カッコイイ黄金聖闘士は居ません!
以上!
「知恵の女神、メティス……」
「そうだ。この女性こそゼウスの最初の妻にして、アテナの母、知恵の女神メティス。神話の時代でガイアとウラノスは予言した。”身籠った赤子が男児であればゼウスの地位を脅かすだろう”と。そして、その予言は今現在でも続いている」
「な、なんだって!?」
「メティスに男児を身籠らせ、その子供を傀儡として操れば!オリンポスの主神であるゼウスをその地位から降ろせる。天界を支配できるという事だ!」
ポセイドン、楽しそうですねぇ。もう、うわーはははははは!!とか笑い出しそうです。
なんていうかもう、ここまではっきりしてますと一周回って冷静になりますよね。
それにですね、星矢。「な、なんだって!?」は、今まさしく私のセリフですよ。
私が女神の化身ですか、今までそんな事頭スポーンでしたよ。
まぁ何故ゼウスの体内から出れたのかは私もわかりませんけど、この世界に来る前に居た世界に関しては、予想ですけどなんとなく理解しました。
本当はこの世界の住人で、何か強い力で引っ張られてそのまま異世界に流れ着いたはいいものの、反動で記憶も一緒に喪失、赤子の姿で施設の前に居たのを恩師が発見、そこで成長。
んでもって、私を探していたみたいな”何か”によってこの世界に引き寄せられて、戻って来た……感じですね。
若返ったのは……なんとなくですが、今なら分かります。
”何か”の正体……クロノスです。私がこちらに戻る時に私を幼くしました。
恐らくではありますが、あの神、愉快犯の気質あるので”退屈してたから悪戯してみよう”位の気持ちで私を幼くしたんでしょうね。
何故クロノスと分かるのかですか?クロノスの小宇宙を感じましたので間違いありません。あの死にぞこないのあん畜生、その内どついたろうか……。
思わず口調も悪くなりますよ。
……もう考えるのは止めましょう。とりあえず、目の前の問題を何とかしないと。
「ポセイドン。お母様を離してこの壺に戻りなさい!」
「それは……!アテナの壺だと!?この私が長い間眠っていた壺……一体どこから!?」
「メインブレドウィナの中からです。この壺も私と共に蘇りました」
なんと言いますかクライマックス間近ですね。
「ポセイドン、ここまできた以上、もはや貴方の完全なる敗北です」
「バカな!アテナよ。貴女がそこまでして愚かな人間共を守り抜こうとするなら、私も貴女を放って置く訳にはいかない!この三つ又の鉾で死んでもらう!!私には地上を浄化するという大いなる使命があるのだからな」
「神の勝手な解釈で地上に手を出してはいけません。もう一度言います。お母様を離しなさい」
「もはや問答無用!死ねアテナッ!」
ポセイドンがそう言って沙織に向かい鉾を投擲する動作をした瞬間、星矢が前に出るのを見ましたが、あの勢いではいくら星矢が射手座の黄金聖衣を纏っていたとしても危険です。何故なら投げつけられたのは”ポセイドンの三つ又の鉾”。
黄金聖衣は聖衣の中でも特別な鎧、どんな事があっても壊れる事はありません。けれど、相手が神では話は別です。
今、”どんな事があっても壊れない”といいましたが、流石の黄金聖衣でも神の前では簡単に壊れてしまいます。
そして三つ又の鉾は”神”の武器、まさしく神の力が宿っている神聖な物。
そんな物が今まさに沙織と星矢に投擲されました。
このままでは二人一緒に串刺しになると直感した瞬間、無理矢理ポセイドンに掴まれていた片手を思いっきり振り上げて外し、二人の前に出ようと走ります。
「沙織!星矢!」
「あ!お母さっ!?」
ドカァッ!カランカラン……
……背後でそんな音が聞こえました。
私はギリギリ二人の前に出て、ポセイドンに背を向けて庇っていましたが、音はしたものの、刺さった衝撃はきていません。
むしろ、何かとぶつかって弾かれた音がしたような……
恐る恐る後ろを振り返ると、黄金の輝きが背後にありました。
「アテナ、ご無事ですか?真名に星矢も大事ないか?」
その黄金から落ち着いた声で、私達に聞いてきました。
この声に、この小宇宙。しかもその黄金は双子座の黄金聖衣に、カノンにとてもよく似ていますが、違う事にすぐ気が付きました。この人は……
「「「サガ!」」」
「アテナ、遅くなり、申し訳ありません」
「い、いえ、良く来てくれました」
そう、私の背後でポセイドンに警戒しながらも、佇んで居たのはサガでした。
というか、沙織も戸惑っていますよ。だって
「……投げ飛ばした弟の心配は無しか。愚兄」
サガとポセイドンの丁度真ん中に倒れている人物。
「……お前の説得に時間を掛け過ぎた所為なのだから文句を言うな。愚弟」
倒れているのはサガと全く同じ顔をしたサガの双子の弟、カノンでした。
しかし、あのサガが
「「投げ飛ばしたぁ!?」」
星矢と一緒に思わずツッコんでしまいました。
サガってそんな事する人でしたっけ?え?カノン限定?そうですかー。
「私が真名とポセイドンの間に入って盾になる事も考えたのだが……」
ちらりとカノンを見て
「丁度良い盾代わりが隣に”居た”ので、勢いでつい……」
「ついって……それで弟投げんなよ。なんだかサガ、姉貴とやる事似てないか?……えーっとなんだったか、その、アレだ」
サガの言葉に星矢がまたツッコミを入れつつ、言葉を探して考えていると
「似た者夫婦?」
「それだ!」
沙織が解答して星矢がその答えを言った沙織に「流石、沙織さん!」と言うと「たまたまです」とちょっと照れた感じに微笑んでいました。
あー…二人共、可愛いんじゃー……。って、ちゃうちゃう。
ふと、改めてカノンを見れば、余程”勢い”とやらが強かった所為か、すんごいガクガクいっている腕を伸ばし、ゆっくり立ち上がっていました。
って、そうです。ポセイドンの前でした。危ない危ない、ほのぼのしてました。
「サガよ。その”勢い”とやらがアテナの為では無ければ、俺はお前を異次元の彼方に飛ばしていたわ」
「カノン。私がそうなる前に、お前に星の砕けるさまを見せているぞ」
この双子、ポセイドンの前なのに喧嘩始めようとしてるぅー!?
でも、険悪な雰囲気だったのに、カノンはサガから沙織に向き直り、跪きました。
「アテナ。十三年前、スニオン岬の岩牢でいく度命を救って頂き、心からの感謝を……」
「カノン」
「そして、謝罪を」
「え?」
カノンは跪いていた体勢から立ち上がり、近くに転がっていた三つ又の鉾を拾い上げて再び沙織の前に跪くと
「この三つ又の鉾は、このカノンが引き抜いてしまい、この騒動を引き起こしてしまいました。まさに、神への冒涜を仕出かした罪人でございます」
「カ、カノン……」
「全ては愚かなるこのカノンの罪。申し訳ありません、アテナ。申し訳……ありません……!」
カノンはそう言って鉾を己の胸に突き立てようと……この双子は!!
「チェストォー!!」
思いっきりカノンの脳天に手刀を振り下ろしました。
「ぐおっ!?」
バシャッ!ドコン!ぷかぁ……
「え!お、おい姉貴!?」
「しばらく寝ててくださいねー」
良い感じに手刀が入りましたね。気絶しています。
バシャッていう音は、実は海底神殿は今、崩壊を続けています。名前の通り海底にあるので、上にある海水が私達が立っている場所に流れています。
なので、カノンは床に一度沈んでいましたが、浮き上がってきたので顔を上に向けて介抱します。うん、息はしてますね。
「カノンは私が診ています。サガは沙織と星矢を」
「ああ」
「……茶番は終わったか?」
ポセイドンは静かにこちらを見ていました。
怒っていたハズなのに、なんだかビックリです。
「ポセイドン」
ポセイドンは右手を差し出し手のひらを広げて、目線を私に合わせて語り掛けてきます。
「メティスよ、私と共に来い。貴女となら一緒に壺の中に封印されても良いぞ?」
「お断りします」
ズバッと即答しました。当たり前です!目的がもう分かり切ってますからね!絶対に嫌です!!
「まぁ、そうであろうな……今回は負けを認めてやってもいい」
ん?なんか潔い。
「だが、覚えて置け。メティス、お前を諦めた訳ではない!次に目覚めた時、覚悟して置け」
ヒェッ、この神、諦めが良いのか悪いのか分からないです!
「そしてアテナよ、愚かな人間達に加担した事を必ず後悔するぞ。そして、オリンポスの神々の怒りを受けて罰せられる事になるかもしれん。覚えて置けアテナ!」
そう言い終わると沙織は何かを察したのか壺の蓋を取り、ポセイドンに向けました。
すると、ポセイドンの魂?であろうオーラがジュリアン少年から出て壺に収まります。
沙織は壺に蓋をしました。するとその場で少しの間目をつぶり、何か考えている様でした。
「……沙織」
沙織の肩に手を置いて呼びかけます。
「……お母様」
私に振り返って嬉しい様な、ちょっと複雑な様な、そんな表情で私を見つめます。
「アテナ、真名」
「沙織さん!姉貴!早く避難を!!」
星矢とサガに呼びかけられ、そこで私と沙織はハッとして周りを見渡します。
「星矢!サガ!ジュリアン・ソロを助けなくては!」
「……!沙織、あれを」
「えっ?」
沙織に私が見つめる先を指さしました。
そこにはジュリアン少年を抱えたテティスが居たのです。
「どうかご安心を……ジュリアン様はこのテティスが命に代えても地上へお送りいたします。それが、ジュリアン様に対する恩返しです」
「恩返し……?」
「テティス!」
「 ? 」
私は咄嗟にカノンをサガに渡すと、テティスの元まで駆け出し、指先をテティスの口に突っ込みました。
「ふぐっ!?」
「お母様!?」
「テティス、貴女は人魚姫(マーメイド)でしたね」
「……?」
「死んではいけません」
「 ! 」
私は必死にテティスに言い聞かせます。
「人魚姫だって泡にならずに、幸せになったって良いと思うんですよ」
「……」
「ちょっとで良いので指を舐めなさい」
「?……!!」
指にピリッとした感じがした瞬間にテティスの口から指を引きます。
「傷はもうないですね?ジュリアン少年と一緒に居たいと、心から想うのであれば生きる事を諦めて助けるのではなく、一緒に生きたいから助けなさい」
「メティス様……」
唖然としたテティスに私は微笑んで言いました。
「行きなさい、テティス」
私を見つめてテティスは直ににっこりと微笑むと、後ろで波打っている底の深い場所にジュリアン少年を連れて潜って行ってしまいました。
「真名、行くぞ。時間がない」
「はい」
そして、ポセイドンの海底神殿は崩壊しました。
海底神殿に来た黄金聖闘士はサガでしたー。
メティスの説明を簡単に改めて入れました。
ポセイドンさんあざっす!
次回もなるべく早く書けたらいいなー(願望)
どうか、生暖かく見守ってください!お願いします!