小鬼のくせになまいきだor2   作:スッパもいもい

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ふふ、私と眼が合いましたね。貴方が思っていること、当てましょう。
ずばり!
「こいつ、エタったんじゃないのか?」
……半分、当たりです。


第7話 旅のしおり

 ここではないどこか。ずっと遠くて、ずっと近い場所で。

 

 そこは不思議な空間で、ひとりの女神とひとりのまかがまがしい神が熱心に語り合いながら広げた紙に何かを書き込んでいます。

 

 できました! そう言って幻想の女神はバーンと掲げた紙には広い広い迷路が描かれています。

 

 おめでとう! とまがまがしい神、破壊神は手を叩き女神へ祝福を送ります。

 

 ふたりが作っていたのはダンジョンなのです。

 

 幻想が次の冒険のためにダンジョンを製作していたが、納得いくものが創れなかったとき、ふと遊戯盤をテクテク歩いていた破壊神を見つけ、ダンジョン造りのプロフェッショナルである破壊神に「ねえねえ、ツルハシちゃん。ダンジョン、一緒に創らない?」と声を掛け、誘われた破壊神はもちろん、二つ返事で応じたのです。

 

 苦労して作り上げた迷路をかかげて、ふたりは、わーい、とはしゃぎ回りますが、ふと動きをとめました。

 

 しまった。ダンジョンには怪物がいなければならないのです。

 

 冒険といえば迷宮にコケ地獄、一本道にドラゴン複数! 

 

 罠があればなお良しですが、さてどうしましょう?

 

 とりあえずといった感じで幻想と破壊神は交互に駒を配置します。

 

 幻想はゴブリン、沼竜を。破壊神はしかばね、ふん。

 

 破壊神がうんちばかり置くのでついに幻想は怒りだします。

 

 その時に、話しは聞かせてもらったぞ、と何処からともなく男の声が響きます。

 

 誰だ、と、破壊神が言うと、その声の主が「私だ……!」と答えます。

 

 そう、真実がやって来ました。

 

 幻想と破壊神は疑わしげに視線を向けますが、真実は気にするふうもなく、まあ見ろよと、1冊の本を虚空から取り出します。

 

 本を開くと出るわ出るわ、まがまがしい怪物に罠の数々。

 

 本の中にありながら生きてるように蠢く怪物の絵に真実がさわり取り出すと、幻想が止める暇も無く迷路に怪物と罠を押し込んでしまいました。

 

 あーっ! と声をあげる幻想に、真実はケタケタ笑いながら言います。

 

 後は適当な邪教団にでも託選でも出せば完璧だ、と。

 

 ホントかなあ、と幻想。

 

 どや顔で、大丈夫だ問題ない、と真実。

 

 幻想と真実がわちゃわちゃやっている間、破壊神は紙にかかれた迷路の1マスがわずかに動くのを見ました。

 

 疑問に思い、ツン、とさわると一体どうしたか、迷路内に水が溢れていくではありませんか。 

 

 おお! とさんにんは目を見張ります。

 

 水が迷宮中を巡り、幻想が配置したゴブリンはパイレーツゴブリンに変異

し、意地悪な真実がしこたま配置した怪物や罠もよい感じにナーフされました。

 

 結果オーライというやつです。

 

 幻想と破壊神がハイタッチし、真実はちぇっ、と口を尖らせます。

 

 何はともあれ、神3柱で造った強力なダンジョンの完成です。

 

 

 

ーーその時不思議な事が起こった!

 

 

 

 ゴゴゴゴゴ、と紙にかかれた迷路から地鳴りめいた音が響きます。

 

「あっ……」

 

「おっ……」

 

「マジか……」

 

 迷路から溢れ出た水が幻想、真実、破壊神に襲いかかります。

 

 『あーーーーッ!!』

 

 破壊神たちはどんぶらこと流されてしまいました。

 

 追々。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 ハッとして破壊神は目を覚ました。すぐさま己の下半身を確認。

 

 ……大丈夫だ、問題ない。

 

 なんで寝てるときの水に関する夢ってちょっと危ない事が多いのかなあ、と神でもわからない問いに頭を捻りながら破壊神は身を起こす。

 

 なんだか長い夢を見てた気がする。

 

 夢の中でも仕事をしていたかのような、朝から若干疲れた目覚めの破壊神であった。

 

 そこにある男がやってくる。

 

「やや、破壊神様! 如何されました?」

 

 キンキンと甲高い声を発する、キノコの生えたフード付きローブをまとった痩せた男は朝から妙にハイテンションに破壊神に話しかける。

 

 ここは水の街。辺境の街から東へ二日程のところにある歴史ある古い都、の地下深くにあるジメジメと暗い石造りの部屋、もとい祭壇。

 

 なぜ破壊神がこんなところに居るかというと時間は少し巻き戻る。

 

 混沌勢と連合軍との決戦後、破壊神は各地を観光して回った。

 

 森人の森へ行き、かつて放ったガジガシムシの様子や「MBEEENBEー!」と鳴くでっかい竜(?)を観賞し、南方へ行っては蜥蜴人の暮らす集落へ遊びに行き、またピラミッドのような墳墓を登頂し、冒険者気取りで旗を突き刺したりとエンジョイしていた。

 

 そして水の都へやって来たとき、彼と出会った。

 

 混沌勢が壊滅し、魔神王が首ちょんぱスレイするも健気に再び魔神王を復活させんと草の根運動をしている邪神官らしい。

 

 彼は破壊神を一目見るなり、顔から出るものを全て出しながら「我が神はここに降臨せりーッ!!」と破壊神の足にしがみついてきた。

 

 そんなこんなで破壊神は水の都の地下にある邪神官の自宅(祭壇?)に居候している。

 

「今日の朝食は焼きたての白パンに、水の都産の15歳の生娘のステーキでございます」

 

 と、こんな具合に身の回りの世話を焼いてくれるので、貰えるものは貰っとく派の破壊神としては印象こそ最悪だったものの今ではそれなりに邪神官を良く思うようになっていた。

 

「さあっ! 破壊神様! 今日もきたる日の世界征服に向けて生け贄共を集めましょうぞ!」 

 

ーーはいはい、がんばってねー

 

 ステーキをモキュモキュしながら破壊神は返事をする。

 

 超適当な返事にも関わらず、邪神官は感無量といった感じにさらにハイテンションになり、床につく程の長いローブを引きずり祭壇を出ていく。

 

 今日も彼は贄をコツコツと集めて変な鏡で妙な儀式を行うだろう。

 

 朝食を食べ終えた破壊神は邪神官にしばし遅れて祭壇を出ていく。

 

 何しにいくのかって? もち! 水の都の観光だろ! この街は良い。特に水路の芸術なまで配置ときたら……

 

 己のダンジョンをより美しく、より機能的にするのに余念がない破壊神だった。




水の都の地下迷宮
 設計 幻想・破壊神
 内装 幻想・真実・破壊神

ふん
 ドラゴンのふん。別名ダーク股ー。勇者を足止め出来るすごいうんち。

パイレーツゴブリン
 破壊神が出した水に適応するため突然変異したゴブリン。

沼竜
 アリゲーター。別名きれいな沼竜。迂闊に近づくと破壊神も襲われる。危ない。 

邪神官
 混沌の神を信仰する痩せた神官。偶発的遭遇で破壊神と出会い、破壊神を自分が信仰
 する神と勘違いする。別に骸骨ではない。ローブにマジカルキノコが生える。

幻想と真実
 幻想「ヒマを持て余した……」
 真実「神々の……」
 幻想・真実『遊び……!』

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