『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~ 作:とある世界のハンター
第27話 ヒーロー達の夜明け
「おはよ〜」
「小兎謚君遅いぞ!何をやってるんだ、早く席に着きたまえ!!」
職場体験明けの学校生活。ドアを開ければいつも通り希桜音以外の生徒は揃っており、そしてまた始業ギリギリまで大半の生徒が席に着いていなかった。
「おぉ、小兎謚!お前も保須行ってたんだよな!」
そうやって話し掛けて来たのは上鳴だった。
━━━━━━━━轟君、緑谷君、飯田君の周りに人が多い、ってことは
ヒーロー殺し絡み、なのだろうと希桜音は察した。あの日、あの時、自分がいない場所で起こっていたもう一つの事件。寧ろ世間ではそちらの方が主として捉えられているあの事件。
「ヒーロー殺し、でしょ?私はヒーローと一緒に活動してたから会ってないよ。寧ろ脳無の方が...」
━━━━━━━━一緒に活動...してないけどな!
「いや〜、良かった良かった。希桜音ぜんぜん返信無いんだもん」
これからまた談笑を始めようかというところで、始業のベルが鳴った。もう慣れたか、皆瞬時に席に着く。
そうしてヒーロー基礎学の時間がやって来た。本日のヒーロー基礎学はグラウンドγで行うらしく、
「はい、私が来たー。てな感じでやって行くわけだけどね。はい、ヒーロー基礎学ね。久し振りだな少年少女!元気か?」
今日の担当はオールマイトらしい。最初の部分に気力が感じられなかったのは何故だろうかと希桜音は思ったが、お構い無しに説明は進んでいく。
「さて、今回のヒーロー基礎学だが、職場体験直後ってことで遊びの要素を含めた救助訓練レースを行うこととする!」
「救助訓練ならUSJでやるべきでは無いのですか?」
そう言って手を挙げるのは
「あそこは災害時の訓練になるからな〜、私はなんて言ったかな?そう"レース"!ここは運動場γ!複雑に入り組んだ迷路のような密集工業地帯!5人4組に別れて、一組ずつ訓練を行う!」
『オールマイトがどこかで救難信号出すから、生徒達は町外れのスタート位置から一斉スタート。街の破壊は最小限に。最初に助けた奴の勝ちだ』
━━━━━━━━なるほどねぇ。いや、途中までは頑張ったんだけどね
『はいはい、お前一組目だろ。さっさと行きなさいよ』
━━━━━━━━はーい
戦兎に説明の補足をされた希桜音は、指示されたスタート位置へと立つ。
今回の組のメンバーは、瀬呂、緑谷、飯田、芦戸、そして希桜音の5人だ。待機しているメンバーは、少し離れた場所からモニターでの観戦をする。戦兎と万丈はクローズドラゴンに乗り込んでモニターで観戦する事にした。
「さて、と」
スタート位置へと立った希桜音は軽く準備運動を始める。
━━━━━━━━クラスでも機動力のあるメンバーが固まった。でも
「それでは行くぞ!スタート!」
オールマイトがスイッチを押してスタートとなる。希桜音はそれと同時にビルドドライバーを巻いて、変身の構えを取った。
【タカ!ガトリング!BEST MATCH!】
【 Are You Ready ?】
「変身!」
【天空の暴れん坊!ホークガトリング!yeah】
ホークガトリングフォームへと変身した希桜音は、瞬時に飛び上がってオールマイトの元へと向かう。
希桜音が上から見た光景だと、瀬呂はテープを巻いて飛び上がり、上から攻めている。芦戸は酸で滑りを良くしながら直線を進み、縦のルートは酸で足場を作りながら進む。飯田は全力疾走。そして緑谷は
━━━━━━━━USJの時と同じ...
━━━━━━━━でも
でも、障害物を潜り抜けるよりかは、障害物を通り越す方が圧倒的に速い。
「フィニーッシュ!!ありがとう、そしておめでとう!」
「やったぜ」
その言葉と共に、助けてくれてありがとうと書かれた襷を進呈される希桜音。変身を解いた希桜音はそれを身につけた。
「一番は小兎謚少女だったが、皆入学時より個性の使い方に幅が出てきたぞ!この調子で期末テストに向けて、準備を始めてくれ!」
「「「「はい!」」」」
そうして希桜音達はモニターの方へと赴き、2組目以降の観戦をする事になった。
授業が終わり、更衣室へと向かった生徒達は各々制服へと身を包む。希桜音も勿論、
「...なんか
「いつもの事じゃん、ほっとこほっとこ」
何やら隣が騒がしい事が、希桜音は少し気掛かりだった。
そしてその騒がしさ、主に峰田の声はだんだんと大きくなってくる。
「八百万のヤオヨロッパイと小兎謚のコトヨロッパイ、芦戸の腰つき、葉隠の浮かぶ下着、麗日ボディに蛙吹の意外おっ、ギェアアアアアア!!!??」
「...さいってー」
女子更衣室と男子更衣室の壁を貫く小さな穴。今までは暗くて見えなかった為、特に処置はしていなかったのだが、まさか覗き用の穴だとは思わなかったと、女子生徒達は言った。
覗きの犯人である峰田実は、穴から通した耳郎のイヤホンジャックが片目に突き刺さり、悶えることとなる。
「ありがとう響香ちゃん」
「なんて卑劣...今すぐ塞いでしまいましょう」
━━━━━━━━ウチだけ何も言われなかったな
「大丈夫、揉めばデカくなる!あとアボガドとか!」
「心の中読まないで!!??」
耳郎の沈んだ表情から察した希桜音は、彼女を励ます言葉を投げ掛けた。つもりだった。
それから教室へ戻るまで、耳郎は女子生徒と口を聞かなかったらしい。
「え〜、そろそろ夏休みも近いが、勿論君等が1ヶ月休める道理はない。」
生徒達が教室へと戻ると、早速帰りのHRが始まった。相澤の意味深な言葉に、生徒達は恐怖を覚える。
「まさか...」
「夏休み、林間合宿やるぞ」
「「「「知ってたけど!!やったー!!」」」」
林間合宿というワードに、一斉に盛り上がる生徒達。夏の楽しみ、それを共に分つ喜び。クラスは一気に騒々しくなった。
「ただし」
冷たい相澤の一声で皆は静まる。
「その前の期末テストで合格点に満たなかったやつは、補習地獄だ」
「みんな頑張ろうぜー!」
それからテストについて幾つか補足があった後、HRは終わり、皆は帰路に着いた。
所変わって日本某所ビル。空は紅く染まり、まるで悪の根源を仄めかすようだった。
ビルの中には
「ヒーロー殺し、捕まるとは思わなかったが概ね想定通りだ」
『感化されたヤツらがこれを期に、
「君だって自分の目的の為に活動してるじゃないか」
『制約さえなきゃ、とっくにこんな世界とはおさらばしてるさ』
「だけど君がこの世界から去るという夢も、漸く見えてきたんだろう?」
『あぁ...さすがは
「だが、まずはコチラが終わってからだ」
分かっている、そう答えたスタークはその場を後にした。医療用の管を付けた巨悪、オールフォーワンと会話を終えたスタークは、