「おかわりどうですか? 先輩」
「あっお願い」
「はい、ではどうぞ」
「ありがとうマシュ」
第二拠点ノウム・カルデアのマイルーム。
藤丸立香、マシュキリエライトは、来るべき第四異聞帯に備え、お仇やかな休息をとっていた。
少し前に発生した事件、大奥にて第三のビーストの片割れを打倒し、無事カルデアの職員たちやサーヴァントたちを取り戻した後のことだった。
立香たちが休息している間にも、シオンをはじめとする技術者によってシャドウボーダーの改造が行われていることは言うまでもない。
替えの紅茶を受け取り、クッキーをお茶請けにしながら談笑すること数分語、マイルームへと一人のサーヴァントがやってきた。
「センパーイ! いらっしゃいますかー? いらっしゃいますよねー? てなわけでお邪魔しまーす!」
「おや、BBさん? どうかなさったのですか?」
やってきたサーヴァントの名はBB。
クラスはムーンキャンサー。
いつの間にかカルデアへとやってきていた、いまだ謎の多いサーヴァントである。
「用というほどではありませんが。あっクッキーいただきますね、なんとなーくセンパイのほうへやってきたほうがいいかなぁーって、こう電波? 交信? 的なものがきまして、で、こうしてやってきたのですけれど何か変わったことはありませんでしたか?」
「はぁ‥…いえ、とくには」
「ですよねーじゃないとこんなにゆったりしてませんしねー……BBちゃんどうしちゃったんでしょうーか、よよよ」
そう言いながら、BBは服の裾で顔を隠しながら泣きまねをしていた。
しばらく鳴きまねをしていたBBであったが、
「もしかしてこれから何か起きるかもー? なんて」
と冗談交じりにそういった瞬間であった。
「警報!?」
マイルームに警報が鳴り響いたのは。
警報に続いて、シオンの放送がマイルームに響く。
『あーあー現在ここノウムカルデアにシステムに大規模なハッキングを受けています! マスターである藤丸立香、マシュ・キリエライトは至急管制室に来てくださーい! 大至急!』
そう言うと、放送が消える。
「ハッキングって……」
「とっとにかく急ぎましょう! 先輩っ」
立夏とマシュは考え事を始めたBBを置いて、急いでマイルームを出ていった。
「アトラス院の技術をハッキング? そんなのムーンセルか同じアトラスの技術でも使わなければ……っておいて行かれたー!?」
「藤丸立香来ました!」
「同じくマシュ・キリエライト到着しました!」
立夏たちが管制室にやってくると、そこにはゴルドルフ新所長とシオンが待っていた。
「あれ? ホームズやダヴィンチちゃんたちは?」
立香がいない二人に気づきシオンにそう聞くと
「お二人には、ハッキングが再び始まったときに瞬時に対応してもらうため別の場所で待機してもらってます」
とシオンはそう答えた。
「それで、いったい何が起こっているというのかね!」
ゴルドルフ新所長が落ち着かないようすで、シオンにそう促した。
「まぁまぁ落ち着いて、まずこれを見てくださーい!」
そう言うとシオンは空中にディスプレイを投影する。
そこには、悪魔のようなマークが映し出されていた。
「これは?」
マシュがそう聞くと、シオンは硬い表情で答えた。
「ここをハッキングしてきた輩に対し、ハッキングし返した際に発見した画像です」
「ハッキングし返すって……」
「量子ハッカーですのでこれくらいはお茶の子さいさいというやつです! まあ、それは置いておいて、逆ハックした際に発見したデータはこれだけではありません、これを」
次に映し出された画像は、青い物体へと変化した見知らぬ街の風景だった。
青い物体には、光の線がが走っており、まるで機械に内蔵される電子回路のようだった。
だがそれ以上ぬ目立つのは、空に浮かぶ巨大な立法体の物体であった。
「あの……これは?」
「詳しいことは何も、このほかにもいくつかの画像データ、そして位置データが発見されました。 発見された位置データを調べてみた結果、日本のとある都市に特異点の反応が検出されました」
シオンがそう言うと、日本列島を映し出す。
特異点を示す光は、日本の首都、東京の秋葉原を指していた。
「特異点……!」
「はい!、というわけで、藤丸君には至急この都市へとレイシフト、特異点の排除をお願いしたいのです……大奥の疲れがまだ残っているかもしれませんが……行ってくれますか?」
シオンは心配の表情を浮かべながら、立香にそういった。
「だいじょうぶですよ! しっかり休めましたし、今すぐにでもいけます!」
立夏は笑顔でそう答えた。
「わかりました! ではいってみましょうか!」
こうして立夏たちは特異点へとレイシフトしていった。
「まにあったー!」
途中で到着したBBと共に。
「ふふふ……」
立夏たちが向かった特異点の中心部に浮かぶ青い巨大な立法体の内部。
そこに、眼帯をした長髪の男がいた。
男の手には、岩のような様なものが握られており、その目はとあるものに向けられていた。
「もうすぐだ……もうすぐだ……光熱斗、そのナビロックマン。 この世界のすべてを電脳物質へと変化させ、あの月の形をした惑星規模の超巨大コンピューターと一つになることができれば……ふふふハーハハハハハ」
男の高笑いがあたり絵と響き渡る、男が向く場所にはとある存在が居座っていた。
まるで燃えるような赤い体、腕には腕輪が付いていて、その背中にはまるで羽のように六本の剣が存在していた。
「もうすぐだ……もうすぐだぞ……ネビュラグレイ!」
ネビュラグレイ……そう名付けられた電子世界の怪物は、異界のテクノロジーを取り込もうとしていた……。
かつてこの怪物を打倒したあの少年と青きネットナビはいまだおらず……