『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~   作:とある世界のハンター

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今日は確実に投稿したい...!!って一心で書いたため、かなりボロが出るかもしれません...m(_ _)m


第35話 手にしたキー

 

 

 

 

 

 追い掛け始めて2分程度。追いかけっこをしている2人は森の中の開けた場所へと辿り着いた。

 

「待って...トガちゃん!」

 

「...久しぶりです。きーちゃん」

 

 木へ凭れ掛かる希桜音は、(ヴィラン)の1人、追いかけて来た彼女の名を叫んだ。名を呼ばれた少女、トガも同じように彼女に挨拶をする。

 

「イカレ女、知り合いか?」

 

「フフ、友達です。手は出さないでくださいね」

 

 分かった、それだけ答えた彼女の仲間はその行く末を見詰める。見守る、というよりは暇潰しがてらの観劇といったところだろうか。

 

「...強くなったね」

 

「うん。約束通り、会いに来たよ」

 

 その言葉には、嬉しさではなく、哀しさが混じっていた。希桜音はフルボトルバスターを手にして、それを構える。

 

「おいおいおい!この数相手に正気かよ!?負ける気しかしねぇ!」

「黙ってろ。油断すんな」

 

「立場上、仕方ないもんね。そう...だよね」

 

 (ヴィラン)、トガヒミコも仕方無しに注射器に似た武器とナイフを構える。だが、彼女はどこか楽しそうだ。吐いた台詞とは真逆で。

 

「トガヒミコ、残念ですがそれはまたの機会に」

 

 そう言って黒い靄、(ヴィラン)連合の黒霧が現れる。突如として希桜音の背後に現れたそれは、彼女を数メートル吹っ飛ばした。

 

「...っ、仮面ライダー...グリス!」

 

 黒霧の中からは、金と黒を基調とした仮面ライダー、グリスがその拳を突き出していた。希桜音はフルボトルバスターを構え直すと、フルボトルを挿してトリガーを引く。

 

 【フェニックス!ドラゴン!ジャストマッチでーす!】

 

 青と赤が混じった火炎弾がグリスを襲う。だがそれはある人物によって防がれた。紫の仮面ライダーに。

 

「氷室玄徳、仮面ライダーローグ...!」

 

 かつて戦兎達の前に立ち塞がり、そして父の死を乗り越えて国をまとめるための礎として、彼等と共にエボルトと戦った氷室玄徳。彼が変身するライダー、仮面ライダーローグがそこには立っていた。

 グリスと同じように現れた彼は、希桜音に襲い掛かる。希桜音はそれを返り討ちにしようとフルボトルバスターを横に振り払うのだが、片手でいとも容易く受け止められてしまった。

 

「硬っ...!」

 

 希桜音は急いでその場から離れようとするのだが、フルボトルバスターが掴まれて離れられなかった。この隙にグリスが希桜音に急接近、ガラ空きの腹部にツインブレイカーを突き立てる。

 悶絶。脳無戦の傷の痛みが、その攻撃によって再燃したのだ。痛みをなんとか噛み殺そうと踏ん張るのだが、もう体力も限界のようで片膝ついてしまう。

 

「ぐっ...」

 

 敵前で隙を見せれば、攻撃の的になるのは必然的な結末だ。

 顔中継ぎ接ぎだらけの(ヴィラン)、荼毘はその右手に纏った蒼炎を希桜音目掛けて放った。生身ではないとはいえ、確実に熱としてのダメージはある。今の希桜音には、言葉として痛みを訴える力は残っていなかった。痛みに耐える、それしかできない。

 さらに、それだけに攻撃は留まらなかった。蒼炎をものともしないローグとグリスの打打擲が彼女を襲う。もはやそこには戦闘という文字は無く、一方的な蹂躙しかない。

 

『希桜音!!』

 

『カズミンだけじゃなく玄さんもいんのかよ!?』

 

 まさに護るもの(ジーニアス)。戦兎は空をたったと駆けて希桜音の押し入れへと入り込んだ。途端に希桜音の体は起き上がり、周りの二人を吹き飛ばした。

 

 ━━━━━━━━遅い...

 

『お前が速いんだよ。行くぞ』

 

 【Ready Go!ボルテックフィニッシュ!】

 

 ベルトのレバーを回して必殺技を発動させる。赤い機体は熱を放出し始め、蒸気機のように蒸気を発生させる。希桜音の右肩の意匠と同じ牙のオーラが彼女を包み込み、圧倒的なスピード、圧倒的なパワーを実現させた。希桜音はそのオーラを纏ったまま、ローグとグリスにラリアットを仕掛ける。

 だがやはり満身創痍の体、簡単に避けられてしまった。追い討ちをかけるように、必殺技の構えをとった。

 

 【クラックアップフィニッシュ!】

 

 【スクラップフィニッシュ!】

 

 ワニの口に似た紫のオーラを纏ったローグと、ゼリーの噴出によって勢いを付けたグリスのライダーキックが希桜音に狙いを定めて放たれた。

 

『来い!!』

 

 だがそれは狙い通り。希桜音は押し入れの入口を開いてそれに迎え撃つ。そして彼等は、戦兎の予想通り押し入れの中へと入った。

 

『うし!取った!』

『玄さん!カズミン!しっかりしろ!!』

 

 押し入れへと入れられた二人は、変身アイテムを抜き取られ強制的に変身を解除させられた。中は空洞、なんてことは無く猿渡一海と氷室玄徳がいた。

 

『...ん...?みーたんはどこだ...?』

『『いや自分の場所を聞けよ』』

『戦兎...万丈、ここは...?』

『玄さんも起きたか、話は後だ。希桜音、離れるぞ』

 

 ━━━━━━━━待って、まだトガちゃんと

 

 まだ話を終えていない。そんな台詞を遮るように、空から人間が降って来た。希桜音は咄嗟に構えるが、どうやら増援のようだった。

 

「みんな!」

 

「ミスター、避けろ」

「!了解」

 

 降って来たのは緑谷、轟、障子、そして仮面を付けた(ヴィラン)の4人だった。荼毘は緑谷達を視認した途端、右手に蒼炎を纏ってその集団目掛けて放った。

 

「っつぅ!!」

 

 希桜音は咄嗟に飛び出して、身を呈して炎から級友の身を守った。だが体力は既に限界を突き抜けている。蒼炎を受け止めた希桜音は力無く吹っ飛ばされてしまった。

 

「小兎謚!」

 

 降って来た3人は希桜音の安否を心配する。だがそんな余裕は与えてくれないようで、(ヴィラン)は彼等への迎撃を開始する。

 荼毘はその蒼炎を轟へと放ち、全身タイツの(ヴィラン)、トゥワイスは腕輪からメジャーにも似た武器を取り出して障子と緑谷と交戦を開始する。そしてトガは、希桜音の元へと歩み寄る。

 

「きーちゃん!遊ぼ?」

 

「待っ...て」

 

 待て、なんて言葉に耳を傾けないトガは、ベルトに挿されたフルボトルを抜き取り、地面へと放った。希桜音は強制的に変身を解除させられ、血だらけの生身を曝け出すことになる。

 

「きーちゃんはこっちの方が可愛いよねぇ」

 

「知っ...てる」

 

 希桜音を押し倒す形で乗りあがったトガは、手に持ったナイフを希桜音の首元へと当てた。その表情は、猟奇的で狂喜を感じさせる。

 だがそのナイフは血に染まることは無かった。止められたのだ。ある人物に。

 

「トガヒミコ、()()は私のもの(モルモット)よ。丁重に扱って欲しいのだけれど」

 

「...!?」

 

 トガを止めた人物、そのシルエットは彼女はよく知っていた。姿は違えど、彼女達のよく知っている物なのだ。

 

『もう1人の...ビルド...!?』

 

 金と紅を基調とした姿は、見たことは無いが紛れもなくビルドだった。女性の声を発するそれは、希桜音の元へと近づくと彼女の首根っこを掴んだ。途端に呼吸が困難になった希桜音は足をばたつかせて抵抗するが、手は離してくれない。緑谷達は自分のことで精一杯で、希桜音を助けには行けないようだ。

 

 【Ready Go!ボルテックフィニッシュ!】

 

 金のビルドは片手でレバーを回して、必殺技を発動させる。右腕に備え付けられた巨大な針は途端に輝き初め、さらに鋭利になったようだ。そんな針を彼女は希桜音の脳へと刺す。

 だが、それで希桜音の命を絶つということは無かった。その攻撃によって起こったことは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事だ。

 

『...は?え、何がどーなってんだ!?』

『とりあえず行くぞみんな!』

 

 戦兎を筆頭に、彼等は変身アイテムを取り出そうとするのだが、ある人物に奪われてしまった。

 

『よぉ、感動的な再会だな』

 

『エボルト!?なんでテメェが...!』

 

 スタークは奪い取ったアイテムを投げ捨てると、トランスチームガンの銃口を向けて彼等との戦闘を始めた。圧倒的に不利な状況、彼等は回避に専念するしかできなかった。

 

「黒霧、私は先に帰るわよ」

 

 金のビルドは希桜音を抱えると、黒霧の元へと歩み寄る。だが簡単にはいかないようで、希桜音は最後の力を振り絞って拘束から脱出、傍のスクラッシュドライバーとドラゴンゼリーを掴んで変身の構えを取る。

 

 【ドラゴンゼリー!】

 

「変身!」

 

 【潰れる!流れる!溢れ出る!】

 

 【ドラゴンインクローズチャージ!ブルァ!】

 

 希桜音は思考を働かせるよりも先に、目の前の(ヴィラン)を倒す事に体を動かす。クローズドラゴンを拾い上げると、それをツインブレイカーへと挿し込んで必殺技を発動させる。

 

 【Ready GO!レッツフィニッシュ!】

 

 青い光線が金のビルド目掛けて放たれる。だが

 

「残念、力量(レベル)が違うわ」

 

 気付いた時には腹部を貫かれ、変身は既に解けていた。希桜音はそのまま意識を失い、金のビルドに担がれる。

 

「エボルト、フルボトルとハザードトリガーを」

 

『もう入手済みだ。それじゃあライダー諸君、チャオ!』

 

 スタークは手を振りながら黒霧の中へと後退していく。手にしているのはパンドラパネルとフルボトル60種類、そしてハザードトリガーだ。そして希桜音は、金のビルドと共に闇に飲まれて行った。その先は、手を伸ばしても最早届かない。

 

『希桜音えぇぇ!!!』

 

 悲痛な叫びが森の中に木霊した。だがそれは、何かを起こす力にはなり得なかった。

 そしてその数分後、交戦していた(ヴィラン)5名、そして増援としてやって来た脳無を捕らえることはできなかった。だがしかし、仮面ライダー達の尽力によってMr.コンプレスに奪われていた爆豪勝己、そして常闇踏陰の奪還に成功はした。だが、それでも彼等の表情は浮かない物だった。

 そうして彼等の林間合宿は幕を閉じる。そしてここから、世界の終焉が始まる。

 

 

 

 

 

 

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