鬼神と戦った職人はどうやら異世界転移に巻き込まれるようです 作:両刃剣はロマン
あれから2週間がたった。
この頃になれば俺も一緒に飛ばされた奴らと仲良くなりはじめ、雫以外にも谷口鈴や永山重吾などいろんな奴らと仲良くなり訓練をするようになった。
それにともない他の奴らはレベルやステータスが上がるのを確認できたが、俺のステータスは他の奴らとは違い今だ変化していない。
身体能力に関しては向こうと変わりなかったのだが、いざ訓練してみると他のそれこそ勇者一行の中で最も数値が大きかった天之川ですら追随を許さないほどの差があった。
これには俺を含めた全員が驚き、雫には向こうでは手を抜いていたのかと怒られた。
この身体能力に関してはクレアの見解では、向こうにいた時点で元々こちらの何倍もの身体能力があったからステータス表記に変化がなかったんだじゃないかとのことだった。
そんな俺の一日は早朝訓練でクレアを使って模擬戦闘をし、昼は座学の後クレアに連れられて図書館へ、そして夜には雫と共に俺を使った刀剣の素振り、魂の共鳴などの訓練がこの二週間の流れだった。
あと変化したことと言えば、図書館で魔物や錬成を調べるハジメと出会ってから時々ハジメとクレアと俺で錬成などについての意見の交換が行われている。
その時にどうやらクレアはハジメの他とは違った発想力が気に入ったようで、俺がいないときも人間の状態で魔法や錬成など色々とアドバイスしているみたいだ。
……その場面を見ていた白崎がハジメと話そうと錬成の本を握りしめて般若の顔をしていたのだが。
俺?俺は雫と一緒にそれを目撃して、すぐさま二人とも回れ右して図書館から立ち去っている。
それと……
「それでジンさん。ジンさん達は狼男相手にどう戦ったんですか?」
雫の訓練後に俺はよく王女様に絡まれるようになったこともこの二週間で変わったことに含まれるだろう。
きっかけは雫との訓練中に俺が武器化したのを目撃し、俺が何者なのか聞いてきたことがきっかけだった。
それから毎晩、雫との訓練の休憩中に俺が死武専であった出来事を話すのがここ最近の通例となっている。
今現在は昼なのだが、昨日に話したマカ・俺・ブラック★スターが戦った不死身の狼男――フリーとの戦いの続きが気になって公務の途中に抜け出して来たらしい。
「あ~王女様」
「ジンさん何度も言ってますが、私の事はリリィとお呼びください」
「王族相手に愛称って……まあいい、リリィ。すまんがこれから訓練なんだ。この続きはまた夜な」
「もうそんな時間なんですか?ならまた雫さんの訓練の時お邪魔しますね」
「リリィ、別に雫たちの訓練が終わる頃に来ても良いんにゃよ?」
そう言って俺の肩からクレアがリリィに提案する。
ああそうだ、これも言い忘れていたな。
クレアが喋ることは、王城にいるほとんどの者が知っている。
ただ人間になれるのを知るのは俺を除けば、雫や団長、後は目の前の王女様ぐらいだ。
その理由は単純に、喋るだけでも混乱していた為これ以上の混乱を避けるためなのだが。
王女が知ってるのは、雫の訓練中にたまたま人間になる姿を目撃したためである。
「いえ、雫さんがジンさんを振るう姿がとても絵になるので、見るの好きなんです私。それにクレアさんを撫でれますし」
「にゃははは……最初の頃みたいにクシャクシャにはしにゃいでね」
「はい‼」
天真爛漫にそう言ったリリィが部屋から出て行った。
「すまんなクレア。図書館に行けなくて」
「仕方ないにゃ。リリィ、普段王城から外に出られにゃいからジンの体験談が気に入っているみたいだし」
「まあその代わりに王子には睨まれているけどな……」
「それもお姉ちゃんがとられにゃいか心配してるだけで可愛らしいでしょ。ほら早く行かないと訓練が始まるにゃ」
「そうだな」
そう言って俺も部屋から出て、訓練所へと向かうのだった。
「はぁ? 俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの? マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」
訓練所へ向かっている途中でそんな声が聞こえてきた。
「チッ、またあいつらか」
「バカはこりにゃいね」
俺はこっちにきて仲良くなったヤツがいたが、どうしても受け入れない奴らも5人ほどいた。
声が聞こえた方、訓練所から死角になるような場所で数人が集まっている。
そいつらは順に檜山、中野、近藤、斎藤、先ほど言った俺が受け入れられない奴らだ。
初日に俺が脅してから、俺には敵わないと媚びたように接してきて、陰では今の様にハジメをイジメて鬱憤をはらすハッキリと言えばクズの類だ。
「ほら、なに寝てんだよ? 焦げるぞ~。ここに焼撃を「おい、そんなに訓練がお望みなら相手してやんぞ」ぐぺぇ」
クレアに武器化してもらい、手始めにハジメに向って魔法を唱えようとする檜山を剣の腹で張り倒した。
「真桐!違うんだ、これは」
「うっさい。ハジメ、ケガの状況を見るから少し服めくるぞ」
「ごめん、ジン君。迷惑かけて」
「お前は悪くないだろ。そこはありがとうって言ってくれ。取りあえず、骨折とかの重傷はないな」
ひとまず大きなケガはなさそうで、ハジメを起こす。
「でお前ら。まだ相手したりないのか?」
「ひ、ヒィ」
ハジメをイジメていた奴らは腰を抜かしている。
……はぁ、檜山を張り倒しただけでビビるなら、最初からすんなよ。
「やめないか、ジン!」
「チッ、めんどくさいのが来やがった」
「ジン、その気持ちはわかるけど、顔に出しちゃだめにゃ」
俺と檜山たち間に割り込んできたのは、俺が受け入れられない最後のヤツ――天之川だった。
その後に続いて、雫や白崎、坂上も後に続いてやってきた。
「南雲君、大丈夫!」
「ちょうどよかった白崎。ハジメを治療してやってくれ、ケガしたのは背中と腹だ」
「うん!」
そう言ってハジメの治療を始めた白崎を見た後、改めて天之川を見る。
どうやら目の前のヤツはとても怒っているようだ。
「ジン、なんで手を出したんだ!」
「奴らがハジメに魔法を撃つつもりだったから止めただけだ」
「君ならもっと穏便に済ますことができただろ!それに檜山たちが悪いとも限らないはずだ‼」
「何?」
これだ。
「檜山達は南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?それに俺は南雲自身ももっと真面目に努力すべきだと思っている。弱さを言い訳にしていては強くなれないだろう? 聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてる」
こいつのなんでもかんでも人は善意で行動していると信じているところが俺は気にくわない。
なんで被害者に原因があるとこいつは思っているんだ。
どうして二週間そこらしか見てない俺より、檜山たちがどんな奴か分かっていないんだコイツは?
「お前、本気で言ってるのか?ハジメが図書館で何を読んでいるのかも知らないのに」
「彼は俺たちの中で一番弱いだろ。ならそんなことよりも鍛錬するべきだ。彼はただ逃げているだけだろ」
そしてこの自分が常に正しいっていう態度も気に入らなかった。
俺にも最初クレアを武器化させて訓練していたら、クレアを使うな、生き物を武器にさせなくてもアーティファクトがあるだろ。クレアが可哀想だ。と言ってきたのだ。
死神様のように絶対的な規律があるわけでもないのに、その歪んだ物差しで俺たちを測られるのがとても気にくわなかった。
クレアも天之川の言葉にカチンと来たらしく、奴に対してフーッと威嚇している。
「二人ともそこまで。ジン、クレアあなたたちの気持ちは分かるけど今は抑えて。光輝はこっちでどうにかするから南雲君お願いできる?」
雫がそう言って困ったような顔を浮かべる。
「……はぁ。わかった、じゃあ後でな雫。ハジメ、もう平気か?」
「あ、うん。もう大丈夫だよ。ありがとう白崎さん」
白崎にお礼を言ったハジメを連れて、訓練所に戻る。
後ろでは「まだ話は終ってないぞジン!」と叫ぶ天之川の声が響くのだった。
その日の晩、中庭でいつも通り雫が俺を使って訓練で八重樫流の型を一通り行っていく。
『それにしても良く雫は天之川の行動に耐えれるよな』
「まあ――ブン 慣れ――ブン よね――ブン」
雫は喋りながら俺を振るうがどれもブレはなく、まるで剣舞のようにどんどん技を決めていった。
そして一通りの型が終わり、雫は構えを解いた。
『慣れでどうにかなるもんか?正直、エクスカリバーと同じくらい……いやアレより全然マシだがそれでも常に一緒は俺は嫌だと思うがな』
「ふぅ……なんでそこで聖剣がでてくるか分からないけど、光輝はあれよ。手のかかる弟みたいでほっといたらもっとひどくなるのよ。昔からあの性格だから、私も直させようと頑張ったんだけどね」
そう言って息を整えるのとは別に深いため息を雫は吐く。
なんかあれだな、雫が言うみたいに姉って言うよりもこっちのほうがしっくりくる。
『……オカン』
「誰がオカンよ、誰が」
俺が茶化すと、口をとがらせ拗ねる雫。
そんな俺達が面白かったのか、少し離れたところから笑い声が聞こえてきた。
「ふふふ。本当、雫さんとジンさんは仲がいいですね」
その声は昼に約束した通りやってきたリリィだ。
特に汚れることも気にせず、中庭の噴水に腰をかけその膝にクレアを乗せていた。
『まあ、雫とは知り合ってずいぶん長いからな。それこそさっき出た天之川よりも前からの知り合いだ』
「小学生の時に違う国にコイツは行ったんだけどね。それでも時々連絡とっていたから確かに一番付き合い長いかも」
「そんなに長い付き合いだったんですね……羨ましいな。そういえば明日からオルクス大迷宮に行くんですよね?無事に帰って来てくださいね」
一瞬リリィが寂しげな顔をしたが本人が話題を変えた為、俺はそこには触れなかった。
「7大迷宮らしいけど、そこまで深く潜る予定はないってメルド団長は言っていたから心配しないで」
雫も言った通り、俺達は明日この世界有数の危険地帯――俗にいう7大迷宮と呼ばれる場所であるオルクス大迷宮での訓練をすることが今日知らされた。
ただここは新人の兵士の訓練にも使われているらしく、そこまで心配する必要がないとメルド団長が言っていたのだ。
『あの人のことだ。俺達に何かあってもカバーできるところまでしか行かないだろ』
「……ねぇ、迷宮でジンを使ったらダメかしら」
『いや、俺も魔物のレベルを知りたいし戦いたいんだが……一応アーティファクト貰っただろ?』
「……あれよりジンの方が使いやすいのよ」
『……はぁ、少しだけだから』
「やった♪」
そのやりとりが面白いのか再びクスクスと笑うリリィになんだか肩の力が抜け、俺は武器化を解いてその場に座る。
「んじゃ、今日の鍛錬はここまでな。明日からいないし、今日は少し長めに話すか」
「ホントですか!?」
雫もリリィの横に座り、リリィが用意していたお茶を入れ始める。
さて今日の昼の話の続きを語ろうか。
「あの時はまさにピンチだった。なんせマカとソウルが……」
――三人と一匹の秘密の茶会。戦争中とは思えない穏やかな時間を月が優しく照らしていた。
宝物庫前での一幕
「ここが宝物庫だ。ここには国宝級の武器や防具が入っている。有名なのは聖剣なんかだな」
「聖剣!?……メルドさん、その聖剣は制約とかってないよな?例えば5時間の朗読とか?」
「はあ?扱える奴が限られているっていう意味では制約はあるが、なんで5時間の朗読なんだ?」
「いや、まぁ……あはは」
メルドさんのいうことも当たり前だ。
こっちの武器は俺やクレアみたいな者じゃないのだから、喋るわけがないはずだよな。
「どうしたのジン?貴方、顔色悪いわよ?」
「……聖剣は苦手なんだ」
そう思い出したくもない、あの5時間の朗読に耐えたと思ったらエイボン製の記録器で記録された12時間に及ぶ伝説語りを渡されて肌身離さず持たないと何個も渡してくる、あのウザイ聖剣エクスカ私の伝説は12世紀から始まった。
あれは日差しの強い真夏だったかな?
いや…肌寒くなる秋だった…当時は私も「
そういえばもう冬だったかもしれない。
すごく「悪」で巷でも有名な「悪」だった。
悪そうな奴はみんな友達だったよ。
美女たちはみんな私の取り合いをしていたよ。
いや……やっぱり夏だった すごく暑い真夏日だったよ。
そう記憶している 私は今と違って研ぎ澄まされたナイフのような男だったよ しかしなぜか気品を感じさせていた。
みんな言っていた 今でも言われている。
そうは言ってもその当時はそんなに言われてなかったかもしれない徐々に言われ始めていた。
意外と優しいと そう考えてみると 気品を感じさせていたのかもしれない 結果言われていた。
私はすごかった 今でもすごいがただ「悪」だった。
それもこれも気品溢れる冬の日―……
それでは次話から私の伝説を語っていこうか。
それまで正座して待っていたまえ。
「 」
Excalibur~~~♪
Excalibur~~~♪
From United Kingdom♪
I'm looking for him♪
I'm going to California~~♪
「 ン 」
エクスキャリバー~~~♪
エクスキャリバー~~~♪
フロム ユナイテッドキングダム♪
アイム ルッキング フォー ヘブン♪
アイム ゴーイング ツー キャルフォルニアー~~~♪
「 ン なの」
何
、
次
話
ま
で
待
て
な
い
だ
と
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ヴ
ァ
カ
め
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私
の
伝
説
は
そ
ん
な
や
す
や
す
と
語
っ
て
良
い
も
の
で
は
な
い
の
だ
よ
ヴ
ァ
カ
め
!!
だが今はアフタヌーンティーを飲んで気分が良い。ズズズ
だから今日は特別にここで語るとしよう。
そう、私の伝説は12世紀からはじま「ジン!あなた本当に大丈夫なの?」
「はっ!?」
やべぇ、アイツに頭の中を支配されていた。
「あ、ああもう大丈夫だ」
クソ、『聖剣』って単語を聞くと時々こうなっちまう。
まじでうぜえ……なんで聖剣伝説にワクワクしたからって、あの朗読会に参加したんだよ、あの時の俺よ。