいるのよ? 残り命のストックがないバーサーカーしかいないあんたが勝てるとでも?」
「む…。」
「考えさせてくれ。すぐには返事はできない。」
「…分かった。」
イリヤは残念そうに俯いた。
そしてイリヤは、バーサーカーと共に去って行った。
「う…っ。」
「先輩!」
「あーもう、限界を10回以上も超えるなんて馬鹿やるからよ!」
イリヤがいなくなったあと、膝をつく士郎に桜が駆け寄り、凛が呆れたと声を漏らしたのだった。
「けど…。」
「けど?」
「この脈動…、筋肉の喜びを感じるぜ!」
「いや、それ勘違いだろ。」
思わずツッコむランサーだった。
バーサーカー、残り命のストック1まで削られる。
あげてる設定回収かな? ただ……やっぱ設定を生かし切れない……。