艦隊これくしょん・傭兵魂を継ぎし艦   作:京勇樹

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急行

『マザーが上に……真上に、敵艦か!』

 

アークエンジェルとエウクレイデスの二隻が高度を上げていくのに気付いたフェニックスは、真上に敵艦が居る事に気付いた。

しかし、既に二隊が二隻の援護で動いているのを確認し、フェニックスは

 

『スターダストも無視出来ない……それに、嫌な予感がする!』

 

と二隻の援護ではなく、レイグ隊の支援に動いた。

あの後だが更に信号弾が上がり、新型の敵と交戦を開始したという連絡があった。

スターダストですらない新型、となれば、また何らかの試作機とフェニックスは考えながら信号弾が上がった方向に向かった。

少し進むと、激しく砲火が交わるのが見えて

 

『あれは……砲撃能力強化型か!』

 

とフェニックスは、ビームサーベルを抜刀し、すれ違い様に右肩にビームキャノンを装備した新型機に一閃。

フェニックスとしては胴体を狙ったが、どうやらその新型機も機動性が高く作られているようで、ビームキャノンを斬り飛ばすのみに留まる。

 

『確かに早い……だが!!』

 

避けられたのは予想外だったが、フェニックスは即座に左足で蹴りを新型機の頭に叩き込みバランスが崩れ、その隙を逃さずビームライフルを至近距離で胴体に撃った。

至近距離の一撃は流石に回避しきれず、その新型機は爆散した。

 

『隊長、助かりました』

 

『今の新型機、左肩のシールドにIフィールド発生器が内蔵されていて、ビームが効きにくかったんです』

 

『Iフィールドか……』

 

1番機と2番機からの報告に、フェニックスは先ほど撃破した新型機を思い出した。

確かに、新型機の左肩にサブアームで保持された楯があった。

Iフィールド

対遠距離ビーム兵器用防御兵装の一つで、機体の出力と発生器のサイズによっては戦艦やMAに搭載される大口径ビーム砲すら防げる機能を有している。

 

『後で情報をデータリンクで共有しておけ。保護対象(パッケージ)は?』

 

『今現在、ジェミニ3と4を直援に付けて、後退中です……これから、我々も合流しようかと』

 

ジェミニ1、F90Ⅱの報告を聞いたフェニックスは、暫く黙考する。

 

『……今の奴の他に、敵新型は見たか?』

 

『いえ、俺は確認してません』

 

『私も見てません』

 

F90ⅡとF91からの報告を受け、フェニックスは

 

『後退ルートは!?』

 

『え……あちらに後退していきましたが……』

 

F90Ⅱが指差した時、空高くに赤い信号弾が三発上がった。赤三発は、強敵襲来を意味している。

 

『ジェミニ1、2、俺に着いてこい!』

 

『了解!!』

 

フェニックスを先頭に、三機は進んだ。

 

『やはり、さっきの新型機は囮でもあったか……!』

 

フェニックスは、先ほどの新型機が単機だった

単機で行動するというのは、実際はかなり珍しい。大体は最低で二機。最大で部隊単位で行動する。

単機で行動するのは大体が、囮、殿戦闘、特記戦力、保有戦力が少ない、の4パターンになる。

だが今回、囮以外のパターンはあり得なかった。

殿戦闘

一体何から逃げるというのか。データ収集が目的ならば近くに僚機が居る筈だが、付近に居る気配は無かった。

特記戦力

確かに二機を抑える位だから、性能は高いのは確かだ。しかし、幾ら背後からとはいえども、フェニックスに気付くのが遅かった。本当にエースクラスならば、見ないで反応し、反撃してくる。

最後に保有戦力

リボーンズ達の総戦力は未知数だが、少ないというのは有り得ない。何ヵ所かは分からないが、MSの生産プラントを有しているのに、保有戦力が少ないというのは考えられなかった。

 

『見えた……! あれは』

 

『ヤークト・アルケー!』

 

ジェミニ3と4は艦娘艦隊を守りながら、ヤークト・アルケーと交戦していた。

よく見れば、艦娘艦隊の一人が大破級の損傷を受け、二人が肩に担ぐように運んでいる。そして損傷は、ビーム兵器によるものと分かる。

恐らくだが、ヤークト・アルケーの奇襲を艦娘艦隊が受けてしまい、航行速度が低下。ジェミニ3と4は殿戦闘で時間稼ぎを始めたのだろう。

フェニックスはビームライフルを連結・大出力モードにして撃った。

ミノフスキー粒子によりレーダーが効き難い状況だが、ヤークト・アルケーは難なく回避し、流れるような動きでバスターソード内蔵のビームガンで反撃してきた。

勿論、フェニックスも回避し、ヤークト・アルケーの前に布陣した。

 

『これ以上、好き勝手させるか!』

 

『ち、邪魔が増えたか……』

 

フェニックスを見たヤークト・アルケーは、舌打ちした。どうやらヤークト・アルケーは、艦娘艦隊が狙いだったようだ。

恐らくだが、量産型MSの標的用に捕まえる算段だったのかもしれない。

ほんの僅かに、にらみ合いの状態になると

 

『仕方ねぇ……今回は退くか』

 

とヤークト・アルケーは距離を取り始めた。

 

『逃がさない……!』

 

ブルデュエル・HHは追い掛けようとしたが

 

『待て、追うな』

 

とフェニックスが止めた。

 

『何故……!』

 

『今は彼女達の安全確保が最優先だ。損傷した艦娘も気になる。彼女達を回収し、離脱しろ』

 

Zガンダム・シンが詰めるが、フェニックスは冷静に返した。

そもそも、今回の出撃は艦娘艦隊との連絡途絶が理由となる。敵が離脱し、保護出来るのならば、そちらを優先するべきなのである。

 

『隊長の言う通りだ、彼女達を回収し、離脱するぞ』

 

F90Ⅱが言うと

 

『了解したわ……』

 

『了解です』

 

と二機も従った。そもそも追撃しようにも、もしかしたら罠という可能性もある。徒に被害を拡大させるべきではないのだ。

ジェミニ隊は自分達が使っていたSFSに艦娘達を乗せると、後退を始めた。

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