女神と星座の導きによりて   作:草ナギ

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星22 出発

 今日はくじ引きにより聖闘士になる為の修行の地に行く第三陣、瞬と一輝が修行に旅立つ日です。

 さて、どうなるか分かりませんが、今日の為に用意しておいた物を渡さなければなりません。

 もしも”コレ”を使う事になったら”彼”の運命が変わります。どうなるのでしょうね……?

 確か、瞬の行くアンドロメダ島の説明を聞いてから一輝が脱走するのでしたか。

 その後で”コレ”を渡さなければなりません。

 間に合うと良いのですが……。

 ん?沙織ですか?沙織なら瞬のお見送りに行きましたよー。

 

 「今のわたしにはこういう事しか出来ませんから……」

 

 って言って。

 さ、沙織!なんて健気!っというか、友達を想う心があれば当たり前の事なんですけど、それでもそう思います。

 良い子に育って、私は嬉しいです。

 しばらくすると警報音が屋敷に響き渡りました。

 きましたね!

 

 「とにかく、警備の人よりも先に一輝を見つけなければ」

 

 一応説明を書いた紙もちょっと細長い手作りのお守り袋に入れておきます。

 何があるか分かりませんからね。

 準備をしておく事に越した事はありません。

 とにかく、電流が流れている塀の近くを見回ります。

 本当なら小宇宙を探って探した方が早いのですが、一輝に関してはそこまで関りがある訳ではないのでまさに手探りで……。

 今はそんな事は良いのです。早くしないと死にはしませんが一輝が電流の餌食になり、屋敷の人間から暴力を振るわれてしまいます。

 そこは阻止しないと!

 

 「はなせ!」

 

 むむ!近いですね。

 

 「よせ!一輝、お前死ぬ気か!?」

 

 おお!間に合いましたー!

 

 「一輝!止めなさい!塀には電流が流れているのですよ!」

 

 「あ!真名さん!」

 

 紫龍が私に気付いて名前を呼ばれましたが、今は返事をする余裕はありません。

 

 「どけーーーーっ!!」

 

 「退きません」

 

 星矢を踏み台にして飛びますが、私に首根っこを捕まれて宙ぶらりになりました。

 

 「は、離せ!」

 

 「離しません。紫龍、私は一輝を連れて此処から離れます。なんとか誤魔化して下さい」

 

 「え!?あ、はい!」

 

 紫龍からの返事を聞いた私は私の花園まで移動します。

 まぁ、一輝が暴れてうるさかったですが、そんな事は気にしません。

 瞬が大事で心配なのは分かりますが、アンドロメダ島の瞬の師匠になるダイダロスさんなら心配ありません。

 辰巳さんはそこまでは知らなそうですから私から説明しました。

 

 「本当に信用できるんだろうな?そのダイダロスとやらは」

 

 「はい、その誠実さから沢山の信頼を得ている方です。彼なら厳しいアンドロメダ島の環境から助けて下さるでしょう」

 

 「……、なんでこの屋敷から出た事のないあんたがそれを知っている」

 

 「それは秘密です」

 

 今は話す時ではないので。

 

 「その説明も大事ですが、一輝、貴方に渡すものがあります」

 

 「?」

 

 「これです」

 

 そう言ってポケットからお手製お守りを一輝に渡します。

 

 「これはなんだ?」

 

 「一応説明文を書いておきましたが、簡単に説明させて頂くと、もしも、もしもですよ?デスクィーン島で何か致命的な大けがをしたらコレの中身を使いなさい」

 

 「は?」

 

 まぁ、はぁ?ってなりますよね。うん。

 

 「良いですか?助かりたい、助けたいという状況になったら迷わず使う事。約束して下さい」

 

 「……、そういうのは瞬に渡せ」

 

 「沙織に届けて頂きましたよ?」

 

 「あの守り袋か。だが、こちらの方が大きいみたいだが」

 

 「効果はある意味一緒です」

 

 物は基本的には一緒です。質が違いますが。

 

 「もう一度聞くが、瞬にも渡したんだな?」

 

 「沙織が渡した所を見たのでしょう?」

 

 疑い深いですねぇ……仕方ない事ですけど。

 

 「施しは受けん」

 

 「受けろ。阿呆」

 

 ここまで説明させておいて”施しは受けん”とはこれ如何に。

 思わず口調も乱暴になりますわ。

 

 「む……」

 

 「む。じゃぁありません。いいですか?絶対ですよ?」

 

 フリではありませんからね?その時に後悔しても知りませんよ?

 

 「……わかった。受け取ろう」

 

 そう言うと一輝はお守りを受け取ってくださいました。ホッと一安心です。

 これで受け取らなければ服に糸で縫い付ける所でしたよ。

 

 「では、そろそろ時間ですね。一緒に行きましょう」

 

 警報まだ止んでませんし、私が一緒に行った方が一輝も、もしかしたら殴られる事はないと思いますしね。ていうか、させませんが何か?

 さっきの塀の辺りにまだ人だかりがありますね。

 ん?紫龍が胸倉を掴まれて……殴られそうになってる!?

 

 「子供に何してるんですか!!」

 

 思わず叫びましたよね。

 

 「ま、真名様……!?」

 

 犬を連れた警備員さんを思いっきり睨みました。

 子供達の一部から”怖っ”という声が聞こえましたが無視です。

 

 「その子を離しなさい」

 

 「しかし!一輝を庇う事をしたのですよ!?」

 

 「……離せ。っと、言いました」

 

 聞こえませんでした?

 

 私がそういうと警備員さんは顔を青褪め、紫龍を掴んでいた手を離し、その場から離れていきます。

 ……言われる前に離れるとは、SPよりはマシですかね?

 

 「大丈夫ですか?紫龍。すみません、無茶を頼んでしまって」

 

 「いえ、一輝を助けて頂いてありがとうございます」

 

 「真名さん、一輝は?」

 

 周りにはまだ子供達が居ます。なので、一輝には屋敷の裏の方で一旦待機してもらっていました。

 此処で話す訳にはいかなかったので星矢と紫龍、氷河に来てもらって屋敷裏に向かいます。

 

 「あ、一輝」

 

 「……」

 

 無言な一輝を見て星矢は腕を組み、睨みつけました。

 

 「おれに何か言う事あるんじゃないのか?」

 

 「……ふん」

 

 「~~こんにゃろー!」

 

 「落ち着け星矢。一輝も、星矢と真名さんが止めなかったら電流で大けがする所だったんだ。何か言葉をかけてもいいのではないか?」

 

 氷河が今にも飛び掛かりそうな星矢を抑えて、紫龍が一輝に言い放ちます。

 

 「……ふぅ、助かった。礼を言う」

 

 それを聞いた星矢はピタッっと止まり、氷河から離れ、下から一輝の顔を覗き込みます。

 

 「……なんだよ。やけに素直だな」

 

 「悪いか」

 

 言いたい事は言えという感じですね。一輝。

 

 「いや、悪い訳じゃないけどさ」

 

 ちょっとバツの悪そうな星矢。まぁ、素直に謝られるとは思っていなかったんですけら仕方ないですよね。

 

 「一輝、そろそろ行かないと……」

 

 「ああ」

 

 あ、バスに乗り遅れますね。

 

 「私も一緒に行きます」

 

 そういうと皆さんがこちらを見上げてきました。な、なんじゃぃ。

 

 「真名さん、真名さんもバスに乗るのか?」

 

 「ああ、そっちでしたか。違う違う。一輝が単体でバスまで行ったら折檻されるでしょうから、それを何とかしようかなって」

 

 それを聞いた一輝はムスッと顔を歪め、

 

 「そこまで世話にはならん」

 

 「私が嫌なんです」

 

 押し切る事にしました。

 そして、最小限の荷物を持ってバスまで一緒に行きました。おーおー、警備員さんや、辰巳さん率いる使用人さんも居ますね。

 

 「辰巳さん」

 

 「おお、真名。でかしたな。さ、一輝をこちらに……」

 

 「辰巳さん」

 

 私は辰巳さんや、他の男性方に見えるように、にっこり笑顔で

 

 「一輝にしつけという暴力、折檻等の行いをしたら……どうなるか分かりますか?」

 

 顔は笑顔に、目は笑わずに。辰巳さん達のみに向かって殺気を放ちます。

 殺気を感じ取り後退りする使用人達。

 

 「一輝は脱走しようとしたんだぞ!お前にそんな権限はない!」

 

 意外と一歩も引かない辰巳さん。汗はかいていますが、その根性だけは買います。

 

 「彼は脱走していませんよ?現に此処に居ます」

 

 「そんな事は結果論だ!俺を殴り、走り去って行ったんだぞ!」

 

 「走り去った……。だけですよね?」

 

 その証言頂きです!

 

 「別に脱走しようとして走り去ったという証拠はないですよね?」

 

 「な」

 

 だって、辰巳さんがそう言っただけで、一輝はこの通り此処に来て、バスに乗ろうとしてるだけですもの。

 

 「何か言い分はあります?」

 

 「ぐぬぬぬっ」

 

 ぐぬぬぬじゃありません。スキンヘッド。

 

 「辰巳!」

 

 「おお、お嬢様」

 

 沙織の登場です。キッと全体を見てキリリッと目を吊り上げて言いました。

 

 「おかあさまを困らせたらダメでしょう!」

 

 沙織ならそう言ってくれると信じてましたよ!

 はぁ、マジ沙織は天使です!いや、女神でした。(このネタ何度目?)

 

 「お、お嬢様……」

 

 がっくりと項垂れる辰巳さん。ざまぁ。

 

 「ほらほら、時間もないですし。はい、一輝。気を付けていってらしゃい」

 

 一輝にそう言って軽く背中を押します。

 ちょっと今のやり取りで戸惑っているのかもしれません。ごめんなさーい!

 

 「ああ……いってくる」

 

 何か後半言いました?ぼそぼそって感じで聞こえなかったんですけど。

 

 「 ? 聞こえなかったんでもう一回お願いします」

 

 「 ! なんでもない!」

 

 一輝は慌ててバスに乗り込みました。そして、沙織と一緒にバスに手を振り、見送ったのでした。

 




なんとか近い内に書けました。
仕事帰ってすぐに書き始めましたが、意外となんとかなりました。
次回もなんとかなると良いのですが……。
気合入れて頑張ります。
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