『愛』と『平和』の為に 〜Love&Peace~   作:とある世界のハンター

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補足
桐生戦兎の持ち物
・ビルドドライバー
・ドラゴンフルボトルを除いたフルボトル59種
・ラビットタンクスパークリング
・ハザードトリガー
・フルフルラビットタンクフルボトル
・白いパンドラパネル
・ジーニアスフルボトル

万丈龍我の持ち物
・ビルドドライバー
・ドラゴンフルボトル
・クローズドラゴン
・スクラッシュドライバー
・ドラゴンスクラッシュゼリー
・ドラゴンマグマフルボトル
・クローズマグマナックル
・ドラゴンエボルボトル



第4話 無慈悲なトライアル

 

 風に揺さぶられ、桜の花弁がヒラヒラと一枚舞い落ちた。ふとソレに目がいった希桜音は、花弁を手のひらで受け止めた。

 

「春だなぁ」

 

 ヘルメットを外して、バイクから降りた彼女はそう呟いた。

 本日は雄英高校の入学式である。彼女は雄英高校に向かっている最中だったが、時間に余裕があったため少しだけ寄り道している。土手の端には桜が等間隔で植えられており、風に吹かれて枝を揺らしている。

 

『もうそろそろ行ってもいいんじゃないのか?』

 

「...そうね」

 

 希桜音は立ち上がって、ヘルメットを被るとバイクに跨った。ハンドルに手をかけると、アクセルを吹かせて雄英高校へと走り出すのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 雄英高校の傍でバイクから徒歩へと変えた希桜音は、雄英高校の前の巨大な坂を歩いていた。周りには生徒が幾人も歩いており、希桜音はその中の一人として歩いている。

 校門をくぐり、校内へと入る。予め配られていた地図を片手に、希桜音は自分の教室へと辿り着いた。

 

 ━━━━━━━━1-A...

 

 教室の扉を開けると、中には既に幾人か生徒がいた。戦兎は麗日お茶子に会いたかったが、いないようだった。

 希桜音は席へ着くと、周りに合わせてとりあえず大人しくすることにした。と言っても、脳内では戦兎と2人でフルボトルの能力の復習をしているのだが。

 

『スパイダーは敵の拘束、トラップ設置に使える。フルボトル単体で使った方が応用効くかもな』

 

 ━━━━━━━━スパイダークーラーの意味...

 

『実際に使ってみないと分かんないだろーな、それは。ん?あれ麗日じゃないのか?』

 

 ━━━━━━━━え?あ、ホントだ

 

 希桜音が教室へ入って十数分後、戦兎が言った通り教室の入口には麗日がいた。どうやら緑谷と話しているようで、戦兎はまた別の機会でいいやと復習を再開した。

 しかし、それはすぐに中断された。というのも、担任と思しき男性が教室内へと入ってきたからである。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

 くたびれた声でそう言った彼は、生徒達にジャージに着替えて外へ出るよう指示を出した。

 

 

 

 


 

 

 

『麗日お茶子、だったな。万丈をありがとうな』

 

「ん?いやべつに。困ってたから助けただけなんで...」

 

 ジャージへと着替えた希桜音は、麗日を呼び止めて意識を戦兎へと代えた。戦兎は、こちらの世界で彷徨っていた万丈を助けてくれた麗日に感謝の気持ちを伝えたかったのだ。

 麗日は照れ臭そうに受け答えすると、希桜音にグラウンドへ行こうと促し、希桜音もそれに乗って共にグラウンドへと歩いていった。

 

 

 

 


 

 

 

「「「「「個性把握テストォ!?」」」」」

 

 グラウンドへと呼び出された1-A生徒達。彼等に言い渡されたのは"個性把握テスト"なるものだった。

 麗日は入学式やガイダンスなどの行事への参加を聞いたのだが、ヒーローになるのにそんな悠長なことする時間は無いらしく、軽くあしらわれてしまった。

 

「雄英な校風が自由が売り文句、そしてそれは先生側もまた然り」

 

 相澤は、中学までやってきた個性使用禁止の体力テストについて語り始めた。曰く、文部科学省の怠慢によって未だ平均を作り続けているこのテストは合理性に欠けるらしい。

 

「実技成績トップは小兎謚...だったが、(ヴィラン)ポイントは爆豪がトップだったな。中学ん時ソフトボール投げ何mだった?」

 

 名前を呼ばれ身構えた希桜音だったが、別の人間、というより元クラスメイトに話の中心を持っていかれ出端をくじかれてしまった。

 

 ━━━━━━━━アイツも同じクラスなのか...

 

 合格を知らされた後、寺折中学の雄英高校合格者3名は校長室へと呼ばれ褒めに褒められた。その後、希桜音は緑谷と共に爆豪にいびられたことを思い出していた。

 

 ━━━━━━━━あの時は反抗して思い切り殴ったんだっけ

 

 思い出に浸っていると、爆豪がソフトボール投げのサークルの中へと入っていった。相澤に言われ、個性を使用してソフトボール投げをするようだった。

 爆豪は思い切り足を地に踏ん張り、球に爆風を乗せて彼方へと吹っ飛ばした。

 

「死ねえええぇぇ!!」

 

 ...物騒な掛け声と共に。

 

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素子を形成する合理的手段」

 

 そう言って相澤は、手にしたタブレットに表示された数値を生徒達に見せた。記録、705.2m。

 その大きな数値に生徒達は驚く者が多数いた。さらに、口々にポジティブな感想を述べる者もおり、その中に面白そうと言った者がいた。

 その言葉を聞いた相澤は、嫌な笑みを浮かべながらこう言った。

 

「8種目トータル成績最下位の者は、見込み無しと判断し除籍処分としよう。」

 

 彼の言い放ったその冷たい言葉に、生徒達は驚愕する。もちろん、希桜音もその一人だった。

 しかし、彼女は現在ハザードレベル3.0を越している。ライダーシステムを使用すれば難なく突破できるはずだと思い、心を落ち着かせた。

 

「あ、小兎謚。お前の...ライダーシステム、だったか?それは個性じゃない。ただの借り物、だろ?個性で生み出した物やそれを媒介として個性を使用するのなら許可するが、お前の個性とは別物だ。分かるな?」

 

「...え?」

 

「そのライダーシステムは、使用不可だ。」

 

「なっ...」

 

「生徒の如何は俺達の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ。」

 

『まっ、確かにな』

 

 ライダーシステム使用不可、その言葉は希桜音に大きく刺さった。個性として使っている感覚だったが、確かに言われてみれば実際は個性ではない。ほとんど生身と変わらない人間へのお助けアイテムのようなものなのだ。

 しかし、現実は非情なもので、理不尽な個性把握テストは幕を開けることとなる。

 

 

 

 第1種目:50m走

 

 フルボトルの力すら使えない希桜音だったが、それで絶望して力を抜いてはここで脱落だ。それだけは避けたいと何度も言い聞かせ、50m走に臨んだ。

 クラウチングスタートの構えでスタートの合図を待った。

 

「位置について、よーいドン」

 

 スタートの合図と共に希桜音は走り出した。最後に50mをキチンと測定したのは中学三年以来だったが、確実に成長しているのが分かった。

 

 ━━━━━━━━足が軽い...速い!

 

 記録:5.6秒

 

『ハザードレベルが人並み以上には高いおかげで、身体能力はただ体を鍛えるよりも高くなってるはずだ。安心していいぞ』

 

 走り終えた希桜音に、戦兎は優しく言った。もう少し早く言えと戦兎に言った希桜音は、軽く歩いて息を整えることにした。

 

 

 

 第2種目:握力

 

 記録:35kg

 

 

 

 第3種目:立ち幅跳び

 

 記録:230cm

 

 

 

 第4種目:反復横跳び

 

 記録:68回

 

 

 

 第5種目:ボール投げ

 

 記録:45m

 

 戦兎の言葉のおかげで、2種目目以降希桜音はリラックスしてやる事が出来た。

 自分の番が終了すれば、あとは残りの生徒が終了するのを待つだけ。なのだが、緑谷出久の番になった時、相澤は彼になにやら指導をしていた。

 

「何を話しているのかしら?」

 

「...さぁ?」

 

 隣にいた蛙チックな女子生徒の呟きに、希桜音は答えてみた。麗日以外で初めて喋った生徒なのだが、雰囲気的に喋りやすいというのが希桜音の第一印象だった。

 その少女、蛙吹梅雨と軽く話をしていると、2回目の測定をしていた緑谷が凄まじい轟音を立ててボールを思い切り投げた。

 一部始終だけを見ていた希桜音だったが、彼の個性が増強系だと把握した。

 

「すご...」

 

 希桜音は周りの生徒達の反応も確認してみるが、その強大なパワーにやはり同じく驚愕しているようだった。一人だけ除いて。

 その一人は驚愕はしていた。しかし、それは強大なパワーにではなく、緑谷出久が個性を使用しているということにだった。彼はそれに納得が行かず、緑谷出久の元へと駆け寄っていく。

 

 ━━━━━━━━爆豪勝己...

 

 しかし、爆豪は相澤の捕縛布によって拘束されてしまった。何やら指導を受けていたが、希桜音には関係ない。

 希桜音は一部始終を見終わったあと、周りに流されるように次の種目へと移った。

 

 

 

 第6種目:上体起こし

 

 記録:26回

 

 

 

 第7種目:長座体前屈

 

 記録:52cm

 

 

 

 第8種目:持久走

 

 記録:5分4秒

 

 

 

 全ての測定を終えた生徒達は、グラウンドの中央へと集められた。相澤はタブレットからホログラムを投影させて結果を一括開示する。

 1位から20位までが記載されるが、希桜音の記録は同率8位、切島鋭児郎と同じだった。

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

 あっさりと嘘をバラした相澤に、生徒達のほとんどは目を丸くして驚いた。

 

「君らの個性を最大限引き出す合理的虚偽」

 

 ━━━━━━━━嫌な笑顔だ

 

 相澤は教室にカリキュラム等の書類がある事を伝え、生徒達を校舎へ戻るよう促した。

 希桜音は軽く伸びをしながら、喋りやすい蛙吹と共に教室へと戻って行った。

 今日の日程は午前で終了の為、一時を過ぎた頃には皆校舎を後にしていた。もちろん、希桜音もだ。希桜音は、新たなクラスメイトの蛙吹と共に最寄りの駅まで共に歩いていた。

 

「希桜音ちゃんは、個性というよりサポートアイテムに頼ったヒーローなのね。」

 

「そ。まだ使い始めたばかりだから、もっと頑張んなきゃいけないんだ。あ、梅雨ちゃんはどーゆーヒーローになるの?」

 

「私は自分に出来ることで活動していきたいわね。海辺での活動とかしてみたいわ。」

 

「そっかぁー、お互い頑張ろうね。じゃあね!」

 

「希桜音ちゃんは電車じゃないの?」

 

 私は違う、とだけ答え、希桜音は蛙吹と別れた。なんとか友達を一人確保した彼女は一先ず安心した。

 

『良かったな、友達できて。』

 

「...うん」

 

 希桜音は人気のない場所へ行き、マシンビルダーを展開した。コートを羽織り、ヘルメットを被ってバイクに跨り、家へと向けてアクセルを吹かせる。

 

 

 

 

 

 

 

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