真実「ざんねーん! 3000文字でーす!」
かふっ!(吐血)
他の投稿者方を尊敬申し上げるこの頃。
次話投下、最終章突入です。勇者ちゃん登場ですよ。
破壊神が水の都に来てしばらく、今日も邪神官が憐れな小娘を拐ってきては訳のわからない儀式をしている。
破壊神はというと、片肘を付きながらその様子を見守っている。
邪神官は良い奴だ。日がな一日ゴロゴロしていたり、只人に混じり水の都を散策したり、至高神の神殿にいる大司教の沐浴を覗いたりする破壊神に小言を言わずに毎日甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
いや、最後の覗きは流石に怒られた……。
『何やってたんですか破壊神様! 憎き剣の乙女を葬る絶好の機会だったんですよ!』
……知らないよ。
しかしただ一つ、気に食わないことがある。
「GROOOR」
「GOBR……」
小鬼共の存在だ。
邪神官は何かを復活させる為に小鬼を使って贄を集めているが、何も小鬼じゃなくてもいいじゃない……。
ガーゴイルとか、格好いいのじゃダメなのか?
凄惨な儀式も終わり、用済みの生け贄の亡骸にハエのごとく群がり食らう小鬼共。
破壊神は溜め息をつく。
水の都も大方観光し尽くし、もうこの街に居る理由が無くなった。そろそろ他のところに旅立つ頃合いかもしれない。
そんなことを考えていた時、今日も地下迷宮に入ってきた侵入者を破壊神は関知した。
只人2人に森人、鉱人、蜥蜴人の一党だ。
奇襲をかける小鬼を返り討ちにしまくっている。実に清々しい。
特に蜥蜴人と戦士の只人には見覚えがある。森人の森の近くの広野で会った小鬼狩りの一党だ。
あいつら生きていたか! と破壊神は内心静かに喜んだ。皆、五体満足なのを見るに
さて、地形的にここまでは来ないようだが、邪神官に知らせるべきか……。
しばし悩んで、放って置いた方が面白そうだから止めとこ、と内緒にし、もうしばらくこの街に滞在することにした。
気軽に決めたこの選択が、後に破滅神の運命を大きく変えるとも知らず。
◇◇◇
そして数日後、地下迷宮にある一室で邪神官は怒り狂っていた。
「くそ、くそくそ!
唾を飛ばしながら邪神官は罵倒と呪いの言葉を吐く。
「我々の計画は完全で、決定的で神の加護もあったはず! どこに手違いがあった!? 何故小鬼共が皆殺しにあっている!?」
アイスクリンを頬張りながら、狂乱する邪神官を破壊神は眺めていたが突然、頭が痛くなる。
冷たいアイスクリンを食べたせいかな? と破壊神は思ったが何かが違う。
脳の真まで響く痛みというか、とにかくタチの悪い痛みだ。まるで命の危険があるかのような……。
その日、破壊神は思い出した。奴らに支配されている恐怖を。鳥かごの中の屈辱を……。
破壊神と邪神官がいる部屋の扉が勢い良く開きこの場に似合わない、底抜けに明るい夜明けの陽のような声が響く。
「やあやあ! そこまでだ、ってボクいっぺん言ってみたかったんだよね!」
「奇襲のアドバンテージを自ら捨てる理由がわからない」
「なに、名乗りは大事だぞ。挑発に成功すれば攻撃を集めることが出来る」
現れたるは、女が3人。若い。剣聖と呼ばれる長身の剣士に賢者の異名を持つ魔法使い。そして最後、太陽のように眩しい輝きを放つ聖剣を持つ少女……。
「勇者、参上ッ!!」
破壊神は驚愕した。
この年端もいかない少女が過去に屠ってきたどんな勇者なんかよりも強いということを直感で理解した。
破壊神は立ち上がる。
力量の差を理解してないで逸る邪神官が邪魔だ。
「おのれぃッ! 魔神様の怨敵! ここで報仇う果たさせてもらお──ぐぇっ!!」
邪神官の首根っこを掴み、無造作に後ろへ投げ飛ばす。
「は、破壊神様!? 一体何を……!」
邪神官は今まで見たこともない程に禍々しいオーラを放つ破壊神を見て言葉を失うが、ツルハシを構え戦闘態勢の破壊神をみて次第に狂ったかのように高らかに嗤う。
「は……、はっはははははーッ!! 勇者ァッ!! 貴様らもこれまでだー! 我が神、破壊神様がお相手だ! 貴様らなんぞ一捻りだァ!!」
笑い続ける邪神官をよそに、破壊神はさらに一歩、間合いを詰める。
ズンッ! とまるで巨人が踏み出すようにダンジョンが揺れる。
「ぬっ!」
「むっ!」
勇者と剣聖は予想外の大物の出現に得物を握り直す。
「こ、このプレッシャー……。魔神王並みか!? そんなバカな!」
油断はしていなかったがあまりにあんまりな強敵に剣聖は普段の冷静さを忘れる。
「違うよ。こいつは魔神王なんかよりずっと強い」
勇者は普段欠かさない笑みを消して相手の強さを持ち前の直感で正確に見立てる。
「この部屋は、異次元の魔力で満ちている……。平行世界の魔神を召喚した? 場所が悪過ぎる。ここは一旦地上へ退くべき」
賢者はその明晰な頭脳で少ない情報から破壊神を分析し、現実的な戦術を提案する。
「だめだよ! そんなことしたらどうなるか分からない! 皆でここで倒すんだ!」
地上の水の都には何万何千の無辜の民がいる。こいつが地上へ出たら、と思うとその被害は想像を絶するだろう。
「全く……。相変わらず無茶ばかりを言う」
「でも、勇者の言う事は正しい」
知らず知らず弱気になっていた剣聖と賢者だがパーティーリーダーの一声で二人は勇気を取り戻した。
「未知の相手です。動かれる前に速攻で仕留めます」
「うん!
「分かってる。因みにプランBは?」
「その時はその時だよっ!!」
それを合図に、ばっと3人は散った。
息の合ったコンビネーション。
破壊神に突撃する剣聖と呪文を唱える賢者は囮。二人が命をかけて作る僅かな隙を勇者が突いて破壊神を倒そうとする。
未知の強敵が行動する前に倒そうとするその選択はおよそ完璧。3人の実力も申し分無い。
だが、相手は百戦錬磨の破壊神。勇者共の突然の襲来には慣れている。
そして戦略は戦術の上をいく!
呪文を唱えながら移動する賢者だが、ふと、足を止めた。否、詠唱を中断し膝から崩れ落ちた。
「そんな……」
賢者は後ろを振り返った。魔術に精通する彼女すら解らない魔方陣がそこには浮かんでいた。
だが、重要なのはそこではない。
賢者は顔を青ざめ愕然とする。
「術が使えない!」
破壊神がこんなこともあろうかと作っておいた魔方陣に賢者の持つ魔力のほとんどを吸収されてしまったのだ。
「賢者!?」
仲間の異常事態に勇者は思わず叫ぶ。
連携が崩れた。
そして破壊神はその絶好の隙を見逃さなかった。
ツルハシを地面に叩きつける。
ーー超局地! ダンジョンクエイク!
叩きつけたツルハシから賢者に向かい地割れが走る。
「……ッ!」
賢者は動けず絶対絶命。蛇のように走る地割れが賢者に達しようとした時、間一髪で勇者が賢者を引き寄せた。
「ギリギリセーフ!」
真っ先に魔法使いから潰そうとした破壊神はチッと舌を打つ。
「チェストーッ!」
肉薄してきた剣聖が大上段から刀を振り下ろす。
速い!
接近戦が苦手な破壊神だったがツルハシで受け止め弾く。だが、剣聖の攻撃は終わらない。
弾かれた勢いを利用してさらにそれに自分の力と技を乗せ、先程の振り下ろしより速い剣戟を繰り出してきた。
眼にも留まらぬ連撃を破壊神はツルハシをバトンのように高速回転させて防ぐ。
ーーこのっ! ちょこざいなッ!
連撃の隙を突き、破壊神はツルハシによる反撃を繰り出す。
剣聖の腹を裂いてやろうと死神の鎌の如きツルハシを薙ぐ。
「くっ!」
しかし剣聖は寸でのところでこれを回避、連続バク転で間合いを取る。
「僕の事を忘れてもらっちゃ困るよッ!」
追撃に移ろうとした破壊神に絶妙のタイミングで勇者が入り込む。
「夜明けの、一撃いぃッ!!」
避けられないッ!
彼女の持つ聖剣が翠玉色の弧をえがきながら下から上、斜めに破壊神を切り上げる。
斬ッ! 破壊神の片腕が宙を舞った。破壊神の顔に苦悶の表情が浮かぶ。
「破壊神様ァ!」
邪神官の金切り声が上がる。
「もう一発ッ!」
振り上げた剣の勢いを殺さぬように勇者は駒のように回り、再度斬撃を叩き込もうとするが、破壊神はそれより早く後ろに跳んでこれを避けた。
ーーこのッ、小娘がァッ!!
吼えた破壊神は怒りのまま、力任せに床を掬うようにツルハシを振り抜く。
石畳の床が粉々に砕け! とんでもない速度の! 無数の礫が!勇者を襲うッ!
回避不可の面攻撃。飛んでくる石礫が一発でもかすれば人体なぞバラバラになるだろう。
迫り来る絶対絶命……。だがその時! 勇者の脳裏に女神の神託が下ったッ!
『勇者よ……。逆に考えるのです。当たっちゃってもいいさ、と……』
これはひどい。
例え賢者でも大事な魔導書を地面に叩きつけるレベルの神託だが、勇者は違った!
彼女の内に秘める勇気と、ひたむきに明日を望むその情熱が、とんでもない冒険を生んだ!
勇者は走った! 前にッ!
そして跳躍! 空中で仰向けの姿勢になり、迫る石礫に足を向ける。
迫り来る無数の石礫だがそこには確実に隙間が存在した。通常の人の面積では通れない程の僅かな隙間だが、勇者の機転と直感、大胆さと幸運、そして彼女の小柄な体躯の全てが作用し、万に一の奇跡を引き寄せた。
唸る弾丸の雨の中を勇者は見事すり抜けてみせた!
そして跳躍の勢いのまま、破壊神にキックを食らわす。
ーーがぶッ!?
まさかあの弾幕をこんなふざけた方法で回避し、しかもそのまま攻撃に移ろうとは夢にも思わなかった破壊神は、顔面に勇者の飛び蹴りを受けてたたらを踏んだ。
「今だ! 一気に畳み掛けるよ!!」
機を逃がさんと勇者と剣聖がここぞとばかりに猛攻を仕掛ける。
ーー小娘共が! ぶさけるなッ!
破壊神はツルハシを振るい応戦。こしゃくな冒険者達の頭をカチ割ろうとツルハシを振り下ろすが2人には当たらず床を砕くのみ。
勇者と剣聖は間合いを取る。
(大丈夫……。やれる!)
剣聖は自分の技が通用しかつ破壊神が接近戦が不得手と見るや再び肉薄攻撃を仕掛けようと構えるが、その時大地が揺れた。
「なっ、何だ。地震!?」
「退がって! 早くッ!!」
勇者の指示に素早く後退する剣聖。
はたして、石作りの床を破壊しながら現れたのは黒い鱗を持つ巨大なドラゴンだった。
「
「違う……。
賢者が呟く。
「CHAAAAOS!」
衝撃を伴うドラゴンの咆哮。アギトからは黒い炎が漏れる。
「うっひゃひゃひゃひゃーっ。破壊神様やっちゃって下さい!」
ーーうるせえッ! 引っ込んでろッ!
「はい」
でしゃばってきた邪神官を破壊神は一喝で黙らした。
「DRAGOOON!」
破壊神が生み出した混沌竜は漆黒の炎の吐息ブレスを吐く。
禍々しいまでの黒きの炎の範囲攻撃!
生身の只人の娘なぞが食らえば瞬時に骨まで焼き尽くす。
「やりましたなあッ! 破壊神様! 勇者といえど、これ程の攻撃を食らい無事で済むはずがない! 否、確実に殺りましたッ! 魔神様の仇を取りましたぞォ!!」
全てを焼き尽くすブレス攻撃が収まりつつある光景を見て興奮を抑えられないように騒ぐ邪神官を尻目に、破壊神は未だ陽炎と煙りが踊るその向こう側へ鋭い視線を送り続ける。
魔法使いと剣士はともかく、あれ程の勇者がブレス一発で死ぬとは到底考えられなかった。
そしてその予感は的中し、視界が晴れると賢者を中心に光る球状の魔法障壁に守られた勇者一党の姿があった。
破壊神が仕掛けた魔方陣に魔力のほとんどを吸いとられた賢者だが、なけなしの魔力を振り絞りカオスドラゴンのブレスを辛くも防いだのだ。
しかし流石の賢者も相当無理をした為か、立っているのもやっとというふうに力なく自らの杖にすがりつく。
「ハア、ハア、これで打ち止め……。しばらくは魔法は使えそうにない……」
ごめん、と顔を青くした賢者が言う。
「いえ、今のをよく防いでくれました。礼を言います」
「ナイスだったよ、賢者! 後は任せて!」
勇者と剣聖はそう言って、仕切り直しだとばかりに剣を構える。
カオスドラゴンのブレスを受けて
ーーまあ、だからと言って手は弛めないが
カオスドラゴンに行けと合図を出す。
「CHAOOOSS!」
巨大な図体からは想像も出来ないほどに俊敏なカオスドラゴンの噛みつき攻撃!
それを剣聖は見事な足捌きで回避し勇者はなんと、自分の体を軽くひと呑みできる程の顎に向かい、自らその口に入っていった。
「勇者ッ!?」
常に
自ら竜の口に飛び込んできた小娘を噛み砕かんとカオスドラゴンは口を閉じる。
しかしそれこそ勇者の狙い通りだった。
「とおおおーッ!」
閉じる上顎に聖剣を突き立てる。深々と突き刺さる聖剣にカオスドラゴンが叫びを上げて暴れだす。
そして勇者はすかさず次の行動に出た。
「あーっ! うるさあーい!《カリブンクルス火石……クレスクント成長……ヤクタ投射》!! 」
カオスドラゴンの喉奥目掛け
リアルサザエさんからの体内根性焼きでカオスドラゴンは体の穴という穴から魔法の炎を吹き出し、その巨体を地面に伏した。
「CHAO……S」
瀕死のドラゴンは助けを求め己の創造主にその眼を向けるが、その瞳に映るのは……眩い閃光?
破壊神はカオスドラゴンが勇者と戦う間、有り余る堀パワーを体内で巡らせ蓄積、極集中させていた。そして臨界点に達した堀パワーを一気に眼から放出! 狙うは勇者ただひとりッ!
ーー(破壊神版)
ファンシーな世界に似合わないSFチックな高音を響かせ極太レーザーが照射された。
「勇者ァッ!」
仲間の悲鳴をかき消し、巨体を誇るカオスドラゴンを瞬時に消滅させて閃光は勇者を周囲もろとも呑み込んだ。
この攻撃は、地揺れとなって水の都はもちろん、遠く辺境の街までとどいたという。
想像を絶する圧倒的破壊を目の前に誰もが動けず耳鳴りがするほどの静寂の中、閃光が収まると先が見えないくらいの大穴が空いており、そこに勇者の姿は無く、主を失った聖剣が弱々しく光るのみだった。
「勇者……?」
残された勇者の一党は目の前の現実が信じられない。今まで多くの危機が彼女達を襲ったがいつも3人で乗り越えてきた。魔神王との戦いだって誰ひとりとして欠けることはなかった。
「今のは失敗した」
だから今回もそんなことを言いながら、恥ずかしそうな顔をしてひょっこりと勇者が現れると剣聖と賢者は期待したが、いくら待ってもその勇者きぼうは現れなかった。
死んだ……? あの、勇者が……?
剣聖と賢者は目の前が真っ暗になった。その闇の中邪神官の耳障りな声だけがこだまする。
「世界に平和はおとずれなぁいッ!」
沐浴中の剣の乙女
すごい! 何が凄いってもう全部しゅごい!!
ゴブリンスレイヤー一党
原作通りにゴブリン討伐中
ダンジョンクエイク
破壊神の一発芸。
宙を舞う破壊神の腕
真実「……。閃いた!」
破壊神版聖撃
某吸血鬼のアレ。目からビームは男の夢。