今はとある理由から名前を言えないんですけれど、次回ぐらいから本筋に絡みたいです!
さて今回は、加賀さんが提督にいろいろやっちゃうみたいです・・・
って、私聞いてないんですけど!
―そこかしこに湯気が立ち上り、大人や子供の賑やかな声が響き渡る温泉街。
「ここにいるんだね、気配を感じるよ!」
「ヤンデレストーカーみたいですね・・・」
「や、ヤンデレストーカーってなんだ!せめて電波系と・・・」
「・・・大して変わらない」
「ふぁいふぇんへふねー」
「あっ!なんか食べてる!」
「遊びに来たわけじゃないんだけどなぁ・・・」
提督が、私と二人きりでお出かけとは・・・ふふふ、気分が高揚しますね。
ですが、表情に出さないように気を付けなければ。
山奥にある温泉街へと向かうため、俺と加賀はバスに揺られていた。
木々に囲まれた、美しい自然が数多く残っている街だ。
「ここ、いいですか?」
初老の夫婦が隣に座る。彼らも観光なのだろうか。
「若いのに珍しいねぇ、温泉が好きなのかい?」
「えぇ、昔から好きで」
気さくに話しかけてくる奥さんに、たじろぎながらも答える。
加賀は窓の外を眺めていた。
鎮守府の周辺しか見たことのない彼女にとって、目に映るすべてのものが新鮮なのだろう。
「もしかして、新婚旅行?」
「い、いえ!ただの旅行です」
「奥のきれいな女性、彼女じゃないの?」
「そんなやましいことは一切・・・」
「おい、その辺にしとけよ。兄ちゃん困ってんじゃねぇか」
「あら、ごめんなさいね」
「い、いえ。全然」
お詫びに、と旦那さんから地酒を貰った。
ふと加賀のほうを見ると、少し落ち込んだ顔でこちらを見ていた。
その表情には、どこか落胆や失望というものが入っていたようにも見えた。
夫婦やカップルに間違われたのがそんなに不服だったのだろうか。
まぁ、宿に行くまでには機嫌も回復するだろう。
なんせ加賀の好きそうな屋台が立ち並んでいるらしい。
それを見ればテンションも上がるはずだ。
そうこうしているうちに、目的地であるバス停に到着した。
バスの乗客のほとんどがここで降りている。
「いやぁ、空気が違うな。加賀もそう思わないか?」
「そうですね、違うような気がしないでもないです」
「ははは・・・じゃあ行こうか」
「チェックインは午後3時以降でしたよね?まだ10時ですけど」
「だから、屋台巡りをしようかなって」
「屋台・・・」
加賀の目が俄然輝きだす。
「行きましょう提督。おいしいものが私たちを待っています」
「走ると転ぶぞー」
思っていた通り、加賀は機嫌を直してくれた。
「では手を・・・」
「繋ぐのか?」
「嫌ならいいですが・・・」
「いや、喜んで」
加賀と手を繋ぎ屋台が立ち並ぶ中心地へと向かう。
その手はほんのり暖かく、やわらかい手だった。
「加賀?顔赤いぞ?」
「寒いからです。それ以外考えられません」
「照れてたりしてな」
「・・・バカですか」
はたから見るとカップルそのものだろう。
しかし残念ながら俺はいない歴=年齢という立派?な草食系だ。
今も女性の手を握るという行為に際し若干ドキドキしている自分がいた。
「提督、ちょっと強いです」
「あぁ、すまん」
なるべく悟られませんように・・・
「屋台といえばですね・・・」
「屋台といえば・・・」
「ラーメンです」
「じゃあ最初はラーメンで・・・」
「提督の頭は万丈ですか?ラーメンは〆でしょうが」
「頭万丈ってなんだよ!バカって言われるほうがよっぽどいいわ!」
「最初はタコ焼きにしましょう。シェアできますし」
「そ、そうだな。財布渡すから買ってきていいぞ」
俺が差し出した財布を受け取り、早足で店へと向かっていく。
数分後に、両手に袋を下げた加賀が戻ってきた。
「おま・・・買いすぎじゃ・・・」
「提督ならいけますよ」
「お、おう。頑張るよ」
熱々のたこ焼きを恐る恐る口の中に放り込む。
「ほぉ、うまいな。これなら食えるかもしれん」
と、加賀を見るとすでに3パック平らげていた。
「・・・なんですか。ほしいんですか?」
そういうと加賀は4パック目のたこ焼きをひとつ、こちらに差し出してきた。
「ありがとう・・・」
「いえ、ところで間接キスですねこれ」
その言葉に思わずむせる。
「おまっ、わざわざ口に出すなよ・・・」
「まぁ嘘ですけど。新しいパックなので」
なんて奴だ。俺をからかうために巧妙な罠を仕掛けてきやがった。
無心で残りのたこ焼きを口に運ぶ。
正直、味が分からなかった。グリードになるってこういう事なのか。
アンク・・・
などと現実逃避してる間に、たこ焼きは加賀の胃袋に収まっていた。
「次はから揚げでどうですか?」
「あんまり買いすぎるなよ・・・っていねぇし」
あいつ、こんなに自由奔放だったか?旅というものは、人を自由にするのかもしれない。
「とりあえず1キロでいいですか?」
「とりあえずの量は間違いなく1キロではないと思うぞ!」
「腹いっぱいで動けないな・・・」
「なぜか飛んできたキツツキが激突しそうですね」
「飛んでこねぇから・・・」
「ここで少し休んでいきましょう。」
旅館へと向かう途中にも大量に食べ歩き、満腹になってしまった俺は、山の中腹あたりで休んでいた。
「なんか心が落ち着くなぁ」
「そうですね。マイナスイオンというやつでしょうか」
「かもしれんな」
俗世を離れ、静かな場所で余生を過ごす。
戦争が終わったらそれもありかもしれない。
「そろそろ行きましょう」
「だな」
再び歩みを進めること約30分。旅館が目の前に現れた。
「ようこそいらっしゃいました。お部屋の準備はできております」
玄関で迎えてくれた女将が深々と頭を下げて挨拶する。
「お部屋に案内しますね。どうぞこちらに」
女中に連れられ、部屋へと向かう。
「こちらです」
「あれ?部屋1つだけ?」
「はい、そのように伺っておりますが・・・」
ちょっと待ってほしい。もしかして加賀と相部屋?
「加賀、俺と一緒じゃ嫌だよな?」
「別にいいですけど・・・」
というよりむしろ・・・と小声で呟く。
提督イヤーは地獄耳だからよく聞こえるんだなこれが。
「問題ないですね。では私はこれで」
女中が玄関のほうへと向かっていった。
「提督、入りましょう」
「あ、あぁ」
いつもは頼りになる部下の、私服。旅先。何も起こらないはずはなく・・・
いやいや、さすがにそれは・・・ないと信じたい。
お久しぶりです。更新がかなり開いてしまって大変申し訳ありません。
今回はかわいい加賀さんを書いたつもりです。かわいいと思っていただければ幸いです。
次回はあまり間を開けずに投稿したいです。