小鬼のくせになまいきだor2   作:スッパもいもい

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次話投下するぞえ。ゲスト出演有り。

~没ネタ(ジョジョ成分含有)~

オーガ「ここを我が砦と知っての狼藉と見た!」
 
蜥蜴僧侶  「拙僧と小鬼殺し殿が前に出る! 援護を!」
鉱人道士  「心得たわい。一分間に600発の石弾(ストーンブラスト)を食らえオーガ!」  
妖精弓手  「Hey! クラッカーボレー!」
ゴブスレ  「パウパウパウ!」

オーガ   「奥義神砂嵐ッ!」
 
ゴブスレ一行『んあーッ!』
女神官   「……大冒険、完っ!?」


破壊神   「ホント、没でよかった……」
真実・幻想 「それな」



第6話 決戦の果てに

 只人の王国の郊外の何処か。野に陽は沈みかけ、夕焼けにより空を真っ赤に染める。

 遊詩人でもいれば美しくも悲しい夕陽に因んだ歌の一つか二つは思い付くだろうが、その平野には今、連合軍と呼ばれる各種族の兵士達が何千何万も集まり完全武装で隊列を組み、今から始まる大戦に緊張した様子でその時を待っている。

 夕刻、黄昏時、逢魔時! 魔に逢う時間だ! 

 刻々と沈みゆく太陽を背に、地平線から蠢く不気味な影が涌き出るように姿を現す。

 秩序たる連合軍に相対すは魔神王率いる混沌が勢力、暗黒の兵団(アーミーオブダークネス)動死体(ゾンビ)屍喰鬼(グール)骸骨兵(スケルトン)幽鬼(ワイト)に悪魔。まさに亡者の軍団だった。今まさに、世界の命運を賭けた戦争が始まろうとしていた。

 

 ◇◇◇

 

 冒険者達と別れた破壊神は急ぎ平野の戦場に向かうと、そこには既に混沌、秩序の軍勢が戦列を組んで対峙していたところだった。

 野次馬根性で少しでも近づいて観戦してみたいと思ったのが運の尽き。サクッと見回りをしていた悪魔に見つかり、破壊神は軍団に編入されてしまったのだ。

 場所は移り、混沌勢力左翼指揮所。

 編入された破壊神は左翼を預かる、仮面を被り黒いタキシードを着た、自称全てを見通す地獄の公爵とともに呑気に茶を飲んでいた。

 聞けば、出稼ぎの為に破壊神と同じように召喚されて来たのだとか。

「そんな訳であるからにして、貧乏店主に任せては何時まで経っても資金が貯まらんと思った我輩は、短期アルバイトとして魔神王とやらの元で仕事をしているのだ」

ーー地獄の公爵閣下でさえも、金銭のしがらみからは逃れられんと。世知辛いねぇ

 破壊神もダンジョン製作に必要な堀パワーの不足にしばしば悩んだ経験もある為に、ここをこうしたいのに出来ない! という苦々しさはとてもよく分かる。

 しかし何だ、働けば働く程貧乏になる店主って。まるで大○家具ではないか……

「時に、破壊神よ。お主ダンジョンを創るプロフェッショナル、だそうだな」

 破壊神ハ、厄介事ヲ、察知シタ。

ーー……次のセリフは、『我輩のダンジョンを創ってくれぬか?』だ!

「ここはひとつ、我輩の為に壮大なダンジョンを創ってくれないか……はっ!? 未来を見通す我輩を見透した、だと……」

ーーそんな能力無くても分かるわ。ダンジョンの一つや二つ自力で創れよ

 取り付く島もない破壊神に、地獄の公爵の方も本気では無い様でやれやれと首を振る。

 破壊神の世界も征服した大陸の周りに、さらにデカイ大陸が囲うようにしてあったり、魔王城を奇襲とはいえ飛行機が爆撃したりと混沌だが、この地獄の公爵の世界も中々に混沌(カオス)な様だ。

 そんな世界に出張とか御免蒙る。破壊神はインドア派なのだ。

 茶を飲み駄弁っていると太鼓と角笛が鳴り響き、次いで鬨の声が大地を揺るがす。

 何事かと見ると睨み合っていた両軍が前進を開始した。

「むっ。始まったのか」と他人事の様に呟く公爵。

ーー軍団、指揮しないでいいの?

 天幕を出てジャンボニジリを椅子に観戦モードに入った破壊神が呟く。

「心配には及ばん。戦に慣れているオーなんとかという輩に指揮を一任しておる」

 ぶっちゃけ指揮経験何ぞ無いのでな、と地獄の公爵やはり他人事の様に笑う。

 しかし、前線で戦う混沌勢の兵士は実に勇ましく、魔法攻撃や弓矢の一斉射で倒れた味方の屍を平然と乗り越えながら秩序勢の連合軍に突撃していく。

 連合軍は大楯と長槍で迎え撃つ。何百何千本の槍衾が怪物の軍勢相手に怯まず堅守に徹して前線を形成、敵の勢いが滞った頃合いで後方から迂回して飛び出してきた只人や馬人(ケンタウロス)の重装騎馬隊が混沌勢力の横腹に飛び込んだ。

 完全武装の重騎馬隊の突撃は破壊の権化だ。ゾンビやグール、比較的小さい怪物達は文字通り踏み潰され、巨体を誇るトロルですらランスチャージを次々に喰らい倒されていく。

 騎馬隊は勢いそのままに敵陣の奥深くへ、このまま決着が着いてしまいそうだ。

 だがしかし相手は魔の軍団。騎兵が通過し、屠られた筈の混沌勢の兵士がムクリと次々と起き上がる。

 亡者の軍団だからこそ出来る戦術だ。攻めていた筈の騎兵は気付いたら完全包囲された。

「怯むな! 速度を維持しろッ、正面突破あるのみッ!!」

 騎兵隊の隊長は叫び、騎士達に檄を飛ばし敵前突破を試みる。雄叫びを上げる騎馬隊だが、その面前に異形の怪物の群れが立ち塞がる。

 スライムかブロブに酷似した黒い怪物。その名は、コマンドジャンボ!

 混沌勢力に破壊神が30秒間で作り出し提供した唯一の戦力だった。

ーーいけぇー! カッ飛ばせーっ!

 破壊神の声援が届いたのかは分からないが、横一列に並んだコマンドジャンボが騎兵突撃をその巨体さをもって、もももっ、と受け止める。

 敵陣の真っ只中で止まった騎兵など、ただの的でしかない。

 勇ましい騎兵隊の最後は、実に哀れなものだった。

 周囲の亡者共が殺到し、騎士や馬を次々と喰らい始めたのだ。

 悲鳴と怒号と絶叫が響かなくなるまで、そう時間は掛からなかった。

 次に仕掛けたのは混沌勢力側だった。トロルの中でもさらに巨大なトロルが背に投石機(カタパルト)を背負って前進し、秩序勢の長槍部隊を射程に捉えるや、四つん這いになり、自らを土台とし随伴の下級悪魔(レッサーデーモン)がトロルに取り付きいて投石機を巻き上げ射撃準備に入る。

 スプーンのお化けのような発射台に弾丸(・・)をセットし、一斉に発射した。

 弧を描きながら連合軍を襲う投石攻撃。なまじ目視出来る速度だからこそ、より恐怖感がある。

 次々に連合軍に襲い掛かる質量攻撃。「危ないッ!」と叫ぶ連合軍の兵士だが、密集隊型では避けようとも避けきれない。ダイスの出目を祈るばかりだ。

 ドォンっ! と鈍い音と共に着弾。血飛沫が舞う。

 直撃した兵士は人の形の原型があるものの、手足が明後日の方向に曲がっていたり、間接が三つ四つ増えていたりと見るに耐えない。

 何より周囲に巻き散らかす血肉の臭いときたら想像を絶する。

 それを間近で見た戦場経験の長いベテラン兵士はある違和感に気付いた。死んだ兵士の傷を診るに、内蔵のはみ出しも無いのに、ここまでの大きな血溜まりは不自然だ。

 それに飛び散った肉片には子供程の大きさの手足の末端が転がっている。死んだ兵士のものでは無い。

 これが意味する事とは……

「また来るぞ!」

 誰かの叫びに、ばっと上を見るベテラン兵士。

 カタパルトで飛ばされた弾丸を見やり驚愕する。

「何て事だ! 奴ら……ゴブリンを飛ばしてやがる!」 

 飛来する弾丸は生きたゴブリンだった。

 

 ◇◇◇

 

「おっと、これは凄絶な悪感情! 美味である」

ーー悪感情ってどんな味なん?

 地獄の公爵は人間の悪感情を食べるらしく、破壊神が提案したカタパルトによるゴブリン投擲は複数の意味で効果は上々の様だった。

 穢らわしいゴブリンは減らせるし、秩序勢の戦力は削れるし、公爵閣下の腹は満たされる。一石三鳥! 

 悲鳴を上げ泣きながら飛ばされるゴブリンはちょっとした見物だ。

 たっぷりと悪感情を食べた地獄の公爵は、ジャンボニジリからしぶしぶ腰を上げると面倒臭そうに呟いた。

「さてと、そろそろ我輩も給料分の仕事をするか……」

 足元の土を捏ね、自身をデフォルメしたような人形をいくつも拵えると「逝け! 我がしもべ達よ!」と号令を発し、公爵人形は連合軍に向かって走り出した。

ーー何あれ! かわいいっ!

「ほう、いい趣味をしているな。お一ついかがかな?」

 差し出された公爵人形を破壊神はありがたく貰った。

 走り出した公爵人形は連合軍まで達すると身近な兵士に抱き付き、プリチーな外見とは裏腹に自爆という過激な行動に出た。

 投石と爆弾人形により連合軍は隊列を乱し、そしてその隙を混沌勢力は見逃さなかった。

 アンデットと化した先程の騎兵を先頭に混沌勢は一斉攻撃に出た。

 その様は大量のニジリゴケを一掃する魔法使いの範囲攻撃か錬金術師の直線攻撃に似ていた。

ーーこれは、決まったな……

「そのようだな」

 亡者の軍勢の攻撃は留まることを知らず、連合軍は必死の抵抗を試みるも崩壊は時間の問題と思われた。

 

ーーその時、不思議なことが起こった!!!

 

 星を取った配管工の様な勢いだった混沌勢が目に見えて狼狽え始めたのだ。それどころか一部では逃亡を始めている有り様ではないか。

「ふむ。どうやら魔神王が討ち取られたらしい」

 やっぱり他人事の様に地獄の公爵はそう言った。何で分かるんだと思ったが、この地獄の公爵は見通す悪魔だった。

ーー復活して早々に、持病の発作で死んじまったのか?

「んっんー。どうやら勇者が乗り込んでパパッとやられてしまったようだ」

ーーはぇ~。この世界の勇者は容赦ないねえ

 破壊神の居た世界では、そんな野蛮なことはせず、勇者は魔王と出会っても簀巻きにして引きずり回すだけだった。

 ……考えてみたらどっちもどっちだった。破壊神はげんなりした。

「おおっと! これは大変な悪感情! 珍味である」

 そいつはどうも。しかし、改めて考えると混沌勢は魔神王一人のカリスマで保っていたことになる。それはそれで相当な求心力だと破壊神は感心した。

「さて、雇用主は死んだことだし、我輩はさっさとお暇するとしよう」

ーーとんだタダ働きだったねぇ

「それには及ばん。既に前金として貰っているのでな」

 飄々としている割りに、金銭面についてはしっかりしている地獄の公爵であった。それとも見通す力で見ていたのか。

「フッフッフ。それではな破壊神よ。気が向いたら我輩のダンジョン製作に協力してくれたまえ。はいこれ名刺ね」

 破壊神が名刺を受け取ると「さらばだ!」とポーズを決めると地獄の公爵の体が土くれになっていく。

 本体である仮面だけが宙に浮かび、それもすぐに幻のように消えてしまった。

 破壊神は戦場を見渡すと秩序勢の連合軍が態勢を立て直し反撃に移り、混沌勢は蜘蛛の子を散らす様に敗走している。

 もはや統制された軍は完全に瓦解した。ぐずぐずしていると連合軍の追撃に巻き込まれるかもしれない。

 いにしえの偉人は言った。三十六計逃げるに如かず! 逃げるのは恥だが役に立つ!

 破壊神は鶴嘴を振るいガジガジムシを複数産み出し、見事な早業で成虫に成長させると全てのガジフライにロープの端を持たせた。そしてロープの束を尻の下に敷く。

 ブーン、と一斉に飛び立つガジフライを動力としたガジコプターだ。

 まるで鬼の太郎のような感じで空を飛び、颯爽と戦場を後にする破壊神。

 こうして混沌の暗黒兵団と秩序の連合軍の戦いは幕を閉じた。




マンガ、アニメで描写されなかった秩序対混沌の戦争を妄想した回でした。
ぶっちゃけゴブリン投石をしたかっただけです。
次回は最終章に入ります。書き溜めを完全消費したので、次話は暫くかかります気長にお待ちください。

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