『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~ 作:とある世界のハンター
関係ないですが言わせてください。コトヨロッパイの語呂良くないですか?
第31話 学生がタンクでやってくる
「さぁ!包帯取れた祝いだ!宴だ!食え食え〜!!!」
「おお!!」
林間合宿当日朝、雄英一年生達は皆バスに乗って合宿先へと向かっていた。照りつける日差し、蒸せるような暑さを遮断する冷房の効いた車内の中は、騒音と聞き間違えるかのように生徒達が騒ぎ立てていた。
「中までチョコたっぷり!美味い!」
バクバクと買ってきた菓子を食べ漁るのは、USJの事件以降ずっと顔の右半分と右腕に包帯を巻いていた希桜音。夏休み直前までは包帯を巻いていたのだが、ついに取れたようだった。
次から次へと芦戸を介して持ってこられる宴の品、小1時間彼女はそれを食べ続けるのだった。
「食い過ぎた...」
1時間経った後、彼女らはとある場所に停車した。
『木ぃばっかだな!』
万丈が言うように、そこから見える景色は青々と繁る木に満ちた森。あとは嫌という程に澄み渡る空。そして軽自動車が一台。
「小兎謚、桐生と万丈、あとこのプリントに載ってるフルボトル借りるぞ」
「え、はい。先生あのB組は」
クローズドラゴンを押し入れから出し、さらにタカやフェニックスを初めとしたフルボトルを渡した希桜音は、B組が同じ場所にいないことを口にした。出発した時間は同じなのだが、と思っていると、答えが返ってくるよりも早く事は進む。
「よぉイレイザー!」
「ご無沙汰してます」
ガチャっと軽自動車のドアが開き、車内から女性の声が聞こえた。瞬間的に生徒達が車内に目をやると同時に、車内にいた女性2人組は外へと出る。
『
一人は赤を基調とした、もう一人は青を基調とした
「煌めく眼でロックオン!」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」
突如現れた2人組に、決め台詞と決めポーズを見せられたA組一同は目を丸くしてそれを見る。相澤曰く、今回の林間合宿の協力者らしい。
「プッシーキャッツってあれだよね、結構ベテランの」
「そう!連盟事務所を構える4人1チームのヒーロー集団!山岳救助等を得意とするベテランチームで、キャリアは今年で1n「心は十八!!」ぐふっ」
「12年だよね。つまり三十z「心は十八ィィ!!」べふっ」
プッシーキャッツの青い方、ピクシーボブは必死の形相で年齢を口にしようとする緑谷と希桜音の顔を掴んだ。
「心は??」
「十八っ」
「三十z...十八」
キラリとグローブの先の爪をチラつかせて、脅迫気味に年齢について訂正させた。赤の方、マンダレイ曰く、適齢期的なものを気にしているらしい。
生徒達は彼女らに挨拶をした後、ここら一帯はプッシーキャッツの所有地であることを聞かされた。
「で、あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」
「「「「「遠っ!!??」」」」」
「え?じゃあなんでこんな半端な所に...」
「これってもしかして...」
「いやいや...」
「アハハハ...バス、戻ろうか。な?」
「トイレは...?」
ざわざわと響めき始める生徒達、だが時既に遅し。
「今は午前9時半、早ければぁ...12時前後かしらん?」
不敵な笑みを浮かべたマンダレイは、手にした時計をチラつかせながらそう言い放った。
「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね〜」
戻れ戻れとバスに急ぐ生徒達だったが、ピクシーボブが目の前に立ち塞がり、それを阻止。さらに追い討ちをかけるように個性を発動させた。
「悪いね諸君、合宿はもう始まってる」
次の瞬間、彼女らの立っていた地面は盛り上がり、生徒達を下の森へと突き落とした。重力に逆らう事のできない生徒達は、悲鳴を挙げながら落ちていく。
「私有地につき個性の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この"魔獣の森"を抜けて!!」
"魔獣の森"、不気味なワードがその森を不穏な雰囲気を漂わせ、生徒達の不安を煽る。だがこのまま居座る訳にもいかず、生徒達は立ち上がって森へと向かうことにした。
「にしても希桜音すごいね。ヒーローのキャリアとかウチ全然分かんないや」
「え?あ〜、色々とあったから...ね」
ポリポリと頬を掻く希桜音を不思議がる耳郎だったが、突如として森から聞こえてきた足音に目をやる。
「「ま、魔獣だぁぁあ!!!」」
彼女らの目線の先には、四足歩行の魔獣が木の隙間から顔を覗かせていた。なぜかその足元にいた峰田は、有無を言わさず攻撃の標的となり、踏み潰されそうになる。だがそれを許す程のタマゴがいないわけがない。緑谷は咄嗟にとびだして、峰田を掴んでその場から離れる。さらにその後を続くようにして、4つの人影が走り出した。
『俺たちまで離す理由あったか?保須の話知らないのか?』
「聞いてる。"一人"で脳無を相手にしたってのも、またエボルトってのが現れたのもな。ソレについて色々聞きたかった」
ところ変わって崖上。相澤は戦兎と話がしたかったらしく、そのためにわざわざ離したようだった。
「エボルトと一緒にいたグリス...そいつの情報が欲しい。今後
『あぁ?カズミンは俺たちの仲間だ!!』
『ばっか。今はエボルトと一緒に戦ってるでしょーが...分かった。今から言うことをメモして』
メモしてくれ、その言葉を掻き消す多量の銃撃音が崖下から聞こえた。
【...
「はぁぁ!!!」
崖下では、早速一匹目の魔獣と交戦していた。轟が下半身を凍らせ、緑谷と飯田、爆豪の蹴りと殴打と爆破で上半身を破壊、希桜音はホークガトリンガーの銃撃で残りを粉々に砕くのだった。
「さっすがたぜお前ら!」
「「まだだ」」
魔獣を倒した余韻に浸る間もなく、森の奥から、上空から聞こえる物音に耳を傾ける生徒達。逃げれば昼飯時に間に合わない、最短ルートで魔獣を倒すという方針で、彼女らは進むことになった。
「さぁ、実験を始めようか」
【MAX HAZARD ON!】
ビルドドライバーを取り出した希桜音は、ハザードトリガーを装着してフルフルラビットタンクフルボトルを取り出す。軽快な音から重圧な音へと変わるまで振り続け、音が切り替わると同時にボトルを折ってベルトへと挿す。
【タンク! 】
【タンク&タンク!】
【ガタガタゴットンズッタンズタン!】
【 Are You Ready ?】
「変身!!」
【鋼鉄のブルーウォーリアー!タンクタンク!】
【ヤベーイ!ツエーイ!】
「行くぞA組!!」
「「「「「応!!!」」」」」
飯田の掛け声と共に、生徒達は行動を開始する。
耳郎と障子が索敵し、その他の生徒はいくつかのグループに別れて一塊となって魔獣達を攻略して行く。そんな中、希桜音は一人で戦闘を行っていた。
「動きが単純...!」
フルボトルバスターを振り上げて、思い切り叩きつける。そうすれば魔獣は簡単に崩れ落ちる。これが魔獣を2、3体倒して見つけた攻略法だった。
━━━━━━━━これが操られている物だとしたら
希桜音の脳裏に浮かんだのは、ヒーローまとめサイトのプッシーキャッツの欄。それによれば、プッシーキャッツの青い方、ピクシーボブの個性は"土流"、土を自在に操る個性と記載されていた。
「自在に操れるのなら、厄介な私に集中するよね」
そう言った希桜音の周りには、様々な形の魔獣が7体。彼女を囲むようにして、襲い掛かる時を待っていた。
希桜音はフルボトルバスターを握り締め、そしてそれを合図に魔獣達は一斉に襲い掛かった。だが、
「弱っ...」
フルボトルバスターの一振りで、魔獣達は簡単に砕け散った。弱い弱いと嘆く希桜音は砲撃を交えつつ、他の生徒達から離れ過ぎない位置で進むのだった。
それから約7時間半後、時刻にして17時00分。A組生徒達は宿泊施設へと辿り着いた。
「うぇ〜い...」
「これが生身だったらなぁ...」
「お腹痛い...」
「邪魔...!!」
ヘトヘトになっている生徒達の中で、体力面や個性の副作用で歩けない者もいた。そんな中、彼らはいいものを見つけたのだ。キャタピラで移動する仮面ライダーを。
「オラァ...」
覇気のない言葉で、自身の体に乗っている3人を地面へ叩き落とす希桜音。胸にへばりついている
「あ、3時間って言ったの私達って意味。悪いね」
「空さえ飛べれば余裕だったのにぃ...!!」
「実力差自慢かよ...」
「腹減ったぁ、死ぬぅ...」
「ねこねこねこ、でも正直もっと掛かると思ってた。思ったより簡単に攻略されちゃった。特にそこのキミ!キミ
「いらねぇよ...あ、
「はぁ!?おいふざけんなクソアマァ!!」
「...あの人あんなでしたっけ」
「彼女焦ってるの、適齢期的なアレで」
「あ、適齢期と言えばあの「と言えばって?」
適齢期という言葉である事を思い出した緑谷は何かを言いかけたが、ピクシーボブによってまたしても阻止されてしまった。だがそれは彼女の年齢とはあまり関係の無いことで、緑谷は言葉を続ける。
「ずっと気になってたんですが、その子はどなたのお子さんですか?」
緑谷の指差す先には、まだ小学校低学年程度の少年が立っていた。
━━━━━━━━たしか崖から落とされる前にもいた気がする...
「あぁ違う。この子は私の従兄弟の子供だよ。ほら洸太、挨拶しな?1週間一緒に過ごすんだから」
マンダレイに諭された洸太だったが、挨拶をするような雰囲気ではなさそうだった。話を振った緑谷は、人見知りなのだろうかと自ら足を進めて挨拶をしに行く。
「えと、僕 雄英高校ヒーロー科の緑谷、よろしくね」
「同じく小兎謚だよ、よろしく」
少し興味が湧いたのか、希桜音も同じく緑谷に続いて挨拶をする。だが返ってきたのは挨拶では無い。金的だった。
━━━━━━━━うっわよく分かんないけどなんか凄く痛そう
「緑谷君!!?おのれ従甥!なぜ緑谷君の陰嚢をぉ!?」
「陰嚢...?あぁk『女の子がそんな端ない言葉言うんじゃありません』
「ヒーローになりたいなんて連中と、つるむ気はねぇよ」
そう吐き捨てた洸太は、手を握り締めて水を思い切り希桜音に投げつけた。咄嗟に避けようとしたが、水は希桜音の顔面にぶち当たり、希桜音は咄嗟に顔を抑えてしゃがみ込んだ。
「つるむ!?君幾つ、って小兎謚君!?大丈夫かい!?」
「マセガキ」
「お前に似てるな」
「あぁ!?似てねぇわ、喋ってんじゃねぇよ舐めプ野郎!」
「わりぃ」
「茶番はいい。バスから荷物下ろせ。部屋に荷物を運んだら、食堂にて夕食。その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さぁ、早くしろ」
そう言い残した相澤は施設の中へと入っていく。そして希桜音は相澤を追い越すようにして急いで施設へと入って行った。誰にも、何も言わずに。
『ここにいたのk「ここ女子トイレなんだけど?」いやお前の裸何回も見てるからいいだろ』
良くないと返しながら、希桜音は作業を再開する。
作業、クリームを塗る作業。
火傷の痕を隠す作業。
『まだ包帯付けとけって言ったろ?』
「...心配されたくない」
『ほら、
「...もうあっち行って。ね?」
しっしっと希桜音は2人を追いやって、一人になる。
鏡に映る自分の右半分は、醜い。