「結城友奈は勇者である・・・花結いのきらめきッッ」(CV:小杉十郎太)
タイトルコール、どっちがしっくりくると思います?
前者:今作の範馬勇次郎
後者:前作の範馬勇次郎
古波蔵棗は勇者である。
彼女は四国より遥か遠くに位置する南の地方、沖縄の勇者だ。
「・・・・」
外気温がそれほど低くはないというのにコートを着た少女、棗はその双眸で自販機にもたれかかっている男を見つめる。
「これは・・・酒、の匂い」
自身の鼻を刺激するの独特の香りはアルコールの物だと理解した棗は、この男が酔い倒れて、この場所で寝てしまったのだと予想を立てては納得する。
「うぅ・・・さ、寒い」
風が吹いた瞬間の肌寒さを感じ、棗の身体が震える。 この気温でコートを着ている理由、それは彼女が極度の寒がりが故の反応である。
沖縄は年中気温が高いこともあり本土、―――つまり四国の気温差が生じる為、寒冷地に対応できていない棗はいつも外出時はこのコートを着ていた。
だが棗は思う。
(――この人は・・・もっと寒いのだろうな)
酒に溺れるのは人の勝手だ。 自分の故郷である沖縄の道端にも泡盛を大量に飲んだ男の身体が早朝ゴミ収集場でいびきを掻いているのを見たことがある。
だが、元の性格だからなのか、勇者だからなのか棗にはその男の事を放っておくことが出来なかった。
「・・・・」
震える手つきで棗はコートを脱ぐ。 脱いだコートの上は讃州中学の制服だけだ。 元より長い外出にはしないつもりであったため、これ以上の服は着て来ていない。
コートを男の上半身を覆うように掛ける。 これなら寒くは無いだろう。
「・・・・これで、よし」
満足げに頷いた彼女に風が吹き付ける。 コートを着ていた時点でかなり寒いと感じていたのに、それを脱いでしまえば彼女にとってその今の外気は真冬と感じてしまう。
このまま寝ている男を起こすのは忍びない、そう考えた棗がその場を去ろうとした時だ。
『ワンッワンッ!!』
後ろからの声に棗が振り返ると、野犬が男の側にいた。
自販機に背を預けている男に対して、明らかに敵意の唸り声を上げなら犬歯をむき出しにして徐々に男へと近づいていく。
「こ、これは・・・」
マズイ、と棗が急ぎ野犬近くまで駆け出す。
犬の噛みつきというのはかなり痛い。予防接種を受けていない野犬の噛みつきは狂犬病を発症させる可能性すらあるのだ。
「しっ、しっしっ・・・」
棗には危害を加えるつもりはなく、手を振ると犬は棗の存在に気付いて一目散にどこかへ駆けていった。
脅威が去ったのを確認して、棗は一息をつく。
「やはり、誰かを呼ぼうか・・・・」
神樹様が作り出した結界内の世界だと言っても普通に犯罪とかは起きているらしく、棗がいるこの近辺では近々、酔っ払いなどを狙った物取りが現れるというのを聞いていた。
勇者部としての活動で、深夜までの飲酒は極力控えるようにと書かれたポスターを作成してほしいと市の方で依頼されたのは記憶に新しい。
野生の動物と物取りという危険がある中で方するというのは、ますます放っておけない。
「しまった・・・」
スマホを使って誰かを呼ぼうとした棗がスマホを確認しようとして眉を潜める。 ポケットにスマホは無かった。 自室へ置き忘れてきてしまったのだ。
これでは連絡どころか、勇者に変身して男を担ぐことすらも出来ない。
「・・・・・」
一際強く吹く風、今の棗にとっては一刻も早く帰りたいのは確かだ。 自室へ戻り、一年間起動している炬燵のスイッチを入れ、犬吠咲風が勧めてくれたホットココアを飲んで、身体を暖めたい。
だが彼女の―――、海は言っている。
「うん、そうだ・・な」
人ならぬ声に耳を澄ませて、それが自分が抱いていた重いと同調した事で棗は覚悟を決めたのだろう。
むしろ、こんな所で人を簡単に見捨てるような者が勇者であるはずがないのだ。
○
「・・・・む、むぅ」
意識がはっきりと戻り始めたのは何十秒前だったか、と烈は自分自身に問いながらも小さく瞬きを繰り返す。
『――――勇者パンチ』
「ッッッ」
徐々に覚醒し始めるとともに思い出されるのは、謎の衣服を纏った少女。
そしてその少女に一撃をもらい、気絶させられてしまったという記憶。
(見事な正拳突きだった・・・・)
少女が抉拳で抉った腹の部分を烈は摩る。 酒を飲み、不意を突かれたが少女の繰り出した正拳突きは精錬されたものだったのだ。
そのスピードは愚地克己のマッハ突きにも、パワーは烈が誇る崩拳にも劣らないものだった。
「夢であれば・・・良かった」
しかし、烈の心に刻まれた”年下の少女に負けた”という自身の武術歴史にあるまじき黒星という事実に歯を噛みしめる。
それが現実ではなく、夢であれば良いと思う程に。
”引退”という文字がこれを機に色濃く自身の脳内で浮かび上がっていくのを感じた烈。もういっそのこと、母国である中国に引きこもろうか。 そう考えていた時だ。
「コート・・・一体、誰の?」
自身に掛けられていた誰の物とも分からないコートに烈が唸る。 コート自体、烈は買った覚えがないし、この季節の気温では無縁の物だ。
「・・・ッッッ!!?」
だが、突如として烈の胸にざわめきが去来する。
それは、周囲の状況を確認しようとした烈が徐々に視線を動かし始めた時だった。
烈の視線が徐々に地面から上に向かうにつれて、見える物がある。 人の脚だ。
――――視線を完全に見上げた先、少女が立っていた。
「え・・・・?」
何者かも分からない者からの攻撃を受け、気絶した自分がいて、目を覚ませば目の前には誰かが居る。
確証は無いのに烈の中では既に”守護られた”という予想が建てられた。 そして同時に感じたこの
死刑囚である暗器使い、ヘクター・ドイルと戦う中で意識を失った烈にトドメを刺すどころか、烈が目を覚ますまでその身を挺して警護していたその状況が烈の中でフラッシュバックした。
「ば、バカな・・・・」
烈は息を呑む。
(見ず知らずの他人の為に――――)
亀の如き速度で身を起こしながら、
(―――一晩中私を警護していたというのかッッ この少女はッッ!!!)
目の前に立つ少女を見据えた。
「・・・・・」
虚ろな目を浮かべた少女は身を揺らしながらも、尚その場に倒れることなく立ち続けている。
頭には彼女の髪を自身に都合のいい巣だと勘違いしたカラスが数匹が止まっていた。
「―――ッッ」
烈は即座に、群がるカラスを駆け出す挙動で追い払うと少女の首元に手をあてる。
カラスは死骸に、もしくは死にかけの出す生き物の死臭に反応して寄ってくる。 ドイルの時もカラスが群がっていた。
これが同じ状況ならば、彼女は死に体なのではないかと不安に駆られる烈。 だが、それは杞憂に過ぎなかった。
(―――脈はあるッッ 生きているッッ)
確かにある反応に烈は安堵する。 だが、それも束の間で少女の鼓動はあまりにも弱弱しい。
「・・・・き、キミッ」
突如として、少女が烈の身体に凭れるように倒れ込んできた。 烈は避けることなく少女の身体を受け止める。
「ふぅ・・・ふぅ・・」
「こ、コレは・・・ッッ」
荒い息、上下する肩。 顔は赤く、服越しでも感じる体温。
額に手を当てた烈は確信する。 少女が酷い風邪を引いているということに。
「クッ・・・、すぐに神心会の医務室へ・・・・ッッ!?」
かつて彼がそうしたように、神心会の道場へ連絡をつけようとするが、烈はここである事に気付く。
(ここは・・・・どこだッッ)
周囲は、彼が今までいた東京の街中とは大きくかけ離れた場所だった。
見知らぬ建物、看板、土地、全てに覚えがない烈は今いる自分の現在地が分からない。
それもその筈である。 烈が今いるこの場所は、彼が居た東京ではないのだから。
――――万事休す。
そんな言葉が脳裏を過ぎる。 それはまたしても烈の敗北の歴史に新しい黒星を植え付けるものだ。
最新の敗北を刻まれ、何もできない烈は自身の無力さに唇を強く噛む。
「―――州、・・学」
「なにッッ!?」
弱弱しく、少女が何かを呟いた。 か細い声で繰り返している少女の声に烈は耳を澄ます。
「讃・・州・・中学――」
「サンシュウチュウガク・・・」
聞き覚えのない学校の名を出され、烈は困惑する。 だが、それも一瞬のことだ。
学校であれば、そこには必ずと言っていいほど保健室という医療機関が存在する。
見知らぬ土地で土地勘も無く、知らない名の学校。 だがその存在に烈は賭けた。
「その場所はッッッ」
小麦色の肌の腕が力を振り絞って示した方向は南東。 その直後に少女の腕から力がなくなったのか、ぷらん、と垂れ下がる。
眠るように静かになってしまった少女の体力は限界に近いのかもしれない。
「方角さえ分かればッ」
烈は上半身の服を脱ぎ、上裸の背に少女を乗せては脱いだ衣服で烈ごと固定するようにキツく巻きつけては固く結ぶ。
(肝心なのは――――、)
背負っている少女が最後に示した方角を再度確認する。当然、その方向には途中で道路や、橋などの障害があるわけだが問題ない。
(数時間もの間、体調不良を冒してまで・・・見ず知らずの私を・・・守ったッッ)
この少女によって守られたというその事実のみが、烈を突き動かす。
「スゥ・・・」
―――これから始まる激しい運動に備え、全身の筋肉とうい細胞に酸素を送り込む。十秒ほど繰り返し、準備が整った烈が構える。
「死なせはせんッッ!!」
目指すはこの少女の通う学校、讃州中学。
少女の命運を賭けた激走が今、始まる。
勇者部のメンツはたぶんああいう類の人は放っておけないだろうけど(雪花さんは除く)、棗さんは多分のその気持ちが人一倍強いんじゃないか。
だからまさかのドイルさんポジション。
棗さん丁度沖縄だし、沖縄と言ったら琉球武術。 そして空手。
ちなみにヌンチャクって起源は車棒(くるまんぼう)という農具、馬具のムーゲーとうものから来ているらしい。
前者は脱穀用具、後者は馬用の道具(とてもどうでもいい)
二日前、私も友奈ちゃん達のように勇者パンチを会得しようとジムに行ってきました。
サンドバッグを初めて殴って見た結果、超いてェ。
勇者キックもやってみた。 砂固まってた場所蹴ったからマジいてぇ。
素手でやるもんだから皮が赤くなるし、気付いたら血でてるし。
ボクサーって凄いんですね。 あんなの自分のへなちょこパンチよりも遥かに早い、ジャブで殴れるんですし、試合ではそれを12ラウンドもやるんですっけ?
体力もたねーって思いました。 全力で10発でも殴ると疲労がパナイ。
だけど、殴り合いの戦闘描写に活かせそう・・・多分。 まぁ、その為にジム行ったわけですし。拳を怪我したのと、広背筋を筋肉痛にさせた意味はあったというものだ。
次回、バキシリーズ見てる人だったら大体展開は予想着くと思う。