『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~   作:とある世界のハンター

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卒業の時期ですね〜
自分は昨日卒業式でした。高校生から大学生へとLevel UP!しました
さて、作者は卒業出来ましたが、希桜音ちゃんはまず試験を合格できるのか?第29話をどうぞ!


第29話 跳び超えろラビット

 

 

 

 

 

 

 

 演習試験2戦目のブザーが鳴り響いた。ブザーと共に白い靄が現れ、ぼわぼわと形を形成し始めた。エクトプラズムの個性:分身によるものだった。

 

 【ドラゴンゼリー!】

 

「変身!」

 

 【潰れる!流れる!溢れ出る!】

 

 【ドラゴンインクローズチャージ!ブルァ!】

 

 クローズチャージへと変身した希桜音は、背中の管からゼリーを噴出して緊急脱出。常闇は黒影(ダークシャドウ)と共に希桜音の体に掴まって、共に空へと舞った。

 

 ━━━━━━━━変身時間ノ短イ方カ

 

「とりあえずは作戦通り!」

 

「油断するな、前方来たぞ!」

 

 縦に長い建物の性質上、試験として使うためにぐるりと回る形で上へ下へと移動するルートとなっている。まずは上のルート。飛び上がった二人は上の通路へと着地し、奥へと駆けていく。

 

「分身来たっ!」

 

黒影(ダークシャドウ)!!」

 

「アイヨ!」

 

 通路へ着地すると、先刻と同じようにエクトプラズムの分身が生成された。常闇は黒影(ダークシャドウ)を放ち、中距離から分身を爪で切り裂いていく。

 

「背後ガガラ空キダ」

 

 常闇踏陰の強み、それは間合いに入らせない中距離攻撃。だが弱みは間合いに入らせた後だ。彼の身体能力はさほど高くはない。それは教師であるエクトプラズムは知っている情報、もちろんそこは突いて来る。だが

 

 【シングル!シングルフィニッシュ!】

 

 それは希桜音も分かっている。希桜音は常闇の背後を取った分身にユニコーンフルボトルの銃弾を放ち、分身を消滅させた。

 

「すまない!」

 

「いいよ、今何体?」

 

「俺とお前で3体だ、まだまだ来るぞ!」

 

 今何体、という言葉から察せられるように、エクトプラズムの分身には一度に出せる数が決まっている。だいたい30体程度だ。

 

「作戦の変更は?」

 

「ない。寧ろ作戦通り行こう。重りのハンデが全然感じられないから」

 

「了解!」

 

 希桜音と常闇の作戦、それは恐らく最終地点で待ち構えているであろう本体に、常闇がハンドカフスを付けるというものだ。常闇の個性:黒影(ダークシャドウ)はプロとも充分渡り合える強い個性、一vs一ならハンデありのプロの隙を突けると考えた故の作戦だった。

 希桜音が作戦の概要を思い出していると、目の前に新たな分身が3体現れた。常闇は黒影(ダークシャドウ)で対処するが、そのうち2体は黒影(ダークシャドウ)を躱し、希桜音に狙いを定めた。

 

「小兎謚!」

 

 【Ready GO!】

 

 希桜音はドリルクラッシャーを取り出し、恐竜フルボトルを挿して横一閃にそれを振るった。

 

「甘イ」

 

 だが、それはあまりに素直過ぎた。エクトプラズム達は攻撃がギリギリ届かないラインで留まり、攻撃が止んだ途端にまた駆け寄る。重りを装着しているとは思えないそのスピードから繰り出されたのは蹴り。

 

 ━━━━━━━━狙いは、ベルト!

 

 希桜音は瞬間的に背中の管からゼリーを噴出させ、本体がいるであろう脱出口へと向かって行く。途中で常闇を回収しつつ、希桜音は噴出を止めない。

 

「やっぱ狙われてるよね、弱点」

 

ンなモン(変身)に頼ってるカラダロ!」

 

「この状態は最後まで持つのか?っ、横!」

 

 横、と言われた時には既に遅い。希桜音の死角から分身が現れ彼女らを蹴り飛ばした。常闇は黒影(ダークシャドウ)でその分身を切り裂いたが、分身は一体だけではなかった。

 

「小兎謚、背は任せた!」

 

「分かってる!」

 

 体勢を立て直した希桜音はすぐさま常闇と背中合わせになった。分身の数は10体、彼女らを挟むようにして陣を取っている。

 黒影(ダークシャドウ)は自在に宙を動いて分身を確実に切り裂いていく。希桜音はツインブレイカーによる銃撃と、ドリルクラッシャーによる斬撃で分身を倒していく。

 

 「数が増えてきた!逃げるか?」

 

「そーだね、時間削られたくないし」

 

 【消しゴム!潰れな〜い!】

 

 消しゴムフルボトルをベルトへと挿した希桜音は、常闇と共に姿を消した。このまま脱出口へと向かうのだ。エクトプラズムは音を頼りに攻撃するが、中々当たらず奥への侵入を許すこととなってしまった。

 

 

 

 


 

 

 

「っと、よりによって出口前で切れるのか」

 

「見ろ、恐らく本体だ」

 

 常闇が指差す先には、出口前で立っているエクトプラズムがいた。透明の効果が切れた2人はこれからどうするかを考えるのだが、そんな暇は敵前で作らせてくれないようだ。

 

「後ロ!」

 

「チッ」

 

 背後から分身が襲ってきたのだ。希桜音はツインブレイカーを構えて斬り裂いたが、これで位置はバレたであろう。すぐに行動すべきだと希桜音は考えた。

 

あっち(本体)は任せた!」

 

「了解した!」

 

 希桜音は常闇を抱えてゼリーを噴出、行き先はゲートの向こう側だ。常闇は黒影(ダークシャドウ)を使い、本体のエクトプラズムと交戦しつつ希桜音の身を守る。肝心の希桜音は襲い掛かってくる分身達を2つの武器を用いて牽制する構えを取るが、分身達は襲ってこない。それどころか消えていくのが見えた。

 

「確カニ、()()カラ身ヲ守ルノハ良イ作戦ダ。シカシ」

 

 しかし、その言葉と共に分身達の靄が彼女たちの目の前に立ち塞がる。

 

 ━━━━━━━━これは

 

「”強制収容ジャイアントバイツ”」

 

 白い靄達は一塊となり、それはやがてエクトプラズムの巨大な上半身となった。巨大なソレは口を大きく開き、ヒーローを飲み込まんとする。

 

「ッ、投げ「遅イ」

 

 常闇をゲートの奥へと投げようとした時にはもう遅い。2人は収容所への飲み込まれ、体外に埋め込まれる形で外界の空気に触れる。

 

黒影(ダークシャドウ)!」

 

「アイヨ!」

 

 常闇は黒影(ダークシャドウ)を使い、本体と交戦する。だが相手はプロ、蹴りだけで黒影(ダークシャドウ)との戦闘を優勢へと持って行った。

 

「小兎謚、動けるか?」

 

「がっちり両腕両足固定されてるね...動けなさそうだ。でも、」

 

 でも、策ならある。

 希桜音はそう続けて、今彼女の脳内に浮かんでいるこの状況を打破できる策を常闇へと伝えた。

 

「成程分かった。だがこれは」

 

「さっきの作戦とほとんど変わらない。いくよ」

 

黒影(ダークシャドウ)!」

 

 作戦の概要を説明し終わると、希桜音はドラゴンゼリーとスクラッシュドライバーを押し入れへと入れ、無理矢理変身を解除した。その間に黒影(ダークシャドウ)は2人の元へと駆け寄り、なにやら準備を始めた。

 

 【フェニックス!ロボ!BEST MATCH!】

 

「!」

 

 深追いは禁物だと様子を伺っていたエクトプラズムは、目の前の光景に目を丸くした。

 

 ━━━━━━━━イヤ、盲点ダッタガ出来ナイトハ聞イテイナイ

 

 他者ガベルトを扱ウトハ

 

 黒影(ダークシャドウ)はビルドドライバーにボトルをセットしていたのだ。慣れない作業だが、ベルトを希桜音の腰へと巻いてレバーを回す。

 

 【 Are  You  Ready ?】

 

「変身!」

 

 【不死身の兵器!フェニックスロボ!yeah】

 

 変身音が鳴り追えるよりも速く、希桜音は火の鳥の姿となって拘束を抜け出した。

 エクトプラズムは一人で希桜音を止めに掛かるが、瞬時に無理だと判断して常闇の拘束を解除、今出せる最大数の分身を希桜音へと当てる。

 7体は希桜音の軌道上に現れ、動きを止める肉壁となった。彼女とぶつかり合った分身達はスグに消え去ったが、希桜音を止めることには成功した。

 

「常闇踏陰、援護ハサセナイ」

 

 敵は2人。エクトプラズムは希桜音の対処を分身達に任せて、自身は常闇との1VS1を行う事にした。

 常闇は黒影(ダークシャドウ)と共にエクトプラズムの元へと向かうが、蹴りだけで返されてしまった。

 

「ぐっ...!」

 

 対して上空の希桜音は分身達の処理に追われていた。狙いはベルト、全方面からの攻撃を躱し、去なしつつの死守は希桜音には難しいようだった。

 

 ━━━━━━━━隙を見せれば変身解除させられる、もっと広範囲な、いや避けられれば意味が無い。さっさと終わらせる手っ取り早い手は

 

 さっさと終わらせる手っ取り早い手、希桜音の脳裏に浮かんだのはUSJで使ったあのフルボトル達(恐竜とF1)。だがアレを使う気にはなれなかった。あの時の火傷は、今でも未だ残っている。まだ包帯を巻いたままの生活なのだ。

 

 ━━━━━━━━違う、今考えるべきなのは速さ

 

『じゃあ』

 

 じゃあ、あの時の光景が蘇る。脳無を相手に苦戦していた時、万丈に勧められたが断ったあのアイテム。

 

 ━━━━━━━━今なら使える?

 

「ッ!」

 

「動キガ短調ダ。考エ事カ?」

 

 考え事をしていた為か、頭上の警戒が疎かになっていた。分身のうちの一体に叩き落とされてしまったようだ。

 

 【MAX HAZARD ON!】

 

 だが、希桜音はそれでは止まらない。ハザードトリガーを取り出し、ベルトへと装着した。

 そしてさらに押し入れから、フルフルラビットタンクフルボトルを取り出し、文字通り振り始めた。

 

「戦闘最中とは思えない軽い音だな...」

 

 【ラビット!】

 

 軽口を叩きながら、ボトルのキャップをキチンと合わせた彼女は、その通常のフルボトルの倍ある長さのこのフルボトルを折りたたみ、ベルトへと挿し込んだ。

 

 【ラビット&ラビット!】

 

 【ガタガタゴットンズッタンズタン!】

 

 【 Are  You  Ready ?】

 

「ビルドアップ」

 

 素体はラビットタンクハザードフォームと何ら変わらない。だが目に見えた強化をさせるほどエクトプラズムは甘くはなく、分身達は一斉に襲い掛かった。だがそれを阻止する者がいた。どこからともなく現れた紅い兎だった。それは近づく分身達を一蹴りした後5つに分かれ、希桜音の体に合体した。

 

 【紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!】

 

 【ヤベーイ!ハエーイ!】

 

 ラビットタンクハザードフォームを覆うような紅いアーマー。それはまるでハザードトリガーによる危険性を抑えるそのボトルの効果を表しているようにも思える。

 

「フッ!」

 

 ラビットラビットフォームへと変身した希桜音は、試しに少し移動してみる。

 

 ━━━━━━━━速っ、でも追いつく!

 

 体も意識もスピード特化のこの形態について来れていた。

 

「常闇君!」

 

 希桜音はその跳躍力を生かし、常闇の頭上へと跳び上がった。レバーを握り、グルグルと回して必殺技を発動させる。

 

 【ガタガタゴットンズッタンズタン!Ready GO!】

 

 【ラビットラビットフィニッシュ!】

 

 希桜音は脚部に仕込まれたバネを生かして右脚をゴムのように長く伸ばし、身体が縮んで元に戻る勢いを利用したライダーキックを行う。

 

「攻撃ガ来ルト分カレバ避ケル事ハ容易」

 

 攻撃の矛先であるエクトプラズムは、攻撃を予測していち早くその場から離れた。希桜音のライダーキックはもちろん外れるが、狙いはそこでは無い。

 

「ッ...ナルホド」

 

 攻撃を避けたエクトプラズムだったが、彼の脚にはハンドカフスがしっかりと付けられていた。

 

「攻撃ニ気ヲ取ラレタ隙ヲ突イテハンドカフスヲ付ケタカ...」

 

 「小兎謚・常闇チーム、条件達成!」

 

「お疲れ様〜!」

 

「あぁ」

 

 勝利を喜ぶ常闇と希桜音、そして黒影(ダークシャドウ)。そんな3人の元へエクトプラズムは歩み寄った。

 

「ハンドカフスハイツ渡シタ?拘束シタ時ニハ無カッタハズ。小兎謚ノ個性デ隠シテイタノハ分カルガ」

 

「最後の蹴りの時です。私の個性は、私の体から半径1m内なら自由に出し入れ出来ますから」

 

 その答えにエクトプラズムは納得したようで、彼女らにこの建物内から出ることを促した。

 

 そうして試験は続々と終わりを告げていく。終わった時の生徒達の表情は、明るい者、暗い者様々だったが、期末テストはとりあえず終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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