『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~ 作:とある世界のハンター
「ここ、か」
マシンビルダーを走らせて、メモに書いてある住所へとやって来た希桜音。だが、そこはボロボロの廃ビルと言っても差し支えないものであった。
「ンなとこにいるの...」
マシンビルダーから下りた希桜音はビルの自動ドアの前へと立った。しかし反応せず開かなかったため、仕方なくコンコンとノックしてみる。だがそれでも反応はない。
「すいませーん」
『裏口から入れるんじゃないのか?』
「そだね」
戦兎に言われた通り、希桜音は裏口へと回ることにした。マシンビルダーをビルドフォンへと戻した彼女は、裏路地を通ろうとしたのだが後方から走ってくるトラックの音に反応して足を止めた。
トラックは廃ビルの前へと止まると、運転席から一人の女性が勢いよく飛び出て来た。
「アナタがキザネ!?小さいですネー!!」
「うをっと」
勢いよく出てきた女性は希桜音にそのまま飛びつこうとするのだが、ギリギリのところで躱されてしまった。
「...誰?」
ドリルクラッシャーを構えながら希桜音は質問すると、女性は両手を上げて害はないと示した。
「初めまして!私はエモー!Nice to meet you!」
「ナ、ナイストゥーミートゥー...アメリカの方?」
「YES!アメリカ育ちのヒーローデス!この度オールマイトの紹介で日本でヒーロー活動をすることにしまシタ!」
へ、へぇとこのテンションの高さに付いていけない希桜音は少し引き気味だった。だがエモーはそんな事気にせずトラックの荷台から大量の荷物を運び始めた。
「キザネ!いえ、ヒーローネームは"仮面ライダーロード"...でしたネ!ロード!手伝ってください!!」
「え、これ運ぶのですか?いや戦闘とか、強くなる為に来たのに」
「素の身体のパワーをLook!見せてください!」
半ば押し付ける形でソファを渡したエモーは、長机を一人で担いで廃ビルへと運んでみせた。希桜音もその後に付いてソファを運んでいく。
長机をロビーと思われる広い部屋に置いたエモーは、疾く疾くとトラックへと戻ってさらにチェストを持って運び入れていく。希桜音もその後に続いていくが、次第に疲労が見え始めてペースが落ちてきた。
トラックに積んである荷物を全て運び終える頃には、希桜音はもう立てない程の疲労に襲われていた。だがそう易々と休ませてはくれないようで、今度は一塊に集められた物品達を各部屋達に配置することとなった。
「私が指示するので、ロードはその通りに動いてくだサーイ!」
「戦闘...」
「OKOK、大丈夫デスよ。コレが終わったらスグやりましょう!分かったらMove!手を動かしてくだサイ!」
『だってよ、ほら動け動け』
周りの大人から諭された希桜音は、渋々体に鞭打って立ち上がった。
エモーはあーだこーだと事細かく五月蝿く指示を出していたが、最終的に面倒臭くなったのか適当な指示になっていった。
時刻は12時前、やっと廃ビルの中はは事務所らしくなった。
「
「戦闘...!!」
「あぁ忘れてませんよ?早速やりましょうLet’s battle!」
エモーは希桜音を引き摺るようにしてロビー奥の階段から更にその下、地下一階へと入る。
地下一階は薄暗く、天井には照明が寂しく取り付けられていた。
「広...」
「じゃ、始めまショ!もちろんアナタ一人の力を見たいので、中の2人には出てもらいますヨ!」
そこまで知っているのかと、希桜音はクローズドラゴンを押し入れから出した。クローズドラゴンはフワフワと飛んで階段の隅から観戦する事にした。
「さ、TRANSFORM!アナタの実力をShow me!」
【ドラゴンゼリー!】
言われなくともと、希桜音は既にスクラッシュドライバーを巻いていた。ドラゴンゼリーを挿し込み、レバーを下げる。
「変っ身!」
【潰れる!流れる!溢れ出る!】
【ドラゴンインクローズチャージ!ブルァ!】
クローズチャージへと変身した希桜音は、ツインブレイカーを構えて相手の出方を伺う。しかし相手は動く素振りは見せない。
「
薄ら笑を浮かべるエモーに腹が立ったのか、希桜音は直線的な軌道でエモーの元へと飛びかかった。
しかしそれは簡単に避けられ、さらに伸ばした左腕を掴まれて腹部に一撃打撃を喰らわされた。空中でバランスが崩れた希桜音は、そのまま一本背負いで壁へと投げつけられた。
「チッ...」
背中に痛みを感じながら希桜音は立ち上がると、フルボトルを取り出した。
【消しゴム!潰れな〜い!】
消しゴムフルボトルをベルトに挿して姿を消した。エモーは辺りに耳を澄ませて次の攻撃に備える。
辺りはタッタッタッと軽い音が回っており、止むことは無い。だが途端に消え、風を切るような音。それはエモーの背後から聞こえてきた。
エモーは落ち着いてその音から察せる希桜音の動きを読み、左腕を掴んだ。だがそれは読んでいたようで、エモーの体を右フックが襲った。
「Oh...思ってたよりweak」
空いている腕で希桜音の腹部を貫くようなパンチを撃ち込んだエモーはそう言った。口に溜まった血をペっと吐き出すと、痛みで倒れている希桜音の体に跨る。
『速ぇ...強えぞアイツ』
元ボクサーの万丈が言うように、希桜音も同じ事を思っていた。
希桜音の右フックが当たってから一瞬の間に彼女は地面に倒れていたのだ。希桜音は立ち上がろうと体を起こそうとするのだが、いつの間にか取り出されていたナイフを首元に当てられていた。
「Checkmate...」
「しねぇよ」
希桜音は背中の噴出口からゼリー噴出させ、エモーを突き放すと同時に体勢を立て直す。
【シングル!シングルブレイク!】
ライトフルボトルをツインブレイカーへと挿し込み、閃光弾を放った。閃光弾は辺り一面を白く塗り潰し、彼女達の視界を奪った。
ロードはその白の中をひとっ跳びして、エモーに飛びかかった。だがそこにはもう彼女はいない。どこだと感じた時には、彼女の変身は解かれていた。
「Checkmate ,Do you understand ?」
「...降参」
胴に両足を回され強く絞められ、さらに口で噛まれたナイフを首元に当てられた希桜音は渋々降参した。拘束を解かれた希桜音はドラゴンゼリーをエモーから渡されると、共に2階へと上がった。
「さ、ランチにしまショ!食べたらパトロール!さぁHurry up!」
そう言ってエモーは傍のビニール袋からカップ麺を2つ取り出した。
「カップ麺...」
「ジャパニーズフード!私コレがとても好きなんですヨ!!」
『おお!?プロテインラーメンじゃねぇか!!希桜音、俺に食わせろ!』
そう言って万丈はクローズドラゴンの姿で押し入れへと入り込み、希桜音の体を奪って意気揚々とお湯を沸かし始めた。久々に体を奪われた希桜音は、あーだこーだと喚いたが意味は無い。昼食を食べ終えるまで万丈に体を任せるのだった。