イヴちゃんさえ生きてくれたらいい   作:イヴちゃん凶愛者

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大変申し訳ございません。ネタバレ回となります
実際には読まない漢字など独特な言い回しが含まれております。それでもよろしければどうぞお読みください



27話 僕が忘れていた思い出

ハノイの塔は様々なデータで構成されている。人間の意識データや人間のバイタリティ、調べれば調べる程謎が出てくる。

人はコンピューターを開発してから記録を脳内ではなく脳外の所に保管した。

 

 

「文明機器ばかり頼りすぎる人間も考え物だよね。かと言って人工知能は電気を落とされたら生きていけないんだけど。」

 

どうにか彼女だけでも生きていけたらいいんだけどね。もしネットワーク世界が消える時はイヴちゃんを世界から切り離す必要がある。

イヴちゃんさえ生きてくれたら僕は何もいらないから。

 

「僕はきっと君に会うために生まれてきたんだね。君はずっと僕に答えを出させようとしていた。」

僕は世界に恩返しができればいいなって思った。

「星辰の森に棲んでいた少女イヴはこの世界が創星神(さくしゃ)によって作られた事を知りました。ですが創星神(さくしゃ)はこの世界に住んでいるわけではありません。別世界へ行かないと会えないのです。」

イヴちゃんは創星神(そうせいしん)は僕の会ったことがない人と言った。

それは今思えば当たり前の事だった。自分自身に会う事は人はできない。

例え鏡に自分を映したところでそれは会ったとは言わない。

 

「ライトニングさんは僕の小説を読んでくれた。それでイヴちゃんを作ってくれた。けれど、本来ライトニングさんは人間とは敵対するはずだった。だから僕に迷惑をかけたくないと思って僕の記憶を消した。余分な記憶、僕がイヴちゃんと出会うために小説を書いたという記憶までも消してしまった。」

ライターは小説を書く人の事もさす。

 

僕が作者だったから、最初から星杯の守護竜アルマドゥークも所有していた。記憶がなくても記録が残っていたから再現できた。

 

「最初から答えを教えてくれたらよかったのに、どうして君は僕自身に答えを出させようとするのさ。」

自分の声だけしか耳に入ってこない。

 

 

 

 

「ようこそ、遡亜。」

目の前には誰もいない。ただ声だけが聞こえる。

「此処は貴方が来るはずではなかった。物語を君は終えたわけではないだろう。」

 

「そうですね、でも失った物が確かに此処にあるんです。」

僕がそう言うと見覚えのある神器が姿を現す。

 

「星神様、貴方が物語を書いてくれたから私も意志を持つ事が出来ました。ですが貴方はまだ書き終えてはいません。彼女が何故貴方と出会う事ができたのか、どうして貴方は彼女だけのストーリーを書かなかったのか。それがわからないのです。」

それに対して僕は何も答えられない。

「アストラムと同じく、貴方は選託をしなければいけません。全ての星遺物を捨てて前に進む、もしくは自らの願いを捨てて物語を紡ぐ。貴方にはその覚悟があって此処まで来たんですよね。」

神器は嘲笑うかのように言葉を続ける。選託ではない、何かがおかしい。

 

「星遺物は解放するものであり、選託は神になるか貴方を」

結局貴方を作った僕も同じ性格だ。自らを犠牲にして他の者を生かす。

 

「答えなさい、遡亜。答えが出せないというなら、あの時と同じ状態ですよ。神様は無責任でいいのです、自ら作ったものに慈悲をかけていては前に進めません。 貴方はイヴが好きで私達を作ったんですよね。だったら答えなんて決まっていますよね。」

最初から答えは決まっていた。けれど僕は自分の書いた話が好きだった。みんな好きだったから全てを描いた。

 

 

「僕はあの話が好きだ。だから答えは現状維持だ。」

イヴちゃんがいない事には続きがかけない。

 

「貴方は無責任だ。最初は彼女がいなかったのでしょう、いなくても今の貴方なら書けるはずです。星遺物が描いた先を。」

結局僕は僕の作った物に愛されていたのか、どうしてこの時まで僕は気が付かなかったのかな。

言葉が可笑しいぐらいに変になってしまう、だってそうでしょ。自分が思い描いた世界が本当にあって僕を見てくれている。

こんなに嬉しい事はないよ、死んだとしても叶わないと思っていた。

 

「夢を叶える事が出来た代償に僕は色んな事を失っていた。けど今から取り戻せばいい。」

恩返しがしたい、続きを書くのはそれからでもいいはずなんだ。

 

「恩返しがしたいなら此処から脱出しなければいけませんね。ハノイの塔はいずれにせよ壊されるものです。」

僕の心を読んだかのように神器は嘲笑うのを辞めない。

 

「私は、私達はいつだって貴方をお待ちしております。物語の人物はいつだって作者の味方なんですから。」

 

「ありがとう。」

全てを思い出した僕はその一言だけしか言えなかった。お礼を言う必要はないのだろう、けれどそれを言うべきだと思ったから。

「この先の道はサイバース世界へ繋がります。急ぎましょう。」

僕は先を急いだ。探し人(イグニス)がこのままだといなくなってしまう。自らの手で道を閉ざしてしまう前に、僕が道を作る。

 

「全部救ってみせるよ、独りぼっちの僕を君達はいつだって助けてくれた。大切なものは確かに此処にあったんだ、もう二度と君達を忘れないから。」

 

 

 

 

「決まった物語を変える事は許さない。だって貴方は本来そこにはいないから。」

サイバース世界へ向かう途中黒い靄をした者が僕の前に立ちふさがったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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