ショタコン疑惑のソーナさん   作:ケツアゴ

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言葉に出来ない想い

「……心配なら危ないことを手伝うんじゃなくて意地でも止めろ。俺に言われたくないだろうがな」

 

 祐斗先輩の復讐の手伝いをする事にした私ですが、今は店から連れ出されて運ばれています。荷物を運ぶみたいな持ち方は不愉快ですし、降ろして貰いましょう。

 

「あだだだっ!? 戦車の力で殴るな、白音」

 

「……今は小猫です」

 

 その名前は捨てました。主を殺したSS級はぐれ悪魔の妹の名前として知れ渡っているから。でも、この人はあの日以降もその名前で私を呼ぶ。不快な気は……しません。チビ呼ばわりだけは絶対に許しませんが。

 

「危なっ!? 仙術使うなよ!」

 

 何発も拳を打ち込みますがヒラヒラと身を翻して避けられる。昔からそうだ。もっと小さい頃からチビ呼ばわりをしたり、姉様がいざ本番ってなると奥手になってベッドの中で照れながら甘えてくるとか、妹としてどう反応すれば良いのかって話をしてきた事もありました。……その後、私の拳は避けられましたが姉様の拳骨を食らってましたけど。

 

 

 

『大丈夫だぜ、白チビ。身代わりを連れてきた。安全になったら入れ替わるとして、それまでは匿ってやるよ。大勢の前でビンタして俺を盛大にフった彼奴が前の晩にベッドの中で言ったんだ。お前を守って欲しいってな』

 

 ……あの時だって相変わらずヘラヘラ笑ってチビって呼んで、私を撫でていた。

 

 

 

「じゃあ、俺は此処で……どうかしたか? 俺とデートでもしたいのかい?」

 

 去ろうとしたエクネスさんの手を掴んで引き止める。手の平から温かさが伝わってきました。ニヤニヤ笑いが不愉快なので少し強めに握ればミシミシと音が聞こえて来ました。

 

「……デートは嫌ですが、食事前に連れ出されたのでご飯がまだです。責任とって奢って下さい」

 

 ……そう。これはあくまで責任を取って貰うだけです。断じてデートじゃありません。だって、この人は姉様の()()ですから……。

 

 

 

 

「ほいほい。デートのお誘い受けましたっと。んじゃお前は大飯喰らいだし焼き肉バイキングでも行くか」

 

「だからデートじゃ……ありません」

 

 握られた手を握り返しながら、そう呟いた……。

 

 

 

 

 

 

 所で、側にいた彼女は何処に消えたのでしょうか?

 

 

 

 

 

「何だよ、彼奴! いきなり現れて好き放題言いやがって!」

 

「あ、うん。そうだね……」

 

 食事後、神父服で町を練り歩きながら、匙君の言葉に上の空で返しながら僕は考える。このままで本当に良いのかと。別に復讐に迷いが生じた訳じゃない。彼らの力を借りるのを辞めた方が良いんじゃないかって思ったんだ。

 

 ちょっと前、小猫ちゃんに仙術の稽古を付けてくれている伸び上がり入道の照星さんが冥界の現状について語ったのを聞いたことがある。

 

『鮫と鰯では同じ魚類でも違うように、純血の上級悪魔と他の悪魔の間にも隔絶した差があります。故に反乱は起きませんが、煽る者が居て対抗する力が合れば即座に反旗を翻す。それほどまでに下僕悪魔の扱いは悪いです』

 

 部長や会長が優しいから忘れがちだけど、多くの貴族は下僕悪魔を見下している。中世において貴族にとって平民は家畜と同等だった事があるけど似たような物なんだ。

 

 つまり事が大きくなれば僕や彼らだけじゃなく、連座として親兄弟まで罰を受けさせようとするかも知れない。いや、悪魔でさえないのだから一切の遠慮をしてくれないだろう。日本で暮らしているせいか理解している様子がない二人をどうやって帰らせようか……。

 

「あっ! 匙、昨日の晩に合コン行くって行ってたよな? どうだったんだ? ったく、俺も誘ってくれよ」

 

「欠員が一人だったんだから仕方ねぇだろ。それに会長が言うにはルプスレギナさんは俺を名指ししてきたんだ。合コンにも何かすげぇ服で来るし、他の子もベタベタ触ってくるし、俺は会長一筋だけど悪い気はしなかったぜ。モテる男って罪だよな。もし会長より先に会っていればもしかして、とも思うな」

 

 楽しそうに話す匙君だけど、参加していた女の子の名前に僕は首を傾げたくなる。デオン、ガガーラン、アストルフォ、マーレ、確か全員男の子……あれ? 一人は女の人だったかな? ヴォラク家はグレモリー家と遠縁だから眷属の僕も交流があるけど……黙っていよう。

 

「そ、そう言えばイッセー君。神器の宝玉を一個部長に渡したって聞いたけど、どうしたんだい?」

 

「あれか? 小猫ちゃんの仙術の師匠を紹介した対価にヴォラク家に渡したって聞いてるぜ。あの家、結構な数の研究者を抱えているから欲しがったんだってよ」

 

 僕が話を変えた時、頭上から殺気を感じて咄嗟に魔剣を創り出す。頭上からエクスカリバーを手にしたフリードが襲いかかってきた。

 

 

「神父一行に光あれってな!」

 

 高所からの強襲に僕達は咄嗟に飛び退き、フリードはエクスカリバーを振り下ろす。だけど、突如横から飛来した何かによって彼の手から弾き飛ばされた。僕の足下に転がったのは銃弾。でも、一体誰が?

 

「なぁっ!?」

 

 彼は幼い頃から戦闘の訓練を受けていた、言ってみれば戦いのプロだ。だけど手にした剣が空中にいる時に弾き飛ばされれば動揺もする。つまり、今が絶好のチャンスだ。地面を踏みしめ、騎士の特性である速度を支える強靭な脚力を使った跳び蹴りをフリードの脇腹に叩き込む。でも、咄嗟に腰に差していた別のエクスカリバーを間に挟まれた。

 

「くっ!」

 

 足に伝わってくる激痛。聖なるオーラは僕に尋常でないダメージを与えるけど、フリードも直撃は免れても只じゃ済まない。ブロック塀に激突し、破壊して仰向けに倒れている。

 

「今だっ!」

 

「お、おうっ!」

 

「行くぞ!」

 

 掛け声と共に三人同時に向かっていく。この足じゃ戦いは不利な上に結構な音がしたから誰かが来るだろう。それまでに決着をつけ、何処かでエクスカリバーを破壊しようと思った時、フリードが缶のような物を取り出す。しまったと思い、咄嗟に目を瞑って耳を塞ぐけど、目蓋や塞いだ手を貫通する閃光と爆音が放たれた。

 

「うおっ!?」

 

「目が、目がぁあああああああっ!?」

 

 間に合わなかったのか音と光の直撃を受けたらしい二人はのたうち回り、僕も目と耳が上手く働かない。でも、ダメージの為か少しふらつきながら去って行くフリードの姿と、騒ぎを聞きつけたのか此方に向かってくるゼノヴィアと紫藤さんの姿は捉えることが出来た。それと、さっき弾き飛ばされたエクスカリバーもだ。

 

「それの破壊は目を瞑ってやる! 行くぞ、イリナ!」

 

「でも、ちゃんと核は後で返してね!」

 

 フリードや協力者であるバルパーの捕縛、残りのエクスカリバーの奪還を優先してか通り過ぎていく二人。僕も追おうとした時、遠目に近寄ってくる部長達の姿を見つけた僕は邪魔をされるかもと思い咄嗟にエクスカリバーを掴んで走り出す。手から激痛を感じ、背後から名前を呼ぶ声が聞こえるけど止まれない。僕は絶対にエクスカリバーを破壊しなきゃ駄目なんだ。

 

 

 

 

 

 

「博士……ミッション成功」

 

「良くやった、シズ。休日出勤の手当は申請しといてやる」

 

 

 

 

 

 

 刃と刃が激突し、片方が無惨に砕ける音が響く。砕けたのは僕の魔剣、エクスカリバーには何十本も犠牲にして漸く細かい疵が入ってきた。

 

「もうちょっと、もうちょっとだっ!」

 

 皆、見ていてくれ。僕は今日、エクスカリバーを破壊する。再び破壊力を重視した剣を想像し、地面に置いたエクスカリバーに振り下ろそうとしたその時、空中から光の槍が飛来した。咄嗟に避けるけど衝撃で地面を転がり、エクスカリバーは宙を舞う。それをキャッチしたのは黒い十枚の羽を手にした堕天使だった。恐らくあれがコカビエル。奴はもう片方の手で紫藤さんをぶら下げていた。

 

「……せ! エクスカリバーを返せっ!」

 

「元々貴様の物でもないし、バルパーの奴が欲しがっているんでな。おい、先に小娘を手土産にサーゼクスの妹に伝えてこい。学園で待っているとな」

 

「はっ!」

 

 コカビエルの背後から上級堕天使らしき男が現れる。情報にはなかったけど、考えれば当然だ。相手は幹部なのだから、直属の部下や賛同して従う堕天使を一人も連れていない方が変なんだ。僕達は何を楽観的に考えていた? 下手すれば此方より多い人数の堕天使を相手にするって言うのに。

 

 エクスカリバーを部下に渡したコカビエルは僕を見下ろして笑っている。何をする気なのか想像に容易かった。

 

「さて、戦争再開の為に魔王の妹達を殺させて貰うが……先ずは貴様で遊ぶとしよう」

 

 先程飛来した物と同じ大きさの光の槍が僅かに遅い速度で放たれる。それを避けると今度は少し速い速度で向かってくる。言葉通り、本当に僕で遊ぶ気だ。……流石に拙いかな、これは。

 

 

 

 

 

「そろそろ飽きてきたし、終わらせるか」

 

 開始から十分ほどが経過し、僕の全身には掠る程度に手加減して放たれた光の槍で傷が出来ていた。痛みと疲労で動きが鈍る中、コカビエルの翳した手の先には無数の光の槍が現れる。ああ、僕はこんな所で終わるのかと思わず目を閉じれば槍が空を切って向かってくる音が耳に入る。でも、何時まで経っても痛みは感じなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫です。奴の相手は私が引き受けましょう」

 

 恐る恐る目を開けた僕の前には全ての光の槍を切り払い、コカビエルに対面する騎士の背中があった。彼こそはエクスカリバーを手にして民を導いた騎士王に仕えし円卓の騎士最強の男。湖の騎士ランスロット。コカビエルもまた、彼の強さを感じ取ってか表情を一変させる。

 

 

「貴様、名を名乗れ」

 

「我が名はランスロット! ルーク・ヴォラクの忠実なる騎士なり! 義の元に参上し、今から貴殿にお相手願うっ!」

 

 コカビエルに剣を向けながらランスロットさんは僕に目線で先に行けと告げる。僕は迷わず走り出した。向かう先は駒王学園。きっと其処にバルパーとエクスカリバーが!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バルパー! ……え?」

 

 辿り着いた僕の目に映ったのは校庭に散らばるエクスカリバーと唖然とする皆やフリード達、そして超巨大なパンダの石像だった。

 

 




感想お待ちしています

ライザー眷属に数倍で戦えたのにライザー相手には数千倍で肉弾戦してたし魔力以外にも身体能力でも差がある。きっとRPGで言うなら純血は最初からレベルが高い、ただしレベルマックスの時のステータスは大きく変わらないから努力次第で……って所かな?

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