ゆゆ刃牙~漢達のきらめきッッ~   作:バロックス(駄犬

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もう極級のレオさんとカルマ―トさんには勝てる気がしないからバースデーイベに集中することにしました…レオのゲージラスト一本まで削ってこれからって時に画面フリーズで終了とかもうやってられませんぜ!

UR友奈ちゃん持ってても勝てないとか……早く神花解放させて(願望)


予告通り、ドSでレズの赤嶺ちゃんとその被害者、雪花さんの絡みです。
今回はグラップラー要素は少なめかも? 


第二十話~秋原雪花(揺れる心)~

 讃州中学勇者部は今日も今日とて造反神から奪われた領地を取り返すという御役目に勤しんでいる。

 

 グラップラーというイレギュラーと戦うことになっても本来のお役目である造反神との戦いは続いているのだ。

 

 

 今勇者たちがいるのは造反神の赤い領地。

 ほとんどの敵が星屑と小型中型のバーテックスに溢れているその樹海を勇者たちは駆け、連携を取り各個撃破していく。

 

 

 

 

 そんなある日、勇者たちに事件が起きる。

 

 

 

 

 

 

―――――樹海の中で、秋原雪花が消息を絶ったのだ。

 

 

 

 

 巫女たちの神託によって襲撃のある場所へ向かった勇者たちは一人で纏まらず、他の勇者たちと連携して敵の対処を行っていた。

 

 バーテックスも大型個体も少なく、日ごろの訓練の成果もあってか順調に敵を撃破していく勇者たち。

 このまま敵の殲滅が完了し、戦闘が終了するだろうと誰もが思ったその矢先。

 宙を浮く巨大バーテックスが小型爆弾のようなモノを落としてきたのだ。

 

 

 連携をとっていた、お互いの距離を把握していた勇者たちが全力で回避行動に徹し、

 爆風によって舞い上がった砂塵が樹海の広域を覆いつくしたのだ。

 

 

「勇者ァ……パァーンチ!!」

 

 

 直後、誰もが自分の居場所すら分からないほどに視界を塞ぐ砂煙の中から飛び出した高嶋友奈が必殺パンチで空中の敵を一撃のもとに打ち抜いた(・・・・・・・・・・・)事により窮地は凌いだかに見えたのだが。

 

 

 

 そこには雪花の姿はなく、彼女の変身用の端末だけが地面に落ちていたのだった。

 

 

「どうだ!? 雪花はいたか!?」

「だめです……若葉さんのほうもですか?」

 

 

 乃木若葉と伊予島杏が互いに見やるが雪花発見の報を知らせることが出来ずに肩を落とす。

 二人は前衛組みと後衛組みで勇者たちを別けて、居なくなった雪花の探索を行っていた。

 

 

「失念していた……よもや巫女ではなく、勇者一人を狙ってくるとは……!」

「まだ誰かに攫われた……と断定は出来ませんが、あの不自然な端末の置かれ方はその方向で考えてもいいかもしれません」

 

 

 以前は巫女を襲われたことで集団行動の際は巫女の近場には勇者を護衛につけるとして対策を行っていた若葉たちだったが、

 まさか勇者を個人で狙われるとは思っていなかった。

 完全に裏をかかれた。

 そしてこのような手口を使うものとなると、若葉の知る中では一人しかいない。

 

 

「やはり、赤嶺友奈の仕業か?」

「おそらくは……でも、カガミブネを使える東郷さんを狙うならともかく、雪花さんを狙う理由は一体……」

「わからない……だが何かしら意図があるはずだ。 しかし、悠長に探索を続けるのも難しそうだな……樹海化が解けていない」

 

 

 敵が殲滅されなければ樹海化現象は解除されない。

 今も樹海化が続いているということ……つまり、これからもまだまだ敵は現れてくるということだ。

 戦闘が再開されれば、雪花を探すということは困難になってくるだろう。

 

 

「……」

 

 若葉に一抹の不安がよぎる。

 雪花は今、勇者も把握できない場所にいて、携帯を所持していない。

 それはつまり、現在の雪花は変身も出来ていない『生身』の状態だということだ。

 

 

 勇者服を纏っていない状態は戦闘能力はガタ落ちになる。

 むしろ、皆無だと言っていい。

 精霊バリアも機能しないため、下手をすれば星屑相手に命を落とす可能性だってあるのだ。

 

 

 若葉は自身の西暦の時代で、無抵抗で星屑に食い殺された人々を思い出した。

 最悪の展開を予想してしまった若葉は頭を振って否定する。

 

 

「若葉さん、杏さん!敵の第二陣が来ます!迎撃準備を!」

 

 

 二人の様子を見に来た鷲尾須美が敵の増援を告げる。

 空の向こうには星屑だけでなく、バーテックスの姿も確認できた。

 数も先ほどとはけた違いである。こちらが本命なのだろう。

 

「雪花の探索はいったん中止だ。まずは目の前の敵を叩く!」

 

 若葉も思考を切り替えて、目の前に迫りつつある敵を迎撃すると決めた。

 杏も須美も頷き、それぞれの陣地へと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな!じゃあ雪花は放っておいて迎撃に専念しろってことなの!?」

 

 

 若葉は自分の陣地に戻って次の戦いが迫っていることと雪花の探索を一時中止することを告げる。

 当然、納得できない者がいる。それは三好夏凜であった。

 

 

 

「夏凜、気持ちは分かるが……敵も本腰だ。 さっきよりも数が多いし、雪花の探索のために人員を割くことは難しい」

 

 

 先ほどのように不意を突かれての大型バーテックスの強襲があれば人数を割いた際に戦いが不利になる。

 勇者全員を取り仕切る若葉も苦渋の決断だった。

 

「だが、戦いながらも探すことは出来るはずだ。 もし雪花が見つかれば、その時は救出を優先して動く。

 私たちは仲間を見捨てたりはしない」

 

「……!そうね、若葉の言うとおりよ。

 ちゃんとバーテックスを蹴散らして、雪花を見つけ出しましょう!!」

 

 

 夏凜は理解してくれたのを見て、若葉は安堵する。

 

 

 秋原雪花は同じ西暦の時代を生き、この世界で出会うことができた大切な仲間だ。

 仲間を見捨てることはできない。勝利のために切り捨てるとか、見捨てるとかという考えを若葉は持ち得ていないのだ。

 

 

「ところで夏凜……友奈はどこに?」

「友奈? あぁ……高嶋のほうね、……あそこよ」

 

 

 若葉が高嶋友奈を気にかけたのは、先ほどの大型バーテックスを倒した彼女の様子を知りたかったのだ。

 夏凜が指を向けると、そこには確かに高嶋の姿があった。

 あったのだが――――、

 

 

「もぐもぐもぐ……」

 

 地面に座り込んだ高嶋の眼前にはおじやを入れた特大タッパと一本のバナナ、それを食している最中だった。

 

 

「ゆ、友奈……お前、一体なにを……?」

 

 これから戦いが起きる。

 そう伝えたはずなのに、その直前で高嶋は堂々と食事をとり始めたのだった。

 

 

 凄まじい速さで特大タッパに入れられたおじやと丸一本のバナナを胃に収めた高嶋はいつから持ち込んだのか、黒色の液体を取り出す。

 それは老若男女が好む清涼飲料水のコカ・コーラだ。 

 

 

 炭酸水であるコーラを上下に振った高嶋が一度栓をきる。

 当然の如く、栓からは泡が溢れてきた。

 泡が収まったのを見て、高嶋はその炭酸が抜けきったコーラを口に含むと、

 

「ごくごくごく……ぷはっ」

 

 

 一瞬で飲み干したのだった。

 

 

(正気か!?友奈ッ これから戦うというのに炭酸飲料など身体のなかに入れるなんて……ッッ)

 

 

 通常であれば腹が炭酸で膨れ運動能力に影響を与えるコーラを戦闘開始する直前に飲むこと、それは若葉にとって理解に苦しむものであった。

 

 

「ほぅ……炭酸抜きコーラか高嶋ちゃん……大したもんだぜ」

「愚知さん!?」

 

 

 若葉の疑問に答える者がいた。

 武神・愚知独歩である。

 

 

「なぜ友奈は戦闘前にコーラを?」

「炭酸を抜いたコーラはエネルギーの効率が極めて高いらしい……

 レース直前に愛飲するマラソンランナーもいるくらいだ」

 

 

 それに、と独歩は続ける。

 

 

「あの特大タッパのおじやとバナナ……。これも即効性のエネルギー食だ。

 しかも梅干しもそろえて栄養バランスもいい……

 

 それにしても戦闘直前でこれだけ補給できるっていうのも超人的な消化力があってこそなんだがな」

 

 

 いかにエネルギー効率の良い食べ物を補給しても、

 それら多くのものを最終的に胃で溶かして身体にエネルギーを行き渡らせるには相当の消化能力が必要である。

 

 

 独歩は少女一人が摂取する平均カロリーを軽く超える補給を行う、

 高嶋の尋常ではない消化力に素直に感心していたようだった。

 

 

 

「なにをー!? 私だって一人でうどん10杯までは余裕で溶かせるわ!」

「風さん……どうして友奈と張り合っているんだ?」

 

 

 その一方で、隣では犬吠埼 風が瞳の中に炎を宿しながら高嶋に対抗心を燃やしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…っ、ふ……くっ…!」

 

 

 秋原雪花が苦悶の表情をと共に、疲弊した息を漏らす。

 勇者服ではなく、制服姿の雪花は身体に白い触手のようなものに拘束されていた。

 

 

 身体に巻き付いた触手の先には星屑と呼ばれる白の異形が雪花の眼前に一匹。

 両腕、両足、腰、首と五体の動きに必要な部位に巻き付いた触手の拘束はキツめだ。

 どんなに力を籠めても、触手は少しも動くことがなかった。

 

 

「だ、だめかぁ……にゃあ…。

 まさか、端末落っことしちゃうなんて……ついてないにゃー」

 

 はぁ、という嘆息を自分流に置き換えて雪花は息をつく。

 勇者服を纏っている状態ならばどうにかなったかもしれないが今の自分は生身のものだ。

 普段から鍛えていても、所詮は女子中学生である。

 星屑という雑魚一匹に苦戦するどころか、手も足も出ないという有様だ。

 

 

「んふふ……無駄だよ」

 

 必死に逃げようとする雪花を見つめては薄く微笑む少女がいる。

 赤嶺友奈だ。

 

「こんなにうまくいくとは思ってもなかったんだけど……まさか自分が狙われるとは思ってなかったって感じかな?」

「……そうだよね、確かに私なんかより東郷とかの方を狙ってくると思ってたけど」

 

 

 敵に捕らわれているという危機的状況でも雪花の声色は意外にも冷静なものであった。

 

 

 

 雪花はつい先ほどまで仲間の勇者と共に戦闘行動中、突如上空に現れた巨大バーテックスの爆弾投下攻撃に見舞われた。

 

 

 東郷美森の『総員退避』の号令のもと勇者たちは回避行動に努める。

 雪花もそれに漏れることなく爆塵の中を駆け抜けていったのだが。

 

 

 

 途中、その混乱に乗じて近づいて聞いた赤嶺に気付かず隙を突かれ捕えられてしまった。

 気づけば雪花はいつの間にか変身が解除された制服姿でバーテックスに拘束されていたのである。

 

 

 はっきり言って、完全に油断していた。

 勇者にとっての長距離移動が可能な転移装置、カガミブネを起動するために必要な存在、東郷美森を狙ってくるものだと思っていたためだ。

 

 

「もちろん、あなたに用があっただけだよ秋原雪花」

 

 

 赤嶺は朗らかに微笑みかけ、ゆっくりと近づき雪花の顔が目と鼻の先の距離まで接近する。

 

 

「聞きたいことがあってね……あなたの心と身体に、ね」

「―――え、まさかのソッチ系……?それってどういう――――」

「そりゃあもう、こんな感じで……」

 

 

 

 赤嶺が雪花の言葉を遮るように顎を人差し指と親指でくいっ、と持ち上げる。

 吐息と花のような甘い香りが漂ってくるほどの距離で、赤嶺の深紅の瞳と雪花の翡翠の瞳が交錯した。

 

 

「そういえばこの前部室を襲われたときは私を逃がさないように抱きついてたんだっけ……こうやって」

「んな……っ!」

 

 すっと視線を外すと、赤嶺は雪花の身体を両の手を背に回して抱きしめた。

 

「敵からの熱いハグなんて願い下げだよ! っていうか、そのハグやったの私じゃなくて東郷!!」

 

 

 ある日の、部室で巫女を襲ってきた赤嶺を捉えるべく行われた東郷の珍事を再現されて雪花の顔に恥ずかしさからか僅かに朱が浮かんできている。

 

 

 赤嶺の身体の肉はとても柔らかく、それで程よく鍛えられているような硬さがあった。

 それでいて、女性特有の香りが雪花の鼻腔をつつき、その香りに充てられた雪花の頭がふらっと揺れる。

 

 そして何より、

 

(友奈ズとは遥かに違うこの胸の部分ッ 東郷程じゃないにしても、こうして私の胸にぐりぐり押し付けるのはなんなの!? ただの嫌がらせ!?)

 

 

 容姿が酷似している結城友奈や高嶋友奈とは明らかに実り豊かに成長している胸を雪花の胸へと押し当てられる。

 

 

 雪花の小ぶりで茶碗程度の大きさの、それでいて形の良い胸が赤嶺の豊満な胸の圧に押し負け、ぐにぐにと形が変化する光景を雪花はただただ呆然と見つめていた。

 

 

 男であったら確実に悶絶するであろう光景。

 だが如何せん、秋原雪花は女である。

 故に女の部分で自身のモノとは比べ物にならないほど誇張する部分を見せられては、ただただ圧倒的敗北感を得るだけであった。

 

 

 

 そして先ほどの雪花の問いに赤嶺が答えると同時、抱きしめていた腕の片方を外す。

 

 

「でも……あなたも確か私の足の部分にしがみついてたよね……確か、ここらへんとか……さ」

 

「ひあぁっ……!? こ、こらぁ……そこ太ももだって……! た、タイツの上からさわん、にゃ……ぁ!」

 

 赤嶺の手が雪花の足まで延びる。

 褐色の手はゆっくりとタイツ越しに膝裏から太もも付近を舐めるように這った。

 嫌悪感よりも羞恥とこそばゆさから雪花は身体を思わず捩る。

 

「ちょっ―――んふっ、……ふあっ!?」

 

 その反応を面白がった赤嶺の手が変化する。

 雪花の太ももを下から上へと這わせていた動きから、円を描くような撫でまわす動きへ。

 先ほどとは違う刺激を加えられたことに対応しきれなかった雪花の身体が驚愕からか、びくっと跳ねた。

 

 

「あはは……かわいい反応するじゃない。意外だなー、てっきり冷静沈着で慌てないイメージがあったんだけど……もしかして意外と――――」

 

 

 その先を口にすることなく、赤嶺はくすりと笑みを浮かべる。

 彼女の言葉の意味を問いただす暇などなく、雪花の顔は既に茹で上がったように赤く、身体は熱を帯びている。

 

 

「はぁ……はぁ……し、信じらんない……ノギーが被害に遭ったって聞いてはいたけどまさか」

 

 

 少女に触れられただけだというのに息切れを誘うほどの謎の疲労感が雪花は感じながら確信したのである。

 

 赤嶺は間違いなくレズだと。

 当の本人はけらけらと笑いながら、

 

 

「手先が器用なのは昔っからだけど、感度に関しては多分あなたの素質もあるんじゃない…? もっとしてほしい?」

 

 そう言って手をわきゃわきゃと蠢くのを見せつける赤嶺に、雪花は先ほどの自身の答えに付け加えるように訂正する。

 

 

 彼女、赤嶺友奈はドSでレズだと。

 続けて蠢く彼女の腕が雪花の胸に向かうのを見て危機を感じ取ったのか、

 雪花は小さな抵抗を試みる。

 

 

「あーいやだいやだ。こんな変態が勇者だなんて、世も末だね……棗さんがどう思うか」

「……」

 

 

 雪花の胸へと向かう手がぴたりと止まると一瞬の間を置いて、赤嶺は腕を引っ込めた。

 

「そろそろ本題に入ろうか」

「引き下がるのはやくない?」

「まさかお姉様の名前を出すなんて思わなかったよ……さすが、勇者部きっての頭脳派……」

 

 

(いやー、あのデレデレっぷりを見せつけられて棗さんの名前が有効なのって誰でもわかると思うんだけど)

 

 

 勇者・古波蔵 棗を乙女オーラ全開にして甘ったるい声で「お姉様」と呼ぶ姿を見てこの発想に至らないものはいない。

 

 多分いたとしても土井球子ぐらいだろうか。

 そんな雪花の心中を気に留めることなく、赤嶺は続けるのである。

 

 

「疑似精霊――――、以前やった勇者への問いかけって覚えてるかな?」

「疑似精霊……」

 

 

 その言葉に、雪花が記憶を遡る。

 以前、造反神の領地を奪う際に赤嶺が作り出した勇者たちそっくりの姿をした人工精霊。

 

 

 本体の精神の中に入り込み、論戦を仕掛けられるとその論戦を制さないと解放されない。

 精霊の問いは勇者によって異なり、その者の心情、過去などを的確に突いてくる。

 

 

 そして精霊の問いに答えらえれなくなると、恐ろしいことにその代償として精霊が憑りつき二度と勇者に変身する事が出来なくなるという。

 

 

 あくまで神樹が作り出したこの世界限定の制約で、お役目が終われば元に戻るというものではあったが。

 結果、勇者たちは誰一人問いかけに動揺することなく、自分自身との戦いに勝利した。

 

 

 

 あの時は自分が選ばれなくて心底良かったと思っていた雪花であったが、赤嶺がここでその話題を振るということは。

 

 

「じゃあん」

「……やっぱり、そういう展開ですかにゃ」

 

 掌をひらひらと、さながらショーでキャストを紹介するかのような振る舞いをする赤嶺の隣には一人の少女がいる。

 

 

「……にゃあ」

 

 

 そこには見間違えるはずのない、もう一人の秋原雪花の姿がそこにあった。

 

 

「……なるほどねぇ、今度は私にその疑似精霊とお話しさせようってワケ?」

「そうだよ、縛られて動けない私。 もちろん、質問に答えられなかったら憑りつかれるっていうルールはそのままだかんね」

 

 疑似精霊の雪花が本体とそん色ない声色で説明する一方、赤嶺は大きく伸びをしている。

 

「いや~、急ごしらえだからちゃんと機能するかなって心配だったけど問題なかったみたいだね、ふぁ……徹夜した甲斐があったよ~」

 

 

「へっへ~、私のためにわざわざ睡眠時間削ってまで用意してくれたんだ……でもいいの? 

 

 私、他の勇者がクリアしてるところ見てるから大体勝ち方分かってるし、あんま意味ないと思うけど?」

 

 自信満々に言い放つ雪花を赤嶺はまた薄く笑った。

 

「……そうかなぁ」

 

 

 意味ありげに間を取りながら。

 

 

「なんなのさ、今の間は……」

「別に~? ただ、おもしろくなりそうだな~って」

 

 

 赤嶺側の意図を探らせないためなのか、必要以上の事を彼女は語らなかった。

 だが、環境的にも人間関係的にも極寒の地である旋律の北海道を生きた秋原雪花は本能的に察知する。

 

 

 これには何か、ウラ(・・)がある、と。

 

 

「それじゃあそろそろ始めるとするかな……あまり時間掛けて他の勇者に見つかったら元も子もないからね」

 

 

(そんなこと言ったら最初のセクハラ行為、絶対時間の無駄だったって突っ込んでもいいかにゃ?)

 

 

 心の中で雪花が呟いたとき、赤嶺の合図で雪花の疑似精霊が動き出した。

 自分と同じ服と、若干光の失われた翡翠の瞳が本物の雪花を見据え、人差し指を突き出す。

 

 

「それじゃあ行きますよ……ドーン!」

 

 

 どこの喪黒福造だよ。

 

 雪花が頭の中で思考するのと自分の瞼が重くなり、精神の世界に引きずりこまれるのはほぼ同時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここが精神世界? 夏凜たちから聞いてた通り、真っ白でなにもない空間だねぇ」

 

 意識を覚醒させた雪花の視界に広がるのはどこまでも白く、上下も右も左もない世界。

 赤嶺友奈と自身を縛っていた星屑も存在しなかった。

 いるのは秋原雪花とその姿と同じ疑似精霊のみ。

 

 

「ん~、この世界なら身体も縛られてないし……はー、自由って最高にゃあ」

 

 

 現実とは違い、星屑の拘束から解放された雪花が大きく背伸びをしてみせる。

 前方ではその様子を精霊である雪花が立ち尽くした様子で眺めている。

 

 

 準備運動をしている雪花に何も仕掛けてこないあたり、その異様さが際立っていた。

 

「……わざわざ待っててくれるの?」

「そうだね、あなたにとって大事なお話になりそうだし」

 

 自分と同じ声と顔のものが浮かべる冷ややかな笑み。

 それに少し寒気のようなものを感じる。

 

「それじゃあ、とりあえず質問させてもらうかにゃー、いくよ?」

 

 

 

 精霊は陽気な声色とは別に、口の形を悪魔のような三日月の形に変えては問う。

 

 

 

 

 

 

 

「私こと、秋原雪花は―――――元の世界には絶対に戻りたくないと思っている」

 




今回のお話は多分ゆゆゆいでその内やってくれるんだろうな~と思っていた話を勝手に考えて作っただけです。
なので、いろいろと意見が分かれちゃうかもしれません。
この作品にとっての雪花さんのターニングポイントはここにする予定。



本日はゆゆゆいの生放送日!
ゆゆゆい紳士の諸君、忘れてはなりませんぞ!


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