藤丸立香、マシュ・キリエライト、シオン・エルトナム・ソカリス、ゴルドルフ・ムジーク、シェヘラザード、マタハリ、柳生但馬守宗矩、春日局、松平信綱、そして――殺生院キアラの尽力により、人理崩壊域徳川廻天迷宮 大奥を解決して数日が立った時だった。
第四異聞帯 インドへと向かうためにダヴィンチをはじめとした技術者が虚数潜航艇シャドウボーダーの改良が完了するまで藤丸立香は英気を養っていた。
これは、英気を養っていた藤丸立香が、聖杯に縁のあるとある少女を依り代にしたサーヴァント、カーマと呼ばれる神霊を召喚した日のことだった。
(…………)
「なにか聞こえる……? でも確か俺は寝たはずなんだけど……」
何かの声が聞こえた気がして、立夏は目を開ける。
だが目を開けているはずだというのにそこは真っ暗であった。
ここはどこだろう?、藤丸立香は今日の記憶を思い出そうとする。
「確か今日はカーマを召喚して……トレーニングを……」
その日召喚を終えた藤丸立香は、日課のトレーニングを行っていた。
「だけど、”トレーニングも結構だが、休息もしっかりとらなければいけないよ?”って、ホームズに言われて、トレーニングをほどほどにし早く寝たはず……てことはこれは夢?」
トレーニングによる疲労と、彼を気遣ったマシュ・キリエライトが、リラックスや快眠に効果のある香を持ってきたことにより、快適な睡眠へと移行したはずだということを思い出した。
眠ったはずの立香が声を聴くということは、誰かが起こしに来たか、あるいは夢の中で誰かの記憶を見ている時だけだ。
だが、彼を起こしに来たというならば体を揺さぶるはずだろう、だが藤丸立香に揺さぶれている感覚はない、ならばここは誰かの夢の中ということになるのだが……
「んーダメだ」
辛うじて自分が立っているということはわかるのだが、首を動かしたり歩き回ったりしても、明かりがある場所を見つけることはできなかった。
(……)
「これは……もしかしてさっき聞こえた声?」
しばらく立っていると、先ほど聞こえた声が再び立夏の耳に届いた。
「……行ってみるか」
この状況を打破するものが何もない立香は、声の聞こえる方向へと歩いていくことにした。
進めど進めど暗い闇の中、立香が歩いていくと途中何かを通り抜けた感覚が立香に走ると世界が変わった。
先ほどまで真っ暗だった空間だが、とある一点だけ、天から降りる光によって照らされていたのだ。
遠目でわからないが、その光の下には何か動いているように見える。
立夏がその光を目指し、一歩、また一歩と近づいていくと、その蠢くもののが何なのか見えてきた。
「なに……あれ……?」
それは、逞しくそそり立つものだった。
緑色の体、何かを模したような細い触手、明らかな殺意が見える
そして、その存在は……男性のとある場所にとても類似していた。
その存在は立香に気づいたようで、ゆっくりと近づいてきた。
血数いてきたその存在は、驚きで動くことができない立香を気にすることなく話しかけてきた。
「おー何らかの縁でワシとつながっているようだな! 若者よ 喜ぶがいいワシと縁が結ばれたということは、ワシほどではないがさぞご立派なものになるだろう ワシとの縁はそのような効果もあるのだ。 うれしいだろ? これでお主が気になる
「えっええ……」
ダムが決壊した無図のごとくマシンガントークでしゃべるその存在に立香は圧倒されるばかりであった。
「あっあの……あなたは?」
だが、いままでのサーヴァントとの交友により鍛えられたメンタルによって、何とか勇気を振り絞りその存在に質問をする。
「お? わからんか? 今日、お前さんとワシは熱くつながったというのに!」
その存在はそういった。
「今日……?」
立香思い返すが、このような存在とつながったことは記憶はない。
むしろこんな存在とつながることがあるのなら、立香でも全力で拒絶するだろう。
「ふむ、わからんか? ワシというご立派なものを見ても思い出せぬと? ……しょうがないならば名乗るとしよう。 我が名は魔王マーラである」
「マーラ……マーラ!?」
マーラ。
それは立夏が数日前に打倒した人類悪のことである。
そこで立夏は思い出した、カルデアに召喚された神霊カーマはマーラという名を持って人類悪になったことを。
「もっもしかして……カーマと契約したから?」
「おお! その通りだ。 どうじゃ? ワシのようなご立派な魔王と契約できてうれしかろう!」
「ええ……」
マーラはその体うねらせてそう言った。
「ま、まああなたと契約してしまったことは置いておいて、そろそろ俺起きたいんですけどどうすればいいですか?」
立香そう聞くとマーラはこう言った。
「そうか、残念だが起きたいというのか…‥‥それならば問題は無かろう、もうすぐ迎えが来るだろう」
「迎え……? うっ」
マーラが迎えが来るというと、立香の意識がゆがんだ。
「来たようだな」
マーラがそう言うと立夏の意識は闇へと沈んだ。
立夏が最後に見たものとは。
「黒い炎……?」
何者かがマーラへと放った黒炎だった。
「はっ」
ノウムカルデアにあるマイルームのベットで立夏は目を覚ました。
「はぁ……夢か……」
先ほどまで見ていたすさまじい光景を思い出し、立香はため息をついた。
そんな立香のマイルームの扉が開く。
立夏はマシュでもやってきたのかと思ったが、入ってきたのは、少し前に召喚したカーマであった。
「管制室へとお呼びですよー全くなんで私がこんなことをしなければいけないんですかー」
そういうカーマを見ながら、立香はこう言った。
「カーマ」
「はい? なんですか?」
「来てくれたのが君でよかったよ……」
「急に何を言ってるんですか……気味が悪いです」
立香の頭には先ほどまでのおぞましい光景が残っていた……。
ちなみに最後のシーンは、ポプテピのようにミシャグジ様を呼ぶ予定もありました。