ショタコン疑惑のソーナさん   作:ケツアゴ

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最初に謝罪 セラフォルーファン、ごめんなさい!


実はとっくに気付いてた

「ルークは私と違ってきっと何でも出来る様になるね。でも、自分で何でもしなくちゃって思ったら駄目だよ?」

 

 昔、僕を膝の上に乗せながら姉様が口にした言葉だ。父様も母様も亡くなって家を継いだ姉様だけど、他の貴族の人達が影で悪口を言っているのを知っている。周りに優秀な奴が多いだけの凡人、宝石の山に混じった石ころ。僕は姉様が酷いことを言われるのが嫌だったけど、本人は喜んでいた。

 

「え? だって友達が誉められたら嬉しいでしょ? お前の周りの奴は皆凄いなって言われているんだよ」

 

 ……どうして笑っていられるのか。この時の僕にはよく分からなかった。

 

 

 

 

 

 

「まさか神器すら創造出来るようになったなんて……成長しましたね」

 

 今日はソーナさん達との合同訓練。僕の場合は家臣から眷属を選んでいるから別の仕事を持っているって場合が多くて、今回はエヴァリスとマシュだけ連れて来た。遠目に見ていたけど相変わらずスパルタだなぁって思いつつソーナさんに集中する。

 

 知的で綺麗で真面目なお姉さん、僕の初恋相手で婚約者。……この前、一緒にお風呂にも入った。恥ずかしくてちゃんと見ていないけど肌がスベスベだった。背中を流すだけでも照れたのに、あんなに広い浴槽で密着してくるんだもな。姉さんやルプー辺りもスキンシップが激しい方だけど、意識の仕方が違うよ。

 

(っと、いけないいけない)

 

 一瞬、創造した神器『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』の形がぶれる。まだ創り慣れていないから安定しないんだ。神器の創造にチャレンジする時にエヴァリスが一番先に創れるようになれって言ってたけど確かに凄いや。

 

『それが下級扱いされるのは本来宿す人や下級悪魔の力の平均値が低いからだ。十が倍になるのと百が倍になるのとでは話が違うだろう? だが、勘違いするな。結局、道具が凄いのであって使い手が凄いのではない』

 

 付け加えられた言葉、道具に頼らなければ何も出来ない奴に道具を使う資格はない、が湧き上がった万能感を消し去る。うん、そうだ。ソーナさんに良いところを見せる為にも、皆を守れる男になる為にも僕は頑張らなくちゃ駄目なんだ。

 

 迫ってくる水の魔力に対して散弾をイメージした魔力で迎撃しようとした時、中間地点に僕の家の家紋が描かれた魔法陣が現れて魔力を止める。誰か来るって聞いてなかったけどどうしたんだろう? 

 

 

「はーい。ちょっと待つっす。急用が入ったからルーク様を迎えに来っすよ」

 

 現れたのは二人。その片方の姿に初対面の人は驚いているけど仕方ないよね。姉様と違って僕も驚いたんだ。だって、全身を包帯で覆って口と目以外は僅かに褐色の肌が見えているだけなんだから。

 

「……」

 

 無言で会釈した彼の名前はデンバー。ピラミッドを追い出される時にエヴァリスが連れ出した家来だって聞いてる。今は僕眷属でマシュと同じ戦車だけど、恥ずかしいからって喋らないし顔も見せてくれないでも、筆談やメールじゃ饒舌だし個性の一つだから良いんじゃないかな?

 

 それにしてもピラミッドの建設時にファラオに仕えるために奴隷を埋めたって話だけど、エヴァリスみたいに優秀な魔術師はアンデッドとしてちゃんと復活させられるんだって。デンバーぐらい自我がハッキリしているのは他にいないって自慢してた。

 

「あー! お前はあの時のっ!!」

 

 でも、ソーナさんの眷属の……匙 元士郎だっけ? が反応したのはデンバーじゃなくってルプーことルプスレギナ。美人だけどミイラ男よりも驚くかな? 指差して叫んでいる内容からして、またルプーが禄でもない事をしたのかな?

 

「二人共、取り敢えず自己紹介して。……ルプーは後で質問があるから」

 

「えー!? まるで自分が悪いって疑ってるみたいじゃないっすか~。まあ、それは置いといて。ルーク様の僧侶のルプスレギナ・ベータって者っす。あっ、こっちは戦車のデンバー、此奴は全然喋らないっすよ」

 

 普段から悪戯ばっかやってる事を棚に上げて不満そうにした後でルプーは陽気そうに挨拶をして、デンバーは相変わらずジェスチャーで終わらせる。

 

「それで何があったの?」

 

 ソーナさん達との合同訓練は前から予定に入れてたし、親交を深める為にって重要視してたのに迎えが来たって事はきっと重要な用事なんだと思う。

 

 

「リッカ様が他の領地に行ってる間に商談が入ったっす。流石に家臣だけっていうのも失礼なので商談の場に居て欲しいからって迎えに来たんっすよ。自分達が手当とか組み手の相手とか引き受けるから早く帰って最低限の身嗜みを……」

 

「わ、分かった! ソーナさん、ごめんなさい!」

 

 

 こっそり見せられた相手を示す書状で重要さを知って慌てて頭を下げる僕だけど、ソーナさんが手招きをするから近寄って行く。え? 成長したからご褒美? 頭を撫でて褒めてくれるのかと思った僕がワクワクしているとソーナさんが僕の左頬に手を添えて、普段僕がしているみたいにほっぺにチューをしてくれた。

 

「ふふふ。照れる顔も可愛らしいですね」

 

 ……格好良いって褒めて貰えるように頑張らないとね。だって男の子だもん。何故かもの凄いショックを受けた顔の匙(僕は貴族だし、年上だけどさん付けしない。って言うかしちゃいけない)が気になったけどデンバーが急かす動きをしてたから家に転移する。

 

 あーあ、もっとソーナさんと過ごしたかったなぁ。でも、家や領民の為だもん!

 

 

 

 

「んじゃ、一番ボロボロのアンタが先っすね」

 

 僕が消えた後、嬉しそうにしていた匙の治療を開始したルプーだけど、普段の陽気な声色とは真逆の声で囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルーク様を侮るのも大概にしなさい。ヴォラク家と婿入りを決めたシトリー家を謗る行為と見做して……消しますよ」

 

 貴族社会は綺麗事だけじゃ渡っていけない。勉強の最中だから分かったようになっているだけの僕でも知っている事で、まだ教わってないけどルプーが所属するプレアデスの仕事にはそういったのも含まれるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……暑いって言うか熱い。クーラーの効いた部屋で書類仕事している方がマシ」

 

「安心しろ。帰ったら溜まった書類仕事が待っているぞ。ちなみに砂漠の夜は冷えるからな」

 

 私の名前はセラフォルー。外交担当の魔王として馬鹿をやらかした奴の尻拭いをする為に悪魔の弱点である日差しが強く降り注ぐ砂漠を歩いている。同行者で今から謝罪に行く相手の顔見知り(約四千六百歳なのに四千歳越えって年齢を六百歳誤魔化そうとしている見た目詐欺)曰く、砂漠を飛んでいったり大勢で向かうと機嫌を損ねるし、私の部下だけで向かわせるとか問題外らしい。

 

「……戦争の時にぶっ○しておけば良かった。これが終わったらリフレッシュ休暇が欲しい。エステとか魔法少女関連に時間を費やしたい」

 

「無理だな。旧政権の勝手な行動で、自分達とは無関係です、などと言った言い訳が通じると思っているのか? 外交担当の貴様は最も忙しくなるだろうさ」

 

 この口の減らない合法ロリが昔の知人であるドラゴンから誘われた組織。口八丁で引き出した情報には追放して放置するしかなかった旧政権の情報があった。……仕方ないじゃん。血筋を絶対視するお爺ちゃんとか発言権が強いし、監視すら置かせて貰えなかったんだから。戦闘力だけのお飾りの魔王に無茶言わないで欲しい。寧ろやらかしてる悪魔に攻めてくる勢力が居ないのを褒めて欲しい。

 

 

 

「……よりによって太陽王オジマンディアスの王妃の墓に忍び込むなんて……ファック!」

 

 え? 自分達が知ってるハイテンション魔王少女と違う? 放って置いてよ。ずっと前に我に返ったけど今更すぎて辞めるに辞めれなくなったんだよ。もう親も縁談を持ってきてくれなくなったよ。あー、何処かの誰かに魔王押し付けて楽隠居したいなー。……趣味だけに生きたい。後から虚しくなるけど、やってる最中は楽しいもんね。

 

 

 あー、私の前にもリッカちゃんの所の彼みたいに顔と面倒見と収入が良い彼氏面の幼なじみが現れないかな……。




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某地獄のアイドルの狐をモデルにしました 
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