艦娘ぐらし、始めました-Welcome to Kan-Colle world-   作:嵐山之鬼子(KCA)

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Another5-2c.魅惑の黒に誘われて(転[村])

 唐突だが『強殖装甲ガイバー』というSFバトル漫画をご存じだろうか。アニメ化や映画化もされている人気タイトルだが、その第一話で主人公は謎の金属製ユニットを拾い、うっかりスイッチを押してしまい、そこから飛び出してきた触手に絡みつかれた挙げ句、くだんのヒーロー「ガイバー」に変身するハメになる。

 

 なぜ、こんな話をしたかと言えば……「村」の箱を開けた月村提督が、まさにそれに近い状況()に遭っているからだ。

 

 順を追って話そう。

 自分宛に届いた3つの銀色の箱のうち、とりあえず提督は村印の箱から開けて中身を確認しようとしたのだ。

 

 箱の中には、濃紺を基調に赤と白で彩られたノースリーブのセーラー服らしき上着が入っており、これが何型艦娘用のモノだったかとっさに思い浮かばなかった提督は、首をひねりつつひとまずソレを箱から取り出して脇に置く。

 そのすぐ下に入っているスカートは、上着と同色の紺のプリーツスカートと、何の変哲もないものだったのだが……。

 

 さらにその下から現れた代物(モノ)が、月村提督の煩悩を揺さぶった。

 「あ……」

 そう、それは黒い滑らかな化繊素材で作られたインナースーツ──俗にいう「黒インナー」だった。

 

 「む!」

 思わずその黒インナーに手を伸ばした提督だったが……。

 その指先が布地に触れた瞬間、あろうことかインナースーツがあたかも生物のように動き出し、提督に“襲いかかった”のだ!

 軟体動物の触手……というかむしろ粘性生物(スライム)の如き動きで黒い布は、伸ばされた指先をつたい、提督の腕へとまとわりつく。

 

 「な、なんだ、コレはッ!?」

 反射的に手を引き、ソレを振り払おうとした提督だったが……。

 黒布の反応の方が早く、袖口から提督の服の中へと侵入していく。

 

 「うわ!!」

 何とか引き剥がそうと提督が左手を右袖口に持っていくよりも速く、黒インナーの本体(?)部分も、そのまま服の下へズルリと入りこむ。

 

 次の瞬間、どのようなカラクリか、提督が着ている(軍服なのでそれなりに丈夫なはずの)海軍士官服が、内側から千切れ、弾け飛んだ。

 その下に着ていたはずの下着類もともに千切れとんだらしく、気が付けば彼は全裸状態……ではなく、問題の黒インナーが全身にまとわりついている。

 アメーバのように蠕動しながら提督の身体の表面をはい回っていた黒い布(?)は、しかし徐々に動きが緩やかになり、ほどなく元のインナースーツの体裁を取り戻した。

 ──ただし、月村提督がソレを着用している形で。

 

 布切れが自分から動いたことは脇に置くとしても、そのインナーは随分と奇妙な形状をしていた。

 一番近い表現は「黒いハイネックのワンピース水着」だろうか。実際、静止した今の布の質感などは競泳用の水着などに近い。

 

 ただし、右腕の部分は長袖かつ指先まで手袋状に覆われており、また、右脚についてもタイツのごとく足先まで布が続いている。それでいて、左手と左足は通常の水着同様に肌が剥き出しになった、左右非対称(アシンメトリ)構造なのだ。

 

 奇妙ではあるが、布が自らまとわりついて来るという非常識なアクシデントを無視すれば、見た目そのものは非常にセクシーではある。

 せめて、コレを着ているのが(男の)自分でなければなぁ……と多少なりとも平静を取り戻した提督が、僅かにスケベ心を復活させたところで、彼の身体が勝手に動き出した。

 

 「な……ちょ、コレ、どうなってるんだ!?」

 驚きの声をあげる提督だが、その間も身体は、彼の意思に従わずに動き続ける。間違いなくこの黒インナーの仕業なのだろう。

 

 先ほど脇によけたセーラー服をかぶり、胸元に赤いスカーフを結んでから、白いケープを羽織る。

 ミニスカートに上から足を入れて腰まで引き上げ、左横のホックとジッパーを留める。

 剥き出しの左脚に箱から出した黒のオーバーニーソックスを履いたうえで、両足には茶色の革のローファを、両手には手首までの白手袋を着用。

 最後に赤い縁取りのある黒いベレー帽をかぶったところで、ようやく身体が自由を取り戻した。

 

 「もしかしてこれって……」

 ひとつの予想を立て、強制女装状態の提督は自らの姿を鏡に映す。

 

 「やっぱり。この衣装、たぶん先月発表されたばかりの村雨改二のものだな」

 年明けの公報で三番艦・村雨の改二実装が伝えられ、村雨改二が黒インナー組だということ自体は月村少佐も知ってはいたのだが、この鎮守府には白露型駆逐艦娘がひとりもいないこともあって、先程はとっさに思いつかなかったらしい。

 

 「提督間でもいろいろ話題になってはいたけど……確かに、エロ可愛い格好だなぁ」

 先ほど同様、自分みたいな男の女装じゃなく、ぜひとも村雨本人が着ているトコロが見たかった……と、残念に思う提督。

 

 ──その想いがキーとなったのだろうか。

 再び提督の身体が硬直して動けなくなったかと思うと、さらなる変化がその身に襲いかかったのだ!

 

 ベレー帽の載った頭部に生えた髪の色が、黒から明るい茶色へと変じていく。同時に、ぞわぞわと震えながら髪の毛自体が長くなり、腰近くまで伸びたところで、黒いリボンが巻き付き勝手にツーサイドアップに結わえられる。

 

 一応170センチはあった身長が10数センチ縮み、元よりそれほど広くもなかった肩幅も、さらに華奢になる。

 

 ペタンコだった(男だから当然だが)胸がゆっくりと盛り上がっていき、同様にヒップも女らしい丸みを帯びていく。

 

 驚きと恐れに見開かれた両目のうち、左目はほとんど変わっていないが右の瞳は血のような鮮やかな紅色に染まっていく。

 

 よく見れば顔つきも、僅かに元の面影は残しつつも全体にこじんまりとした可愛らしいパーツに変貌しているようだ。

 

 股間にある“男の徴”だけは最後まで存在を主張していたが、他の部分の変化が終わった時点でついに力尽き、陰茎は小指の先ほどの陰核へと変わり、そのすぐ下に胎内へと続く溝と肉襞が生じていく。

 

 鏡に映る己が変化を否応なく見せられることおよそ数分。

 そしてその変化が一段落した数分後に、そこに立っていたのは月村提督とは似ても似つかない白露型駆逐艦娘の村雨(改二)にほかならなかった。

 

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