『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~   作:とある世界のハンター

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文字数が安定しないです...申し訳ないです(_ _)
戦兎君と万丈の出番どこ…ここ…?(()()ないです)

2/18 段落下げ忘れてました(o_ _)o


第20話 炎と氷のユナイテッドフロント

 

 

 

 

 

 

 

 二回戦三戦目を横目に、希桜音はビルドフォンで二回戦一戦目を観ていた。轟vs緑谷、その熱はビデオからでも伝わってくる。

 

 ━━━━━━━━炎の火力も弱くはない...クジラ消防車で消す...?でも破壊力無いしな...

 

 押し入れのフルボトルを漁りながら、希桜音は頭を悩ませていた。周りのことなど空気同然と思えるぐらいに。

 

 ━━━━━━━━攻撃を躱しつつ近づ...けるほど攻撃は甘くないか

 

 F1フルボトルを手に取ってみるが、コレを使う気にはなれなかった。キョウリュウフルボトルと共に奥へと投げやる。

 

 ━━━━━━━━空中戦を仕掛ける...フェニックスロボなら氷対策にもなる、けど騎馬戦で見せてるから対策はしてくる、か

 

「希桜音、希桜音!」

 

 ━━━━━━━━対策...されるとすればベルトを凍らせる?それなら変身しちゃえば問題無い、か

 

「ねぇ希桜音ってば!!」

 

 ━━━━━━━━炎なら耐えれば変身出来るし、氷にだけ気をつければ変身の隙はある、かな

 

「希〜桜〜音〜!!」

 

「おっふ」

 

 呼ばれても気付かれないことにムッとした芦戸は、その実った果実を希桜音へと押し付けた。豊満な脂肪を押し付けられた希桜音は潰れるような声を出して返事をする。

 

「もう控え室行けるよ?ほら」

 

 そう言って芦戸はグラウンドを指差した。さっきまで戦っていたはずの飯田と上鳴はそこにはおらず、爆豪と切島が舞台へと上がっているのが希桜音の視界に映る。希桜音は芦戸に礼を言って、次の試合で使えそうなフルボトルを片手に控え室へと向かうのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 控え室へと着いた希桜音だったが、すぐさま椅子から立ち上がることになる。試合が終わったのだ。

 切島の硬化に最初は爆豪も手こずっていたが、どうやら長時間の使用で脆くなっていた場所があったようで、そこを突かれた切島は敗北してしまったようだった。

 

 ━━━━━━━━速い...まぁでも

 

 寧ろ有難い。集中力が高まっているこの状態が切れる前に戦えるのだから。

 希桜音は凛々とした表情で会場へと向かうのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 「さァ!遂に準決勝一戦目!仮面に包まれ戦う少女!小兎謚 希桜音!vs!氷と炎を纏う(ヒーロー)!轟 焦凍!」

 

 歓声に包まれて、両者は舞台へと歩みを進める。階段を上がる音が、希桜音の耳には嫌に高く聞こえた。

 

 ━━━━━━━━ここで勝てば...

 

 階段を上り終えた両者は対面する。希桜音は少し緊張しているのか、顔が強ばっている。対して轟はどこか強ばってはいないが、どこか曇っていた。

 

「スタートッ!!!」

 

 開戦の火蓋が切って落とされた。

 轟は屈んで右手を床に翳し、氷を這わせて希桜音を狙う。希桜音は這う氷を跳んで躱しつつ、ビルドドライバーを腰へと巻いた。

 

「させねぇ...!」

 

 轟はすかさず連なる氷柱を希桜音目掛けて伸ばすが、希桜音はそれを回避する。だがそれは轟の目論見通りで、希桜音の背後から迫っていた氷に下半身を凍らされてしまった。

 

「腰のベルトにはもう挿せねえ。降参しろ」

 

「やだ」

 

 希桜音は押し入れからある物を取り出して、それを思いきり纏わりついている氷目掛けて殴りつけた。

 ナックル状のそれは熱を発しながら氷を叩き割り、希桜音はそれによって脱出する。

 

『あぁ!?俺のマグマナックル!!』

 

 希桜音が取り出したのはクローズマグマナックル。万丈がクローズマグマに変身する際に使用するアイテムだが、武器としても使用可能なのだ。

 希桜音はベルトに未だ貼り付いている氷を砕こうとナックルを挿し込もうとするが、轟の氷柱に追われそれどころではなくなった。

 

 ━━━━━━━━ベルト二つ目使おうか...

 

 今希桜音が装着しているビルドドライバーは、挿入部分には未だ氷が張り付いていてボトルを挿せない。そしてその氷を処理できないのであれば、新たなビルドドライバーにボトルを挿して変身する方が手っ取り早いと考えたのだ。

 

 【ドライヤー!ボルケニックナックル!アチャー!】

 

 希桜音は迫り来る氷柱を熱気を纏ったナックルで相殺して変身の隙を作った。

 

「させねぇって」

 

「!」

 

 しかし、轟は真正面からの氷柱を囮にして、至近距離まで近付いて来ていた。希桜音は急いでベルトを装着しようと取り出したベルトにフルボトルを装着するのだが、そのベルトを掴まれてしまった。

 

「オラァ!」

 

 反射的に轟の左脇腹を蹴ってからその場を離れるのだが、時既に遅し。希桜音のビルドドライバー、そしてそれを持っていた左腕も凍らされてしまった。

 

 ━━━━━━━━マズイ...!

 

 左腕とビルドドライバーが封じられた今、希桜音が出来ることはマグマナックルで氷を砕きつつ、距離を詰めて倒す事のみ。

 しかし、ここで希桜音はある事に疑問を覚えた。

 

 ━━━━━━━━なんで()を使わない...?

 

 蹴りを入れた際に()を使えば、確実にダメージを与えられたはず。使っても問題無いはずだ。

 

 ━━━━━━━━同時に使用は出来てた...何かしらのデメリットが...?

 

「冷たっ!?」

 

 注意が散漫になっていたのか、希桜音の両足は凍っていた。地を這う氷に気づかなかったのだろう。遂に動きを封じられてしまった。

 

「これで終いだ」

 

 その言葉と共に、希桜音の視界は辺り一面の白銀に包まれる。瞬間、希桜音の体は氷に包まれたのだった。

 

「...小兎謚さん行動不n」

 

 ミッドナイトが審判を下そうとした時、氷の中から爆音が響いてきた。希桜音の仕業だろう。ミッドナイトは挙げた右腕を下ろし、この戦いの終結を見送った。

 

「オラァ!」

 

 豪快な掛け声と共に、氷塊の中から希桜音が出てきた。マグマナックルで氷を砕いたようで、ポッカリと穴が空いていた。

 

「ハァ...時間かけすぎると行動不能になりそうだったからさ、ベルト溶かす時間無かったや...」

 

「そうか。そりゃありがてぇ」

 

 轟はその言葉と共に、右腕を奮って氷柱を希桜音目掛けて伸ばし、さらに舞台に氷を再度這わせた。しかし、希桜音はそれを避ける素振りも見せず、そして殴る素振りも見せなかった。

 

 【スクラッシュドライバー!】

 

 【ドラゴンゼリー!】

 

「変身」

 

 突如として出現したビーカーによって、その氷柱は防がれてしまった。

 

『ばっ、希桜音、やめろ!!』

『やめるぉ!!』

 

「ぐっ...ううっ...ぐぁあ!!」

 

 【潰れる!流れる!溢れ出る!】

 

 戦兎と万丈の制止を嘲笑うかのように、白銀の素体が希桜音を覆い尽くし、新たなる兵器を誕生させる。

 

 【ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!】

 

 頭部から吹き出たゲル状の成分が吹き出し、顔や胸、肩アーマーを形成して変身完了。クローズチャージの現界である。

 

()、使ってよ」

 

 迫り来る氷柱を砕きながら、希桜音はそう言い放った。

 コツコツと高い音を立てながら、彼女は歩みを進めて行く。轟はそれを止めようと多方面から氷柱を伸ばすのだが、希桜音には効かない。

 

「ツインブレイカー」

 

 その言葉と共に、希桜音の左腕にゲルが生成され、それが武器の形となる。

 アタックモードであるツインブレイカーを、希桜音は砲身部分を動かしてビームモードへと変形させた。

 

『マズい...』

 

「何がマズいの?」

 

 戦兎の悔しさ混じりの焦った声に、蛙吹は首を傾げる。今の状態は、傍から見れば希桜音の有利に見えるからだ。

 

『スクラッシュドライバーは変身者の体に大きな負担を与え、さらに闘争本能を上昇させる...このままじゃ希桜音の体が危ない!』

 

「そんな...」

 

「ちょ、希桜音!変身解いて!!」

 

「希桜音ちゃん...!」

 

 客席からの希桜音を制止する声。しかし、今の希桜音には届かない。彼女の頭の中にはただ一つ、目の前の敵を倒す事しか頭になかった。

 

「観てるんだよ、勝たなくちゃいけないんだよ。全力の相手を倒さなきゃ、意味無いんだよっ!」

 

 声を荒らげながら、希桜音は走り出した。左腕のツインブレイカーで中距離から攻撃しながら、迫り来る氷柱は右手のナックルで破壊していく。

 さすがに危険と感じたのか、轟は氷で足場を作り、そこを滑って希桜音から距離を取った。

 

 ━━━━━━━━()、か...

 

 ()を使えと言われた轟は、迷っていた。

 緑谷には()は轟自身の力だと言われた。

 母にはなりたい自分になっていいと言われた。

 

 ━━━━━━━━悪ぃな...緑谷と戦ってから、自分がどうすべきか、自分が正しいのか...分かんねぇんだ

 

「どこ見てんだ」

 

 低く、冷たい言葉。

 ふと顔を上げると、ナックルを構えた希桜音が轟のすぐそこまで迫っていた。轟は左腕を伸ばして凍らせようとするのだが、希桜音は背中のパイプからゼリーを噴出して飛び上がりそれを回避。

 飛び上がった後は再度ゼリーを噴出させ、轟目掛けて突っ込んだ。轟は転げてながらナックルを避けるが、足狙いの銃撃は躱しきれずに倒れてしまった。

 

「早く使ってよ、じゃなきゃ、()()

 

 【Ready GO!レッツフィニッシュ!】

 

 ドライヤーとスパイダーのフルボトルをツインブレイカーに挿した希桜音は、銃口を轟に合わせてトリガーを引いた。弾は命中し、熱を帯びた蜘蛛の糸は轟に巻きついて動きを止めた。

 

「ほら、左の炎使えば逃げられるよ」      

 

 挑発するように希桜音は左手を上げ、轟を急かす。銃口を向けられた轟は、それでも尚氷を使って氷壁を作るのだが簡単に破られてしまう。

 

「だーかーらー、早く()使いなって」

 

 1発2発、轟の足を削りながら希桜音はそう言う。

 

「今考えるべきなのは私を倒す事。早くしないと、次は心臓狙っちゃうぞ?」

 

 仮面に隠れて見えないが、今の彼女の表情は猟奇的なものだろう。

 観客はとうに静まり返っており、この惨劇に恐怖を覚えるものまでいた。

 

「ま、負けるな轟君!!!」

 

 そんな静寂な雰囲気を打ち砕く叫び声。出したのは緑谷。緑谷は轟に声援を送ったのだ。

 それに鼓舞されてか、轟は左の炎を滾らせて糸を燃やし、立ち上がる。

 

「はは...じゃ、さっさと終わらせようか!」

 

 ━━━━━━━━体がもう動きそうにないから...!

 

 【Ready GO!】  

 

 希桜音は轟の今の姿を褒めながら、押し入れから取り出したフルフルラビットタンクフルボトルをツインブレイカーへと挿し込んだ。

 

 【ボトルバーン!】

 

 さらにドラゴンマグマフルボトルをナックルへと挿し込んで、ナックルの拳を押さえてチャージを開始する。

 

 【クローズドラゴン!】

 

 そして空いている右肘でベルトのレバーを下ろし、必殺技を発動させる。

 対して轟は辺り一面に氷塊を生成して、一気に熱を加え爆発させる構えをとった。

 

 【レッツフィニッシュ!】

 【ボルケニックナックル!アチャー!】

 【Ready Go!スクラップブレイク!レッツブレイク!】

 

 希桜音の背後からは、赤く漲る熱を纏った紅蓮と、煌めく蒼のグラデーションの龍型のエネルギーが大きく口を開けて今にも轟を喰らおうとする。

 希桜音の突き出した両拳と共に龍は体を伸ばして進む。対する轟は左の炎を滾らせて、瞬間的に辺りの気温を低温から高温にし、膨張した空気による大爆発を起こした。

 

 「また煙幕かよ!?ミッドナイト!結果はどうだ!?」

 

 実況であるマイクに言われ、ミッドナイトは舞台を見るが煙が晴れない。モクモクと漂う煙は、エンターテイメントチックにフェードアウトさせていき、結果を観客達に見せつけた。

 

「え、えっと...小兎謚さん場外!」

 

 舞台から吹っ飛び、壁にめり込んでるめり込んでる希桜音がそこにはあった。

 

「と、轟君、場外!!」

 

 さらに、同じく壁に打ち付けられて地面に倒れている轟。

 

「これは...再戦といきたいけど無理そうね...」

 

 2人の状態を見てミッドナイトは悔しそうに言った。轟は足から血を流しており、リカバリーガールに治してもらったとしてもその後の体力がないだろう。リカバリーガールの個性は対象者の体力を使用して治癒力を活性化させる為だ。

 同じ理由で希桜音も再戦闘は不可能そうだった。

 

「この勝敗は...ドロー!」

 

 希桜音と轟、2人の試合はドローという事で終わってしまった。

 

「ん?えーっと、今入った情報によると、次の飯田君vs爆豪君の試合は飯田君がお家の事情で早退したため出来ない...そうです」

 

 「マジか!?えぇっとんじゃあ優勝は...誰だ?ミッドナイト!決めてくれぇー!」

 

「ええっ!?ふ、不戦勝で勝利した爆豪君が優勝!...ってことで」

 

 「以上で全ての競技が終了!今年度雄英体育祭1年優勝は...A組、爆豪勝己ィィィ!!!!」

 

 なんとも座りの悪い終わり方だが、これにて雄英体育祭1年の部は終了となる。

 先刻まで舞台に立っていた2人は担架に運ばれて医務室へと向かう。A組の生徒、というより緑谷は切島や障子を連れて急いで選手控え室の爆豪の元へと駆け出すのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 それから10数分後、スタジアム上空に色とりどりの花火が打ち上げられた。最終種目で優秀な結果を納めた者達を祝服するのだ。

 選手3名は円柱状の台の上に立たされ、メダルの授与を待っていた。

 

「ん゛ー!!!ん゛ー!!」

 

「ねぇ!?私は関係ないでしょ!!?はーなーせぇ!!!」

 

 訂正しよう。立っているのは轟のみだ。

 爆豪は台の上に用意されたコンクリート壁にベルトで拘束され、口枷を着けられていた。さらに、手にも個性を発動させないように手枷が着けられていた。

 希桜音はコンクリートに体を半分埋め込まれている形で埋まっており、腕以外の上半身だけが外気に触れている。

 

『ハザードレベル4.0ってだけで素の力は強いのに、それに加えて闘争本能が活性化されちゃこうするしかないんだよな』

 

 冷静に説明する戦兎は、呆れと同時に今後の希桜音について考えていた。

 

 ━━━━━━━━あまり積極的に使うなとは言ってなかったけど、まさか使うとはな...殻を破る機会がないと体が持たないぞ...!

 

「さっ、それではこれより表彰式に移ります!メダル授与よ!」

 

 喚く2人を無視してミッドナイトは表彰式を始めた。

 

「今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!」

 

「ハーハッハッハ!!」

 

 ミッドナイトの指す方向はスタジアムの屋根の上。屋根の上には皆のよく知る人物が立っていた。

 

「私がメダルを持って来た!」

「我らがヒーロー、オールマイト!!!」

 

「「...」」

 

 被ってしまった。

 

『締まらねぇな...』

 

 大切な部分で被ってしまったことにミッドナイトは謝るが、オールマイトは大丈夫だと手で伝えた。自身の台詞を遮られて悲しいという感情は拭いきれてないようだったが。

 オールマイトはメダルの入った箱を携えて表彰台へと上がっていく。まずは轟だ。

 

「轟少年、おめでとう。左側を使うのに抵抗があったみたいだが、ワケがあるのかな?」

 

「...緑谷戦でキッカケをもらって、そこから分からなくなってしまいました」

 

 そう答える轟は、寂しげな言葉とは違ってどこか吹っ切れた顔をしていた。オールマイトは詳しくは聞くまいと言って優しく彼をハグし、次の生徒の元へと移動した。

 

「小兎謚少女、おめでとう。色々聞いたんだが、君はコレからが大変だ」

 

「何が大へ、痛っ...別に大変なことなんか!」

 

「ハッハッハッハッ!元気なのはいい事だよ!人を助けるというこの職業(ヒーロー)を志してくれたこと、ホントに嬉しく思っている。困難から逃げるんじゃないぞ」

 

 その言葉と共にオールマイトは希桜音の首に銀メダルを掛けた。希桜音はその言葉の真意が理解出来なかったのだが、困難から逃げるなという言葉が嫌に突き刺さった。

 

「さて、最後は君だ!爆豪少年...と、こりゃあんまりだな」

 

 そう言ってオールマイトは爆豪の口枷を取ると、彼は酷い形相で叫び始めた。

 

「オールマイトオォォ!!んな結果で取った一位なんざ要らねぇんだよぉお!!完膚なきまでの一位!それ以外の順位なんざカス同然なんだよぉ!!!」

 

「じゃ、今から私と戦う(やる)?」

 

「上等だクソアマァ!!!」

 

 火に油を注ぐとはまさにこの事で、爆豪の闘志は爆発した。しかし頑固な鎖は破れないようで、いくら体を動かしても行動には移せなかった。

 

「う、うむ!相対評価に晒されるこの世界で、不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くはない!受け取っとけよ!傷として!忘れぬよう!」

 

「かかってこいやクソアマァ!!」

 

「先制譲ってくれるの?え、もしかしてレディースファーストってこと?紳士だねぇ」

 

「クッソがぁぁぁあ゛!!」

 

 オールマイトの話そっちのけで、2人は醜い争いをしていた。オールマイトはこの状況に戸惑ってしまうが、とりあえず無理やり爆豪にメダルを掛けた。

 メダルを拒否しようとしていた爆豪だったが、希桜音に煽られ反撃した瞬間を突かれて口に掛けられてしまった。

 

「さぁ!今回は彼らだった!しかし皆さん!この場の誰にもここに立つ可能性はあった!ご覧いただいた通りだ!競い、高め合い!さらにその先へと登っていくその姿!次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!」

 

「てな感じで最後に一言!!皆さんご唱和下さい!!」

 

 拳を高く挙げ、観客やテレビを通して観てる視聴者に声を掛けた。ここで言う言葉とあれば、アレしかないだろう。

 

「せーの」

 

「Plus 「お疲れ様でした!!!」

 

「ult...えっ?」

 

 気まづい。オールマイトは半笑いで顔を上げるのだが、これはブーイングの嵐だ。

 

「そこは〘 Plus ultra 〙でしょオールマイトオォォ!!」

 

「あぁいや...疲れただろうなと思って...」

 

 全方向からのブーイングに、さすがのオールマイトも軽く笑うしか出来なかった。

 締まらない形だったが、これで今年の雄英体育祭は幕を閉じる。

 

 

 

 


 

 

 

「お疲れっつうことで、明日明後日は休校だ。プロからの指名等はこっちでまとめて休み明けに発表するから、ドキドキしながら休んどけ」

 

 体育祭後のHRで相澤からの言葉を聞いた後、生徒達は放課後へと解き放たれた。

 

「希桜音ちゃん希桜音ちゃん、こっから用事ある?」

 

 トコトコと葉隠が歩いて近付いてきた。女子生徒だけでどこかに行くらしい。だが、希桜音はそれを断って、荷物を置いてどこかへ行ってしまった。

 

「何処に行くのかしら?」

 

「さぁ?...って、アレ?爆豪君の荷物も置いてある。何時もなら早く帰ってるのに」

 

 

 

 


 

 

 

 入試で使用された演習場の一つ。希桜音と爆豪はそこへ来ていた。戦兎や万丈はいない、彼等2人だけだった。

 

「じゃあ、始めよっか」

 

「上等だクソアマ...」

 

 誰にも観られていない体育祭決勝戦が、ここで幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

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