ゆゆ刃牙~漢達のきらめきッッ~   作:バロックス(駄犬

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 職場の”ゆゆゆ”好きの同志が鬱病になってしまったので、元気づける為に初投稿です(意味不)


第二話~胡散臭い神託~

 

 

空手家、愚地独歩(おろちどっぽ)がこの世界に迷い込む、実に2か月ほど前のことである。

 

 

 

―――――東京、とある中華料理店にて。

 

 

 東京都内で有名なその店に、一人の男がいる。

 年齢にいささかギャップを感じさせるガラのシャツを着こなし、右目に眼帯となれば、その男の名は愚地独歩という人物に他ならない。

 

 丸型テーブルには中華特有の香辛料をふんだんに使った料理が並べられており、その香りは反射的にも今しばらく鍛錬してきた独歩の体に再び熱を持たせる程。

 

 料理を一瞥する独歩に対し、向き合うようにして座る一人の男がいる。 老人だ。

 背は明らかに独歩より低く、まるで力士同士の審判、行司の如き装束に身を包んだその男は料理を見て、気を良くしている独歩を見ては小さく頷いている。

 

 

 徳川家十三代目当主、徳川光成(とくがわみつなり)

 日本屈指権力と財力を有する老人である。 その名は政治界にまで影響を与えるほどで、彼の前では現役の総理大臣すら萎縮する。

 

 

 その裏の顔。 東京ドーム地下に存在する地下闘技場のオーナー。 強者同士に戦い、巡り合わせる場所を提供する事が己の役割だと語り、

 その為ならば、いかなる財力も惜しまない男である。

 

 

 「ふむ・・・・」

 

 独歩の手が酒の入ったグラスへと伸びる。 半透明な液体、紹興酒を少し眺めては、香りを感じ、そして口に含む。

 かなりの甘味とまろやかさを感じた。 酸味もあまり感じない、全身に染み渡るような旨味に独歩は息を吐く。

 

「い~~~~~~~~~い紹興酒ですなァ」

 

 紹興酒は中国の紹興からの出た酒だ。 この手の酒は熟成期間が長ければ長いほど、酸味が減り、旨味は深く、まろやかになる。

 独歩が飲んできた中でもこれはかなりの老酒であることが分かった。

 

 ふふ、と前で光成が小さく笑みを浮かべ、

 

「ええじゃろ。 30年モノの逸品じゃ」

 

 齢80となる、実に老人らしい笑みを浮かべる光成を見て、次に独歩が手を伸ばしたのは餃子だ。 大皿に乗せてある餃子は50個くらいだろうか。

 

 一口放り込み、口内の歯で餃子の皮を破り、溢れ出す肉汁を堪能しては肉を咀嚼し、なおかつ内側に広がる甘味に疑問を抱く。

 

「・・・甘い?」

 

 餃子とは、こんなにも甘いものだっただろうかと思う独歩に、光成が答えた。

 

 

「野菜の甘味じゃ。 肉よりキャベツや玉ねぎを多くしてある」

 

「野菜・・・・・」

 

 

 再び、独歩は餃子を口へと運ぶ。 今度はより細かく咀嚼し、玉ねぎ、そしてキャベツという野菜特有の歯ごたえを感じて、

 

「なるほどたしかに。 甘味がジューシーだ」

 

 納得する。 光成も紹興酒を手に持ちながら、

 

「行き過ぎた肉食信仰のせいで勘違いされとるが――――、餃子とは野菜料理なのじゃからな」

 

 ハハ、まるでグルメ博士だ・・・・。 と、内心で笑いながら、独歩は切り出す。

 

「それで徳川のジッちゃんよォ、なんだって俺を呼んだんだ・・・・? なんか用があるんだろ?」

 

 独歩の問いに、光成は腕を組んだ。 すると、急に一人の人物の名を挙げる。

 

 

「―――――徳川寒子(とくがわさぶこ)

 

「んん?」

 

「――――儂の姉じゃ」

 

 光成に姉がいたというのは驚きだが、と独歩は内心で思う。 光成は続けて、

 

「職業は霊媒師」

 

「――――へ?」

 

「霊媒師じゃ」

 

「レイバイシ・・・?」

 

 うむ、と光成が頷く。

 

「つまるところの―――――霊能者じゃ」

 

 霊能者とは大きな括りがあり、これは霊を扱う人々の総称である。 占い師やスピリチュアルカウンセラー、ヒーラーがこれに該当するのだが。

霊媒師もその括りの中の一つらしい。

 

「まぁ、なんでも儂の姉は死んだ者もこの世に呼べるそうなんじゃが・・・・この前はJ.Fケネディを呼んだそうで・・・・」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれやジッちゃん!」

 

 真面目に語る光成を遮るように独歩が待ったをかける。 なんじゃ、と光成は不服そうにするが、独歩は自身の頭を掻いて、

 

「――――――胡散臭すぎやしねぇかい?」

 

「胡散臭いじゃろ?」

 

 間髪入れず、光成は返した。

 

「除霊術とか降霊術とか、科学者だけじゃなく一般人ですら感じるこの胡散臭さ―――――」

 

 だが、と光成は目を見開いて言う。

 

「儂の姉は、この100倍胡散臭いッッ」

 

 そんな言い切るほどのことかい、と独歩は心の中で呟く。 

 で、そんな霊媒師の姉がどうしたのかと問えば、

 

「――――夢を見た、という」

 

「なんの夢?」

 

 うさん臭さ100倍の光成の姉が見る夢、とは。

 

 

「――――独歩達が戦う夢じゃ」

 

 

 ぐいっ、と紹興酒を飲んだ光成が顔を真っ赤にしてその夢を語る。

 

 

―――――名だたる格闘家(グラップラー)達が、異界の地で異形の怪物と戦う姿。

 

 

―――――怪力無双の少女たちが彼らと戦う姿。

 

 

 そのイメージが、ここ数日の間に霊媒師である徳川寒子の夢で流れ込んでくるのだ。

 

「―――――儂が思うに、これは神託。 いずれ独歩達がこの世界とは異なる場所で新しい敵と戦うという暗示なのじゃ」

 

「イヤイヤイヤイヤイヤ」

 

 手をブンブン、と振って独歩は否定する。

 

「モーロクがすぎるぜ。 どこぞの安い二次創作小説じゃねェんだからよ・・・・」

 

「馬鹿モンがッッ」

 

 力強くテーブルをたたく光成は酔いが回っていたのか少しばかりふらついて、

 

「―――――オリジナル、オリ主、クロス、転生、介入、救済・・・・・果ては18禁、性転換、百合、BL、ふたなり、闇堕ち、快楽堕ち――――、

原作で成し得なかったあらゆる要素を持った原作を(趣味)で、己の私利私欲を満たすが為に執筆する、それこそが――――――」

 

 彼は言い放つ。

 

「―――――二次創作の醍醐味じゃろうがッッッ」

 

 

 何の話をしてんだ。と、内心で突っ込む独歩は、ふと、思うのだ。

 

(戦いとか、なんか絡むとヤケに豹変するんだよなァ)

 

 

「花山と勇次郎の件もある・・・・」

 

「そういやァ、アイツ等も暫くの間、行方を眩ませてやがったなぁ」

 

 花山組の喧嘩師、花山薫と地上最強の生物、範馬勇次郎が二日、三日ほど消息を絶っていたのは記憶に新しい。

 勇次郎に関しては、全世界から衛星によって監視されているので突如として姿が消えた時は、全世界の車両のカーナビがあり得ない動きをして、世界中で勇次郎の捜索網が敷かれたとか。

 

 

 

「まあ、なんにせよ・・・用心するこっちゃ、独歩よ」

 

「ふむ・・・・ところでよォ、ジッちゃん。 聞きてぇ事があったんだァ」

 

 気付けば拳を握っていた独歩がいる。 小さく、小刻みに震えさせているその拳が意味するものとは。

 

「―――――その敵ァ、強ェのかい?」

 

 恐怖とか、酒に酔ったとかではない。 強さを求め、力を付け、技術を磨き、強敵と戦う。 

 そんな人生を歩んできた者達にとって、この震えはこう呼ばれる。

 

 

 ”武者震い”、と。

 

 

 

「―――――ああ」

 

 光成は顔全体広がる皴を更に広げるような満面の笑みで言った。

 

 

「――――――そりゃあもう、べらぼうに、じゃ♡」

 

 

 

 

 

 

―――――その食事の帰路につく途中である。 事件が起きた。

 

 

「なんだァ・・・・・コリャァ」

 

 

 独歩の歩いていた道路が、歪む。 歩いてきたコンクリで構成された道路はまるで粘土の如きうねりを見せながら、その姿を変質させていく。

 

 

「~~~~~ッッッ!!!????」

 

 

 歪んだのは地面だけではない、独歩のいるその空間全てが一気に歪み始めていた。

その変質していく世界に、気持ち悪さを覚える独歩だったが、それはすぐに解放されることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――気が付けば、見知らぬ土地にいた。

 

 

 

「おッ!?」

 

 先ほどまでいた住宅街とは打って代わり、開けた土地へと移動していたことに驚愕する。

 

「おッ!?」

 

 時間帯は夜だったというのにいつの間にか昼。目の前にあるのは”かめや”と書かれた看板の店。

 

「おッ!?」

 

 その店がもつ、謎の魔力に引き寄せられるかのように、入店し、その店の一番うまいであろう”うどん”を注文し、

 

(この腰の入ってる”うどん”・・・ココって、もしかしてッッ)

 

 無我夢中で白く、腰の入っているべらぼうに美味い”うどん”をすすり上げ、独歩は気付く。

 

 

(―――四国・・・・香川県ッッッ!!!????)

 

 

 

 

 

 

 

「―――これが、事の顛末・・・・信じてもらえるかい?」

 

 勇者部部室にて、椅子に座った独歩は語り終え、息を吐く。長話は老人には疲れるものだ。

 

 

「フツーだったら、信じられない、わよね・・・・」

 

 独歩の前に立っている勇者部部長、犬吠埼風は腕を組んだ。

 

「でも、この世界も特殊な世界なワケで、フツーじゃないのだから・・・そういうこともありえるのかしら」

 

「――――神樹様の神託では、私たち巫女も、そういう事態になるということは把握していませんし・・・・」

 

 神樹の神託を受信する役を務める上里ひなたを含めた巫女組は怪訝な表情だ。 

 それもそのはずである。これまでバーテックスと戦ってきたのは勇者と呼ばれる少女ばかり。

 

 そこに現れたムキムキの武術達者のオッサン登場だ。 困惑しない方がどうかしてるレベルである。

 

 

「一つだけ、確認したいのですが・・・・」

 

 東郷美森は険しい表情で独歩へ尋ねた。

 

「おう・・・イイゼェ、なんでも―――――」

 

 独歩は驚愕する。 ずい、と前に出てきた美森にではなく、中学生らしからぬ飛び出た、その二つの双丘に。

 

(――――――エッッッッッッ)

 

 この子たちは、中学生のはずだ。 と、独歩は思考する。 だが、よく見れば勇者部の部員たちはその年相応のあどけなさも備えたものもいれば、美森のような大人びた風貌を持つ者も何人かいる。

 

 もし若い頃の範馬勇次郎がいたら、とんでもないことになっていただろう。

 

「・・・・恐ろしい部活動だぜココはよォ」

 

「・・・・?」

 

 続けな、と独歩が言うと、美森は気を取り直して言うのだ。

 

「―――――愚地さんは、敵、なんですか・・・味方、なんですか?」

 

「・・・・東郷、それって」

 

 風の言葉に、なお険しい表情を崩さない美森が答える。

 

「もしかしたら、造反神の手先なんてことも―――――」

 

「東郷さん、多分それは違うよ」

 

 美森の言葉に割って入ったのは友奈だった。

 

「友奈ちゃん?」

 

「もし愚地さんが敵だったんなら、学校にいる私たちに一番近い距離にいるこの人は戦いを仕掛けてくるはずだよ?

私は、愚地さんは不意打ちとか、卑怯な技とか、そういうのはしない人だと思うんだけどな」

 

「――――――」

 

 独歩は無言だった。 なぜなら、

 

(めっちゃ俺に刺さる言葉じゃねぇか)

 

 空手を教える指導者としての愚地独歩は友奈の言う通りの人物だろう。 だが、格闘家である愚地独歩は違う。

 

 不意打ち、だまし討ち、負傷している相手に追撃を容赦なく行ったこともある独歩にとって、友奈の言葉は胸に刺さる。

 

「――――ですよね?」

 

 加えて、悪いことを知らないような無垢なこの笑顔、これを裏切るのはとても忍びなく。

 

「おうよ」

 

 言ってしまった。 あまりにも無責任すぎやしないか、自分。

 

「んー、疑問は残るけど、友奈ちゃんがそういうなら・・・・」

 

 美森も納得したようで、独歩も安堵の息をつく。

 

「まぁ、俺としても判らねぇ事が多すぎてナぁ・・・空手部の顧問の合間、教えてもらうとするかい」

 

「あ、だったら私、提案があります!」

 

 快活な声が上がる。 その人物は高嶋だった。

 

 

「およ? どうしたんでぃ、双子の」

 

 実際に双子ではないのだが、しかし高嶋は気にすることなく、

 

「愚地さんは、武術の達人なんですよね?」

 

 そらそうよ、と独歩は拳を突きだし、

 

「こう見えてもオイラ、地元じゃ”武神”だとか、”虎殺し”なんて呼ばれてんだぜ? 自慢じゃねぇがな」

 

 おお、と高嶋は両手を握って喜々とした表情を浮かべる。

 

「だったら、私たちに稽古をつけてほしいんですッッ」

 

「―――――ほう」

 

 独歩はそう言うと、高嶋は続け、

 

「愚地さんは敵と戦うために来たんですよね? 私たちも、愚地さんの敵について、この時代について、いっぱい教えたいことがあるんです!!」

 

「―――――つまり、その見返りに教えを乞うってワケか・・・たしかに」

 

 現段階の独歩にはこの世界の仕組みというものも、敵の名前も勇者についても知識はない。いかなる戦いにおいても”敵を知ることは百戦危うからず”、という言葉もあるくらいだ。

 

「しかし、他にも勇者ってのはいるんだろ? 俺が言うのもなんだがァ、部外者の男がいきなり来て指導とか、納得する奴がいるとは思えねぇが」

 

 現在、空手部の顧問をしていることもあって、教えることは何も問題はない。 だが、考慮するなら、彼女たち勇者の半数が女子中学生だという事だろうか。

 いきなり現れたオッサンに指導を受けて多感な年頃の彼女達の中には良く思わない者もいる筈だ。

 

 だが、そんな心配をものともしないような声がある。

 

「ほかの部員たちへの説得は私もやります」

 

 今度は風が手を挙げた。

 

「あ、じゃあ私も!」

 

 友奈も手を挙げる。 するとその場にいた全員が頷いて、協力するように賛同し始めた。

 この少女たちは互いに協力し合い、これまでの戦いの難所を切り抜けてきたのだろう。

 

 別の時代の、赤の他人がここまで協力し合えるなど、とてもできない。それこそ、死線を潜り抜けてきたからこその絆。

 

(――――イイ子達ばっかじゃねぇか) 

 

 自身の息子にも学んでもらいたいものだ、と独歩は思う。

 

「いいぜ。 その話、乗ったッ」

 

 独歩のその承諾に、高嶋が笑顔を浮かべる。 その笑顔を見て、独歩は考えていた。

 

(この娘、実は最初からこうなるって分かってたんじゃないの?) 

 

「ありがとう、独歩ちゃんッッ」

 

「ど、ドッポちゃんッッッ!?」

 

 高嶋の自身の覚えのある呼ばれ方に独歩は思わず戸惑う。

 

「いきなり”ちゃん”づけは・・・まずいのでは」

 

「いずれはそう呼ぶつもりかい・・・」

 

 美森が苦笑いに突っ込む風だが、対する独歩は小さく笑って、

 

「―――――イヤ、構わねェぜ」

 

 

―――――ドッポちゃん、私のスーパーマンッッ

 

 

 元の世界、自身の妻である夏江と同じ名前で呼ばれるのは抵抗もなく、むしろ懐かしくも感じた。

 

(そういやァ、この世界に来ちまうと、夏江と離れ離れ・・・しばらく会えないか)

 

 一人残してきた妻を思うと寂しくもなるが、ここで己がやるべきことを見定めることが先決だ。

 だがそれでも、最愛の妻の事は忘れられないので、

 

(まぁ、ここから無事に帰ったらよォ―――――)

 

 

 

―――――尻でも撫でてやるか。

 

 

 

 

第二話~胡散臭い神託ッッ~




 正直、寒子さんがいなかったらこの作品自体作れなかった名じゃないかなと思うくらいの重要キャラ。
 中学生代の巫女組と比べ、バキ世界の巫女役は90歳のババアという異質。
 しかし霊媒師だから、神託を受け取る巫女とはジャンルが違うのでは?←なんだァ・・・テメェ?

 今更ながら、原作刃牙を読み直す男、バロックス。 シリーズ通すとどうしても徳川のおっちゃんがただの戦闘好きサイコパスにしか見えない・・・・台詞は意外といいのがいっぱいあるのに・・・・


 グラップラー達の謎理論があれば弱気なあの樹ちゃんも、ドリアン海王のようなアラミド繊維使いに、友奈ズ達は束ねた竹に対して貫手をかます修行を始めることでしょう。

 他にも、自分が気づかない、このキャラにこんな事させてみたいネタがあったら、気にせず感想に書いていただければと思います。 実現するか分かりませんが、出来るだけ努力してみようと思います。

 では、次回。
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