『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~   作:とある世界のハンター

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「ひとっ走り付き合えよ!」


第12話 スピンドライブに付き合いな

 

 

 

 

 

 

 【Are You Ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

 【音速の帝王!F1ザウルス!yeah】

 

 新たなフォーム、F1ザウルスフォームへと変身した希桜音は、自分の姿を確認した。

 右腕から左脚のキョウリュウ部分は、全体的に刺々しい意匠が施されており、右肩にはキョウリュウの牙を模した意匠。腰から尻尾も生えている。色は錆びた緑のような色だ。反対に、左腕から右脚にかけては、左肩にフォーミュラカーと思われる意匠が施されている。色は紅だ。

 

「ふっ!」

 

 試しに動いてみると、自身でも制御出来ない程のスピードで体が動いた。

 

 ━━━━━━━━速っ!?

 

 慣れない姿なので、軽く体を動かしていると脳無がコチラへと右拳を構えて走ってきた。咄嗟に希桜音は、少ない動作で躱して右のカウンターを腹部へと入れた。右の拳が脳無へ触れると同時に右肩の牙が口を開いて脳無の肉を喰らった。

 腹部の肉を喰らわれた脳無は、腹部を抑えながら後退しようとする。しかし、希桜音はチャンスを逃さない。

 左脚に備え付けられたエンジンをブーストさせ、脳無の背後へと一瞬で回り込んだ。後ろを取られた脳無は、腕を振り払って逃げようとするが、希桜音はそれを右肩の牙で掴み肉を喰らう。

 

 ━━━━━━━━強...!

 

 返り血にも目もくれず、希桜音は目の前の物を破壊する自分の力に酔っていた。倒せないと思っていた(ヴィラン)だったが、肉を抉れば痛みを感じていく。恐怖に怖気づいて逃げようとすれば圧倒的なスピードで喰らい付いて離さない。

 

 ━━━━━━━━これなら、勝てる!

 

 希桜音は流れに乗って攻撃のペースを上げていく。

 しかし、その攻撃は途中で終わってしまった。否、彼女の動きが止まってしまったのだ。

 

「ぐ...う...!」

 

 ━━━━━━━━右肩熱い...!

 

 彼女が感じたように、右肩の牙は熱を発していた。蒸気機関のように蒸気も発している。

 

 

ぎしゃァァギャルゥァァあ

 

 そう鳴いた。彼女の右肩は、そう鳴いたのだ。狂った獣、化け物のように叫んだ彼女の右肩は、彼女の各神経の主導権を握って、希桜音を操る。

 希桜音の体は、脳無の周りをぐるりぐるりと回り始めた。右肩に肉を喰われ、脳無の腹部はプリンをスプーンで掬うかのようにいとも容易く無くなっていく。

 

「止まれ...!」

 

 希桜音は体を自分の意思で動かそうとするが、全く動く気配がない。

 それを嬲るように、右肩はまた雄叫びを上げて攻撃を激化させる。脳無は悲痛な叫びを上げてなんとか逃れようとするが、圧倒的なスピードで逃れられない。

 

「熱...熱い!!あ゛つ゛い゛!!!」

 

 絶叫にも似た悲鳴を希桜音は上げる。しかし、誰も止められない。それ程までに、彼女の体は高速で移動していた。

 彼女が熱いと訴えたように、彼女を被っているパーツは高速移動の際に発するエンジンによって熱を発している。本来なら通気口に当たる左肩の管で熱を放出するのだが、それだけでは処理しきれずに熱が篭もっている状態、熱数値のオーバーフローだ。

 

「あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!」

 

 どんなに止まろうとしても、希桜音は止まらない。寧ろ止まろうと意識すれば、右肩がそれをさせまいとしているのか、さらに熱を強く感じる。

 

「万...丈!」

 

『待ってろ!うし、これなら!』

 

 希桜音と共に動きを止めようとしていた万丈だったが、彼は希桜音の体を止めることをやめ、希桜音の体を守ることに切り替えた。

 

 【クジラ!消防車!】

 

 【Are You Ready?】

 

『変身!』

 

 万丈は押し入れの中でトライアルフォーム( クジラ消防車 )へと変身した。左腕に取り付けられたラダーと右腕から物凄い勢いで放水し、希桜音の体を冷やそうとする。

 しかし、焼け石に水なのか、それとも彼女の個性(押し入れ)と彼女の体は関係ないのか、希桜音の体は熱いままだった。

 

『チィッ!だったら!』

 

 そう言って万丈は懐から変身アイテムを取り出した。拳状の変身アイテム、クローズマグマナックル。そしてそれにドラゴンマグマフルボトルを挿し込んでビルドドライバーへとセットする。

 

 【BOTTLE BURN!クローズマグマ!】

 

 ナックルをベルトにセットした万丈は、ベルトのレバーを回して構えを取った。

 彼の背後には坩堝型のマグマライドビルダーが出現し、中で煮えたぎっている大量のヴァリアブルマグマが万丈の頭上から流し込もうと傾いた。

 

 【Are You Ready?】

 

『変身!』

 

 【極熱筋肉!クローズマグマ!アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!】

 

 ヴァリアブルマグマが万丈の頭上から流れ落ちるようにぶちまけられ、ヤマタノオロチのような8つの龍が伸び上がる。マグマが冷え固まり、全身へ固着すると、マグマライドビルダーが前進して不要なマグマを割って変身完了だ。

 

『力が漲る...魂が燃える...俺のマグマが迸る!』

 

 その言葉と共に、万丈は意識を希桜音の神経へと向ける。各神経の隅々まで自身のマグマを行き渡らせる、そんな感覚で希桜音の体を引っ張る感じで主導権を奪い返した。

 

『うぉっしゃ!奪った!』

 

 しかし、キョウリュウはタダで明け渡す訳では無さそうで、万丈から主導権を奪い返そうと熱や威圧で万丈を追い詰める。

 

「ぐはっ!」

 

 万丈がキョウリュウと対面していることにより、脳無と対戦していた希桜音の体は停止、脳無に反撃された希桜音は簡単に吹っ飛ばされてしまった。

 

 ━━━━━━━━万丈、ハザードトリガー...!

 

『はぁ!?何言ってんだお前!?』

 

 ━━━━━━━━どーせ暴走するんだから、まだ強い方がマシ...じゃない?

 

『そうなのか...?』

 

 そうだよ、と希桜音は雑に答えてボロボロの体を起き上がらせた。万丈は主導権の守護で必死らしく、仕方なく自分で取り出した。

 

「...さいっあくだ。」

 

 目の前に立っている強大な(ヴィラン)を見て、希桜音はそう呟いた。今までの仕返し、とでも言うような感じで拳を高く上げている脳無。

 溜め息を吐きながらも、相手より早く行動する。

 

 【ハザードオン!】

 

 【キョウリュウ!F1!SUPER BEST MATCH!】

 

 【ガタガタゴットンズッタンズタン!】

 

 【Are You Ready?】

 

「ビルドアップ。」

 

 【アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!】

 

 各変身音が鳴り終えるよりも早く行動した希桜音は、変身の際に形成された型によって吹き飛ばされた脳無を見詰める。

 

「...」

 

 自身の体の動きを確認し、希桜音は前へと踏みでる。全身は火傷しているのだろうが、アドレナリンが多量に生産されているようで全く痛みを感じない。

 

「▒▒▒」

 

 誰にも聞こえない声で、希桜音はそう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

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