パラオ近海
『保護した艦娘達です! 引き渡します!』
「はい! 受け取りました!」
ジェミニ隊から負傷した艦娘を受け取ったのは、長良率いる艦隊だった。
長良は受け取った艦娘を、後ろに居た菊月に任せると
「先ほど、鎮守府司令室からこんな情報が来ました」
とF90Ⅱに紙を差し出した。
その紙を受け取り、内容を一読したF90Ⅱは
『パラオ本島に、敵が!?』
と驚きながらも、一気に高度を上げてパラオ本島に向かおうとした。その時
『兄さん!』
とF91がF90Ⅱの背後に回り込み、ビームを防いだ。
『上か!!』
そして見つけたのは、新たな量産型МSバリエントだった。
バリエント
AW世界の新連邦が新しく開発した量産型МSで、それまでの量産型МS。ドートレスの世代交代機として開発された。
AW世界では、一部を除いて飛行出来るМSは限られており、最初は飛行機を警戒して開発されたが、当初の敵として考えていた非連邦加盟国には、それほど高い性能の戦闘機が存在しなかった。
だが、制空権を握りかつ空中からほぼ一方的に攻撃出来るバリエントは、意外と高い評価を得て、制式に量産される事に決まった。
そして、その強みはやはり、量産型故に数を揃え易く、編隊を組んでの面制圧攻撃にあるだろう。
アタッチメント方式だが、増加装備も装着出来るように開発されていて、恐らく開発が間に合っていればミサイルランチャーも装備していただろう。
『急いで離脱しろ! こいつらは、こちらで対処する!』
「了解!」
F90Ⅱの指示を聞いた長良は、後退速度を上げた。バリエントはそんな長良達を狙い、ビームライフルを向けた。
だが
『させるかよ!!』
とF90Ⅱが、そのバリエントの右腕を斬り飛ばし、即座に胴体をビームライフルで撃ち抜いた。
これにより、一機撃破。
しかし、先ほど言ったようにバリエントは量産型MSである。
気付けば、中隊規模がジェミニ隊を囲んでいた。
『先に、こいつらを黙らせる! 絶対に、彼女達を追わせるな!』
『了解!!』
そしてジェミニ隊は、バリエント隊と交戦を開始。
その頃、最前線はアークエンジェル。
こちらでは、新たに光学的に確認した敵MS隊と交戦を開始していた。
CG補正有りで確認したのは、以前に海底基地で確認したサーペント隊だった、
どうやら、本格的に量産を開始したらしく、2個中隊規模がドダイ改に乗って迫ってきている。
「艦尾ミサイルランチャー、全門対空榴散弾頭弾装填! ゴッドフリート、バリアント、イーゲルシュテルン、全門起動! 我々はあのサーペントを撃滅する!」
「了解!」
アークエンジェルの指示に、妖精達は素早く応えつつ行動を開始。全武装をサーペントに向け、艦尾ミサイルランチャーを開いた。
すると、ビームキャノンとバズーカを装備していたサーペントが動いたのを見て
「AB爆雷投射! 迎撃!」
と副長妖精が、素早く指示を出した。
その直後、サーペントが発射したビームは爆雷の範囲で拡散・無効化され、バズーカの弾頭はイーゲルシュテルンで迎撃、破壊された。
その直後にバリアントが放たれて、サーペントは散開。そこにアークエンジェルの直掩だったヴァルキリー隊が切り込んでMS戦が始まった。
すると、アークエンジェルは
「オペレーター! ソノブイ投下。もしかしたら、敵母艦が居るかもしれません!」
「了解! ソノブイ、拡散投下!」
オペレーターが操作すると、艦底部から次々とソノブイが次々と放たれた。
「この数……幾らドダイ改を使ってるとはいえ……母艦が居るとしか思えない……」
確かにサーペントは、非常に高い推力を有しており、ガンダムに比肩する事も可能な高性能機ではある。
しかし、大気圏内ではそんな長距離飛行は出来ない。
オプション装備でホバーもあるようだが、それを装備している様子もなく、バックパックも通常の地上仕様の物だ。
となれば、母艦が居ると考えるのが自然だ。
もしかしたら逃走した紺色の母艦かもしれないが、タイミングが合わない。
ならば、潜水母艦が居る可能性が非常に高いとアークエンジェルは考えたのだ。
「全ソノブイ着水並び、起動確認! データ収集開始します!」
オペレーターはそう言って、ヘッドホンを装着。ツマミを動かし始めた。
ソノブイから発せられるソナーの音波の波を変化させ、相手を確実に見つけるのだ。
「ヴァルキリー隊から報告! 相手に新武装確認!」
「新武装?」
「ピックアップします!」
別のオペレーターが、その新武装を装備しているサーペントをピックアップ表示した。
それは、バックパックからサブアームにより保持されている大口径の単装砲だった。
「あの感じは……実弾砲……?」
と見ていた時、その砲身が動いた。
ヴァルキリー隊もその機体を撃破しようと奮闘しているが、他の機体に妨害されて間に合わなかった。
アークエンジェルの砲撃が命中し撃破したが、その前に砲撃が放たれていた。
その砲弾は高く高く上がり、外れたと思った。
だが、急激に弾道が曲がった。
「誘導砲弾か! ジャミング!」
「IRジャマー、電子ジャミング起動!!」
その砲弾の正体に気付いたアークエンジェルは素早く対処を指示し、オペレーターも素早くジャミングを起動させる。
それにより、確かに砲弾の軌道はアークエンジェルから外れた。
だが、砲弾か開いて中から大量の矢が放たれた。
「フレシェット!?」
フレシェット誘導砲弾が、アークエンジェルに襲いかかった。