イヴちゃんさえ生きてくれたらいい 作:イヴちゃん凶愛者
「君が私の最初で最後の友人でよかった。」
ライトニングさんがこちらに話しかけてくる。デュエル前も同じような事言ってたね。
強調される程、僕は貴方達の役に立ってない、
「それはどういう意味ですか?」
「そのままの意味だよ。我々を排除する人間は大勢いる、人は
チリチリとデッキから音が聞こえてくる。
音の原因を調べると先程のカードがノイズを出していた。それと同時に嫌な音が耳に入ってくる。
「君が物語を進める上で
「だが忘れるな、運命は自分自身で切り開くものだ。そう教えてくれたのはお前だ、遡亜。」
僕が貴方にそう言ったんだ、僕は今は覚えていない。
「思い出さなくていい、人が記憶を忘れたとしても性格が変わらないように。君は優しいよ、だから突き放した。これ以上我々に関わるな。リボルバーに君の顔がばれた以上は君の現実世界も危ない。試作AIの情報はいずえれお前に送る。」
ライトニングさんの身体にノイズが入り始める。
「つまり僕は現実世界で貴方の作った試作AIと戦ってその情報を送ればいいという事か。」
「私の事は忘れていい、君が辛い思いをしてほしくない。君にしてほしい事は先程言ったが、君がするべき事を優先しろ。」
「どうして貴方は。」
いや言っても仕方がないのかもしれない。辛い思いをしてる者に寄り添ってあげたかった。
一人ぼっちが怖かっただけなのかもしれない、誰かに必要とされたかっただけなのかもしれない。
「僕を置いていくの?前回も、今回も。」
不思議と声が出る。
「君と分かり合えたとしてもそれ以外の人間と分かり合える事は難しいと分かったからだ。」
それに関しては言い返す事が出来ない。僕が他の人を説得しようとしたとしても他の人は聞く耳すら持ってくれないだろう。
「君は君だけの物語を完結させるがいい、他の物語に墨を落としてばかりいてはだめだぞ。」
彼は何かを動かしながら言葉を続ける。
「次は星櫃なんだろ、もう少しじゃないか。星杖、星冠もいずれ君の元に帰ってくるだろ。データさえあれば全て復元できる。彼女の願い叶えてあげるがいい。む、ウィルスが混じっていたのか。逃げろ、遡亜。」
僕は振り向いた、彼の身体にノイズが走り始めた。
「大丈夫、僕は大丈夫。今度は誰も見捨てたりしないから。」
ライトニングさんの身体が黒ずんでいく。
「ならば、渡したカードを今ある姿に変えて見せろ。こんな時の為にバックアップは用意していた。」
「嘘だ。」
それが嘘にしか思えなかった。僕を守る嘘、イヴちゃんが僕についた嘘にそっくりだった。
優しい嘘は時に人を傷つける、僕は傷つけられたわけではないけれどついた本人が傷ついてるなら助けるしかない。
「どうすれば、貴方を助けられるの?」
返事はない、黒が侵食し始めてそれに抵抗で精一杯のようだ。人工知能がウィルスに感染するのは初めて聞いた。そしてすぐに強制ログアウトをさせられた。
彼から渡された
「貴方との約束は守るよ、だって僕は君の神様だから。」
答えてくれる人は誰もいない。それでよかった、僕を止めてくる人がいない。
星櫃がありそうな場所はDen cityの郊外にあるSAKAKIという街の教会のようだ。何が関係しているのかはわからない。
けれど不思議と星遺物の気配は少しだけわかるようになった。
(それは君が星遺物との繋がりを思い出したからよ。)
イヴちゃんの声を聴いて振り向くけど誰もいない。
僕の空耳だったのかもしれない。もしイヴちゃんが生き返ってくれたらもう二度と死なないようにしたい。僕だけの世界を作って、僕と二人っきりで生きたい。僕だけの大切な人でいてほしいから。一人になってしまった僕を理解してくれたから。貴方がいない世界は苦くて目が回り続けるから。
声に出して言いたかった。僕だけの大切な人になってほしい、その一言が言えなかった僕は後悔しかないよ。
(人は後悔をする事で前に一歩進む事が出来る。貴方は自らの行動に後悔しないでね、生きている限り後戻りはできない。より良い道を進むためだけに行動しなければならない。)
「僕は君を殺した。君はそう言ったよね、どういう意味なの?」
それに対して返事はくれない、幻聴なのか本当に聞こえてたのかはわからない。僕はイヴちゃんを見て懐かしいと思った。それはかつてどこかで会った気がしたから。探し人だったライトニングさんはイヴちゃんのいカードを持っていた。彼女は元々人間で、それを彼らと僕が変えたのか?
(勘違いしないで、私は貴方に直接殺されたわけじゃないから。貴方がそう仕向けただけ。)
「え?」
(いや、何でもないから。貴方は星遺物を集めてくれるだけでいい、私は貴方には感謝している。余計な詮索はしなくていい、星遺物の真実さえ思い出してくれたら君もこっちに来れるから。)
振り向くがやはり誰もいない。
色んな可能性を考えていると時間が経つのが早い、そうして教会へと足を踏み入れた。
教会の中には誰もいない。辺りを動きながら探すが電気がついていないため、一苦労だった。
スマホのライトで照らしたらいいと君は言うかもしれないけど、イヴちゃんがいなくなってから持ちたくなくなった。
そうして説教台のところに行くと1枚のカードが落ちている。
それが僕が探していた星遺物ー『星櫃』だと思っていた。
「君は私達の事を忘れた方がいい、だから記憶を忘れさせた。」
ライトニングさんの声が聞こえてくる。
そこにあったカードは星遺物の守護竜メロダーク。
「必要な事まで忘れてたら意味ないじゃない。もうさっきの事で君たちの事はすべて思い出した。貴方達がイヴちゃんを作って僕に送り出してくれた。」
「あと一つ大事な事を忘れてるよ、遡亜。イヴの言葉を思い出せばいい、それがヒントだ。イヴは君の名前を名付けた。それは大ヒントになっているよ。」
あくまで君たちは僕に直接答えを言わない。それは僕自身の力で答えを出してほしいから。
僕の手にあふれる程、みんな優しかった。
「星櫃は契約の箱、そして遺体があるべきはずだ。」
説教台の前に立つとかちりと音が鳴った。目を凝らすと地下に続く階段が現れた。
地下に降りていく。とてつもなく、怖い。
階段を下りた先は一つの部屋だった。
部屋にはVR装置と星櫃のカードがある。まよわず星櫃を手に取ると音が鳴り上が閉まってしまう。
これはVRにログインしないといけない感じなのか。
仕方なしにVRにログインをする。目の前にイヴちゃんがいた。いや、イヴちゃんではない。闇を受け入れたイヴリースの方だ、乗っ取られているのか?
「私は姿を変えても貴女の傍にいると誓った事、忘れたの?」
イヴちゃんが口を開いた。
「忘れてなんかいないよ、でも。」
僕は迷わずに答える。
「ならば、もう少しだけ待ってよ。」
彼女は小さな竜となった。それは綺麗な水色をしていた。
「星遺物の最初の鍵となる星杯は転生機。自らや他の者を転生させる能力を持つ。それにより、私は二度目生きる権利を得た。今の名はユスティア。」
デッキに入っていたはずの夢幻崩界イヴリースのカードも守護竜ユスティアという名前に変わっていく。
「折角会えたと思ったらすぐにいなくなる。」
答えはもうない。竜になったから喋れないのだろう。
でも少しは教えてくれた。イヴちゃんは二度目の人生を歩んでいた。それがわかっただけでも大きな収穫だった。此処はVRAINSではない、閉鎖された電脳世界だ。
このまま此処にいてもいいが、それはしない。行動しなければ前に進めないから。
「これは僕の物語、いや僕だけの物語だ。誰にも邪魔はさせない。」
あの時医者に見せた目が再び僕の瞳に宿る。他の人からすれば正気を失っているように見えるかもしれない。けど、僕はそこまでしないと前に進めない。僕はVR装置を外した。それが合図だったのか、再び開いて光が差し込んでいる。眩しい。
急いで家に向かう。VRAINSにある敵になる全ての可能性を排除するためだ。
VRAINSはハノイの塔と呼ばれる建造物が当たり一面のデータを吸収して大きくなっていた。主犯格であるリボルバーを先程倒したと思っていたんだけど、あれはただのbotだったらしい。勝てば
ライトニングさんが残したものや僕の書いていた小説、そして一番大切なイヴちゃんのデータが消えるのが嫌だったから。
Playmaker さんはブルーエンジェルさんやgo鬼塚と共にリボルバーを止めに奮闘しているようだ。僕が直接手をくださなくとも大丈夫だろうけど、もしもの時があれば僕がリボルバーと戦うしかない。僕は世界が救いたいわけではない、イヴちゃんと再開したいだけだ。今はユスティアとして側にいてくれるがそれではダメなんだ。
待っていても暇なのでハノイの塔の中へと侵入した。中は人の呻き声や鳴き声が聞こえてくる。悪夢に出てきそうだ。
その中で不思議なものを僕は発見する。
(星辰の森でイヴは星遺物を発見する。それは森に伝わる星の勇者への手がかりでした。)
たった一つの文章のはずだった。でも、その文章には見覚えがあった。そして何よりもイヴちゃんが出てきていた。
続きが気になった僕は続きを探すと別の文章が見つかる。
(イヴが機界騎士に囚われるとリースは牢屋で彼女に囁くのです。貴女は私の頼みを叶えてくれた、お陰で私は貴女の身体を持って甦ることができる。)
これは夢幻崩界イヴリースとしてイヴちゃんが闇堕ちした時だ。それを見たユスティアが喉をクルルと鳴らす。
頭が焼け付くような痛さを感じる。もう少しで全てを思い出せそうだ、僕はイヴちゃんと再開するために何をしたんだっけ。
この世界だったからこそ、僕は行動したんだ。此処にいれば全てを思い出せる。だが此処は危険すぎた。
(星遺物は星神そして星の勇者へ至る鍵なのです。例え星神が全てを忘れたとしても、星遺物に導かれた巫女が祈りを捧げるのです。)
一歩でも道を外せばデータの藻屑となる。僕という人間の意識データは2度と復元できないだろう。
本当はそれでもよかった、けれど此処には何かがある。イヴちゃんに繋がる手がかりがあると直感していた。
君は僕に光なる者になってほしいという理由でライターと名付けた、それは本当だったのだろうか。
僕にはそれがわからないと思いつつもハノイの塔の内部へ足を進めた。その先に何があっても覚悟はしていた。
2か月空いてしまい、すみません。
伏線を回収していきます。
感想や誤字脱字などあれば気軽に言っていただければ嬉しいです。
元々この話はVRAINSのED曲にもアイデアをもらいました。
続きは急いで書きます