■『勇者の隣の式神さん』の猫の日小話となります
■勢いだけで書いたのでやおい(やまなしおちなしいみなし)文ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです
2021.02.22
とある日の昼下がり。お昼休憩中のオレたちは部屋でぐうたらしていたが、突如として犬井と狐ちゃんたちがどこかに行ってしまった。かと思えば、すぐに部屋へと戻ってくる。
一体なにをしているのかと聞こうとすれば、いつものとおりに犬井に背後から抱きしめられ、狐ちゃんたちは狐ちゃんたちで「ユウキユウキ見てて~! 狐はいまから猫になるの~」と、メイド服のままふんふんやる気をみなぎらせながら言う。
「おおう……?」
猫になるとはどういう意味かとベッドの上で首を傾げれば、狐ちゃんたちは「いくよ~」と両手を前に出した。手を軽く握る仕草をすると、「にゃ~」と発する。
「にゃあっ、にゃ~!!」
「にゃ~にゃ~っ!」
「ふぉおぉあぉああああっ!?」
なんだこの破壊力は!? かわいすぎるだろ!
にゃあにゃあ鳴く狐ちゃんたちのミミとしっぽは楽しげに揺れに揺れ、「ユウキとおんなじなの~」とご機嫌だ。
ここで「いや、オレはにゃあにゃあなんて鳴いてないからな」なんて言うのはいけないことだ。話の腰を折るなんて真似などできやしない。
「悠希もできるだろう?」
「はあ? いきなりなんの話だよ?」
背後から降ってきた声に振り返ると、頬をむにむに弄られてしまう。
「管狐と同じことをだよ」
「あんなに楽しそうにはできませんよ!?」
「悠希はやればできる子だろう?」
にゃあにゃあ続けられていく猫真似のなか、爽やかに笑う犬井から察したのは、オレもやれやという圧だ。凄まじい圧。というか、初めから仕組んでいたのはコイツしかいない。そんなにオレに猫真似をさせたいのかよ、この男はよお。そもそも、オレは名字からして猫なんですがね! ――と言っても無駄なのは解っている。解っているからどうにかしなければならない。
解決方法はひとつだけなんだよなあ、この場合は。本当に面倒くさい男だよ。
「………………………………にゃあ。ほら言ったぞ!」
どうだと羞恥により熱くなった顔を向けるとネコミミを食まれてしまい、挙げ句には押し倒されてしまう。
そりゃあ犬井だし、最終的にはそういうことになるんだろうとは思っていたが、たったひとことでいいなんてチョロいな。いやまあ、そのひとことに撃沈したんだけれども! 大撃沈だけれども!
破壊力でいえばどっちもどっちってか! あ、いまいいこと言ったなあ、オレ。
犬井の首に腕を回しながら、いつの間にやら管狐に戻った狐ちゃんたちに向かって労りの笑みを浮かべた。
お疲れ様、狐ちゃん。あとオレもお疲れ様。
(おわり)
【 あとがき 】
にゃあと鳴かせてやったぜ!