A.烈海王と花山薫です。
???「なんだァ・・・てめェ」
Q.この作品のメインツンデレキャラって誰ですか?
A.郡千景と三好夏凛と楠芽吹と烈海王と範馬勇次郎です。
主人公もツンデレ枠も射止める烈海王マジ有能。
ちなみに私が好きな刃牙キャラは渋川剛気先生。
Q.ヒロインって?
A.ああ!←壮絶なネタバレ(いずれわかる)
――――酒を飲んでいる男がいる。
バーのテーブルに腰を掛けた20代ほどの男の体格は日本人の者とは掛け離れていた。
チャイナ服越しでも分かる隆起した広背筋、厳しい鍛錬によって余分な脂肪を極力そぎ落とした無駄のない筋肉によって構成された上腕。
一言で表すなら、その男の身体は相当鍛え込まれていた。
極めつけ目を惹くのは男の片足が義足という所だろうか。
片足が義足のその男、
彼は中国拳法を極めんとする拳法家だ。
かつては、愚地独歩の息子である愚地克己と戦い、範馬勇次郎の息子、範馬刃牙と戦ったこともある人物。
「・・・・ふぅ」
飲み下したと同時に感じるアルコールの熱さを喉と腹の部分に感じて、彼は小さく息を吐く。
「この店に上質な
グラスを静かに置いて、彼は笑う。 それは、この酒に対しての彼が得た満足度を表すもので、
「―――来てよかった」
遠く離れた中国の味をこの日本という国に来て、味わうことができたことに烈は感謝の意を込めて、その言葉を口にする。
マオタイ酒は中国で生産される白酒と呼ばれる蒸留酒だ。 国酒とも呼ばれる。
原料は麦、もち米、もろこしなど等。
熟成期間によって値段が大きく変わり、高値でつくマオタイ酒は数百万するものもあるとか。
近年は飲み易いようにアルコール度数を抑えた物が市場に出ている。 が、烈が今飲んでいるのは市場のものを軽く凌駕するものだ。
アルコール度数抑え目のマオタイはだいたいが38~53度。 だが、本場は60度を遥かに越える。
「~~~ッッ」
一口を口の中に運んだ烈が感じたのは痺れだ。 華やかな味とは裏腹に、アルコール度数60と言う強烈な痺れが烈の舌を唸らせる。
何度も何度も口内で味わう訳にはいかず、喉奥まで押し込んでは一気に食道へ、胃袋の中へと落としていくが、液体が喉から胃袋へと駆け抜けた部分に熱を持つのを烈は感じ、思わずむせ返りそうになる。
「おお・・・・」
少しばかり癖になりそうな味。
そして飲み干した後のグラスから漂う芳醇な香りも、マオタイ酒の魅力の一つだ。
――――彼はかれこれ数時間、その酒を注文しては飲み、それを繰り返しては、じっとしている時間を過ごしていた。
傍から見ればアルコール中毒者なのか、と取れる。
だが酒の大量摂取をしている訳ではない、ましてや、酒におぼれるようなタイプでもない。
ただ烈海王は、考えていた。
「・・・・・」
自身の右足に目が行く。 かつて己の鍛え抜いた上半身を、中国四千年の技術を支えていた右足はひざ下より存在が無く、棒状の義足が彼の右足の代わりだ。
蘇った原始人、古代の戦士、ピクルとの闘いで負った傷。
己の持てる武術、中国四千年の歴史を持ってしても、一億四千年前の古代の力にはまったく歯が立たず、烈は敗北を喫し――――、
――――その代償として、右足を食い千切られた。
後悔はない。 むしろその後で愚地独歩の息子である克己が己の中国武術と空手を合作技で、ピクルに一泡吹かせてやれたから良かったと思っている。
克己も右腕を失ったが、彼も言っていた。
――――後悔はない、と。
(―――だが私は)
足を失い、以前ほどのアクティブな動きが出来なくなったのは確かだった。
脚は全ての打撃技の起点となる。 拳は足を使って打つ、という言葉があるように、脚を失うことで大幅なパワーダウンが起きていた。
武人・烈海王にとって片足が無くなったのであれば、”片足が無い戦い”を強いられることになる。
それは、これまで自身が身を置いてきた戦いの世界において圧倒的不利。
義足を付ける際に武闘家としての人生を止めるつもりは無かった。 だが、彼の主治医は残酷にも告げる。
――――貴方はファイターとして、充分に戦えない。
当然、烈はその声を否定して見せた。 リハビリを終え、以前ほどのスピードは無いが、走れるまでに回復した。 日課の鍛錬も怪我をする前よりも量を増やして行い、こなすことが出来ている。
それでも彼が悩んだのは武闘家として自分の未来のビジョンが見えないというものだった。
――――本当に日々臨戦態勢である武闘家が突如襲われて対応できるのか、
(――――この足でッッ)
――――片足を狙い、地面に倒され、関節技を決められたとして、逃げられるのか、
(――――この足でッッ)
――――義足のベルト、万が一外れたら? 義足の先端は木製だ。 もし折れたら?
(戦えるのかッッ!? ――――この足でッッ)
武闘家として戦えるのか、戦えないのかという不安が烈の進む道に影を落とす。 その影は心の中に巣食うように纏わりついたのだ。
どんなに鍛錬を積み重ね、払拭しようとしても抗えない――――不安。
まるで出口のないトンネルを歩くが如く彷徨う毎日。 そんな日々を烈はここ最近、送っていた。
だからなのか、中国の酒を味わえるというこの店を見つけてからは入り浸るようになっていたのである。
(―――酒ッ 飲まずにはいられないッッ)
程よいアルコールは気分を高揚させる。 一瞬でも烈の不安は解消された。が、それは一時的な物だ。
時間が経てばすぐに暗い闇が烈を引き摺りこもうとするし、そんな酒に頼っている自分にも嫌気がさしていた。
『引退』。 その二文字が色濃く烈の脳裏を過ぎって、彼はグラスを割れない程度にテーブルに叩きつけて、我に返る。
店主は気にしないといった顔で作業を一瞬だけ止めて、すぐに元の作業に戻った。 懐の良さ、というか寛容なのか、どちらにしろ烈はまた己を恥じた。
「―――失礼したッッッ」
時間も気にし始め、烈はテーブルに代金を置き、店を後にする。
(―――脆くなった・・・・とても・・・・)
武術を極め、肉体的にも精神的にも鋼と昇華させていると自負している筈なのに、今の自分を見てはこれまでの鍛錬が嘘だったかのようだ。
(―――どうすればいい・・・・ッッ)
己自身に問う。
(―――どう進めばいい・・・・ッッ)
まるで藁にもすがるような想いで、
(どうすればいいのだッッ 中国拳法よッッ)
いくら自分に問いを重ねても、答えは出なかった。
――――外に映える夜の月はそんな烈を嗤うかのように光っていた。
○
(・・・・少々飲み過ぎたか)
蒸気した肌を寒空が優しく撫でる。 酒によって上昇した体温、視界のぼやけなど、自分でも珍しく深酒してしまったと烈は猛省し、夜道を歩く。
(明日は神心会での合同訓練がある。ホテルに戻り、早く休養を取る為に寝なければ)
そう考えていた時だった。
「・・・むッ?」
烈の視界が歪み始める。 空や地面や、壁が空間湾曲をお越し、辺り一面が変貌していくのを烈は目にした、気がした。
何度目をこすっても、それはぼやけ程度にしか感じず、烈は周りが樹木に覆われた世界に居るということにすら気づいてはいなかった。
「これは・・・幻術?」
だがうっすらと見える現実離れした世界を瞳に納めながら以前、ドリアン海王が用いていた幻覚を引き起こす催眠術を烈は思い出す。
だが、これは全て酒によるものだ、と勝手に決めつけて烈は歩くのを止めない。
異変というものをかすかに感じながらも歩を進めると、樹木の陰から何か、白い生物が漂うように現れたのだ。
烈の中国には”一目五先生”という一つ目と口を持つ妖怪がいる。 ちょうど目の前の白い生物同じ大きさなのだが、一目五先生は一つ目で、口があるのに対して、この生物は人間のような歯を持った口だけだ。
空中に浮いているし、なにか尾ひれには触手のようなものまで付いている。
(夢――――か)
それでも深酒の影響は大きかったらしく、烈の思考は今の状況が危険な状態だと判断するには冷静さを欠いていた。
今でもこの空間を夢、幻だと信じ、全て酒のせいにしようとしていたのである。
白い生物たちは歯をカチカチと鳴らし、烈の様子を窺っているようだった。
そんな彼らは殺気のようなものも醸し出していて、いつでも襲い掛かる準備は出来ている、ということを烈は理解できていない。
「あー、ちょっとみんな動かないでー」
「・・・?」
烈が耳にしたのは女の声だ。 それは白い生物の後ろから何かが跳躍するように飛び上がって、烈の前に現れる。
「・・・とっとっと!」
勢い余ってつんのめりそうになった身体を制御しながら、身を起こしたのは少女だった。
緋色の髪に、小麦色に焼けた肌、極めて注意を惹くのは――――
(こ、コスプレ・・・・ッッ?)
烈のいる日本という国にはコスプレという文化がある。 その手の作品のキャラになりきる為に衣装を創り、それを着て催しものに参加することで周囲からの評価を得る者たちを”コスプレイヤー”と呼ぶらしい。
ちなみに、それを教えてくれたのは以外にもあの
目の前の少女は、烈がテレビなどでみたそれと似たような恰好をしていたために、頭の中ではその言葉が浮かんだのだ。
「造反神様が”未解放地域に変なのがいる”って言ってるから来てみれば―――」
緋色の髪を掻きあげて、異様な美しさを持つその少女は烈の顔を間近でジロジロと見始める。
「ッッッ!?」
迫りくる少女の顔に、烈は思わず数歩だけ後ずさった。
「勇者以外の人がこの地域に入れる訳がない――――、最近勇者部に力を貸してる人のお仲間さんかな?」
「仲間・・・・誰だ、それは」
んー、と少女は唸っては人差し指を自身の口元にあてて、
「あっ、アレだ。 右目に眼帯してて、空手家の」
眼帯に空手、その二つのワードだけで、酒でぼやけた頭でもすぐに浮かび上がる人物がいる。 愚地独歩だ。
彼を知る者という事は、神心会の関係者だろうか、と烈は勝手に思考を進める。
そして、彼が口にしたのは、
「その人物は、私のよく知る人物だ。 同じく、武の道を志している―――――」
「へェ・・・・!!!」
どの台詞の辺りからだったか分からなかったが、少女が確かに浮かべていたモノ―――、
――――それは邪悪。
烈のその言葉は少女には決して言ってはいけない言葉だったのだ。
「―――――ッッ!?」
ぼやけた視界が冴えるような寒気を覚えた時、烈の目の前の少女は手甲を携えた右手を振りかざしていた。
両目を妖しく輝かせ、小さくタメを作り、
「―――-勇者パンチ」
手甲を纏う腕を突きだす。 自分の腹部に少女の拳が到達するのを烈は黙って見る事しかできなかった。
「―――ッッッ!!?」
速度は
拳が烈の溝尾を抉り、
衝撃が全身を裂かんとばかりに駆け巡る。
それはとても、少女の力とは思えないような重みを持った一撃であり、
「が、・・・ごッ!!」
腹部から口元にかけて昇ってくる感覚、吐きはしなかったものの、膝を曲げ、身体をくの字にするには十分すぎる威力だった。
直後、下がった頭部の後ろで何かがトン、と当たるような感覚とともに、烈の視界が、意識が、完全に奪われる。
後頭部への手刀。 漫画だけの世界かも知れないが、実際に出来るらしい。 むしろ、死ぬこともある気絶技の絶技。
「――――-」
倒れ、モノを言わなくなった烈。 気絶して動かないのかを確かめるように少女が烈の身体を軽く人差し指で突いてみる。
だが、彼が起きてることが無いと確信して、笑みを浮かべた。
「ナァんだ・・・・弱いね」
あと酒臭いな、と少女は続け、
「その空手の人の仲間なら・・・って思ったんだけど。 造反神様も考え過ぎだよね~」
だが自身の必殺拳をまともに食らって生きているだけでも異常な存在なのが分かる。
それでも尚、その程度の強さは今の少女にとって何も障害にはなりえない。
「んー? なぁに?」
少女の側に白い生き物が寄ってきた。
その頭部らしき部分を撫でて、その生き物が、目の前に倒れた男を食べてもいいかと、ねだってきている事を察する。
「ダメだよ。 私ひとりで済んじゃうくらいの人だし、これなら私たちの計画にも支障は起きないから―――」
あくまで殺すつもりはない、と言った少女は遠くにいた白い生き物とは少し形状を変えている生き物を見つけて、こちらへと呼び寄せた。
「アタッカくん、この人を解放地域の適当な場所に置いてきてよ。 食べちゃダメだからね?」
もとより私に口はない、と言いたげなその生き物は触手で烈を担いではどこかへと飛んで行った。
アタッカと呼ばれる生物の姿が見えなくなって、少女は一息つく。
「さぁて、そんなことより次の作戦作戦・・・いつやろうかな、勇者部襲撃」
完全に悪いことを実践する悪役の顔ソレになっていた少女が歩くのを止める。頭に響いてくるこの感覚は確か、
「ああ、造反神様。 変な人は私が退治しておきましたよーっと」
自分の主に快活な声で答え、少女は脳内に響いてくる声に一人で答え始めた。 傍から見れば独り事を呟いている光景。
だが、ここにもとより”人間は一人”。 気にすることは無い。
「さぁて、そろそろ戻るかな。 ―――
にかっ、と笑ったその少女―――、赤嶺友奈は白の生物の背の部分に乗って、どこかへと去っていくのだった。
○
――――数刻後。
烈の身体は見知らぬ土地の自販機に対して背を預けるようにして、意識を失っていた。
虚ろな瞳は開くことなく、腕は力なく垂れ下がっている。 だが時間が経てば、いずれは目覚めるだろう。
そんな時。
「・・・・む」
未だ意識が目覚める事のない烈の前に、一人のコートを着た・・・褐色肌の少女が立ち止まった。
マオタイ酒なん飲んだことないです。男は最初はビール、あとはカクテルでいいでしょ。そうでしょ?(ふるえ声
烈さんはまだ武蔵と戦う前。 ボクシングやると決める前、だからまだ死なない。
ボクシング編前の烈は結構、武術家として続けるか迷ってたっぽいから、過剰に表現してピックアップ。刃牙側にもシリアスキャラがいないとね。
この作品の赤嶺ちゃんは勇次郎みたいな顔で打ん殴ってきます。
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