『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~   作:とある世界のハンター

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補足
第一種目の間、戦兎と万丈は控え室のモニターから希桜音を見守っている


第15話 跳べ、爆走バイク

 

 

 

 

 周りに出遅れて希桜音はスタートを切った。

 実況はプレゼント・マイクと相澤によって行われているらしく、希桜音の耳にその声が雑音となって聞こえてきた。

 

「ふっ!」

 

 トンネルの中は大量の人集りになっており、素直に地面を走ることもままならない。希桜音は壁を蹴るようにして走り、トンネルの外へと走り抜ける。

 出口から射し込む陽の光が大きくなった時、トンネルは瞬く間に冷気に包まれた。轟の仕業だった。

 

「うぉっと!」

 

 外へ出ても尚貼られ続ける氷の床を、希桜音は跳んで回避していく。周りを見渡せばA組生徒と他クラスの生徒の一部が氷の床を攻略していた。

 その様子を見ていた希桜音の横から、小さな果物が飛び出してきた。

 

「峰田君!?」

 

 峰田は自身のモギモギを氷の床に貼り付け、忍者さながらの動きでその上を跳び回って轟の元へと走っていた。

 しかし、そんな彼は何かに吹っ飛ばされた。

 

「ターゲット、大量」

 

「入試の時の...ロボ!」

 

 生徒達の目の前に現れたのは、ヒーロー科一般入試時の仮想(ヴィラン)だった。

 

「さぁ!まずは手始め、第一関門!!敵地獄(ロボインフェルノ)!!」

 

 彼女らの目の前の光景は、まさしく敵地獄(ロボインフェルノ)。1Pや2Pの仮想(ヴィラン)だけではなく、0Pの仮想(ヴィラン)まで出現していた。それも一体ではなく複数体。

 ヒーロー科一般入試を受けていない生徒は呆気にとられている。もちろん、ヒーロー科一般入試を受けた生徒達の一部もだ。

 しかし、足を止めない生徒もいた。

 轟は氷を地面から空中へと這わせるように動かし、巨大な0P仮想(ヴィラン)一体を丸々凍らせた。

 凍った仮想(ヴィラン)は轟の進行を許すのだが、その他の生徒達は許さなかった。というのも、不安定な体勢で凍らされたらしく、ギシギシと嫌な音を立てて生徒達の道を塞ぐのだった。

 道を塞がれてたじろぐ生徒達を狙うように、1~3Pの仮想(ヴィラン)は生徒達を追い込むような形で陣を取った。

 

 ━━━━━━━━戦闘は避けたが早い...

 

「面倒だな...!」

 

 【トラ!UFO!BEST MATCH!】

 

 素直に地面を跳んで行くのは仮想(ヴィラン)の恰好の餌食になると踏んだ希桜音は、フォームチェンジをすることにした。

 

 【Are You Ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

 【未確認ジャングルハンター!トラユーフォー!yeah】

 

 トラユーフォーフォームへと変身した希桜音は、左肩から発せられる怪電波によって呼び寄せられた未確認飛行物体をスケボーのようにして乗り、そのまま空中を滑るようにして進み始めた。

 

「おぉっと1-A小兎謚!空中を滑って進んでいくぅ!こりゃ1-A轟に続いて2位で通過かぁ!?おっと、A組爆豪、常闇、瀬呂も続いて空中から進んでいく!」

 

 第一関門を走り抜けた希桜音達は、第二関門へと辿り着いた。

 第二関門は言ってしまえば綱渡り。規模の大きい大袈裟な綱渡りだった。

 物を掴まなくとも飛べる希桜音、爆豪は瀬呂と常闇を置いて一位を奔走している轟の後を追いかける。轟は綱を凍らせ滑るように移動しており、止まることなく移動している。

 

「待て半分野郎ぉ!!」

 

「うわっと!?」

 

 調子を上げたのだろうか、爆豪はスピードを上げて希桜音を追い抜いた。

 慣れていない飛行の為か、第二関門突破と同時に希桜音は未確認飛行物体から落ちてしまった。

 

「さぁ!早くも最終関門!画してその実態は、一面地雷原!地雷の位置はよく見りゃ分かる仕様になってんぞ!!目と脚を酷使しろぉ!」

 

「もう着いたのか...!」

 

 第二関門から最終関門への道を走り抜けた希桜音の目の前には、実況通りの地雷原があった。

 先頭を走っていた轟は慎重に進んでおり、地面に意識を向けていた。

 

「地雷原...速さ...なら!」

 

 地雷を察知する能力、そしてこの地雷原を素早く抜けるボトル。希桜音は押し入れから素早く取り出し、ベルトへ挿入する。

 

 【サメ!バイク!BEST MATCH!】

 

 【Are You Ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

 【独走ハンター!サメバイク!yeah】

 

 サメバイクフォームへと変身した希桜音は、右肩の歯車を回してマシンビルダーを形成させてそれに乗り込む。

 周りにはもう第二関門を抜けた生徒達が流れ込んでおり、皆苦戦している。トップを走っていた轟も、爆豪に絡まれ速度を落としている。

 

「行け!」

 

 その声と共に希桜音はマシンビルダーのアクセルを踏んだ。

 サメの感知能力を使って地雷の位置を探りつつ、マシンビルダーを巧みに操って先頭の轟と爆豪を横から追い抜こうとする。

 

「糞アマナードォ!」

 

 爆豪から讒謗と爆撃、さらに轟からの氷結も飛んできて、希桜音は体勢を崩してマシンビルダーから飛び下りる。

 マシンビルダーは倒れかけ、地雷のスイッチを踏みかけるが、その前に押し入れへと無理矢理詰め込んだ。

 その行程を済ませている内に、彼女らの背後から巨大な爆発音、そしてその爆風に乗って、仮想(ヴィラン)の破片にしがみついた緑谷が頭上を通り抜けた。

 

「A組緑谷!爆風でトップイィン!!」

 

 破片にしがみついた緑谷は、爆豪、轟、希桜音の3人を抜き去り、トップへと躍り出る。

 さすがにマズイと感じたのか、轟と爆豪は抗争をやめて一位を抜き去るように走り出した。もちろん希桜音もバイクを再度取り出して爆走する。

 一位の緑谷は失速し、破片から体を離して紐を掴んでいるだけの状態になる。

 

 ━━━━━━━━USJの時のあの感覚(体を壊さない)はあの後試したけど出来なかった...!着地のタイムロス考えたらもっかい追い越すのは絶対無理...でも、このチャンス掴んで離すなぁ...!!!

 

 地面までの距離、あと2m。緑谷は掴んだ紐を思い切り握って、破片を地面へと叩きつけた。

 緑谷の傍には元トップの3人がおり、3人諸共その叩きつけられた衝撃で爆ぜた地雷の巻き添えを喰らってしまった。

 緑谷は二度目の爆風に乗ってトップを維持。

 巻き添えを喰らった希桜音は咄嗟にマシンビルダーから手を離し、フォームチェンジをする。

 

 【シュワっと弾ける!ラビットタンクスパークリング!yeah yeaaaaaah!!】

 

 マシンビルダーは爆発で横転し、あのまま乗っていれば立て直す時間でタイムロスを生んでいただろう。

 走り出した希桜音は、目の前にいる轟、爆豪、緑谷を追い抜こうと必死になる。

 声を出すことに力を回すことすら出来ない。ただひたすらに腕と脚を動かし、会場のトンネルを潜り抜けてゴールテープへと手を伸ばす。

 

「雄英体育祭一年ステージィ!!序盤の展開からこの結末をぉ!!誰が予想出来たァ!?今、一番にスタジアムに帰ってきたこの男!緑谷出久の存在をぉ!!!」

 

 歓声と共に迎えられた緑谷。

 続いて泡を足に纏ってトンネルを抜けた希桜音、爆破と氷と共に爆豪と轟が同時にゴールインした。

 

「チィ...!」

 

 地面に倒れるようにして寝転んだ希桜音は、スパークリングの缶を抜いて変身を解除した。

 視界の端には疲弊している轟と爆豪が見える。顔は俯いていてよく見えない。

 

 

 

 


 

 

 

「一年ステージ第一種目も漸く終わりね。それじゃあ結果をご覧なさい!」

 

 グラウンド中央へと集められた生徒達は、パネルに載せられた順位を確認する。

 パネルには1位から42位までの生徒達が記されており、予選通過はこれだけだと示されていた。希桜音の順位は2位で、余裕の予選通過だった。

 

「いよいよ次から本戦よ!ここからは取材陣も白熱してくるわ、気張りなさい!」

 

 第一種目同様にルーレット形式で第二種目が表示された。種目名は、騎馬戦。

 

「騎馬戦かぁ...そいえばやった事ないよね」

 

「えぇ!?あ、う、うん。折寺中そういうの厳しかったからね」

 

 希桜音は騎馬戦というものをやった事がなかった。どんなものかは知っているが、実際にやるのはこれが初めてだった。

 隣にいた緑谷も同じく、やった事はない。

 

「個人競技じゃないけど、どうやるのかしら」

 

 隣にいた蛙吹の呟きに、希桜音も納得する。

 

「今から説明するわ!」

 

 蛙吹の呟きに答えるようにして、ミッドナイトが説明を始めた。

 

 

「要約すると、参加者は2、4人。チームは自由。各自予選の順位毎に振り分けられたポイントの鉢巻を持っていて、鉢巻を奪い合ってその合計ポイントが高いチーム上位4チームの勝利。ポイントは下から5Pずつ増えてくけど、一位は1000万P...分かった?」

 

「大体わかった」

 

「ちゃんと説明聞きなよ...」

 

 長い説明が終わった後、希桜音は傍にいた耳郎に説明を要約してもらっていた。

 希桜音曰く、長い話を聞くのは好きじゃないらしい。それに耳郎は呆れていたのだが、葉隠に誘われてその場から離れていってしまった。

 

「さて、と。」

 

「希桜音ちゃん、私達と組もー!」

「小兎謚頼む!乗らせてくれよ!!」

「僕と組むよね!!?」

 

「あー、ごめん。別の人と組むかもだから...」

 

 辺りを見渡すと、A組生徒達は希桜音に声を掛けてきたのだが、それを全て断った希桜音はある人物の元へと駆け寄った。

 

「緑谷君、ゲットー!」

 

「えぇ!?ぼ、僕!?」

 

 緑谷の肩を掴み、希桜音はそう宣言したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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