イヴちゃんさえ生きてくれたらいい 作:イヴちゃん凶愛者
1話 星を授かる杯
『君達と出会えて本当によかった。君達の事は絶対に忘れないよ。』
僕は彼らにそう言った。でも、彼らがどんな人だったのか、そして
何をしてもらったのかは思い出そうとはしているけれど
思い出す事は出来ない。
「ほら、起きてよ。
デュエルディスクから声が聞こえてくる。声の主は僕の好きな彼女イヴちゃん。
彼女の小指には結婚指輪が付いている。出会ってから
しばらくしてから渡した。とある電脳世界で開催されたイベントの景品だ。
彼女の声は部屋に
彼女がいないと朝が起きるのは本当に辛いと思う。
「起きないと目覚ましの音量特大をお見舞いするよ?」
僕は煩い音が苦手、それは生まれつき。
音のない世界はきっと素晴らしいのだろう。
でも、音がない世界はイヴちゃんの声は聞こえないから
好まない。
彼女が何故僕が煩い音が苦手なのかを
知っているけれど僕は教えた覚えはない。
「そ、それだけは止めて。起きるから‥起きるから。」
渋々、布団をはがして学校に行く準備をし始める。朝ご飯はAIが作ってくれていて
既に出来ている。今の人は僕を含めて
に頼りすぎていると僕は思う。僕はいつの日か
自分の力で行動せねばと思うけれど
イヴちゃんを頼ってしまう。
イヴちゃんは学校のネットワークサーバーに接続して授業の予定を確認してくれる。
そして、その授業の予定を準備する。
これがいつもの日常だった。
「今日の予定は国語とプログラミングと英語だよ。」
イヴちゃんが言った内容の教科の準備をし始める。
「ありがと、イヴちゃん。おかげで準備が早く終わったよ。」
「いつもの事でしょ。
ずっとずっと傍にいるからね。」
彼女の優しい言葉は僕を癒してくれる。
イヴちゃんと出会う前、僕は医者に
この頃は物心ついたばかりの頃であった。
そんな時にイヴちゃんと出会った。
イヴちゃんは自分が貴方の生き甲斐になると申し出てくれた。
僕はそれを受け入れて家に一緒に帰った。
彼女は精神的にも身体的にも支えてくれた。
過去の事を思い出してもきりがない。
僕はイヴちゃんの入ったデュエルディスクをもって家を出た。
「今日の天気は雨だけど、傘持って行った方がいいよ。」
「降水確率は何%なの?」
「67%だよ。」
「67ってまた微妙だなぁ。」
「統計上なんだし仕方ないよ。いくら
自然の摂理を完全に理解する事は出来ない。それこそ
VRAINS だけなら人によって作られたから」
イヴちゃんは何か別の事を考えているようで黙った。
「おう、
どうやら俯いていたらしい。
俯いているといつもホットドッグを進めてくる草薙さん、商売が上手なんだろう。
「じゃあ1つ買うよ。草薙さん、最近何かありました?」
「いや、ないかな。」
草薙さんの様子から何かがあったのかは読み取れたが
それが朗報なのか悲報なのかはわからない。
教えてくれないなら仕方がない、僕はホットドッグを鞄に入れた。
「ちょっと匂いがつくよ。ホットドッグの匂いが教科書に。」
「ならどこに片付ければいいのさ。」
「誰かにあげたらどう?朝飯前だし、きっと喜ぶよ。」
「そういってもね、イヴちゃん。あげる友達がいないよ。」
イヴちゃんは黙り込む。彼女には
がいるけれど僕には幼馴染がいない。
Den city にはいじめは無いと信じたから移住してきた。
おかげで今はいじめられていない。
冷えると不味くなるから食べることにした。
僕はあまりホットドッグのソーセージが好きではない。
添加物が入っていて体に悪いからだ。
まだ、草薙さんに激流ソーダを買わせてもらった事はない。
激流葬みたいに炭酸が途轍もなくあるのだろうか。
僕には両親がいないから体の事は自分で管理しなくてはならない。
家の中で事故起きた時はイヴちゃんが病院に連絡してくれるから安心できる。
「
イヴちゃんが声をあげた。普段から遅刻はしないけれど
イヴちゃんは心配症だった。
心配性は悪くない、けれど過度に心配しすぎると家ですら出れなくなるかもしれない。
私は知っていた、
どんな酷い事をされてきたかを。でも
辛さを口に出したりしない。心の奥底に閉じ込めている。
辛いと感じているのなら聞くよって言いたいけれど
私は、私は
星遺物を探して欲しいという願い。
でもいつかは星遺物と関わる事になろう。
今はいないけど
リースの願いをかなえてあげたい。
好き。僕は他人とは関わりを避けてきた。
友達が欲しいと何度も願った、けれど理解してくれる友達はいない。
辛い、寂しい、怖い。
「もう少しで学校だね、イヴちゃん。」
「そうだね。」
高校にいる間はイヴちゃんと話す事が出来ない、それはこの高校では
人工知能は人間に支配されるべきだと考える人が多数だし
何より独り言を言っていると思われてみんなから、
より避けられるに決まっているから。
「いつもの事でしょ。いい、
なんだよ?私は独学でここまでやってきたから。」
そこには僕の知らない世界、文明の利器があるのだろう。
いつかイヴちゃんに連れて行ってもらう事を信じて
僕は今を生きている。
次回 の予告
cracker