エウクレイデスによるスピリッツの強化改修計画は、順調に進んでいた。
敵基地から回収し解析して作った部品も利用し、少しずつ機体の改修を進めた。
まず行ったのは、機体の大型化。胴体や脚部を延長し、推進剤の搭載量を増やし、そこから機動性の向上を行った。
次に行ったのは、武装の強化。
実弾類は大して変更無いが、ビーム兵器類やGN系の強化、サイコミュシステムの調整を行った。
難しかったのが、サイコミュシステムの調整だ。
サイコミュ波には個人差が激しく、それを観測し、増幅する必要がある。
ここまでで、約2週間は掛かった。
「さてと……融合炉は何とかなるけど、問題はGNドライブね……」
GNドライブは稀代の天才、イオリア・シュヘンベルグが開発した半永久機関だが、ソレスタルビーイングは大規模な改良は出来ていなかった。
疑似GNドライブは改良は簡単だったが、その違いは疑似GNドライブは電池で、GNドライブは炉心という点だろう。
GNドライブは、一度稼働すると壊れるか耐久の限界になるまで動き続ける。
「さて、どうしましょうか……」
まず、一基のみGNドライブを搭載している機体なら、ツインドライブにするという方法が取れる。
ツインドライブ用に接続位置を調整する必要はあるが、ある意味簡単に出来る。
だが問題は、元々ツインドライブの機体だ。
「ツインドライブ自体が、まだ完全に解明しきれてないからなぁ……空間跳躍もだし……」
他に解明しきれてないのは、サイコフレームも同じで、何故サイコフィールドを発生出来るのかも分からない。
「さて、どうしようかしら……」
と頭を搔いていた時
「ん? そういえば……確か、前の世界でリボンズがGNドライブの他に駆動炉を搭載したって言ってたような……」
と以前に戦った際に得た情報を思い出して、アーカイブ検索を開始した。
「あった、これだ……けど、疑似GNドライブだからこその改造だなぁ」
その時のリボンズがやったのは、疑似GNドライブに核融合炉を直結して、疑似GNドライブの欠点を強引に克服した。
「うーん……そういえば、疑似GNドライブはオリジナルのGNドライブより大容量化されてるわね……」
疑似GNドライブの利点は、オリジナルのGNドライブより大容量化されている事。これはオリジナルと違って貯蓄したGN粒子が機体の戦闘可能時間に直結するから故の改造点だった。
「……そこに着目してみるのも手だけど……」
GN粒子の貯蓄量に関しては、大容量化されたGN粒子貯蔵タンクを機体各所に配置し、機体の戦闘可能時間を長時間化させてはいるが、それだけでは弱い。
それに、戦闘が激化すれば如何にオリジナルGNドライブとは言えどもGN粒子発生量より消費量が多くなり、切り札のトランザムモードにも影響が出る。
ツインドライブ化すれば二乗化され、発生量は増えるが、何れは消費量に追いつかなくなるのは、データが示している。
「うーん……焼け石に水だよねぇ……」
エウクレイデスは考えながら、AIにシミュレーションを開始させた。
「さて、結果が出るまで多少時間が掛かるだろうから……装甲の強化を始めようかな」
エウクレイデスはそう結論づけると、GNドライブの改良を後回しにして、装甲の改良を始めた。