女神と星座の導きによりて   作:草ナギ

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星6つ 薔薇

 教皇宮からの帰り道。

 それぞれの宮に戻り、今日来た三人は荷解きをして明日から修行に入る事になりました。因みに私に突っかかてくるデス君は、アイオロスに軽く小突かれ、首根っこを捕まれて引きずられて行きました。

 ……さてと

 

 「では、アフロディーテ」

 

 「!」

 

 そうです。今日からアフロディーテと二人で生活する事になるんですから、別に親睦を深めるのもありですよね!

 

 「こちらにおいで」

 

 私がそう言ってある所に向かいます。まぁ、ある所と言っても、すぐ近くなんですけど。……うむうむ、ちゃんと付いて来てますね。

 

 「此処ですよ」

 

 「え」

 

 双魚宮の居住部屋の裏に小さな花園があります。

 その花園の一番端、そこに近付くと気付いた様です。

 それを見てアフロディーテは固まってしまいました。

 うん……、まぁ、ビックリですよね。

 

 「あ、あお……い、ばら……!?」

 

 そうです。実は私は1年半懸けてこの薔薇も育ててました。 

 んと、私としては青い薔薇が出来たのは本当に偶然で、自分でも驚いてはいるのです。

 そうして青薔薇に近付き、一本摘み取り、アフロディーテに渡しました。

 青薔薇の棘に気を付けながらも受け取り、繁々と青薔薇を見つめます。

 そりゃぁ、そうですよね。この時代、青薔薇なんて生まれてませんからねぇ……。

 

 「アフロディーテ、貴方、薔薇を模した小宇宙の技は習得していますか?」

 

 「え、あ、はい。一応ですけど……」

 

 「うん。では、その中に解毒や、麻痺を治し。治癒の力がある技はありますか?」

 

 「……?……いえ、ありません」

 

 ふっふっふー、ここまで言って気付かないとは、まだまだですねー。まぁ、当然ですか。

 

 「この薔薇の名は”キュアローズ”。主に治す為に特化した薔薇でして、私の血を混ぜて作った花です」

 

 「……は?」

 

「ちなみにこの薔薇は最初白かったんですよ。血を混ぜた水を与えていたら青くなったんです」

 

「ええ!?」

 

 うむうむ、驚いてますねぇ。

 最初、私も驚きました。ここは普通、赤くなると思うんですけど、何故か青でした。……実は私ったら宇宙人だったなんて事は、ない!ない!そもそも如雨露の水に血を混ぜる時、私から流れた血は赤かったですよ!

 それはさておき、実は1年半前、薔薇の技を習得する時に私の血が特殊だったので、こういう物が有ればと作ったんですよね。っていうか、技の継承でお世話になった先代の弟子の弟子にあたる人から聞いたら、私以外でこんな事が出来るのは恐らく”神”以外にあり得ないとの事。

 え?今更ですが、これこそが、真のチートなのでは?自覚がなかっただけで実は神様転生してて、この血が特典で、2年前にロドリオ村の裏路地に置いてかれたとかでしょうか?こんな事が出来るなんて我ながらまさに”奇跡”です。

 

 「何も戦うだけが戦いではないのですよ。私達聖闘士は、確かに聖闘士としてアテナの為、地上の平和の為に戦う事が本分。でも、アテナや他の聖闘士達を癒しの力があるヒーリングや、杯座の白銀聖衣(クラテリスのシルバークロス)の水以外でも癒してあげられればと思ったんです。変ですかね?」

 

 ポカーン顔でこっち見てます。恐らく混乱してるんでしょうね。

 今までも戦う事しか教えてもらってない訳ですから、多分否定的な考え方してそうな気がします。

 

 「あ……いえ、ぼくは……」

 

 「正直に言ってもいいんですよ?」

 

 「……こんな事言うのは失礼かもしれませんが、必要ないのでは?敵には情けなんて無用です」

 

 「ふふっ、本当に正直に言いましたねー。でも言いましたよね?”アテナと聖闘士達”の為って。別に敵の為ではないのですー」

 

 「うぁ、そ、う……ですね……すみ、ません」

 

 あらあら、恐縮しちゃって……怒ってないのですがねぇ。

 

 「アフロディーテ、これを貴方にあげます」

 

 私はそう言ってアフロディーテが持っていた青薔薇に小宇宙を注ぎます。

 すると黄金色のオーラが薔薇を包みました。

 この位なら得意ですよ!

 

 「わぁ……」

 

 「これでこの薔薇は枯れませんよ。まぁ、ドライフラワーや押し花にしても良いのですが、君にはこうした方が似合うと思って」

 

 「あ、ありがとう、ござい……ます」

 

 仮面で相手には見えないというのに思わず、微笑んでしまいました。

 アフロディーテもちょっと戸惑ってますが、喜んでくれているみたいですし、良かったです。微笑んでくれてます。

 

 「アフロディーテ、喜んでくれて良かったですよ。やっと笑ってくれました」

 

 そう私が言うと

 

 「あ」

 

 とてもビックリした顔で私を見ていました。

 

 「アフロディーテ、思ったんですけど」

 

 驚いている所で畳みかけます。

 アフロディーテの顔を覗き込むようにして、長い前髪を掻き分けました。

 

 「ほら、こんなに素敵な顔立ちなのに、隠してしまうなんて勿体ないですよ」

 

 アイオロスが9歳ですから、アフロディーテは今、4歳ですね。とても可愛らしい顔つきで、きっと将来は絶世のびじ……げふん、ごふん。

きっと絶世の美青年になるでしょうね!

 

「変じゃありませんか?男なのに女の様な顔をしているのは」

 

誰かにそう言われたんでしょうね、ちょっと涙目です。

……言った人は漏れなく粛清ですね(にっこり)

 

「大丈夫、この聖域でそんな事を言う人は居ません。もし、言われたら真っ先に私に言いなさい。その人はしょけ……ん”ん、拳骨ですから!」

 

そう言いながら前髪を掻き上げていた手を頬に添えて、もう片方の手で頭を撫でました。髪もサラサラやでー! 

 

 「あ、ありがとうございます……」

 

 「それに前髪を切りませんか?此処では気にする必要はありませんよ」

 

 「アイオロス様とサガ様も気にしたりなんて……」

 

 「あ、あの二人は気にしたりしません。大丈夫、大丈夫」

 

 あ、そうです。

 ついでにこう呼んでもらいましょう。

 

 「アフロディーテ、もし良かったら、私の事は”姉さん”と呼びなさい」

 

 「え?……姉さん?」

 

 うおおおおおおおおお!!

 アフロディーテに姉さんて呼ばれました!やっべ、萌へる……!

 

 「それから、私も貴方の事は”ディーテ”と呼んでも良いですか?アフロディーテだとちょっと長いですし、私としてはこう呼びたいです」

 

 「はい、構いません」

 

 ”アフロ”ではあまりにも可哀相過ぎるです……。あ、でもデス君は普通にアフロって呼んでましたね。

 でも、恥ずかしいから前髪を伸ばしていた訳ではなかった様で、ちょっとしたコンプレックスだったみたいですね。

 そこの所、見抜けなかったとは、まだまだ修行不足ですね。本当に精進せねば。

 ああ、後これも言っておかねば。

 

 「ディーテ、話しておく事があります」

 

 「 ? はい」

 

 「実は私、技やサイコキネシスの修行は一通り終わってるんです。後は自力で小宇宙を高め、自力で訓練して高みへと至ります。で、私はディーテの……まぁ、師匠代わりですね。本当は蹴落としとかしないと、いけないのでしょうけど、そういうの苦手なんですよね」

 

 私は手が出るの早いですが、気持ちは話し合いで済むなら、それで良いって感じです。アテナの聖闘士としては失格ですかね?

 

「だからと言って、諦めるつもりもありません。教皇様の言った通り、お互いに研磨し合おうじゃないですか!負けませんよ、ディーテ」

 

「はい、姉さん!ぼ……わたしも負けません!」

 

それではっと、

 

「ディーテ」

 

右手を差し出す。もう一度握手です。

 

「あ、はい!」

 

ディーテも直ぐに私がしたい事が分かって手を重ね、握手しました。

ふふふっ、負けませんからね!

 

 

 

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