全ての作業が一段落したエウクレイデスは、スピリッツMS部隊の改修案を考えていた。
「やるとしたら、まず機動性の向上……スラスターの増設と強化……それだけじゃあ、推進剤の消費量を増やして、戦闘継続可能時間が短くなるだけね……」
やはり、機動兵器なのだから機動性は大事だ。
だがしかし、機動性を上げすぎて戦闘可能時間が減っては効果は激減する。
ならばどうするか。
「単純だけど、内蔵のタンクの大容量化と、増槽の採用かしら……」
単純明快に、内蔵式プロペラントタンクの大容量化と増槽。ドロップタンクの採用。
勿論だが、消費量の効率化も測るが、それが中心になるだろう。
次に、武装の強化。
出力の強化と改造が主体になる。
「となると、炉の強化も必須ね……中々難しいわね……」
スピリッツのガンダムは、一部を除いて核融合炉を採用している。
レーザー方式の核融合炉を採用していて、一度起動すれば半永久的に莫大なエネルギーを生産し続ける。
しかし逆を言えば、改修するには一度止めて、機体から引き出す必要があり、そうなれば機体は動かせなくなる。
そうなったら、もし襲撃されたら無防備になってしまう。
「……んー……」
少し悩んだエウクレイデスは、一つの決断をした。
「よし……予備パーツを使って強化するか」
それは、予備パーツから同じ機体を組み上げて、そちらを強化。強化が終わったら、そちらを主機体にする、という方法だった。
スピリッツでは、全機の三機分もの予備パーツが常にストックされている。
つまりその気になれば、同じ機体が他に三機ずつ組み上げられるのだ。
今回はその予備部品で一機を組み上げて、それを強化用の素体にし、試験も行う。
「さて、忙しくなるわよ!」
エウクレイデスは気合を入れて、拳を握った。
少し後、アークエンジェルの艦長室。
「予備パーツから機体を組み上げて、そちらを強化する……ですか」
『ええ。今は何時襲撃されるか分からないから、戦力を落とす訳にはいかない。だけど、強化をしない訳にもいかない。だから、予備パーツから組み上げる事にしたわ』
エウクレイデスの図を交えた解説を聞いたアークエンジェルは、少し考えて
「予備機による強化改修を許可します……資材は惜しまず、最大限の強化を」
『了解!』
アークエンジェルの承認を聞いたエウクレイデスは、楽しそうに頷いた。
そしてアークエンジェルは、少し考えてから
「ザク・マリナー隊1個中隊を資材の確保に……護衛に同1個大隊を」
と副長妖精に伝えた。
スピリッツの反撃の準備が始まる。
「何時までも、後手後手ではないですよ……!」
アークエンジェルは自身に言い聞かせるように、かつ近くに居る敵を睨みつけるよつに告げたのだった。