カッコイイ双子はいない。いいですね?
幕4 やらかした
ポセイドンとの戦いが終わり、数日が立ちました。
新聞を見るとジュリアン少年はエーゲ海で見つかり、ポセイドンとして君臨していた十数日間の記憶はなく、ソロ家の全財産をなげうって水害にあった難民の救済にあったったそうです。
そして、ジュリアン少年は被害にあった子供達を慰める為に旅に出たらしいのですが、その傍らに二人の人物が寄り添っていたとか。
一人はフルートを吹くのがとても上手い音楽生の青年。
もう一人はジュリアン少年が倒れていた所を助けた少女との事。
……この少女、恐らくテティスではないかと。
そうであると信じています。どうか幸せに……。
そして、そんな風の噂話を聞いた翌日、聖域の教皇宮の謁見の間に場面は移るのですが
「この状況、何処かで見ましたねぇ……」
「私にも身に覚えがあるが……ヤツの自業自得だ」
そう、この謁見の間のど真ん中で傷だらけのカノンが倒れて居ました。
彼は黄金聖衣を着ていないのである程度手加減されて……いると良いですね。
沙織はサガを残し、他の黄金聖闘士の皆さんを下がらせてカノンが起き上がるのを待ちました。
そして身体を震わせながらゆっくり立ち上がり、沙織の近くまでふらふらと近寄って跪き、今回のあらましを語りだしました。
カノンはポセイドンを目覚めさせて騙し、自分が地上と海の支配者になろうとした……らしいのです。
らしいとは?と皆さん思うでしょう。
カノンから話を詳しく聞くと実は、カノンてばスニオン岬で数日、自分でも反省の意識がちょーっとあったみたいで、我慢していたらしいのですが、何日も死に懸けていましたので、このままでは死ぬ!と思い、脱出をしたんですって。
そこでポセイドンの三つ又の鉾を発見。アテナの封印を見て、やっべ!と思って別の場所を探そうと牢獄近くまで戻るも、強い波に押されて三つ又の鉾にぶつかり、鉾を抜いたというか、倒したといいますか……。
まぁ、不可抗力ですね。
そして、そのまま海底神殿に行ってしまい、探索するとそこにはポセイドンの封印された壺が!これに対し、カノンは嫌な予感しかしないと、とんずらをしようとしたんだそうですが、何の因果かアテナが施した封印の札が自然に取れてしまい、ポセイドンが自身の纏う鱗衣に宿り話しかけられ、状況に混乱して話を合させていたら、本当の事が言えなくなってしまい、やけくそになって……えーっと、やらかしたんだそうです。
サガにとってはまさに身内の恥といいますかー。他の黄金聖闘士に言えませんよ。
やけくそって……カノンー……。まぁ、当時十五歳でしたからねぇ。
内容が結構アレなんですけど、仕方がなかったといいますか……。
沙織は苦笑してましたが、サガはムカ着火ファイヤーでした。
顔を見ると般若が下りていたというか、怖かったです。
その後、
「サガよ、お前がさっさと俺を出さなかったのが悪いんだろうが!」
っとキレて、
「カノン、確かに私も悪かったが後一、二日待てなかったのか!?私はちゃんとお前を出しに行ったが、もぬけの殻になっていたから心配していたのだぞ!それなのにお前というヤツは!!」
と、サガもお怒りになり、沙織を避難させて二人を見守りました。
沙織はちょっとオロオロしていましたが(可愛い)直に落ち着いて私と一緒に見守ります。
しかし、二人は本当に十三年離れていたのでしょうか?
そっくりそのままの形で拳やキック、カウンター等を同じタイミングで出しては避けたり、同じ必殺技を繰り出して相殺させたり……。
流石双子という事なんですかねぇ?
そして、ついに決着の時が!クロスカウンターで両者たお……れない!
サガが!サガが立っています!カノンだけです!カノンだけが倒れました!
まぁ、仕方ないですね。だってさっきまで黄金聖闘士の皆さんからお許しが出るまで必殺技のオンパレードだったんですから。
ここまでサガと戦えたのはある意味凄いです。
「さて……」
私は倒れているカノンに近付き、キュアローズに小宇宙を流してカノンの脳天に刺しました。
ん?脳天に何かするの好きだな?やりやすい場所なので!(にっこり)
しばらくするとカノンはむくりと起き上がり、手を握ったり胸を軽く叩いたり調子を見ました。
そういえばカノンにキュアローズを使うのは初めてかもしれませんね。
「これが真名の……メティスの力か?」
「ん?いいえ?神の化身なら誰でも使えますよ?」
「「え?」」
「ん?」
私の言葉に驚く沙織とサガ。どうかしたんでしょうか?
「どういうことだ?」
目の前のカノンが聞いてきました。
「だって、私も神の化身ですからね」
「いや、そうではなく……」
「だって、霊血(イーコール)の力ですし」
沙織は忘れえているかもしれませんが、霊血には不老不死の力が宿っています。
キュアローズは本来は変哲もない普通の白薔薇ですが、私の血を如雨露に一滴のみ垂らし、水で薄めて与えていました。
霊血は黄金色のモノなので黄金の薔薇が出来るハズでしたが、私が「薔薇なら青い薔薇が見たいなぁ」っと無意識に思っていたので、その思い込みが強かったからなのか、薔薇は青くなった……って勝手に思っているんですけどね!
沙織は「まぁ……」っと驚いていて、サガはちょっと唖然。
「なるほど」っとカノンは今効果を実感して納得。
ふと何に気が付いたかのように私を見つめて
「では、俺は不老不死になったのか?」
そう聞いてきました。
「なってませんよ?」
そう、何故なら
「水でめっちゃ薄めてますし、私が無意識とはいえ、本来は黄金色なのを無理矢理青色に変えてますので」
まぁ、そういう訳でして。色は関係ないかもしれませんが、自分でもその辺分かっていないので、多分そうだろうなって思っています。はい。
「そんな事で霊血の効力が薄まるのか?」
「事実、薄まって効果が過剰に出ていないので大丈夫かと」
沙織にサガ、カノンはこう思ったようです。
どう大丈夫なんだ!?それは!
っと。
今回はカノンが「やらかした」という事でした。
何やってんだ……。って感じですね。
ドジっ子カノンか……一部では萌えそうです(笑)
後はキュアローズの秘密?でしたね。
さて次回もどうかゆっくりとお待ちください。
まさか別ジャンルに手を出そう……だなんて思っていますん!