『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~   作:とある世界のハンター

28 / 38
戦闘なし


第28話 試験開始のベルが鳴る

 

 

 

 

 

 

 期末テストまで丁度1週間となった。この日も通常通りの授業を行った。

 

「授業はここまでとする。期末テストまで残すとこ1週間だが、お前らちゃんと勉強してんだろうな?当然知ってるだろうが、テストは筆記だけでなく演習もある。頭と体を同時に鍛えておけ。以上」

 

 それだけ言い残した相澤は、教室のドアをガラガラと良い音を立てて閉じた。これから先は放課後、皆自由に喋り動く。

 

「「全く勉強してなーい!!」」

 

 そう言って焦りを感じているのは上鳴(20位)。対して芦戸(19位)は諦めているのか、大変にこやかな表情だ。上鳴は言い訳がましく中間テストから期末テストまでの学校行事の存在を口に出した。それに同意するのは常闇(14 位)。中間テストよりも範囲が増えた事による精神的苦痛もあると言うのは砂藤(12位)、それに付け加えるようにして峰田(10位)は余裕の表情で演習試験の存在も話題に出した。

 

「「ちゅ、中間10位!!??」」

 

 あの性欲の権化、峰田実の順位に底辺二人は驚きを隠せずに彼を責め立てる。同族だと思っていた為か、裏切られたという気持ちが大きいのだろう。

 

「お前みたいなのはバカで初めて愛嬌が湧くんだろうが...!!どこに需要あんだよ...!」

 

「世界、かな?」

 

 峰田の余裕の表情に、底辺2人はヘイトを貯めるばかりだった。そんな2人を心配してか、ある人物が声をかけた。

 

「芦戸さん上鳴君、頑張ろうよ!やっぱ全員で林間合宿行きたいもん!」

 

 そうやってやる気を奮い立たせようとするのは緑谷(5位)。さらに飯田(3位)も彼等に応援の言葉を送った。

 

「普通に授業受けてりゃ赤点はでねぇだろ」

 

「ちゃんと授業聞かないからこーなるんだよ」

 

 そう言うのは(6位)希桜音(2位)だった。

 

 ━━━━━━━━まぁ、私の場合は天っ才物理学者の記憶があるからなんだけど

 

 授業聞いとるわという微力ながらも抗おうという言葉を無視して、希桜音はそう思った。小兎謚 希桜音は桐生戦兎と記憶の一部を共有している。戦兎側からは希桜音の断片的な記憶しか知らないが、希桜音は戦兎の記憶を全て知っているのだ。座学も含めて。

 

 ━━━━━━━━これが無かったら雄英受かれて無いんだよなぁ

 

 何やら窓側付近が騒がしいと、希桜音は意識を現実へと戻した。底辺2人を哀れに思ったのか、八百万(1位)は2人に手を差し伸べるらしい。さらにそれに乗っかって、分からない部分がある耳郎(8位)瀬呂(17位)尾白(9位)も八百万に助けを求めた。3人から助けを求められた八百万は、途端にプリプリとしたオーラを放ちながら彼女の家で勉強会を催すらしい。

 

 ━━━━━━━━ナチュラルに産まれの違いを叩きつけられた気がする...

 

 希桜音はそう思いながら、教室を後にした。昼食の時間だ。皆で大食堂へと行くのだ。

 

 

 

 


 

 

 

「演習試験か...内容不透明で怖いね」

 

 好物であるカツ丼を前にしながら、緑谷はそう話し始めた。飯田は突拍子もない事はしないと言うが、希桜音はそれを否定した。

 

「いや、雄英なら演習試験系のは色々やりそうな気がする...」

 

「範囲が決まってて何とかなる筆記に比べたら、自由な事は出来るもんね」

 

 ━━━━━━━━なんとかなるんや...

 

 そう遠い目をするのは麗日(13位)葉隠(16位)蛙吹(7位)は一学期でやった事の総合的内容をやる、としか教えてくれないことを溜め息混じりに呟いた。

 

「ん、辛。山葵入れ過ぎた」

 

「俺のと変えるか?山葵あんま入れてねぇぞ」

 

「ん、ありがと」

 

 一学期でやった内容を緑谷がまとめている側で、同じ笊蕎麦を食べている2人は麺汁を交換する。

 

 ━━━━━━━━そう言えばアイツ(エモー)今何してんだろ...

 

「あぁ、ゴメン。頭大きいから当たってしまった」

 

 ふと考え事をしていると、また何か厄介事が起きたようだった。体育祭の時に、何かとA組に難癖をつけてきたB組の物間が緑谷にわざとぶつかってきたらしい。

 今回の用件は、ヒーロー殺しと遭遇した飯田、緑谷、轟を初めとしたA組に難癖つけることらしい。曰く、トラブルメーカーもとい疫病神のA組が引き寄せたトラブルに、B組まで被害を受けてしまうのではないかと。

 

 ━━━━━━━━そういうのフラグって言うんだけどなぁ

 

「うっ」

 

「物間、洒落にならん」

 

 そう言って彼の暴走を手刀で止めたのは、B組のクラス委員である拳藤。彼女は物間が持っていた御盆を上手くキャッチして、物間の代わりに緑谷達に謝罪した。

 

「アンタらさ、期末の演習試験、不透明って言ってたよね」

 

 謝罪のつもりなのか、拳藤は期末テストの演習試験について話をしてくれた。一般入試と同じくロボットでの実践演習らしい。知り合いの先輩から聞いたのだとか。

 

「バカなのかい拳藤...折角の情報アドバンテージを、こここそ憎きA組を出し抜くチャンs「憎くわないっつーの」

 

 トンともう一太刀浴びせた拳藤は、そのまま物間を引き摺ってB組メンバーの元へと戻って行くのだった。

 

 ━━━━━━━━ロボット...なら余裕だな

 

 仄かに山葵の辛味が来る蕎麦をズルズルと胃の中へと押しやりながら、希桜音はそう思うのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 その日のHRを終えた緑谷は、早速上鳴と芦戸に拳藤の話を伝えた。その話を聞いた2人は対人用に調整をしなくて済むと喜んだ。

 

「「これで林間合宿もバッチリだー!」」

 

「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ。何が楽チンだアホ共」

 

 そう吐いたのは爆豪。アホとはなんだと上鳴は言い返したが、パンパンに溜まっていた中身が耐え切れなくなり、一気に放出されたかのように彼の怒りは爆発した。その余波は緑谷へと当たることとなる。

 恐らく、前の救命救助レースの際の緑谷の動きを見て、闘心を燃やしているのだろう。

 

「次の期末、個人成績で否が応でも優劣はつく。完膚なきまでに差つけて、てめぇぶち殺してやる!」

 

 そしてその怒りは他にもぶつけられた。

 

「轟!小兎謚 !」

 

「ヒッ!?」

 

「テメェらもだ!!」

 

 轟と希桜音にも宣戦布告をして、彼は勢いよく教室の戸を閉めて出て行った。

 

「久々にガチな爆豪だ」

 

「怖かったぁ...」

 

 久々に見た怒りの爆豪に、希桜音は恐怖を隠せなかった。トコトコと芦戸の元へと駆け寄るのだった。

 

(((((体育祭ん時あんなに喧嘩売ってたのに)))))

 

 

 

 


 

 

 

 それから1週間、生徒達は体と頭を鍛えることに精を出した。希桜音ももちろんそうした。

 そうして迎える筆記試験。希桜音は初日から最終日の三日目の教科を楽々クリアした。前回同様トップ3に入れる自信はあった。

 筆記試験が終われば次がある。演習試験の日がついにやって来た。

 

「それじゃ、演習試験を始めていく」

 

 実技試験会場中央広場に集められたのは、戦闘服(コスチューム)を着たA組生徒と6人の教師達。

 

「この試験でも、もちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃ、みっともないヘマはするなよ。諸君等なら事前に情報を仕入れて、何するか薄々分かってると思うが」

 

「入試みてぇなロボ無双だろー!!?」

 

「花火ー!!カレー!!」

 

 盛り上がるのは上鳴と芦戸。だがそれを否定するような言葉がどこからともなく聞こえてきた。声の主は根津校長、相澤の捕縛武器から出てきた。

 

「残念!諸事情があって、今回から内容を変更しちゃうのさ!」

 

「「「校長先生!!?」」」

 

「変更って...」

 

 根津は相澤の肩から降りると、これからの方針について語り始めた。対人戦闘を見据えたより実戦に近い教えを重視するらしい。

 

「という訳で、諸君等にはこれから2人1組に別れてここにいる教師1人と戦闘を行ってもらう!!」

 

「尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や親密度、諸々組み合わせて考えたから発表してくぞ」

 

 そうして対戦の組み合わせは、一戦目から順にこうなった。

 

 切島&砂藤vsセメントス

 常闇&希桜音vsエクトプラズム

 飯田&尾白vsパワーローダー

 轟&八百万vs相澤

 麗日&青山vs13号

 上鳴&芦戸vs根津

 耳郎&蛙吹vsプレゼント・マイク

 障子&葉隠vsスナイプ

 峰田&瀬呂vsミッドナイト

 緑谷&爆豪vsオールマイト

 

「試験の時間は30分。君達の目的は、このハンドカフスを教師に掛ける or どちらか一人がステージから脱出することさ!」

 

「なるほどねぇ」

 

 教師達は各々アドバイスをした。教師を(ヴィラン)そのものと考え、仮に会敵した場合勝てるならそれで良し。だが実力差が大きければ応援を呼ぶ、つまりステージから脱出するのも一つの手だという。

 

「轟、飯田、緑谷、小兎謚、お前らはよく分かってんだろ」

 

 ━━━━━━━━呼びにいける隙を作れなかったけれども、否定できないのが悔しい...

 

 だがこの状況では、逃げるという選択肢しかない。そう考えた教師側には、あるハンデを背負う事になっているらしい。

 

「超圧縮お〜も〜り〜」

 

「似てなさ過ぎない!?」

 

 サポート科に協力してもらい、教師達は体重の約半分の重量分の重りを装着することになっている。動きは鈍るし体力はその分削れる。

 

『戦闘を視野に入れさせるため、か』

 

「じゃ、組ごとに用意したステージで、1戦目から順に試験を始める。出番がまだの者は、試験を見学するなり作戦を相談するなり好きにしろ」

 

 その言葉と共に、生徒達は解散した。教師陣と砂藤&切島は建物内へと入っていく。

 

「作戦考えようか」

 

「御意」

 

 希桜音と常闇は作戦を考えるべく、彼女らは人気のない林の方へと移動して行くのだった。

 それから数分、会場内にあるアナウンスが流れた。

 

 「砂藤、切島チーム。両者気絶によりリタイア」

 

 時間はそこまでかかっていない。初戦から敗北という事実に、生徒達は不安に襲われた。

 そして場所は第二戦実技試験場へと移る。そこは縦に広いビルのステージで、生徒達はステージ中央からのスタートだった。

 

「まあ、最初は間違いなく」

 

「囲われるだろうな」

 

 戦兎と万丈を置いてきた希桜音は、グッと伸びをする。緊張していない訳では無い。

 

 「小兎謚、常闇チーム。演習試験...Ready GO」

 

 演習試験第二戦目のブザーが、会場内に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。