『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~ 作:とある世界のハンター
体育祭ラストバトルまでには頑張らなければ((
「...終わったか」
重い雰囲気に包まれた選手控え室。置いてあるモニターには場外で突っ立っている八百万が映っていた。
目を瞑っていて試合状況を把握出来ていないが、試合が終わったことは明確だった。希桜音は椅子から立ち上がり、控え室を後にするのだった。
「一回戦四戦目ェ!ヒーロー科A組小兎謚 希桜音!vs、同じくA組芦戸三奈!」
トンネルの闇を潜り抜けて会場へと赴く生徒。陽の光を眩しそうに手を影にして進む希桜音は、会場の熱気に圧倒されそうになる。だが、この熱狂は午前中から感じていたもの。すぐに心を切り替える。
「よろしく三奈ちゃん」
昼休憩の最中に作られたステージに立った希桜音は、相対する芦戸に声を掛けた。芦戸も同じく希桜音に挨拶をして、軽く準備運動をする。
この最終種目のルールは、セメントスによって創られたフィールドで1VS1の戦闘を行い、相手を場外に落とすか行動不能にすること。降参は適応される。命に関わるような攻撃は、セメントスや主審のミッドナイトによって止められるらしい。
「レディィィイ、START!!!」
「速攻!!」
開戦の合図と共に、芦戸は酸を足裏から出して滑るように直進する。芦戸の履いている靴の裏には幾つもの穴が空いている為、これにより機動力の強化が出来るのだ。
━━━━━━━━それは、読んでる
変身させないための速攻。しかし希桜音はそれを読んでいた。そして芦戸の性格なら、フィニッシュは場外か近接格闘であることも。
「甘いよ!」
ドリルクラッシャーのガンモード、さらに既にそれに挿し込まれているライトフルボトルを取り出した希桜音は、両手でそれを持ってトリガーを引いた。
【Ready GO!】
突如として向けられた銃口に、芦戸は咄嗟に右へ屈みつつ避けようとしたのだが、それは無意味。なぜならこの弾は
「閃光弾!」
左目を瞑って閃光弾の明かりをやり過ごした希桜音は、すぐさまスパイダーフルボトルを取り出す。スパイダーフルボトルを挿し込んで、トリガーを引いた。
【Ready GO!】
視界が安定しない芦戸はあたふたとステージ上を動き回っていたが、スパイダーフルボトルの銃弾が足に命中。被弾と同時に彼女の足はクモの巣が巻き付くようにしてまとわりついた。
「うわぁっ!?」
急に足が封じられたため、芦戸は転けてしまった。この隙に希桜音は最後の作戦を実行する。
「フルボトルバスター!」
フルボトルバスターを取り出した希桜音は、さすがに生身の姿では持てないため地面へと落とした。
なんとかソレを縦にして、銃口を芦戸へと向ける。芦戸の視力は回復したようで、彼女は今酸でクモの巣を溶かしていた。
【扇風機!ジェット!ジャストマッチでーす!】
時間がないため希桜音はフルボトルを二つ挿しこみ、銃口を芦戸へと向けてトリガーを引いた。
トリガーは風を纏って芦戸目掛けて飛んで行く。なんとか避けようとした芦戸だったが、銃弾の方が早いようで被弾、そのまま場外へと風に吹っ飛ばされた。
「芦戸さん場外!小兎謚さん二回戦進出!!」
歓声と共に、希桜音の右腕は高く挙げられる。これが勝利、希桜音はヒーローの卵であるということを今ここで自覚した。
「2人共お疲れ様ー!!」
選手席へと戻ると、希桜音と芦戸は葉隠に出迎えられた。葉隠は芦戸に抱き着くと、希桜音にジュースを渡した。一回戦突破の祝福だろうか、希桜音は缶ジュースを一気に飲み干すと下で行われている五回戦に目をやった。
五回戦は上鳴と青山の試合。青山のネビルレーザーは的確に上鳴を狙っていくが、上鳴は懐へと潜る機会を探りつつギリギリのところで躱していた。
「あのバカ...バレバレじゃん」
不服そうに耳郎が呟いた。
希桜音はそれを耳に通しつつ、トーナメント表が表示されているスクリーンに目をやった。
「緑谷君、轟君、常闇君、そして私...か。」
現時点で終了している試合の勝利者を確認した希桜音は、三戦目を観戦していたであろうクローズドラゴンの元へと歩み寄った。
「留守番ありがと。3戦目見ーせて」
クローズドラゴンの背に挿し込まれているカメラフルボトルを引き抜いた希桜音は、そのままビルドフォンへと挿しこみ、動画を再生する。
『3戦目は
再生ボタンを押す寸前に、戦兎が口を開いた。確かにビデオの時間は短く、再生してみると戦兎の言った通りだった。
希桜音はビルドフォンを持って立ち上がり、一戦目からと同じように控え室付近の廊下へと向かって走っていく。
━━━━━━━━次は常闇君の対策を...!