へーい!ただいま結構、大ピンチな真名です!
え?どこが大ピンチなのかって?
………………。
海底神殿のラスボス、ポセイドンの依り代ジュリアン少年が目の前に居るからですよ!!
下手こいたら本物の海皇ポセイドンが現れるかもしれない件についてぇええ!!
しかも、「貴女は同じ神ですか?」宣言を頂く前に防ぎましたが、そんな神フラグなんぞ欲しくないです!
思えば、かれこれ色んな職に就きました……。
えーっと、黄金聖闘士でしょー?教皇候補(ほとんど忘れていました。シオン様メンゴ☆)でしょー?メイドでしょー?沙織の教育係でしょー?教皇宮付きの女官でしょー?アテナ補佐のフクロウでしょー……。
何ですか?このラインナップ、思わず笑いが……込み上げてきませんよ!チクショー!!
しかもこの中にまさかの”神”が入ったら怖いんですけど!?(※神は職業ではありません)
それ以前に私が神とか!……ないですな。
しばらく見つめ合っていると、遠くの方でまた一つ柱が壊される音がしました。
気のせいでしょうか?やっぱり柱が壊されるのが早い気がするんですけど……。
「テティスよ」
「はっ!ポセイドン様」
「紛れ込んだのが、どうやら四匹のネズミだけではない様だ。此処は大事ない、様子を見てきてくれ」
「はっ!」
テティスは破壊されたばかりの柱に向かって走り去る瞬間、私を見て睨んでいました。
美女の睨みとか、どこかの業界ではご褒美らしいですけど、そんな趣味は私には無いので、ちょっぴり怖かったです。
「……貴女に否定されても、この感覚は消えません。一体貴方は誰なのか」
ジュリアン少年よ。
それは私が知りたいですよぉぉおおお!!なんなんですか!?
その話はもうなかった事にしませんかね!?こっちとらキャパがオーバーですよ!
「しかし、これだけは分かります」
「 ? 」
「”私は貴方を知っている”」
「え?」
ほ、本当に……ちょっと待っって下さいぃぃ!!
「……それはそれとして、メインブレドウィナに居るアテナが、貴女が来た事で貴女の小宇宙を感じ、安らいでいる事は気付いていますか?」
「そういえば……遠くの方に居た時は、何度かアテナの小宇宙がはじけた感じがしていましたが、今はあまりそういう事はありませんね……」
沙織……大丈夫ですか?いくら貴女が覚悟を持ってアテナとして戦おうとも、貴女はまだ十三歳の少女……。
こんな事を思っていたら貴女に失礼になる事は分かっています。けれど……
「私はいつでも、例え離れていたとしても、貴女と共に居ますよ」
そっと沙織を想い、両手を組んで祈りを捧げます。
地上の雨の水に浸り、命の危機に瀕している沙織に応援のつもりで小宇宙を燃やし、沙織にもっと届くように送ります。
するとジュリアン少年がその小宇宙を感じ取った瞬間、ハッと何かに気付いた様に私の顔を凝視しました。
「あ、貴女は……いや、”お前”はまさか!?」
「……?」
今度はなんです?(恐る恐る)
「ふっふっふ、ははははははははは!!」
ちょっ、思いっきり笑い出した!?なんですか?狂いました?本当になんなんですかー!?
「そうか!お前は、そういう事か!それなら”アテナ”が”お前の小宇宙に反応しない訳がない”!」
「は?」
な、なんです?笑い出したと思ったら、急に雰囲気が……。
ってぇ!ジュリアン少年の小宇宙がなんだか大きくなって……しかも、なんです?
”沙織”が”私の小宇宙に反応しない訳がない”?
「……それは一体どういう事ですか?」
「ふっ、そうだな。”今”のお前では理解できないだろう。しかし……本当に懐かしい。本来ならまだ”ヤツの中”に居るハズだからな」
”ヤツの中”?なんだか私を知っている言い方です。
それに……
「貴方は私を知っているんですか?……”海皇ポセイドン”」
完璧ではないにしろ、この状態はまだまどろみの中にいるみたいですね。
もし、本当に目覚めたとしたら……いや、本当にヤヴァイです。(吐血)
「お前は自分の出生を知っているのか?」
「……私は自分の親の事は知りません、施設で育ちました」
んでもって、施設の皆は良い人ばかりでしたねぇ。勿論、そこの同じ境遇だった子達と怒ったり、泣いたり、笑ったり……恵まれてました。
成長して施設を出て、一生懸命働いて、友達から勧められた漫画にハマってアニメにハマって見事にオタクになって、それを生き甲斐にしてた一般ぴーぽーなOLでしたよ。
ふっ、今では懐かしいですねぇ。
「今の生活も波瀾万丈で大変ですが、嫌ではありませんです」
「そうか……。時に、真名とやら」
「おや?私の名前をご存知で?」
あれ?私、ジュリアン少年にも、ポセイドンにもまだ名乗っていませんよね?
「テティスとの会話が聞こえていたのでな」
「そうですかー」
地獄耳なんですねー。
「私の”子”を産まないか?」
………………。
「はい?」
今、なんと……?
「私の子をう「あー!ちょちょちょちょ!!待って!すみません、待って!ステイ!ステイですよ!ポセイドン!!」」
直球過ぎぃ!!え?これってセクハラ?神様なら何でも許される感じ?冗談はよし子ちゃん!!
「落ち着いて下さい!何より私には恋人がですね!?」
「関係ない」
おおぅふっ……、これだからギリシアの神様は!
あ、沙織は別ですよ?確かにギリシア神話のアテナって最初の頃、我儘放題やりたい放題だったみたいですけど、沙織は私が厳しぃーく!育てましたから我儘言っても可愛いモノでしたから全然問題なかったですけどね!
「いきなり過ぎますよ!って言いますか、お断りします!」
「何故だ。私と子を作りさえすれば、地上と海はおろか、もしかしたら天上さえも制覇出来るかもしれないというのに?」
…………………。
「え?何言ってるんですか?」
子供を作るのってそんな大それた事と繋がるんです?
っていうか
「それは”貴方の子”だからですか?”私の子”だからですか?その言い方からするに……」
”私の子”という感じな気がするのは私だけですか??
何故かって?だって、地上と海に関しては今戦ってますし、なんでそこで天上が関係しているんです?
子供って関係ないですよね?私、人間ですから神との子供って、ただ単に半神半人の子が産まれるだけで何かに関わる訳ではないですよね?
そりゃぁ、神話では色々ありますけども……
「そうだ。思っている通り、お前だからこそ意味がある」
やっぱりそうですかー!っていうか、心の中覗かないでくれませんかねぇ?
本当に私は神様なんですか!?人間でいたーい!!
「お前がその腹に子を宿し、それが男児であればなお良い」
なんで性別決めてるんです?女でも良いでしょう?って、そうじゃないです。自分。
「なんだか色々混乱してるんですけど?」
「お前が正しく”覚醒”すればいいのだ」
覚醒って……、もう一人の私よ!目覚めよ!!的な?ないない。
「名前を言えば思い出すか?」
――――よ。
「――――!!」
その名前を聞いた瞬間、キーンっという音と共に、激しい頭痛が私を襲いました。
そうして頭痛に耐えていると、頭を過る様々な事。
少し前にあった穏やかな時間。
大好きな人達が生きている事実。
必死に黄金聖闘士達を死なせない様に走り回った事。
簡単には負けない様に子供を鍛えた事。
幼い娘と怪我をしている友人、子供達との時間。
聖域で少しの間、記憶喪失になっていた事。
アテナ神殿で起こった乱。
女神の降臨。
幼い聖闘士達との修行の日々。
黄金聖闘士に選ばれた事。
弟弟子が出来た事。
黄金聖衣に認められ候補になった事。
二人に村の路地裏で発見された事。
…………。
普通に会社に出勤してギリギリ定時で帰れた事。
学校を卒業。
気が付けば施設に居た事。
…………。
逆流するように今までの記憶が思い出されます。
いつまで続くんだと苦しんでいると最後に思い出したのは
さ お り に 似 た お ん な の 子 が た た か っ て。
「うっ、あああああああああ!!」
この記憶はなんですか!?私は知りません!この記憶は何?誰の記憶?どうなっているんですか?
私は”誰かの中に居ました”。
この沙織に似た少女が戦っている姿も見ました。見ているだけでした。
本当にどうなっているんでしょう?
何よりあの名前を言われた瞬間、まだ続きそうな記憶は私の脳に負担を感じたのでしょう。
気絶という形で収まりました。
本当になんなんですか……?
とりあえず……気絶します!スヤァ。
真名の秘密を一部公開。
このヒントで真名がなんていう存在なのか分かる人が居たら、
今、私が考えている無謀な事を云おうと思います。
え?今話せって?誰かに背中を押してもらわないと踏み出せない病なのでふ!!
次回も遅いかもしれません。けども、頑張って書きます!
どうか生暖かく見守ってください!お願いします!