艦娘ぐらし、始めました-Welcome to Kan-Colle world- 作:嵐山之鬼子(KCA)
そして翌日の朝。
いつも通り始業時間の8:00の1分前に執務室に入って来た古鷹と鉢合わせした僕は、数分間の問答と説明の末、なんとか自分が元・月村青雲少佐であることを、彼女に信じてもらえた。
「まさかそんなコトが……済みません、提督! 昨日、私が部屋を出ずに一緒にいれば、こんなコトには」
古鷹が泣きそうな顔で繰り返し謝ってくるが、彼女には別に落ち度はない。
確かに、執務室に古鷹や他の艦娘がいたなら、あの箱を開けて中身を目にしたからといって、その場で着てみようとはしなかっただろうが、中身を知った以上、僕の性癖からしてなんだかんだと理屈をつけて箱を自室に持ち帰り、結局はそれ(着衣)を実行していた公算は高い。
つまりは、「艦娘の
現状を隠し通せるとは思えないので、仕方なく基地の総司令に連絡したところ、とり急ぎ例の研究所へと搬送され、精密検査を受けることになった。
それと合わせて緘口令がしかれ、僕自身と総司令以外で僕が艦娘になっていることを唯一知る古鷹にも口止めが為された。
「当面“
「了解しました。古鷹も、他の娘たちに聞かれたら、そう言っておいてくれ。あと、申し訳ないけど遠征などの対応も任せる」
「は、はい、承知しました。出来る範囲で頑張ります!」
で。
人間ドックの健康診断の軽く数倍は手間暇のかかった検査の結果、わかったことと言えば、僕の身体は見かけ通り完全に艦娘となっていること、そして艦娘としての各種能力──艤装の装備や展開・使用、水上機動、入渠による完全回復機能などを備えているということだった。
また、精神面では、基本的に「月村青雲」としてのパーソナリティと記憶の大半を留めているが、ごく一部は艦娘としてのメンタリティによる浸食が見られること。また、今後その浸食度合が進むことが予想されることも教えられた。
「とは言え、浸食のスピードはゆっくりしたものじゃし、いくつかの前例から見て、最終的には半々程度の状態で均衡がとれる可能性が高いがの」
研究所の所長──初老の技術士官・平賀准将は、慰めとも開き直りの推奨ともとれる、そんな言葉を投げかけてきた。
「あのぅ、元に戻ることは……」
「ふむ。“艦娘を辞める”こと自体は可能じゃが──今、仮に退役しても、お主の身体は女性のままじゃぞ」
「えぇっ!?」
「身体が完全に変化する前なら、対抗手段を講じてその変化を止めることも不可能ではないんじゃが、此処に来た時点ですでにお主の身体は完全に艦娘化しておったからのぅ」
「そ、そんなぁ」
あの時、目先の欲望に惑わされなければ……と、いくら悔やんでも後の祭りだ。
そんなこんなで、総合的に見て少なくとも「艦娘としては」心身共にほとんど問題ない状態にある──と診断を下された僕は、4日ぶりに自らの所属する鎮守府へと帰ってくることとなった。
それらの検査結果を総司令に報告したうえで、処分が下されるのを待つ……つもりだったんだけど、総司令は随分と僕に同情的だった。
「確かに軍規違反ではあるが、その報いはすでに充分受けているようだからな。一応、形式上、3ヵ月の減俸処分受けてもらうが、それ以外、降格や罷免などの処分は特に予定していない」
「は? それはつまり、僕…もとい小官はこのまま提督としての任務に就いていてよい、ということなのでしょうか?」
「その通りだ。最近は、艦娘あがりの女性提督や、提督兼任の艦娘も、珍しいがいないわけではないからな。問題はなかろう?」
いえ、個人的には