パラオに向かうスピリッツ本隊。
アークエンジェルは緊急で簡易補修を施し、本調子ではないがレーダーも復旧させた。
「パラオ本島との通信は?」
「ダメです。ミノフスキー粒子が濃く、更にGN粒子も確認しました。通常の通信は不可能です」
アークエンジェルの問い掛けに、通信妖精が首を振りながら返答した。ミノフスキー粒子でただでさえ不明瞭なのに、追い打ちでGN粒子。
通信障害範囲を見てみれば、パラオ本島全域を覆っている。
「確か、アイザックが有りましたね?」
「はっ……また試験段階ですが」
ハイザックをベースに、索敵及び電子戦用機体のアイザック。
元々は、連邦軍が旧ジオン軍が運用していたザクフリッパーを運用し、得たデータから開発した機体になる。とは言え、グリプス戦役時にはザクフリッパーには搭載されていたミノフスキー粒子逆探知装置の開発が出来ず、アイザックには搭載されていない。
しかしスピリッツは、改造してミノフスキー粒子逆探知装置を搭載。今現在、その試験運用段階だったのだ。
「飛行式の通信中継機を複数載せて、先行させてください。今は少しでも情報が欲しいので」
「了解しました。念の為、小隊編成して出撃させます」
アークエンジェルの指示を受けて、副長妖精はCIC妖精に指示を下した。
アイザックも戦闘は可能だが、精密機器を搭載し、そちらに電力を大量に使っている為、護衛戦力も編成したのだ。
アークエンジェルのカタパルトから、SFSに乗って、アイザック、マラサイ、ハイザックの1個小隊が出撃し、先行していった。
「……トライアド中隊を信じるしかありませんね……」
アークエンジェルはパラオ本島に残したトライアド中隊の奮戦を信じ、艦の損傷を考慮しながら加速を命じた。
その時だった。レーダー仕官妖精が
「トラック方面から、海上を進む艦隊を確認! 数、24!」
「連合艦隊? 特定は出来るか?」
「レーダー不調で、そこまでは……ただ、IFFはトラック泊地の艦隊と示しています」
レーダー仕官妖精の報告に、アークエンジェルは
「パラオの異常に気付いて、救援艦隊を派遣してきた?」
と呟いた。
「その可能性が高いかと。トラックとは、日常的にやり取りしていますから。通信が繋がらないとなれば、救援艦隊を差し向けるかと」
「……そう言えば、確かトラックにはパラオと共同開発した対MS兵器も配備されて……念の為、UAVを差し向けて、接触を図ります」
「了解! 通信増幅機能を有する機種を向かわせます!」
副長妖精は、CIC妖精に続けてUAVを射出するように指示した。数秒後、カタパルトから数機のUAVが射出され、次々とある方向に飛翔していった。
それを見送った後、アークエンジェルは
「アイザックから情報は?」
「まだです。しかし、ミノフスキー粒子の発生源は判明しました。パラオ本島を中心に、方位335、距離六千。高度4000です」
副長からの情報に、アークエンジェルは思わず眉を顰めた。
予想外の位置から、ミノフスキー粒子の広域散布。
恐らくだが、特化機能を有する機体か艦の性能だろう、とアークエンジェルは考えた。
「データリンクに情報をアップ! 恐らく相手は、広域散布機能を有する特化機体か艦と予想! 総員警戒!!」
『了解!』
少しずつ増速しながら、アークエンジェルは向かったのだった。