『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~   作:とある世界のハンター

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補足
希桜音の"押し入れ"に入っている戦兎、及び万丈は、ある程度希桜音の体を操作することが可能
さらに、希桜音の感情ならある程度理解出来る

お気に入り13件ありがとうございます( ᵕᴗᵕ )

1/31 タイトル変更


第3話 喰らえよドラゴン

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校実技試験が開始された。受験生はそれぞれの個性を活かし、仮想敵であるロボット達を破壊、機能停止させていく。

 浮かしたり、蹴ったり、爆破させたりとしている中、希桜音はというと。

 

「くっそがあぁぁ!!!」

 

 ただひたすらに殴っていた。

 先程変身を試みたのだが、未だハザードレベルは足りていないようで変身に失敗した。そのため現在は、ダイヤモンドフルボトルとフェニックスフルボトルを使用して仮想敵の破壊に専念している。

 ダイヤモンドフルボトルの効果はダイヤモンド並の硬さ。フェニックスフルボトルの効果は再生。硬化した左手、再生を活かして何度痛めても回復する右手の2つで連続でパンチを当てていく。

 本来なら型なんてものはないが、万丈が希桜音の押し入れへ入った事により、万丈の中の記憶、元プロボクサーとしての記憶が彼女に読み込まれた。希桜音はそれを模倣しているつもりなのだが、やはり真似でしかない。

 

「35...!」

 

 35P目となるロボットを破壊した希桜音は、痛めた左手を庇いつつ、未だロボットがいる場所を探しに奔走するのだった。

 

『...2.9...?』

 

『ん?どうした万丈。肉でも食いたいのか?』

 

『違うわ!いや、食いてぇけどよ。なんかいきなり2.9ってのが頭に浮かんできたんだよ。なんだこれ』

 

 知らないよ、と戦兎は万丈を一蹴りして、希桜音のその左腕の安否を心配する。フルボトルの能力があれば、並の人間を凌駕する力を使えるが、それでも人間としての器のままではやはり戦闘を続けるのは難しい。

 そんなことを戦兎が考えていると、試験会場の地面が大きく揺れ始めた。地震かと思ったが、どうやら違うようだ。今まで地を照らしていた太陽が巨大な影によって遮られた。上を見上げると、そこには巨大なロボットが現れている。側面には、デカデカと「0P」と記されている。

 

「これが0P...?」

 

 あまりの巨大さに、受験生達は一目散に逃げ出した。情けない声を出しながら逃げる姿は、ヒーローの卵と言えるのかと希桜音は思ってしまった。

 

 ━━━━━━━━まぁ、私も勝てないから逃げるしかないんだけど

 

 そう思い、彼女もその波に呑まれようとした。しかし、彼女の目に映ったものが、そんな希桜音の足を止めさせた。

 

「あれは、麗日お茶子...?」

 

『助けねぇと!!』

 

 希桜音の目に映っているのは、瓦礫に半身を押し潰され、動けずにいた麗日お茶子だった。あのままでは0Pのロボットに踏み潰されかねない。

 

『行くぞ希桜音!』

 

「っ━━━━━━━━」

 

 万丈に後押しされる形で、希桜音は足を試験会場の内へと向け走り出す。

 今の希桜音は、以前とは違った。助けを求める声は聞き、人を助ける正義のヒーローとして心が目覚めたのだ。

 

 ━━━━━━━━アイツを...助けたい!

 

 助けたい。その願いが届いたのだろうか、万丈の脳内に浮かんだ数字が更新された。

 

『3.0...3.0!ハザードレベル3.0だ!』

 

「行くよ、クローズドラゴン!」

 

 ハザードレベル3.0

 即ち、ビルドドライバーによる変身が可能になった。

 希桜音はクローズドラゴンをベルトへ軽く挿し込み、ドラゴンフルボトルを軽く振ってクローズドラゴンの背中に差し込んだ。

 

【ウェイクアップ!クローズドラゴン!】

 

 ベルトのレバーを回し、プラモデルのプラスチック枠に似たパイプを前後に形成。さらにボトルの成分をパイプを通して、前後の型に流し込む。

 

【Are You Ready?】

 

「『変身!』」

 

【Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!yeah】

 

 青いパーツが希桜音を包み込み、新たなヒーローを誕生させる。青を基調とした色に龍を彷彿とさせる意匠。その鎧、仮面ライダークローズを纏った希桜音は走り出した。

 クローズはその地を踏み締めひとっ飛びする。クローズの隣にも、同じ目的で飛び立った人間がいたが、彼はクローズよりも遥か高く飛び立ったようだ。

 しかし、クローズはそれに気付かず目の前の敵へと意識を注ぐ。ビートクローザーを押し入れから取り出し、ロックフルボトルを挿し込む。

 

【スペシャルチェーン!】

 

 さらに、ビートクローザーの柄の部分であるグリップエンドを3回引っ張る。

 それに加え、ベルトのレバーを数回転させ必殺技を発動させる。

 

【ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!メガスラッシュ!】

 

【Ready GO!ドラゴニックフィニッシュ!オラー!】

 

 2つの必殺技を同時に放った。ロボットの腹部目掛けて放たれた斬撃と蹴りは直撃、上からの超爆発とも思える攻撃とも相俟って、ロボットは爆発しながら粉々に破壊されてしまった。

 希桜音の体は初めての変身でクタクタらしく、力無く地面へと落ちた。落ちた弾みに変身は解けてしまったが、希桜音はどこか笑っていた様な表情だった。

 

「っ〜...疲れたぁ」

 

『どーよ俺のクローズ!』

 

『もうお前のじゃないでしょーが...』

 

 希桜音の中では嫌ではない騒ぎ声が聞こえてくる。希桜音はそんな声に起こされ、上体を起こそうと腕に力を入れてみるが上手くいかない。まるで錘のようだった。

 ぼぉっと寝転んでいると、周りに人が群がってきた。巨大なロボットを破壊した二人に興味を示すのは当たり前とも言える感情だが、希桜音はそれに対して少し嬉しさを感じた。そしてそれと共に恥ずかしさも感じた。

 恥ずかしさを紛らわすために隣で倒れている受験生に目をやると、意外と世界は狭いようでそれは希桜音の見たことある人物だった。

 

『たしか...緑谷出久』

 

 ━━━━━━━━コイツも雄英か...

 

 彼のボロボロになった四肢を見た後、希桜音は強烈な眠気に襲われ負けてしまった。疲れて眠ってしまったのだろうか、彼女はその後医務室へと運ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

 希桜音が目を覚ましたのは、受験生達が雄英高校を後にした頃だった。体を起こすと、雄英の養護教諭と思われる老婆が傍に立っていた。

 

「目が覚めたようだね。落ちた時頭は打ってないね?」

 

「え、あ、はい。大丈夫です。」

 

 未だ疲れてはいたが、めいいっぱいの笑顔で希桜音は返した。養護教諭はそうかいと答え、ハリボーグミを渡した。ちゃんとお食べ、という養護教諭の言葉に希桜音は頷いて口に放り込んだ。

 その後希桜音は保健室を後にした。予定では麗日お茶子に会う予定だったが、この時間では帰っているだろうと思い、雄英高校を出て近くのコンビニへと寄る。

 コンビニで私服へと着替えると、マシンビルダーに乗って家へと帰る。バレないように少し速めにスピードを出す彼女の顔は、少しだけ、少しだけ、クシャッとしていた。

 

 ━━━━━━━━また会えるといいな、麗日さん

 

 

 


 

 

 

それから1週間が経った。この日もまた、希桜音はハザードレベルを上げる特訓へと行ってきた。

彼女の住んでいるアパートからバイクで十数分で行ける小さな丘。その丘に生えてる木々のうちの一本を殴りつけるという特訓だが、これがかなり体にくる。一年近く続けている希桜音でも、休憩含めて3時間程度でヘロヘロになってしまう。

そんなヘロヘロの状態で帰ってきた彼女を迎えたのは、一通の手紙だった。差出人は、雄英高校。

 

「...来ちゃった」

 

『そりゃ今日届く予定だからな。』

 

「...そーね」

 

冷静にツッコミを入れる戦兎に、どこかつまらないという感じで希桜音は返した。ポストから取った封筒を自室へと持ち込み、封を開けた。封筒の中には円盤状の機器が入っており、それ以外は何も入っていなかった。

機械音痴な希桜音は戦兎に指示を仰ぐが、円盤の裏にボタンがある事に気付いた。ボタンを押すと、ホログラムが投影される。

 

「私が投影された!」

 

「オールマイト!」

 

投影された映像には、あのNO.1ヒーローのオールマイトが映った。オールマイト曰く、来年度から、つまり希桜音が入学すると同時に雄英高校に教師として就任することになったらしい。

 

「小兎謚少女!」

 

「ん、はい。」

 

「君の合否結果だが、(ヴィラン)ポイント35点とレスキューポイント50点で85点!順位は1位で合格だ!」

 

「えっ」『えっ』『えっ』

 

一位、というワードに希桜音と戦兎は驚いた。万丈だけは、今2人が何に驚いてるのか分からずに漏らしたのだが。

 

『さっすが希桜音!そしてさっすが俺のビルド!』

 

『はあぁ?入試はクローズだっただろ!?つまり、俺のおかげってことよ!』

 

『うっさいな全く、これだからバカは...』

 

『誰がバカだ!!筋肉つけろ筋肉!』

 

「はいはいバカ筋肉。落ち着いて」

 

『ん、お、おう。分かればいいんだよ。』

 

万丈を落ち着かせた希桜音は、合格祝いに少し高めの料理でも作ろうかと考えてみた。戦兎もそれに賛成したようで、焼肉へ行こうという話になった。

はたから見たら一人だが、今の彼女は一人で3人分だ。早速彼女はマシンビルダーへ跨り、アクセル全開で夕方の街を疾走する。

 

 

 

 

 

 

 

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