艦娘ぐらし、始めました-Welcome to Kan-Colle world-   作:嵐山之鬼子(KCA)

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 談話室での反省会のあと、なし崩し的に白露たち3人と雑談→そのまま4人でゲーム(スマブラ)大会のコンボをキメ、それに夢中になってるうちに、いつの間にか夕食の時間になっていた。

 ある意味、軍人らしくない、そしてある意味、外見年齢(ティーンエイジャー)相応の“日常”に流され、同時に馴染んでいるのが自分でもわかる。

 

 「艦娘も軍人……というか軍隊組織なんだから、もっとストイックなところかもと思ってました」

 昨日同様、初春や磯波たちも加えた駆逐艦グループで一緒に晩ごはんを食べながら、ふと、そんな言葉を漏らしてしまう。

 

 ──深海棲艦(てき)艦娘(みかた)の血潮に塗れた艤装。

 ここはブルネイ。情無用、命不知の艦娘たちが集う鎮守府(ばしょ)

 前大戦以来の亡霊が住み着くこの世の地獄。

 腕っこきと謳われた第一艦隊も、ここでは明日の暁光を拝める保障はない。

 次回、「大破」。

 赤城が食べる朝採りのゴーヤは苦い。

 

 なんとなく『ボト〇ズ』風のポエムが脳裏に浮かんだものの、さすがにソレはないよね、と思い直す。

 (実際、公式四コマやアニメの様子を見た限りでは、そこまで切迫してる感はないし)

 もっとも、ノベライズの方だと『一航戦、出ます!』とか『鶴翼の絆』なんかは、結構深海棲艦に押し込まれてたから、悲壮感マシマシだったけど。

 (大淀さんたちから聞いた“この世界”の史実的には、“大反攻”の前は、きっとそんな感じだったんだろうな)

 

 「ふむ。呉鎮(ウチ)は割と綱紀に緩い方じゃな。四大鎮守府の中で、一番キッチリしておるのが横浜で、その次が佐世保、呉が3番目で、舞鶴が一番フリーダムらしいのぅ」

 そう教えてくれた初春の情報も、この鎮守府の別の提督配下の青葉からのまた聞きのようだ。

 「四大以外の小さな泊地や警備府なんかは、ピンからキリまでいろいろにゃしぃ」

 ムツキネットワーク(某ミサカネ〇トワークみたいな電脳情報網……じゃなくて単なる各地の睦月型艦娘による噂のやりとりらしい)経由で睦月も、色々な話は聞いてるのだとか。

 

 「中には軍規違反ギリギリの状態まで艦娘を酷使する、限りなく(ブラック)に近いグレイ鎮守府もあるのだとか。嘆かわしいことです」

 正義感の強い朝潮ちゃんが憤慨している。

 とは言え、国内ならともかく国外の最前線泊地などでは、艦娘(ひとで)が足りなくて、結果的に不本意ながらハードワークになっている可能性もなくはないだろう。

 浦風(うち)としては、最初にそんな“むせる”環境に放り込まれなかったことを喜ぶべきなんだろうな。

 

 夕飯のあとは、「親睦を深める」と称してこの七人でゲーム大会の続き(今度はマリカーで勝ち抜け戦)したり、そこへ那珂ちゃんが乱入してきたり、「お部屋拝見」と私の部屋に来た白露&初春が、あまりに私物が少ないことに軽くヒイたり……と、賑やかに夜のひと時を過ごすことができた。

 

 「それじゃあ、浦風、おやすみー」

 「うむ。良い夢を見るのじゃぞ」

 初春の言いぐさにちょっと苦笑する。

 「あはは、見る夢が選べるといいんですけどね──おやすみなさい」

 自室に戻るふたりを見送った後、さすがに初訓練で心身共に疲れたこともあって、まだ10時過ぎだったが、私は歯を磨いてからベッドに入ったのだった。

 

  * * *  

 

『艦娘になれる──とは言っても、相性というものがあって、希望する艦種・艦型になれるとは限らない』

 

 !?

 

『あまり身体的発育がよろしくないうえに、顔の方も地味なわたしは、密かに期待していたのだ』

 

 この声は……また、アレか。

 

『戦艦とまでは言わない。重巡洋艦、なんなら軽巡洋艦でもいい。愛らしくも美しく、女らしい肢体と容貌(かんばせ)。そんな艦娘(すがた)になれることを』

 

 “本物”の浦風(とうらみなみ)の記憶、だな。

 

『だけど──わたしの適性があったのは駆逐艦だった』

 

 !

 

『いくつかの候補のうち、最終的に残ったのは2艦型』

 

 …………。

 

『ひとつは、今現在のわたしよりは幾らかはマシだけど、それでもどこか垢抜けない地味な印象の強い、吹雪型の10番艦・浦波。

 もうひとつは、それとは対照的な、スタイルがよくてお洒落な、わたしの理想ともいえる美少女の姿をした陽炎型11番艦の浦風』

 

 …………。

 

『当然、わたしは浦風を選んだ。軍の担当係官には、浦波の適合率が70%を越えているのに対し、浦風は30%ちょっとだったから、できれば考え直すように言われたけど、わたしは頑として譲らなかった』

 

 それは──どうなんだろう。

 いや、どうせ容姿が変わるなら、少しでも美人な、あるいは理想に近い方を選びたいというのは、理解できなくもないけど……。

 

『艦娘になるための“手術”は呆気ないほど短時間で済んだ。医務室のベッドで目を覚まし、部屋にあった鏡で“浦風(じぶん)”の顔を見た時の歓喜と感動を、わたしは一生忘れないだろう』

 

 わかるようなわからないような……。

 

『それなのに……ああ、どうして』

 

 ?

 

『どうして……わたしは…………』

 

 

──ピピピピッ、ピピピピッ!

 

 「こ、ここで時間切れかぁ」

 目が覚めて早々に、ベッドの中で溜息をつく。

 「もうちょっとで、戸浦美波の記憶の核心に触れられた気がするのに」

 無論、ソレがわかったからって、私が今の状態から元に戻れると決まったわけじゃない。むしろ、知ったって何の助けにならない可能性も少なからずある。

 

 でも、(うち)は、この“入れ替わり”の元凶(カギ)が、記憶(ソコ)にあると予感、いや確信していた。

 

 「て言うても、この時間から二度寝するわけにもいかんか。しゃあない。ちぃーと早いけど、顔、(あろ)てこよ」

 寝間着から手早く「普段の制服」に着替えた私は、「いつものように」洗面器に朝の身支度セット一式を入れて、共同洗面所へと急ぐ。

 ──自分が、ごく自然に広島弁でひとり言を漏らしたことにも気づかずに。




(ホラーのつもりは)ないです。
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