私に勇気を下さい   作:小将

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衝撃

退屈な授業が終わりホームルームも終わってすぐの今、あこは私の目の前にいる。ホームルーム終了の号令と同時に立ち上がり私の元へと来たのだ。

随分と全く帰りの身支度の早い事で、さてはホームルーム中に片付けてたなー。

 

「さあ行こう、ゆうゆう!」

 

「待ってよあこ、ちょっと早すぎるって」

 

「そんなの当たり前だよ、すっごい楽しみにしてたんだからね!ほらゆうゆう急いだ急いだー」

 

ほんとあこはトモちゃんのことになると凄いなぁ。とにかくテンションが高くなる、いつもが高いからこの状態のあこのテンションは相当高い、少しウンザリするくらいだ。まあ、楽しそうなあこを見るのに悪い気はしないから全然許容件内だ。

 

「よし!準備終わったねー、じゃあお姉ちゃん達のところへしゅっぱーつ!」

 

「あっ、先に行かないでよー、ねぇあこ!聞こえてるーー!?」

 

とまあ、先に行ってしまったあこを追いかけて私はやや駆け足で教室を後にした。

 

ーーーーーーーー

 

あこに追いつき駆け足から早歩きに移行した私達は相当早く待ち合わせの校門に着いた。

 

「あれ?お姉ちゃん達まだいないや」

 

「当たりまえだよ、多分高等部含めても私達が1番早いんじゃないの?」

 

周りにはまだ生徒が見当たらないあたり本当に1番かもしれない。

 

私達が着いてから5分ほどたった頃、高等部の方から見覚えのある5人が駆けてくるのが見えた。

 

「おーーい!あこーーー!」

 

「あっ!お姉ちゃん!おそいよー」

 

「ははっ、悪い悪いこれでも急いだんだけどな」

 

真っ先に着いたのがトモちゃん。高身長で綺麗な赤い髪を揺らしながら到着。

 

「待ってよ、と....巴......は...早すぎるよ」

 

「ひまりちゃん大丈夫?よかったら私の水筒飲む?」

 

「なんであんなに走ってつぐは平気なの!」

 

次いで、息も耐えたえの状態で到着したのがひまりちゃん、ピンクの髪と大きな胸が特徴。

そんなひまりちゃんと同時に到着したのが可愛らしいという言葉がお似合いのつぐちゃん。

 

「到着〜、あこちんにゆーちゃんは随分早いね〜」

 

「あこに夕祈、2人とも待たせたね」

 

「あれ〜、蘭息きれてるけど大丈夫〜」

 

「っ、余計なこと言わないでよモカ」

 

最後に到着したのがのほほーんとしているモカちゃんとモカちゃんにからかわれて赤くなっちゃってる蘭ちゃん。

 

「これで全員だな、じゃあ行くか」

 

トモちゃんの掛け声で私達は歩き出した。

 

ーーーーーーーーー

 

そんなわけでライブハウス着いた私達、トモちゃん達は準備があるからって先に中に入っていった。去り際にトモちゃんが「2人共!アタシ達の音、しっかりと聴いとけよ」なんて言っていた、それに対してあこもすっごい元気に返事してたし本当に2人は仲がいいなぁ。

 

今回のライブはafterglowの他に2つのバンドも参加するらしくafterglowの出番はは2番目だ。てっきりトリはafterglowが飾るものだと思っていた。afterglowは贔屓目に見なくても相当上手でそこら辺のバンドと比べてもかなりレベルの高い方だ、だからトリはafterglowだと思っていたのだが、今回は上がいたらしい。

しかし、プログラムのトリの所には1人の名前が書かれておりバンド名が書かれていなかった。

 

「湊.....友希那 ?」

 

「どうしたのゆうゆう?」

 

「あ、いやなんでもないよ、ほらもう中に入れるみたいだし行こっか」

 

湊友希那、どんな人なんだろう、少し興味があるな。

 

 

 

「わぁ、この空気感久しぶりだよ」

 

会場に入った私は懐かしい空気に浸っていた。ここに来るのも1年振りくらいか、afterglowが出るライブしか見てないってのが主な理由なんだけど。

 

「そうだね、去年はお姉ちゃん達、受験とかでライブ出てなかったもん」

 

「うん、だから誘われた身だけど私も結構楽しみなんだよね」

 

「だよね!1年ぶりのお姉ちゃん達のライブ楽しみだなー、早く始まらないかな〜」

 

あこの「楽しみ」というセリスを聞き飽きた頃、会場が薄暗くなった。ライブ開始の合図だ。直ぐに1組目のバンドが入ってきた、MCが終わり、メンバーが各々楽器を構える。一瞬の静寂に包まれたのも束の間、その静寂は消え去り楽器それぞれの音が聞こえ始める。

 

あぁ、やっぱりいいなこの感じ、耳だけで感じるはずの音を体全体で受け止めて感じる、体で音を聴くこの感じ、ライブでないと味わえないこの高揚感....堪らない。

 

気がついたら演奏は終わり、1組目のバンドはステージを後にしていた。つまりは直ぐにくるという事だ、私達の最高にカッコイイ友達が。

 

「待たせたね、みんな。1年ぶりのアタシ達の曲、しっかりと聴いてって」

 

蘭ちゃんの手短なMCが終わり、先程と同じような一瞬の静寂。一転、音の爆弾が弾けて私の鼓膜を、身体を、心を震わせた。

 

ーーーーーーーー

 

蘭ちゃん達の演奏は圧巻で、申し訳ないが最初のバンドとは比べ物にならなかった。あこも同じ感想のようで先程から、というか演奏の途中から「すっごい」としか言えていなかった。あこは興奮すると語彙力が下がってしまうらしい

 

「ゆうゆう!お姉ちゃん達、どバーンって、ズバーンって、とにかくすっごくて、みんなカッコよかった!」

 

「うん、すごかったしカッコよかった」

 

うん、私の語彙力もあこのことを言えないぐらいに下がっている。

しょうがないね、だってカッコイイんだから。

 

私達の興奮冷めやらぬ中、蘭ちゃん達が去った後のステージに足音が響いた。その足音に気づき視線をステージへと向けた。

綺麗、自然とそんな言葉が頭に浮かんだ。ステージの上、凛々しい姿でマイクを構える。

 

「聴いてください」

 

MCとは呼べないたった一言、言い終えた後に演奏が始まった。

イントロが流れている中、目を瞑り自分の出番を待つ少女。その少女が息を吸い込み口を開く。

ーーーーーーーそこから先は覚えていない、彼女の歌声に圧倒され魅了され、ただただ彼女の歌を聴いていた、いや聴かされたのだ。彼女の声は私の心を掴んだ、無理やり掴まされた、だけど悪い気はしない、むしろ心地いい。

あこではないが私の頭の中にはたった一言しか出てこなかった。

 

「カッコイイ....」

 

この瞬間から私、氷川夕祈は彼女、湊友希那の虜になった。

 

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